社内で他部署の人とやり取りをしていて、「この言葉づかい、合っているのかな?」と不安になったことはありませんか?
「他部署」「自部署」という表現は日常的に使われますが、文面によっては少し距離を感じさせたり、堅苦しく響いたりすることもあります。特にメールや報告書では、言葉一つで相手の印象が変わりますよね。
この記事では、「他部署」「自部署」の正しい使い方から、言い換え表現、敬称のマナー、他部署との連携を円滑にするための言葉の選び方までをわかりやすく解説します。読むことで、社内コミュニケーションの質を上げ、相手に信頼される“言葉づかい力”を身につけられますよ。
他部署の正しい意味と読み方を押さえる
まずは、「他部署」という言葉の意味と正しい読み方を確認しましょう。似た言葉の「他部所」や「他部門」との違いも、実務上は混同されやすい部分です。
「他部署」とはどんな意味か
「他部署(たぶしょ)」とは、自分が所属していない別の部署を指す言葉です。
営業部の人が経理部や総務部とやり取りする場合、それらは営業部から見て「他部署」となります。反対に、自分が属している部署は「自部署(じぶしょ)」です。
このように「他部署」は、自分の所属と相手の所属を区別して話すときに使う便利な表現です。社内業務やメール文、議事録、稟議書などでよく登場します。
「他部署」と「他部所」の違い
どちらも「ほかの部署」という意味を持ちますが、現代ビジネスでは「部署」の方が一般的です。
「部所」はかつて公的機関や官公庁で多く使われていた表記で、硬い印象があります。民間企業のメールや社内文書では「他部署」を選ぶのが自然です。
なお、読み方はいずれも「たぶしょ」が正解。「たぶしょ」とは読みません。意外と読み間違いが多い言葉なので、口頭で使う際も注意が必要です。
他部署の言い方・言い換えを使い分けるコツ
同じ「他部署」でも、シーンや相手との関係によって、柔らかく言い換える方が印象が良くなることがあります。ここでは、代表的な言い換えと使い分けのコツを紹介します。
状況に応じた「他部署」の言い換え例
- 別の部署
もっともシンプルで柔らかい言い方。社内チャットや会話でも自然に使えます。
例:「別の部署にも確認しておきますね。」 - 他部門
複数部署をまとめて指すときに便利。規模の大きい会社でよく使われます。
例:「他部門との調整が必要な案件です。」 - 関係部署
共通のプロジェクトや業務に関係する部署を示すときに適しています。
例:「関係部署との情報共有を徹底します。」 - 社内他部門/他組織
社外との混同を避けたいときや、全社的な連携を示すときに使われます。
例:「社内他部門と連携して対応いたします。」
このように、業務内容や相手との関係性に応じて使い分けることで、文章全体が洗練された印象になります。
「他部署」の使い方を間違えるとどうなるか
たとえば「他部署の担当者」とだけ書くと、少し事務的で距離を感じさせます。相手に配慮を見せたいときは「他部署のご担当者」や「他部署の○○さん」と書くと柔らかくなります。
また、同じ文章内で何度も「他部署」を繰り返すと堅苦しく感じられるため、「別部署」「関係部署」などを交互に使うのも効果的です。
他部署との連携をスムーズにする表現とコミュニケーション術
「他部署との連携」という言葉はよく聞きますが、実際にはその“連携”がうまくいかず、業務が滞ることも少なくありません。ここでは、言葉の使い方と合わせて、他部署と良好な関係を築く実践的な方法を紹介します。
「他部署との連携」の言い換えと使いどころ
「連携」という言葉には協力・協働のニュアンスがありますが、ビジネス文書では状況によって次のように表現を変えるとわかりやすくなります。
- 部署間の協働:チームとして動くプロジェクトに最適。
- 関係部署との情報共有:具体的なやり取りや進捗共有を強調したいとき。
- 部署横断的な取り組み:複数部署で一体となって進めるケースに。
- 社内連携体制の強化:組織全体で取り組む構造的な改善を表す場合。
例えば報告書で「他部署との連携を強化します」と書くよりも、「関係部署との情報共有体制を整えます」とした方が、より具体性と信頼性が増します。
他部署との関係がギクシャクする原因と対処法
部署間の連携がうまくいかない原因の多くは、言葉や認識のすれ違いにあります。以下のような状況を思い当たる方も多いのではないでしょうか。
- 「あの部署は返事が遅い」
