「その文章、なんだか読みにくいね」
上司や同僚からそんなふうに言われて、ドキッとしたことはありませんか。自分では一生懸命に書いたつもりなのに、なぜか相手には伝わらない。読み返してみると、確かに句読点(「、」や「。」のことですね)の位置がなんだか変な気がするけれど、どこをどう直せばいいのか分からない。そんなモヤモヤを抱えている方は、実はとても多いんですよ。
句読点は、文章のリズムを整え、誤解なく情報を伝えるための大切な「息継ぎ」のような存在です。しかし、学校で習ったはずなのに、大人になると意外と自信を持って使えないものですよね。
この記事では、あなたの文章が「おかしい」と言われてしまう原因を深掘りし、明日からすぐに使える具体的な改善テクニックをお伝えします。句読点のルールを少し意識するだけで、あなたの文章は劇的に読みやすく、そして知的で信頼されるものに生まれ変わります。文章に対する苦手意識をなくして、自信を持って発信できるようになりましょう。
句読点の使い方がおかしいと言われる原因と心理的背景
そもそも、なぜ私たちは句読点の打ち方にこんなにも迷ってしまうのでしょうか。「てにをは」などの助詞の使い方と同じくらい、句読点の位置は文章の読みやすさを左右する重要な要素です。
しかし、多くの人が「なんとなく」や「感覚」で打ってしまっているのが現状ではないでしょうか。インターネット上のQ&Aサイト、例えばYahoo!知恵袋などを見ても、「上司に句読点の使い方がおかしいと怒られた」「自分の文章が幼稚に見える」といった相談が数多く寄せられています。そこには、書き手特有の心理や癖が深く関係しているのです。
まずは、なぜあなたの句読点が「変だ」と思われてしまうのか、その根本的な原因と心理的背景から紐解いていきましょう。
読点(テン)を打つ場所に迷いすぎてしまう心理
文章を書いている最中に、「ここで切るべきかな? それともまだ続けるべきかな?」と迷って手が止まってしまうことはありませんか。
この「迷い」こそが、不自然な句読点を生む最大の原因です。特に、真面目で丁寧な性格の方ほど、読み手に親切にしようとしすぎて、かえってテン(読点)を打ちすぎてしまう傾向があります。
テンを打つ場所に迷う背景には、以下のような心理が働いていることが多いです。
- 誤読されるのが怖い: 「ここで切らないと、違う意味に取られるのではないか」という不安から、過剰に区切りを入れてしまう。
- 息継ぎのタイミング: 自分が声に出して読んだときの息継ぎに合わせて打っているため、黙読する相手のリズムと合わない。
- 強調したい気持ち: 単語を目立たせたいあまり、強調マークのようにテンを使ってしまう。
例えば、「私は、昨日、友人と、カフェで、ランチを、しました。」のように、文節ごとに細かく区切ってしまう人がいます。これは、一つひとつの情報を間違いなく伝えたいという慎重さの表れかもしれません。しかし、読み手からすると、まるでロボットが喋っているかのようにカクカクとした印象を受け、非常に読みづらくなってしまうのです。
迷ったときは、「テンは打ちすぎないほうがスムーズに読めることが多い」という原則を思い出してみてください。不安な気持ちを句読点で埋めようとせず、文章の構造自体をシンプルにすることを意識すると良いですよ。
知恵袋でも相談多数!息継ぎの感覚で打つ癖の弊害
「自分が話すときのリズムで句読点を打っています」という方は意外と多いのですが、実はこれが「句読点がおかしい」と言われる大きな落とし穴なんです。
話し言葉と書き言葉は、そもそもリズムが異なります。話しているときは、相手の反応を見ながら間(ま)を取ったり、息継ぎをしたりしますよね。しかし、文章を読むとき、読者は自分のペースで黙読します。書き手の呼吸のリズムを押し付けられると、読者はスムーズな視線の移動を妨げられ、ストレスを感じてしまうのです。
息継ぎ感覚で打つことには、具体的に次のような弊害があります。
- 文の構造が無視される: 主語と述語の関係がバラバラになり、誰が何をしたのかが分かりにくくなる。
- 意味の塊が分断される: ひとつの単語や熟語の途中で切れてしまい、意味を理解するのに時間がかかる。
