英語の会話やビジネスメールの中で、「Terrible(テリブル)」と「Terrific(テリフィック)」という単語を聞いたことがある人は多いでしょう。どちらも似た語感を持ちますが、意味は真逆。「Terrible」は「ひどい」「最悪」というネガティブな言葉でありながら、スラングでは「最高!」というポジティブな意味にもなります。本記事では、これらの言葉の正しい意味やスラングでの使い方、さらに「Horrible」や「Awful」との違いを詳しく解説します。ビジネスでも会話でも「言葉の温度」を見抜く力を身につけることで、英語表現の幅がぐっと広がりますよ。
Terribleの意味と使われ方を正しく理解する
英語学習者がまず混乱しがちなのが、「Terrible(テリブル)」という単語の持つ二面性です。辞書的には「ひどい」「恐ろしい」というネガティブな意味で覚える人が多いですが、実際の会話ではポジティブな使われ方をすることもあります。
Terribleの基本的な意味と読み方
「Terrible」はカタカナで書くと「テリブル」と読みます。
もともとの意味は「恐ろしい」「最悪」「耐えられないほど悪い」というものです。
語源はラテン語の“terrere(怖がらせる)”に由来しており、“terror(恐怖)”と同じルーツを持ちます。
基本的な使い方は以下の通りです。
- This coffee tastes terrible.(このコーヒーはひどい味だ)
- I had a terrible day.(今日は最悪な一日だった)
- That’s a terrible mistake.(それは大きなミスですよ)
いずれもネガティブなニュアンスで、何かに対して不満や批判の気持ちを表す場面に使われます。
Terribleが「いい意味」で使われるスラング表現
一方で、「Terrible」はスラング的にポジティブな意味でも使われることがあります。
特にアメリカの若者言葉やカジュアルな会話では、「ヤバい」「すごい」という意味に変化します。
例文を見てみましょう。
- That move was terrible!(あのプレー、やばかった!=最高だった)
- You’re terribly good at this.(あなた、すごく上手ですね)
このように、形容詞“terrible”が強調の意味を帯び、「ものすごく」「めちゃくちゃ」といった感情を伝える役割を持つのです。
「terribly good」「terribly nice」などのように副詞として使うことで、「とても良い」というポジティブなニュアンスを表現できます。
Terribleの類義語とニュアンスの違い
「Terrible」と似た意味を持つ言葉には「Awful」「Horrible」「Dreadful」などがあります。
ただし、それぞれニュアンスが異なります。
- Awful:不快・嫌悪を伴う「ひどさ」
例)That smell is awful.(あの匂いは最悪だ) - Horrible:恐怖・ショックを含む「ぞっとするような悪さ」
例)It was a horrible accident.(それは恐ろしい事故だった) - Dreadful:文学的で古風な「ひどさ」
例)I had a dreadful headache.(ひどい頭痛に悩まされた)
「Terrible」はこれらよりも使用頻度が高く、感情の強さを示す一般的な言葉として幅広く使われます。
Terrificの意味とスラング的なポジティブ表現
「Terrible」と対をなすように見える単語が「Terrific(テリフィック)」です。
こちらは語源的には「恐ろしい」を意味していたものの、現代英語ではまったく逆の意味で「すばらしい」「最高」というポジティブな言葉として使われています。
Terrificの意味と由来
「Terrific」は本来「Terrible」と同じ語源を持ち、17世紀頃までは「恐ろしい」「ぞっとする」という意味で使われていました。
しかし、19世紀以降「度を越してすごい」という感覚から「すばらしい」「最高の」という肯定的な意味へと変化しました。
例文:
- That’s a terrific idea!(それは素晴らしいアイデアですね)
- You did a terrific job!(あなたは素晴らしい仕事をした)
このように、現代の「Terrific」は完全にポジティブな表現として定着しています。
ネイティブスピーカーの会話では “That’s great!” よりも少し強い感情を込めたいときに使われます。
Terrificのスラング的な使い方
若者の間では「Terrific」を“超最高”や“めちゃくちゃすごい”というスラング的な表現で使うこともあります。
“awesome”や“fantastic”とほぼ同じ意味合いで、「テンションの高さ」や「熱量の強さ」を伝える言葉です。
- You look terrific today!(今日、めちゃくちゃいい感じだね!)
- That concert was terrific!(あのライブ、最高だったよ!)
