SNSで画像を開くとウイルスに感染する——そんな噂を目にしたことはないでしょうか。TwitterやInstagram、LINEなど、私たちが日常的に利用しているSNSでは、画像を通じて情報を受け取る機会が増えています。その一方で、「この画像、危険なのでは?」という不安を抱える声も少なくありません。この記事では、SNS画像にウイルスが仕込まれる可能性と、その真偽を徹底解説。さらに、実際に危険な画像の見分け方や、企業や個人が取るべき対策についてもわかりやすくお伝えします。
SNS画像とウイルス感染の関係
SNSで送られてきた画像を見ただけでウイルスに感染する。こうした話は一見すると都市伝説のようにも聞こえますが、果たして本当にそんなことがあり得るのでしょうか。
結論から言えば、画像そのものに直接ウイルスを仕込むのは一般的には困難ですが、画像をきっかけにユーザーを危険なサイトへ誘導し、そこでマルウェアを仕込むといった手口は現実に存在します。
JPEGやPNGなどの一般的な画像形式は、安全性を担保する設計がなされている一方で、「改ざん」されたファイルや、「拡張子を偽装したファイル」などが悪用されるケースもあります。とくに、画像クリックで外部サイトへ遷移するSNS広告やメッセージ経由の画像リンクには注意が必要です。
実際に危ない画像の特徴
画像がウイルス感染につながるリスクはゼロではありませんが、その多くはある種の「兆候」を持っています。代表的な特徴を解説します。
拡張子とファイル形式が一致していない
通常の画像は .jpg
や .png
ですが、ファイル名が画像のように見えても、実際には .exe
や .scr
などの実行ファイルになっている場合があります。このようなファイルは、偽装画像としてセキュリティリスクが高く、絶対に開いてはいけません。
知らない相手から送られてくる画像
SNSのDM(ダイレクトメッセージ)などで、突然まったく知らない相手から送られてくる画像は要注意です。とくに、短縮URLが添えられている場合や、簡単なメッセージ(「これ見てw」など)でクリックを誘導してくるようなケースでは、マルウェアの拡散手口である可能性があります。
クラウドやファイル共有サービス経由で開かせる
Google DriveやDropboxなどの外部リンクを装って、画像のようなファイルをダウンロードさせるパターンもあります。これは一見「画像を見るだけ」と錯覚させながら、実際にはZIPファイルの中にマルウェアを忍ばせるなど、より巧妙な手口が用いられます。
SNSごとのリスク傾向と注意点
SNSプラットフォームによって、ウイルス感染リスクのパターンや防御策にも違いがあります。ここでは主要SNSの傾向を見ていきましょう。
Twitter(X)
Twitterでは、画像はCDN(twimg.netなど)を通じて表示される仕組みがあり、公式の投稿に含まれる画像は比較的安全です。ただし、外部リンクを画像に偽装する広告やBot投稿には注意が必要です。拡散力が強いため、マルウェアリンクが一気に拡がるリスクもあります。
Instagramの画像は投稿内に埋め込まれるため、他SNSに比べてリンク誘導の手口は少ない傾向です。ただし、ストーリーズやDM経由で送られる不審な画像・リンクは別です。スパムアカウント経由で誘導される事例も報告されています。
LINE
LINEはメッセージで直接ファイルを送れるため、最もウイルスに悪用されやすいSNSのひとつです。特に企業アカウントを装った通知風の画像や、友達からのチェーンメッセージ風の画像には高リスクな偽装ファイルが含まれていることがあります。
SNS画像に関連した事例と報告
ここでは実際にあったトラブルや報告事例を紹介しながら、リスクの実態を解説します。
有名企業になりすました画像メッセージの事例
実在する企業名を名乗り、「キャンペーン画像」などと称して偽の画像つきリンクが拡散された事例が複数確認されています。リンクを開くと、偽サイトへ誘導され個人情報を入力させる「フィッシング詐欺」に発展するケースが多く見られました。
広告に見せかけたウイルス誘導画像
とくにフリーWi-Fi環境などでSNSを閲覧していると、広告バナー風の画像からウイルスサイトに誘導される手口があります。画像自体は安全でも、画像クリック=マルウェアDLとなる設定がされたケースもあり、油断は禁物です。
企業アカウント運用におけるリスク管理
SNSを業務で使う企業にとって、画像の安全性管理はブランド信頼を守るうえでも非常に重要です。
社内からの情報漏えいを防ぐ
不用意に業務用SNSに画像を投稿することで、資料や社内情報が外部に流出するリスクがあります。たとえば、写っているホワイトボードや画面に顧客情報が含まれていたといった事例も後を絶ちません。
外部アカウントとのやり取りに注意
コラボ投稿やキャンペーンで他社アカウントと画像のやり取りをする際、相手方の画像ファイルが改ざんされていた場合、自社アカウント経由でウイルスを拡散する形になってしまう危険性もあります。
運用ルールとチェック体制の徹底
投稿前の画像チェック、リンク先の検証、DMの対応フローの整備など、日常的なルール整備と従業員教育が求められます。技術的対策と人間的なリテラシーの両輪で守ることが重要です。
SNS画像によるウイルス被害を防ぐための対策
最後に、個人・企業を問わず取るべき基本的な対策をまとめておきましょう。
セキュリティソフトの導入
どれほど注意していても、ゼロリスクとは言えません。信頼性の高いセキュリティソフトを導入し、SNSや画像ファイルを監視対象に含めることは最低限の対策です。
ファイルの拡張子に常に注意を払う
画像ファイルを保存する際、拡張子が正しいかを確認しましょう。PC設定で「拡張子を表示する」オプションを有効にするだけでも、大きなリスク回避につながります。
リンクをクリックする前にプレビュー確認
短縮URLや不審な画像リンクを開く前に、可能であればリンク先の安全性をチェックするツール(Google Safe Browsingなど)を活用することも有効です。
まとめ:SNS画像に油断しないために
SNS上でやりとりされる画像は日常的な存在であるがゆえに、つい警戒心が薄れがちです。しかし、そこにはウイルス感染や情報漏洩といったリスクが潜んでいます。特にビジネスアカウントを運用する立場であれば、画像という”当たり前の媒体”にこそ注意を払うことが求められます。
目に見えない攻撃だからこそ、「画像=安全」という思い込みを捨て、適切な対策とリテラシーを持ってSNSと向き合いましょう。