- 感情的で幼い印象を与える: 論理的な構成ではなく、感情の昂ぶりに任せて打っているように見え、ビジネス文書としての信頼性が下がる。
知恵袋などの相談サイトでも、「新入社員のメールが、話し言葉そのままで句読点がめちゃくちゃだ」という上司側の嘆きや、「どうすれば直りますか」という切実な悩みが見られます。
これを直すためには、「声に出して読む」ことと同時に、「文法的な区切り」を意識する必要があります。息継ぎが必要なほど一文が長くなっているなら、そこで句読点を打つのではなく、いっそ「マル(句点)」を打って文を分けてしまうのが、最も効果的な解決策かもしれません。
読み手への配慮が空回りして逆に読みづらくなるパターン
「相手が読みやすいように」という優しさから句読点を打っているのに、それが裏目に出てしまうこともあります。これは特に、ビジネスメールやチャットツールでのやり取りで頻発する現象です。
例えば、漢字が連続して続くと「堅苦しいかな」「読み間違えるかな」と心配になり、あえてひらがなにしたり、間にテンを入れたりすることがありますよね。もちろん、漢字の羅列を防ぐためにテンを打つのは正しいテクニックの一つです。しかし、それが過剰になると逆効果になります。
配慮が空回りしてしまうケースとして、以下のようなパターンが挙げられます。
- 接続詞の後の過剰なテン: 「また、」「しかし、」「そして、」と全ての接続詞に必ずテンを打つことで、文章の流れが細切れになる。
- 修飾語を区切りすぎる: 「とても、きれいな、花」のように、形容詞や副詞のたびに区切ってしまい、何がどうなのかが頭に入ってこない。
- 改行と句読点の重複: チャットツールなどで、改行しているのに行末に必ずテンやマルをつけることで、画面上がうるさく見える。
読み手への配慮は素晴らしいことですが、本当の配慮とは「視線の流れを止めないこと」です。テンという障害物を置きすぎて、読者がつまずいてしまっては本末転倒ですよね。
時には「ここは一気に読んでもらったほうが伝わる」と判断し、あえて句読点を打たない勇気を持つことも大切です。過保護になりすぎず、読者の読解力を信じて、スッキリとした文章を目指してみましょう。
句読点が多い人は病気や障害の可能性があるのか
インターネットで「句読点 多い」と検索しようとすると、サジェスト(予測変換)に「病気」「障害」「やばい」といった穏やかではないキーワードが出てきて、不安になったことはありませんか。
自分の文章、あるいは身近な人の文章に対して、「これって何かの病気のサインなのかな?」と心配になる気持ち、よく分かります。確かに、文章には書いた人の性格や精神状態が少なからず反映されるものです。しかし、結論から言えば、句読点の多さが直ちに病気や障害を意味するわけではありません。
ここでは、句読点の打ち方とメンタルヘルスの関係について、冷静かつ客観的な視点で解説していきます。過度な不安を取り除き、正しい理解を深めていきましょう。
「おじさん構文」や性格的な特徴との関連性
最近、SNSなどで話題になる「おじさん構文」という言葉をご存じでしょうか。中高年の男性が送るメッセージに見られる特徴的な文章のことですが、この中にも「句読点がやたらと多い」という特徴が挙げられることがよくあります。
「今日は、いい天気だね、ランチは、何を食べたの?」のように、細かくテンを打つスタイルですね。これを若者世代が見ると「なんだか変だ」「読みにくい」と感じるため、「句読点が多い人=やばい」というレッテルが貼られてしまうことがあります。
しかし、これは病気などではなく、単なる「世代間のコミュニケーションツールの違い」や「性格的な特徴」である場合がほとんどです。
- ガラケー時代の名残: 以前の携帯電話の画面は小さく、短文でやり取りすることが多かったため、区切りを入れる癖が抜けていない。
- 相手への配慮の表れ: ぶっきらぼうに見えないよう、柔らかいニュアンスを出そうとしてテンを多用してしまう。
- 心配性で真面目な性格: 正確に伝えようとするあまり、言葉を補足したり区切ったりしすぎてしまう。
