ウェブマーケティングの現場では、施策ごとの効果を正しく把握し、次の一手を見極めることが求められます。SEO対策も広告運用も、流入が「どこから来たか」「どのページが評価されたか」を把握できなければ、改善施策の精度も下がってしまいます。そこで注目したいのが、Googleアナリティクス4(GA4)における「参照元メディア」の活用です。本記事では、GA4を使って流入経路や参照元を分析する方法と、それをコンテンツ評価にどう活かすかについて、初心者にもわかりやすく解説します。
GA4における参照元メディアとは何か
GA4の「参照元メディア」は、ユーザーがサイトにアクセスするきっかけとなったチャネル(経路)を記録する指標です。たとえば、Google検索から訪れたユーザーは「google / organic」、Facebook広告から訪れた場合は「facebook / cpc」といった形式で分類されます。この情報は、流入チャネルごとの成果を可視化し、SEOと広告施策のどちらが有効かを判断する重要な手がかりになります。
UA(旧Googleアナリティクス)ではこの仕組みは比較的直感的でしたが、GA4ではイベントベースの設計により、指標やレポートの構造が変わりました。慣れるまでやや時間がかかるため、本記事で丁寧に手順と考え方を解説していきます。
GA4で流入経路を確認する基本操作
トラフィック獲得レポートの見方
まずは、GA4での流入経路(参照元/メディア)を確認する基本的な手順を見ていきましょう。GA4の「レポート」メニュー内にある「集客」カテゴリから「トラフィック獲得」レポートを選択します。
このレポートでは、「参照元 / メディア」「セッションのデフォルトチャネルグループ」「キャンペーン名」などの項目で流入経路を分類できます。
例えば、SEOで成果を見たい場合は「google / organic」や「yahoo / organic」の項目に注目することで、オーガニック検索流入の数や成果がわかります。広告であれば「google / cpc」などの有料チャネルを確認します。
探索レポートとの違い
GA4では「ページごと」の流入経路を見るためには、探索レポートを使ってカスタムレポートを作成する必要があります。この点がUAとの大きな違いです。次のセクションでは、ページ単位での流入元分析の手順を詳しく紹介します。
ページごとの流入経路を調べるには?
探索レポートを活用する方法
GA4では、標準レポートでは個別ページの流入経路までは詳細に確認できません。代わりに、「探索」メニューを使って自由にカスタムレポートを作成することで、ページ別の流入元を把握できます。
探索レポートで必要な設定項目は、次のようになります。
- ディメンション(行):ページパスとスクリーンクラス
- ディメンション(列):参照元 / メディア、セッションのチャネルグループ
- 指標:ユーザー数、セッション数、コンバージョン数など
このように設定することで、特定のページに対して「どの参照元からどれだけのアクセスがあったか」を一覧で確認できます。
たとえば、LP(ランディングページ)やブログ記事ごとにSEOからの流入と広告からの流入を比較して、それぞれの施策の貢献度を明確に把握できるようになります。
URLパラメータで流入元の精度を高める
UTMパラメータの基本と使い方
GA4での流入分析をさらに精密にしたい場合、URLパラメータの活用が欠かせません。Google広告などでは自動的にパラメータが付与されますが、自社で実施するSNS投稿やメルマガリンクなどには手動で追加する必要があります。
一般的なパラメータの形式は、以下のようなものです:
このように設定しておくと、GA4上で「newsletter / email」という形で記録され、他のチャネルと明確に区別されます。
パラメータ設定の注意点
パラメータを設定していない場合、SNSからのアクセスが「direct / none」と誤判定されるケースもあるため、必ず手動でURLパラメータを付与することが重要です。パラメータはGoogleの「URLビルダー」などのツールを使えば簡単に生成できます。
コンテンツ評価に活かせるKPIとは?
GA4で見るべき代表的な指標
GA4の参照元メディアをもとにコンテンツの評価を行う場合、どのKPI(評価指標)を重視すべきかを明確にしておくことが重要です。
- セッション数:純粋な流入の多さ
- 新規ユーザー数:新規獲得の指標
- エンゲージメント率:興味・関心の高さ
- コンバージョン数/率:目標達成の成果
- 平均エンゲージメント時間:滞在時間の長さ
たとえば、ブログ記事の場合は「エンゲージメント率」や「平均エンゲージメント時間」に注目し、読了率や内容理解度の高さを評価します。一方、ランディングページやキャンペーンLPの場合は、「コンバージョン数」や「クリック率」の方が重要になるでしょう。
SEOと広告を統合的に評価するために
クロスチャネル分析の重要性
SEOと広告の施策は、単体での成果だけでなく、相互作用による成果にも注目するべきです。たとえば、SEOで認知したユーザーが、後日リターゲティング広告をクリックしてコンバージョンするなどのケースも多く見られます。
このようなクロスチャネルの貢献を把握するためには、GA4の「コンバージョン経路」や「アトリビューション」レポートを活用するのがおすすめです。これらのレポートでは、ファーストタッチ(初回接触)とラストタッチ(最終接触)の両方を確認できるため、SEOと広告の間接的な影響も含めた全体的な貢献度が見えてきます。
また、メディアごとのROAS(費用対効果)を把握するためには、Google広告との連携設定や、広告キャンペーンごとのパラメータ設計も欠かせません。
成果を報告するレポート作成のポイント
社内共有用レポートの構成例
実際にチームや上司に報告する際、GA4のデータをどうレポートにまとめればよいか悩む人も多いでしょう。ここでは、報告レポートを作成する際に重視すべき構成とテンプレートの考え方を紹介します。
- 目的と評価指標の明記(例:SEOによる新規獲得施策の成果)
- 流入元メディアごとのセッション数/ユーザー数の推移
- コンテンツ別の成果比較(CV率・滞在時間・エンゲージ率など)
- 改善提案や今後の施策案(例:CTR向上のための見出し改善)
GoogleスプレッドシートやLooker Studioを使って、グラフ付きでビジュアルに仕上げると、社内共有もしやすくなります。
まとめ
GA4を活用して成果を見える化し、次の施策につなげよう
GA4は従来のUAとは違い、柔軟な分析が可能になった一方で、操作や考え方に慣れるまで時間がかかる面もあります。しかし、参照元メディアや探索レポートの活用によって、SEOと広告の両施策を数値で可視化し、精度の高い評価と改善が可能になります。
ページごとの流入元を追跡し、パラメータ設計を丁寧に行い、KPIをもとに評価を行うことで、コンテンツマーケティングの効果を最大化する土台が整います。正しいデータ設計と分析スキルを習得し、施策のPDCAを回していくことが、ビジネスにおける競争力を高める第一歩となるでしょう。