ブルートフォース攻撃とは?攻撃時間と企業が知るべき仕組みと対策補法

ブルートフォース攻撃とは?攻撃時間と企業が知るべき仕組みと対策補法

企業のセキュリティリスクが多様化する中、いまだ根強く用いられている攻撃手法が「ブルートフォースアタック」です。地道で古典的な手法でありながら、パスワード突破を目的としたブルートフォース攻撃は、クラウド利用が進む現代の業務環境においても重大な脅威となり得ます。本記事では、ブルートフォースアタックの仕組みや語源、実際にかかる攻撃時間、使用されるツールの解説に加え、企業として取るべき具体的な対策法までを詳しく解説します。


目次

ブルートフォース攻撃とは何か?企業が理解すべき基本構造

シンプルだが強力な攻撃手法

ブルートフォース攻撃とは、総当たり(brute force)によってパスワードや暗号キーを解読する手法を指します。英語で「brute」は「力任せの」「暴力的な」という意味があり、つまりは辞書的な知識や推測を使わず、機械的にすべての組み合わせを試すという極めて原始的なアプローチです。

この攻撃は、パスワードの桁数や構成によって成功までの時間が大きく左右されますが、ツールの性能向上とクラウドベースの処理能力の進化により、近年その脅威はむしろ強まっているともいえます。


ブルートフォースの語源と由来を知る

ブルートフォースという用語は軍事・暗号解読の分野に由来し、暗号を「力ずくで」破るという意味から転用されたものです。1940年代の第二次世界大戦中にも使われていた手法で、当時は人力や初期の機械を使って総当たりで暗号を解いていました。

この歴史的背景が、現代のサイバー攻撃にも名を残すこととなり、「ブルートフォースアタック」という言葉として業界内に定着しています。


実際の攻撃にはどれくらい時間がかかるのか

攻撃時間は「条件次第」

「ブルートフォース攻撃は時間がかかるから安全」というのは誤解です。例えば、4桁の数字で構成されたパスワードであれば、わずか数秒で突破されます。8文字の英数字混在でも、処理性能の高いツールを使えば数分〜数時間で解読可能です。

攻撃時間は以下の要因によって大きく変動します。

  • パスワードの長さと複雑さ
  • 利用されるブルートフォースツールの性能
  • アカウントのロックアウト設定の有無
  • 同時に試行できる回数制限(レートリミット)の有無

簡易な設定のまま運用されているアカウントでは、数千回の試行で突破されるケースも多く、油断は禁物です。


使われるブルートフォースアタック用ツールとは

ブルートフォース攻撃に使用されるツールは多岐にわたります。無料で入手可能なものも多く、技術的知識がなくても利用できる点が問題視されています。

代表的なツール例

  • Hydra:リモートログイン(SSH/FTP等)へのブルートフォースを得意とするツール
  • John the Ripper:パスワードのハッシュ解析に特化したオープンソースツール
  • Medusa:高速かつ柔軟な設計で多プロトコル対応が特徴
  • Burp Suite(一部機能):Webフォームのテストで使われるが、設定次第で辞書・総当たり攻撃が可能

これらのツールは正規のペネトレーションテストでも使用されますが、不正利用されるとセキュリティを簡単に破る手段にもなり得ます。


リバースブルートフォース攻撃の脅威とは?

通常のブルートフォース攻撃は「IDが分かっていてパスワードを総当たりする」のに対し、リバースブルートフォース攻撃は「よく使われるパスワードを固定し、IDの総当たりを行う」という逆の手法です。

企業アカウントにおいて、同じ初期パスワードを複数人が使用している場合、リバースブルートフォースは極めて有効になります。また、社員名やメールアドレスの構成が予測しやすい企業ドメインでは、IDの推測が容易になるため、注意が必要です。


ブルートフォース攻撃に企業が取るべき対策とは

企業がブルートフォース攻撃から自社を守るには、パスワード対策だけでなく、アカウント管理全体の仕組みを見直すことが重要です。

パスワードポリシーの徹底

最低でも12文字以上、英字・数字・記号を含めたランダム性のあるパスワードを推奨するべきです。また、定期的な変更よりも「一度強いパスワードを設定し、流出検知された場合のみ変更する」方が近年の推奨に沿った方法となっています。

アカウントロックとレートリミットの設定

一定回数のログイン失敗でアカウントを一時ロックする、または数秒の遅延を挟むなどして総当たり攻撃を遅延させる仕組みを導入します。これは簡易かつ有効な初動対策です。

多要素認証(MFA)の導入

パスワードが突破されても、物理トークンやスマートフォン認証がなければログインできないようにすることで、攻撃成功率は著しく低下します。特に外部アクセスがある業務用SaaSでは必須ともいえる対策です。

管理者アカウントの隠蔽・保護

標準の「admin」や「administrator」などのIDは狙われやすいため、別名義に変更し、ログイン試行の監視体制を強化します。加えて、管理者ログイン画面へのアクセス制限も有効です。


ブルートフォースという用語を英語でどう理解するか

「ブルートフォース」は英語で “Brute Force Attack” と表記されます。bruteは「野蛮な」「暴力的な」という意味を持つ単語で、ここでは「知恵を使わずに力で押し通す」というニュアンスが込められています。

企業内でセキュリティ研修を行う際、技術者でなくともこの英語の意味や語源を知っておくことで、攻撃の危険性や性質を直感的に理解しやすくなります。


中小企業や非IT部門こそ知るべきリスク

ブルートフォース攻撃は、サーバーやクラウドの設定が甘い企業だけが標的になるわけではありません。むしろ、IT部門がない中小企業や、リモートワークで社内外のネットワーク環境が入り混じるような企業ほど、無防備になりやすい傾向があります。

「自社は狙われない」という考えが一番のリスクであり、最低限の防御策だけでも導入しておくことが重要です。


まとめ:ブルートフォース攻撃を“対岸の火事”で済ませない

ブルートフォースアタックは、最先端技術ではありません。むしろ、シンプルで古典的な手法でありながら、企業の脆弱性を突くには十分な威力を持つ攻撃です。

業務効率化や利便性ばかりを優先し、セキュリティ設定を後回しにしてしまうと、ほんの数秒の試行で情報資産が奪われてしまう可能性もあります。ブルートフォース攻撃を正しく理解し、リスクに備えた設計を行うことが、現代の企業にとっては不可欠な業務のひとつと言えるでしょう。

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