つまり、句読点が多い人は、むしろ「優しくて気配り屋」であったり、「コミュニケーションを円滑にしたい」という気持ちが強かったりすることが多いのです。ただ、その表現方法が今の時代のスピード感やスタイルと少しズレてしまっているだけなんですね。
「自分はおかしいのかな」と悩む必要はありません。「ちょっと丁寧すぎたかな?」と気づき、意識して減らすようにすれば、すぐに改善できる癖の一つですよ。
注意欠如や多動性が文章のリズムに与える影響
一方で、発達障害の一つであるADHD(注意欠如・多動症)などの特性が、文章のリズムや句読点の打ち方に影響を与えるケースもゼロではありません。
ADHDの特性として、頭の中の思考が次々と飛躍したり、衝動的に言葉が出てきたりすることがあります。これが文章作成において、「話がどんどん展開してしまい、一文が極端に長くなる」「思いついたことをそのまま書くため、句読点の位置が不規則になる」といった形で現れることがあるのです。
具体的には、以下のような傾向が見られることがあります。
- 一文が延々と続く: 「〜ですが、〜ので、〜して、〜だから、」と、マルで終わらずにテンで延々と文章をつないでしまう。
- 脈絡のない位置での句読点: 思考が別のことに移った瞬間にテンを打ってしまったり、逆に打つべき場所を飛ばしてしまったりする。
- 書き直しが苦手: 推敲(見直し)をするのが億劫で、最初に書いた勢いのままの文章を送信してしまう。
もしあなたが、「どうしても文章を短く切れない」「読み返すと何を言いたいのか自分でも分からない」といった悩みを深く抱えているなら、それはあなたの能力不足ではなく、脳の特性によるものかもしれません。
しかし、だからといって「文章が書けない」と諦める必要はありません。特性を理解した上で、「一文を短くするルールを決める」「書き終わった後に必ず音読チェックをする時間を設ける」といった工夫をすることで、読みやすい文章を書くことは十分に可能です。障害かどうかの診断は専門医に委ねるべきですが、自分の傾向を知ることは対策への第一歩になりますよ。
不安の表れ?「やばい」と思われる前に知りたいメンタルとの関係
句読点の打ち方は、その時の精神状態(メンタル)を映し出す鏡のような側面もあります。
例えば、強いストレスを感じていたり、精神的に不安定になっていたりするとき、文章が支離滅裂になったり、句読点の使い方が極端になったりすることがあります。これは、統合失調症などの精神疾患の症状として現れる「連合弛緩(話の脈絡がなくなること)」の一種として、専門家の間で知られています。
また、強迫性障害(OCD)の傾向がある場合、「ここにテンを打たないと気持ちが悪い」「決まったリズムでないと不安になる」というこだわりから、過剰に句読点を打ってしまうケースもあります。
- 過剰な句読点: 不安や焦りが強く、相手に分かってほしいという気持ちが暴走している状態。
- 句読点が全くない: 気力が低下しており、文章を整えるエネルギーが残っていない状態、あるいは躁状態で思考のスピードに手が追いついていない状態。
もし、以前と比べて急に文章が書けなくなったり、句読点の打ち方が極端に変わったりした場合は、心が疲れているサインかもしれません。「句読点がおかしいと言われる自分はダメだ」と責めるのではなく、「少し休息が必要かな」と自分を労ってあげてください。
心の健康を取り戻せば、自然と文章のリズムも整ってくるものです。たかが句読点、されど句読点。あなたの心のバロメーターとして、少し気に留めてみるのも良いかもしれませんね。
小学生でもわかる!句読点の正しい使い方と基本ルール
「句読点の使い方が分からない」と悩む大人が多いのは、実は不思議なことではありません。なぜなら、学校の国語の授業で「絶対にこうしなさい」という明確なルールとして教わる機会が意外と少なかったからです。
しかし、読みやすい文章には、やはり一定の「法則」があります。ここでは、小学生の作文指導でも使われるような、シンプルで強力な基本ルールをご紹介します。難しい文法用語は使いませんので、安心してくださいね。これさえ守れば、少なくとも「おかしい」と言われることはなくなりますよ。
主語の後や接続詞の後には必ず打つのが鉄則
