ビジネスメールでよく使われる「ご承知おきいただけますと幸いです」。一見すると丁寧な表現に見えますが、相手や状況によっては「上から目線」と受け取られることもあり、使い方を間違えると失礼になることがあります。この記事では、このフレーズの正しい意味や敬語としての位置づけを解説しつつ、上司やお客様への適切な例文、さらに言い換えの工夫まで紹介します。読み終えるころには、自信を持って自然に使いこなせるようになりますよ。
ご承知おきいただけますと幸いですの意味と使い方
「ご承知おきいただけますと幸いです」は、相手に情報を伝えたうえで「知っておいてくださいね」という意図をやわらかく伝える敬語表現です。
「承知」は知る・理解するという意味で、「ご承知おき」は「その内容を心に留めておいてください」というニュアンスになります。これに「いただけますと幸いです」を加えることで、強制ではなく「そうしていただけると助かります」という依頼に近い柔らかさを出しているのです。
ただし、使い方には注意が必要です。特にビジネスシーンでは、相手の立場によって表現を少し変えるだけで印象が大きく変わります。
ご承知おきいただけますと幸いですの使いどころ
- 案内や連絡事項を共有するとき
- 相手に特段の行動を求めないが、知っておいてほしいとき
- 社外メールや上司への報告で、柔らかく情報提供するとき
例文:
「来週の会議は社外からの参加者も含まれる予定ですので、ご承知おきいただけますと幸いです。」
このように相手の負担を増やさない場合に使うと自然です。
ご承知おきいただけますと幸いですは失礼になるのか
一部のビジネスパーソンから「この表現は失礼なのでは?」という声があります。理由は「ご承知おき」が「知っておけ」という命令形に近いニュアンスを持つためです。
確かに「承知おきください」とだけ言うと、強制的で冷たく感じられるかもしれません。しかし「いただけますと幸いです」を添えることで、依頼表現に変わり柔らかくなります。
つまり、文脈やトーンを間違えなければ失礼にはなりません。ただし、上司やお客様に対しては、さらに控えめな言い換えを選ぶのが無難です。
失礼と感じられやすいケース
- クレーム対応や謝罪文で使用する場合
- 相手の手間を伴う依頼に使う場合
- 上から目線に聞こえるシーン
このような状況では「ご承知おきいただけますと幸いです」ではなく、後述する別の表現に置き換えるほうが安心です。
ご承知おきいただけますと幸いですを上司に使うときの注意点
上司に対して「ご承知おきいただけますと幸いです」を使うと、時に「部下が指示しているようだ」と受け取られることがあります。
そのため、上司へのメールでは以下のように調整するのがおすすめです。
上司への言い換え例
- 「ご理解いただけますと幸いです」
- 「念のためご確認いただけますと幸いです」
- 「共有までにてご報告いたします」
例文:
「会議資料の一部に修正が入りましたので、最新版を共有いたします。念のためご確認いただけますと幸いです。」
このように「確認」「理解」「共有」といった言葉に置き換えることで、部下から上司への敬意がより明確に伝わりますよ。
ご承知おきいただけますと幸いですをお客様に使うときの工夫
お客様とのやりとりでは、特に「失礼にならないか」が気になりますよね。お客様に「ご承知おきいただけますと幸いです」を使う場合は、次のようなポイントを押さえてください。
- 事実の連絡や案内に限定する
- 相手に作業や負担をお願いしない文脈で使う
- 柔らかい接続語や前置きを添える
例文:
「商品の出荷は天候の影響により遅れる可能性がございます。恐れ入りますが、ご承知おきいただけますと幸いです。」
「恐れ入りますが」や「大変恐縮ですが」を添えるだけで、ぐっと丁寧な印象に変わります。
逆に「至急ご承知おきください」のような表現は、お客様にとって命令的に響きやすいため避けましょう。
ご承知おきいただけますと幸いですの例文集
実際のビジネスメールでどう活用するか、シーン別に例文を紹介します。
社内連絡
「明日の出張に伴い、会議の開始時間を30分遅らせております。ご承知おきいただけますと幸いです。」
上司への報告
「システム障害の影響で一部データの確認が遅れております。ご不便をおかけしますが、ご承知おきいただけますと幸いです。」
お客様への案内
「新製品の発売にあたり、一部旧モデルの在庫が終了いたしました。恐れ入りますが、ご承知おきいただけますと幸いです。」
このように、どの例文でも「相手に作業を求めない」ことが共通しています。単なる情報提供に使うことが大切です。
ご承知おきいただけますと幸いですの敬語としての位置づけ
敬語表現には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。「ご承知おきいただけますと幸いです」は、相手の行為を尊重する「尊敬語」と、自分がお願いする立場を表す「謙譲語」が組み合わさった複合敬語です。
- 「ご承知おきください」 → 尊敬語に近く命令的
- 「ご承知おきいただけますと幸いです」 → 丁寧かつ依頼的
- 「ご承知おきくださいますようお願い申し上げます」 → さらに丁寧で改まった表現
つまり、このフレーズ自体は間違った敬語ではなく、むしろ正しいビジネス敬語といえます。ただし繰り返しになりますが、文脈によっては硬すぎたり上からに感じられるため、言い換えを選択肢として持っておくと安心です。
ご承知おきいただけますと幸いですの言い換え表現
状況や相手によっては「ご承知おきいただけますと幸いです」を避けたほうがよい場合があります。そんなときに使える言い換えを紹介します。
やわらかい言い換え
- ご理解いただけますと幸いです
- ご留意いただけますと幸いです
- ご配慮いただけますと幸いです
さらに丁寧な言い換え
- ご承知おきくださいますようお願い申し上げます
- 恐れ入りますが、ご了承いただけますと幸いです
例文:
「システムのメンテナンスにより一部サービスが停止いたします。恐れ入りますが、ご理解いただけますと幸いです。」
言葉を選ぶことで、相手との信頼関係を損なわずに伝えることができます。
ご承知おきいただけますようお願いいたしますとの違い
似た表現に「ご承知おきいただけますようお願いいたします」があります。どちらも意味は近いですが、微妙なニュアンスの違いがあります。
- 「ご承知おきいただけますと幸いです」 → 相手にお願いする柔らかい依頼
- 「ご承知おきいただけますようお願いいたします」 → より改まった強めの依頼
例えば、契約書や公式な案内文など、フォーマル度が高い文書では「お願いいたします」のほうが適しています。逆に日常的な社内外メールでは「幸いです」で十分です。
状況に応じて選び分けることで、言葉遣いに細やかさが出せますよ。
まとめ
「ご承知おきいただけますと幸いです」は、情報共有の場面で便利に使える表現ですが、文脈や相手によっては失礼に感じられることもあります。大切なのは「相手に行動を求めない場面で使うこと」と「上司やお客様には控えめな言い換えを選ぶこと」です。
言葉は同じでも、受け取り方は人それぞれ。少しの工夫で相手の印象は大きく変わります。今回紹介した例文や言い換え表現を取り入れて、あなたのビジネスメールをより信頼感のあるものにしていきましょう。