ビジネスシーンでも “terrific presentation” や “terrific progress” など、フォーマルながらも感情をこめた褒め言葉として使うことができます。
TerribleとTerrificの意外な共通点
実は「Terrible」と「Terrific」はどちらも「恐ろしいほど」という意味のラテン語 “terrere” に由来しています。
つまり、両方とも「極端にすごい」という概念を持っているのです。
違うのは、どの方向に“極端”かということ。
「Terrible」は悪い方向の“すごさ”、「Terrific」は良い方向の“すごさ”を指しています。
この違いを理解すると、英語の感情表現の奥行きがぐっと見えてきます。
Terrible・Terrific・Awful・Horribleの違いを感情の強さで理解する
英語では、ネガティブ表現の中にも段階的な「強さ」があります。
同じ「ひどい」でも、“terrible”と“horrible”では伝わる感情の深度が違います。
ここではそれぞれの単語の意味と、ビジネス・日常会話での使い分け方を整理します。
Terrible awful 違いと使い分け
「Terrible」と「Awful」はどちらも「悪い」「ひどい」を意味しますが、使う場面に微妙な差があります。
- Terrible:幅広く使える「一般的なひどさ」
例)That’s a terrible plan.(それは良くない計画だ) - Awful:感情を強調する「不快・嫌悪」
例)The food was awful.(食事が本当にまずかった)
つまり、「Terrible」は状況の悪さ、「Awful」は感情的な嫌悪感を伝えるときに使います。
ビジネス英語で「awful」を使うと、相手の気分を害する可能性があるため、会話では「not very good」や「could be improved」などの言い換えが安全です。
Horrible 意味と感情のニュアンス
「Horrible(ホリブル)」は「恐ろしい」「ぞっとする」という意味です。
「Horror(ホラー)」の語源と同じで、恐怖やショックを伴う場面で使われます。
例文:
- That movie was horrible.(あの映画は恐ろしくて見ていられなかった)
- It’s horrible to hear that.(それを聞くのはつらいです)
「Terrible」と「Horrible」は似ていますが、前者は“出来事の質”を、後者は“感情の反応”を表します。
たとえば、事故や災害など人の心にショックを与える出来事には「Horrible」を使う方が自然です。
感情の強さを比較した位置づけ
| 単語 | 強さ | 感情の方向 | よく使われる場面 |
|---|---|---|---|
| Terrible | 中程度 | 一般的な否定 | ミス、天候、状況など |
| Awful | やや強い | 不快・嫌悪 | 食事、態度、音など |
| Horrible | 強い | 恐怖・ショック | 事件、ニュース、体験談など |
| Terrific | 強い(ポジティブ) | 喜び・称賛 | 褒め言葉、成果、提案など |
このように、同じ語感を持つ単語でも、意味や感情の向きが大きく異なります。
言葉の選び方ひとつで印象が変わるため、文脈を読み取ることが大切です。
ビジネス英語でTerribleを使うときの注意点と適切な言い換え
ビジネスメールや会議で「Terrible」という単語を使うときは、慎重に選ぶ必要があります。
日本語でも「最悪」「ひどい」は強すぎる言葉なので、英語でも誤解を生む可能性があるのです。
ビジネスメールでは強い表現を避ける
たとえば以下のような文はストレートすぎて印象が悪くなります。
- The result was terrible.(結果はひどかった)
- That’s a terrible idea.(それは最悪なアイデアだ)
これらは批判的に聞こえるため、ビジネスでは「not ideal」「needs improvement」「could be better」などの表現に言い換えるのが適切です。
例文:
- The result was not ideal, but we learned a lot.(理想的ではありませんでしたが、多くを学びました)
- It might need some improvement.(少し改善が必要かもしれませんね)
このように言い換えることで、建設的な印象を与えられます。
丁寧な言い換えフレーズ
- terrible result → unsatisfactory outcome
- terrible situation → difficult situation
- terrible mistake → serious error
どれも“terrible”のネガティブな印象を避け、フォーマルなトーンに整える表現です。
社内外の文書でトラブルや課題を共有する際に役立ちます。
英語の感情表現を豊かにするTerribleとTerrificの使いこなし術
英語では、感情を直接的に伝える言葉が多く存在します。
しかし、文化や文脈によって「褒め言葉」が「皮肉」に聞こえることもあります。
「Terrible」と「Terrific」を上手に使い分けるには、相手のトーンと状況を見極める力が必要です。
スラングとしてのTerribleとTerrificの使い方
会話の中で「That’s terrible!」がポジティブに使われることもあります。
例えば、スポーツ観戦で“すごいプレー”を見たときに「That’s terrible!」と言えば、「やばい!最高!」という意味になります。
一方、真面目な会議で同じ表現を使うと「最悪」という本来の意味に取られてしまう可能性があります。
Terrificを自然に使うためのコツ
ビジネスでも「terrific」は上司やクライアントを褒めるときに使える万能フレーズです。
「That’s a terrific proposal!(素晴らしい提案ですね)」
「You’ve done a terrific job.(見事な仕事でした)」
などのように、ポジティブな評価や感謝を伝えるときに最適です。
感情表現を誤解されないためのポイント
- カジュアルな場:Terribleもスラングでポジティブに使える
- ビジネスシーン:Terrificを中心に使う
- ネガティブ表現を避けたいときは、ポジティブに言い換える
相手の文化背景を理解しながら「言葉の温度」をコントロールすることが、国際的なコミュニケーションでは欠かせません。
まとめ
「Terrible」と「Terrific」は一見正反対の意味を持ちながら、どちらも「度を超えた感情」を表す言葉です。
Terribleは「ひどい」「最悪」というネガティブな意味から、スラング的には「すごい」「最高」といういい意味にも転じることがあります。
一方、Terrificは元々ネガティブだった語がポジティブな意味へと変化し、「素晴らしい」「最高の」という褒め言葉として定着しました。
また、「Awful」「Horrible」などの類義語も、感情の強さやシーンによって使い分けが求められます。
ビジネスの現場では、直接的なネガティブ表現を避け、建設的な言い換えを意識することで信頼を損なわずに伝えることができます。
英語の「Terrible」や「Terrific」には、単なる語彙の違いを超えて、「文化と感情の繊細なバランス」が隠されています。
この2つの言葉を理解することは、単語力を上げるだけでなく、相手の気持ちを汲み取る“言葉のセンス”を磨く第一歩でもあります。




