句読点(特にテン)を打つ場所に迷ったら、まずはこの2つの場所だけを意識してください。これだけで文章の骨組みがしっかりして、グッと読みやすくなります。
- 長い主語の後には打つ 文章の主人公である「誰が」「何が」を明確にするために打ちます。主語が短い場合は打たなくても大丈夫ですが、迷ったら打つのが無難です。
- 例: 私の会社で一番お世話になった先輩は、来月退職することになった。(「先輩は」の後)
- 接続詞・接続助詞の後には打つ 文と文をつなぐ言葉の後です。「しかし」「また」「さらに」「〜ですが」「〜ので」などの後ですね。ここに打つことで、話の展開が変わることを読者に知らせることができます。
- 例: 雨が降る予報だった。しかし、実際には晴天になった。(「しかし」の後)
- 例: 電車が遅れたので、会議に間に合わなかった。(「遅れたので」の後)
このルールは、文章の「骨格」を見えやすくするためのものです。主語の後にテンがあることで、「ああ、このことについて話すんだな」と読者は準備ができますし、接続詞の後にテンがあることで、「次は逆の話が来るぞ」と身構えることができます。
まずはこの2点を徹底するだけでも、文章にメリハリが生まれ、誤読されるリスクを大幅に減らすことができますよ。
漢字やひらがなが続く場所で区切る視覚的効果
文章は「読む」ものであると同時に「見る」ものでもあります。パッと見た瞬間に「うわっ、読みづらそう」と思われないためには、視覚的なバランスも大切です。
ここで役立つのが、「文字の種類が変わるところで区切る」というテクニックです。
- 漢字が連続する場合: 漢字ばかりが続くと、中国語のように見えてしまい、どこで意味が切れるのか瞬時に判断できません。
- 悪い例: 専門用語解説資料作成担当者
- 良い例: 専門用語解説資料の、作成担当者(あるいは助詞を入れてほぐす)
- ひらがなが連続する場合: ひらがなばかりが続くと、単語の区切りが分からなくなります。有名な「ここではきものをぬぐ(ここで履き物を脱ぐ/ここでは着物を脱ぐ)」のような誤解を生む原因になります。
- 悪い例: きのうはあめがふりそうだったからかさを
- 良い例: きのうは、あめがふりそうだったから、かさを
このように、テンには「文字の並びを見やすく調整する機能」があります。「漢字が3文字以上続いたら要注意」「ひらがなが続きすぎて意味が取りにくいときはテンを入れる」といったマイルールを持っておくと、迷わずに打てるようになりますよ。
ただし、やりすぎは禁物です。あくまで「読みやすくするため」の補助ツールだということを忘れないでくださいね。
一文を短くすれば句読点の悩みは自然に消える
句読点の使い方で悩んでいる人に、私が一番おすすめしたい究極の解決策。それは、「一文を短くすること」です。
実は、句読点が必要になるのは、一文が長いからです。文章が長くなればなるほど、主語と述語が離れ、修飾語が増え、意味の切れ目が分かりにくくなります。その結果、テンを使って交通整理をする必要が出てくるのです。
逆に言えば、一文を短くしてしまえば、テンを打つ必要自体がほとんどなくなります。
- 長い文: 「私は昨日、久しぶりに実家に帰ったのですが、そこで母の手料理を食べて、やっぱり実家のご飯は美味しいなと感じて、とてもリラックスできました。」(テンが多い)
- 短い文に分けた例: 「私は昨日、久しぶりに実家に帰りました。そこで母の手料理を食べましたが、やっぱり実家のご飯は美味しいですね。とてもリラックスできました。」
いかがでしょうか。下の例では、テンを使わなくてもスムーズに読めますし、内容も頭に入ってきやすいですよね。
目安としては、一文の長さは40文字〜60文字程度、内容は**「一文一義(一つの文に一つの情報)」**を意識すること。これを心がけるだけで、「どこにテンを打とうかな」と悩む時間は驚くほど減ります。句読点のテクニックを磨く前に、まずは「マルで切る」意識を持ってみてください。
例文で実践!「変な文章」を「伝わる文章」に直すビフォーアフター
