ビジネス文書や履歴書でよく見かける「従事」という言葉。
何気なく使っている人も多いですが、意味を誤解していると「少し不自然だな」と思われてしまうことがあります。
この記事では、「従事とは何か」をわかりやすく解説し、履歴書や職務経歴書、日常のビジネスシーンでの使い方、英語表現までを具体的に紹介します。
従事とは?意味とビジネスにおける基本ニュアンス
「従事(じゅうじ)」とは、ある仕事や職務にたずさわることを意味します。
語源的には「従う(したがう)」と「事(こと)」を合わせた言葉で、直訳すると「その仕事に仕えている」という意味になります。
つまり「従事」とは、「特定の仕事を行っている」「ある職務に携わっている」というフォーマルな表現です。
たとえば「営業業務に従事しています」と言えば、「営業の仕事をしています」を丁寧に言い換えた形になります。
「従事とは簡単に言うと?」
一言で言えば、「その仕事をしている」ことです。
ただし、「従事」は「責任を持って仕事に取り組んでいる」というニュアンスを含むため、アルバイトや一時的な作業よりも「専門的」「継続的」な職務に使われることが多い言葉です。
「従事」と「勤務」「担当」の違い
似た表現として「勤務」「担当」がありますが、それぞれ焦点が異なります。
| 用語 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 勤務 | 特定の職場で働くこと | 「東京本社に勤務」など勤務地を示す時 |
| 担当 | 特定の業務や顧客を受け持つこと | 「経理業務を担当」など範囲を明確にする時 |
| 従事 | 職種や業務内容に携わること | 「営業活動に従事」など仕事内容を表す時 |
たとえば、次のように使い分けると自然です。
- 「経理部に勤務し、決算業務に従事」
- 「広報企画を担当し、イベント運営に従事」
このように「従事」は仕事内容の中身を説明する際に向いており、履歴書・職務経歴書では定番表現です。
履歴書や職務経歴書での「従事」の使い方
採用担当者は「何の業務を、どのように行っていたか」を見ています。
そのため、履歴書では「従事」の前後を明確に書くことで、経歴の伝わり方が変わります。
正しい使い方の例
- 営業職として新規顧客開拓および既存顧客対応業務に従事
- 経理部門に所属し、月次決算および経費精算業務に従事
- ECサイト運営における商品登録・販売促進業務に従事
このように、「〇〇業務に従事」と書くことで、職務内容が簡潔に伝わります。
NGな使い方
- 「営業に従事してました」→ カジュアルで履歴書向きではない
- 「従事業務」→ 「従事」は名詞ではないため誤用
- 「従事していた経験があります」→ 回りくどく、印象が弱い
書類上では「〜に従事。」と文を区切ることで、フォーマルかつ読みやすい印象になります。
採用担当者が見る「従事」の前後表現
「従事」という言葉自体よりも、「何に」「どう従事していたのか」が重要です。
つまり、“あなたがどんな役割で成果を出したか”を伝えることがポイントになります。
良い例文
- 「法人営業に従事し、年間売上目標を120%達成」
- 「人事業務に従事し、採用コストを前年比15%削減」
- 「広報業務に従事し、SNSフォロワーを半年で1.5倍に拡大」
このように、実績や取り組み内容をセットで書くと、仕事への理解度や貢献度が伝わりやすくなります。
「従事」の言い換え表現と使い分け
同じ書類や説明文の中で「従事」を繰り返すと、やや硬い印象になります。
そのため、適度に言い換えを使うと自然です。
主な言い換え例
| 言い換え | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|
| 携わる | 一部に関与している | 「システム開発プロジェクトに携わる」 |
| 関与する | 関係者として参加 | 「企画立案に関与」 |
| 担当する | 明確な責任範囲を持つ | 「採用業務を担当」 |
| 従事する | 業務全般に携わる | 「販売促進に従事」 |
言い換え例文
- 「経理業務に従事」→「経理処理に携わる」
- 「営業活動に従事」→「営業担当として顧客管理を行う」
- 「製造業務に従事」→「製品組立および検品を担当」
場面や立場に応じて言葉を選ぶことで、より的確に仕事の内容を表現できます。
ビジネスメールでの「従事」の使い方
日常のビジネスメールや会話でも、「従事」は丁寧に自分の職務を伝える際に便利です。
ただし、堅すぎる印象を与えないように、相手や文脈に合わせて使い分けましょう。
使える例文
- 「私は現在、人事採用業務に従事しております。」
- 「これまで5年間、法人営業に従事してまいりました。」
- 「弊社ではマーケティング業務に従事する社員が中心となり…」
社外向けの自己紹介や挨拶文では、「従事しております」「従事してまいりました」という形が自然です。
「従事」の英語表現
英語で「従事する」は、文脈によって使い分けが必要です。
直訳の「engage in」「be engaged in」が最も一般的ですが、職種によってはより自然な表現に変えるとよいでしょう。
| 日本語 | 英語表現 | 例文 |
|---|---|---|
| 営業業務に従事 | be engaged in sales | I have been engaged in sales for five years. |
| 開発業務に従事 | work in development | I work in software development. |
| 研究に従事 | be involved in research | He is involved in cancer research. |
フォーマルな履歴書(英文レジュメ)では「engaged in」「in charge of」などを組み合わせると自然です。
「従事」を使った例文集(シーン別)
履歴書・職務経歴書
- 「企画立案および販促活動に従事し、新規顧客の獲得を推進。」
- 「経理業務に従事し、月次・年次決算を担当。」
- 「採用活動および社員教育に従事。」
社内報告や自己紹介
- 「現在はシステム運用業務に従事しております。」
- 「5年間、店舗運営および顧客対応に従事してきました。」
ビジネスメール
- 「弊社では○○業務に従事するメンバーが対応いたします。」
- 「私は主にマーケティング業務に従事しており、プロモーション全般を担当しております。」
まとめ|「従事」は“責任を持って携わる”ことを丁寧に伝える言葉
「従事」とは、単に「仕事をしている」ではなく、「責任を持ってその業務に携わっている」という意味を持つ言葉です。
履歴書・職務経歴書・ビジネスメールのどれにおいても、フォーマルで誠実な印象を与える表現として使えます。
ポイントまとめ:
- 「従事」とは「職務に携わる」「業務を行う」という意味
- 履歴書では「〇〇業務に従事」と簡潔に記載するのがベスト
- 言い換えは「携わる」「担当する」「関与する」などで調整
- 英語では「be engaged in」「work in」などが自然
- 成果や具体例を添えることで、印象が格段にアップ
ビジネス文書での「従事」は、あなたの仕事に対する誠実さや責任感を伝える力を持っています。
使い方を理解すれば、どんな職務経歴書もよりプロフェッショナルに見えるはずですよ。




