理屈は分かっても、実際に自分の文章を直すとなると難しく感じるかもしれません。「習うより慣れろ」という言葉があるように、具体的な「悪い例」と「良い例」を見比べるのが上達への一番の近道です。
ここでは、よくある失敗パターンを3つピックアップして、どのように修正すれば読みやすくなるかを解説します。まるでパズルを解くような感覚で、一緒に修正していきましょう。
句読点が多すぎてリズムが悪い例文の修正
まずは、丁寧であろうとしてテンを打ちすぎてしまったパターンの修正です。これは「おじさん構文」や、緊張している新入社員のメールによく見られます。
【悪い例】
本日は、お忙しい中、お時間を、いただきまして、誠に、ありがとうございました。今後の、スケジュールにつきましては、後ほど、メールにて、ご連絡を、させていただきます。
読んでみてどうですか? カクカクして息苦しいですよね。意味の塊(かたまり)が細切れになっているため、内容が頭に入ってきづらくなっています。
【修正のポイント】 意味のまとまりごとにテンを整理します。「本日は」「お忙しい中」などはセットにしてしまいます。
【良い例】
本日はお忙しい中お時間をいただきまして、誠にありがとうございました。 今後のスケジュールにつきましては、後ほどメールにてご連絡させていただきます。
スッキリしましたね! テンは「息継ぎ」ではなく「意味の区切り」で打つ。これだけで、一気にプロっぽい文章になりますよ。
句読点が少なすぎて誤読を招く例文の修正
次は逆に、テンが少なすぎて意味を取り違えてしまう危険なパターンです。特に修飾語(詳しく説明する言葉)がどこにかかるかが曖昧な場合に起こります。
【悪い例】
彼は怒りながら走ってくる友人を見た。
これには2通りの解釈ができます。 A. 「彼」が怒っている状態で、走ってくる友人を見たのか。 B. 走ってくる「友人」が怒っているのか。 どちらとも取れてしまいますよね。
【修正のポイント】 テンの位置で、誰が怒っているのかを明確にします。
【良い例A:彼が怒っている場合】
彼は怒りながら、走ってくる友人を見た。 (「彼は怒りながら」という動作がここでひと段落し、「見る」という動作につながります)
【良い例B:友人が怒っている場合】
彼は、怒りながら走ってくる友人を見た。 (「彼は」の後にテンを打つことで、「怒りながら走ってくる」のは「友人」であることを示します)
たった一つのテンですが、その位置次第でストーリーが全く変わってしまうことが分かりますね。誤解を避けるためのテンは、省略してはいけません。
接続詞や修飾語の位置を整えてスッキリさせる
最後は、一文が長く、情報が詰め込まれすぎているパターンです。作文やレポートでやりがちなミスです。
【悪い例】
私は、先日読んだ本に感銘を受けたので、作者について調べてみたところ、意外な経歴を持っていることが分かり、驚いたのですが、その経歴が作品にも影響していると思いました。
話があっちこっちへ飛んでいて、最後まで読まないと結論が分かりません。「〜ので」「〜ところ」「〜が」と、接続助詞でダラダラとつなぐのは悪文の典型です。
【修正のポイント】 思い切って文章を「マル」で切ります。そして、接続詞を使って論理をつなぎ直します。
【良い例】
私は、先日読んだ本に感銘を受けました。そこで作者について調べてみたところ、意外な経歴を持っていることが分かり、驚きました。その特殊な経歴こそが、作品の世界観に深く影響しているのだと思います。
いかがでしょうか。3つの文に分けることで、「感銘を受けた」「調べて驚いた」「作品への影響を考察した」という3つのステップが明確になりました。読者も書き手の思考プロセスを追いやすくなります。
もう迷わない!文章作成をサポートする便利なツールと練習法
ここまで読んできて、「理屈は分かったけど、毎回自分でチェックするのは大変そうだな…」と感じた方もいるかもしれません。安心してください。今はテクノロジーの力で、誰でも簡単に文章の質を高められる時代です。
最後に、あなたの文章作成を強力にサポートしてくれるツールと、今日からできる簡単な練習法をご紹介します。これらを活用すれば、句読点の悩みから解放される日も近いですよ。
音読チェックで違和感を即座に見つける習慣
最も原始的ですが、最も効果絶大なのが「音読」です。 書き終わった文章を、実際に声に出して読んでみてください(周りに人がいる場合は、口パクや小さな声でもOKです)。
黙読(目で読むだけ)では脳が勝手に補正してしまい、不自然なリズムに気づけないことがよくあります。しかし、声に出すとごまかしが効きません。
- 詰まってしまう場所: テンが足りない、または漢字が続きすぎている可能性があります。
- 息苦しくなる場所: 一文が長すぎます。マルで切りましょう。
- 変な間が空く場所: 不要なテンが打たれている可能性があります。
「自分の声」という客観的なセンサーを使うことで、AIツールでも見逃してしまうような微妙なニュアンスのズレを修正することができます。プロのライターも必ずやっている、基本にして奥義とも言えるテクニックです。
Microsoft Wordや校正ツールの機能を活用する
仕事で文章を書くなら、デジタルツールの力を借りない手はありません。
身近なところでは、Microsoft Wordの「文章校正機能」が優秀です。 Wordで文章を書いていると、青い波線や赤い波線が出てくることがありますよね。あれは「文法の間違い」や「読みにくい表現」を指摘してくれているサインです。
- 「一文が長すぎます」
- 「読点の打ち方が不自然です(多すぎる/少なすぎる)」
- 「ら抜き言葉の可能性があります」
これらを自動でチェックしてくれます。設定でチェックの厳しさを調整することも可能です。
また、Webブラウザ上で使える無料の「日本語校正ツール」もたくさんあります(例:Enno、日本語校正サポートなど)。これらにテキストをコピペするだけで、「変換ミス」や「不適切な表現」を瞬時にリストアップしてくれます。
ツールはあくまで補助ですが、「自分では気づかないミス」を拾ってくれる頼もしい相棒です。送信ボタンを押す前の「最後の砦」として活用しましょう。
上手な人の文章を書き写してリズムを体得する
もしあなたが、「感覚的に正しいリズムを身につけたい」と本気で思っているなら、「写経(しゃきょう)」がおすすめです。
写経といってもお経を書くわけではありません。「自分が読みやすいな、好きだなと思う文章」を、一言一句そのまま書き写す(タイピングする)トレーニングです。
- 好きな作家のエッセイ
- 分かりやすいニュース記事
- 憧れの上司のメール
これらを真似して書くことで、「どこにテンを打っているのか」「どのくらいの長さでマルを打っているのか」というプロのリズムが、指先と脳に染み込んでいきます。
スポーツや楽器と同じで、文章も「型」を体に覚えさせるのが上達への近道です。1日5分、数行で構いません。「この人のリズム、心地いいな」と感じる文章を見つけて、真似してみてください。気づけばあなた自身の文章も、洗練されたリズムを刻んでいるはずですよ。
まとめ
句読点は、たった一つの小さな記号ですが、文章の印象をガラリと変えてしまう大きな力を持っています。「使い方がおかしい」と言われるのは、あなたの性格や能力の問題ではなく、単に「読み手視点」のルールを少し知らなかっただけ、あるいは迷いすぎていただけなのです。
今回ご紹介したポイントを振り返ってみましょう。
- 迷ったら打たない勇気を: 息継ぎ感覚で打たず、意味の切れ目を意識する。
- 基本ルールを守る: 主語の後、接続詞の後、漢字・ひらがなが続く場所に打つ。
- 一文を短くする: これが最強の解決策。長くなりそうならマルで切る。
- 音読でチェックする: 声に出して違和感があれば、そこが修正ポイント。
文章を書くことは、相手へのプレゼント選びに似ています。「どうすれば相手が受け取りやすいか(読みやすいか)」を考える、その思いやりさえあれば、あなたの文章は必ず相手の心に届きます。
まずは今日送るメールやチャットから、「一文を短くする」ことだけでも意識してみてください。きっと、「あれ、なんだか今日の文章、分かりやすいね!」と返信が来るはずですよ。小さな「、」と「。」を味方につけて、自信を持って言葉を紡いでいってくださいね。




