- 「お願いしてもなかなか動いてくれない」
- 「報告が共有されていない」
これらは単なるコミュニケーション不足ではなく、目的や優先順位の認識がずれているケースがほとんどです。
改善のポイント
- 目的を共有する
「なぜ必要なのか」を明確に伝えることで、相手の行動意欲が変わります。 - 情報を見える化する
チャットやタスク管理ツールで進捗を共有し、齟齬を防ぎます。 - 相手部署の立場を理解する
自部署中心の依頼文は誤解を生みます。「お手数ですが」「お忙しい中恐縮ですが」など、相手を尊重する一言を加えましょう。
連携をスムーズにするコツは、「お願い」ではなく「協力して進めたい」という姿勢を伝えること。
言葉づかいが変わるだけで、関係性もぐっと柔らかくなります。
他部署への敬称・呼び方マナーを理解する
「他部署の人をどう呼ぶか?」は、意外と多くのビジネスパーソンが迷うポイントです。社内では「さん付け」で良いのか、「様」なのか――ここを間違えると、失礼な印象を与えることもあります。
他部署の人には「さん」付けが基本
社内の他部署の人を呼ぶときは、「さん」付けが基本です。
例:
- 「営業部の田中さん」
- 「経理部の佐藤さん」
- 「総務の山口さん」
社内メールでは、冒頭に「○○部の△△さん」と書き、本文では「△△さん」と呼びかけるのが自然です。
社内では同じ組織の一員であるため、「様」を使うと距離が生まれすぎてしまいます。
ただし、上司に他部署の人を紹介するときなど、文中の敬意を明確にしたい場合は「○○部の△△様」とすることもあります。状況に応じて柔軟に使い分けましょう。
「自部署」「他部署」の書き方・文例
ビジネス文書で「自部署」と「他部署」を併用する際は、対比が明確になるように書きます。
例文:
- 「自部署で確認のうえ、他部署に共有いたします。」
- 「自部署での判断が難しい場合は、他部署と協議のうえ対応します。」
「自部署」ばかりを主語にすると、主観的・一方的な印象になるので注意。
他部署との関係を対等に描くようにすると、協働意識が伝わりやすくなります。
他部署とのコミュニケーションを円滑にする方法
言葉づかいに気を配るだけでなく、コミュニケーションの“流れ”を整えることも大切です。部署が違えば文化や優先順位も異なります。だからこそ、相互理解を深める仕組みづくりが求められます。
日常のやり取りをスムーズにする3つのコツ
- 報連相(報告・連絡・相談)をタイムリーに行う
「後で伝えよう」と思っているうちに情報が古くなり、誤解を招きます。即時性が大切です。 - 相手部署のゴールを理解する
自分たちの目的だけでなく、相手部署が何を重視しているかを把握することで、協力しやすくなります。 - “感謝”を言葉にする
「お手数をおかけします」「助かりました」といった一言が信頼関係を築きます。
社内コミュニケーションの基本は「相手の業務を理解しようとする姿勢」です。単に用件を伝えるだけではなく、「なぜお願いするのか」「どんな成果につながるのか」を共有することで、他部署との関係はぐっと良くなります。
他部署とのメール・会議・報告書での正しい言葉選び
言葉づかいのポイントを理解したら、次は実際のビジネスシーンでの応用です。
メールや会議、報告書などでの「他部署」関連の表現を具体的に見ていきましょう。
メールでの例文
- 「お忙しいところ恐縮ですが、経理部の山田さんにご確認をお願いいたします。」
- 「本件は他部署のご協力を仰ぎながら進めてまいります。」
- 「関係部署との調整が完了次第、再度ご報告いたします。」
ポイントは、「お願い」や「確認」などの動作を丁寧に伝えること。
「ご確認をお願いいたします」「ご対応のほどよろしくお願いいたします」など、敬語の重ね使いは自然な印象を与えます。
会議での発言例
- 「他部署の視点も踏まえて判断できればと思います。」
- 「他部門の方々からのご意見も共有いただけますか?」
- 「この件は部署横断的なプロジェクトとして整理したいです。」
部署を超えて話す場では、相手の立場を尊重した言い方を意識することが大切です。
「我々の部署では〜」よりも「社内全体として〜」と発言するだけで、印象がぐっと良くなります。
言葉づかいひとつで変わる信頼関係と仕事の成果
同じ内容を伝えても、表現によって相手の受け取り方は変わります。
たとえば「他部署に依頼してください」と言うよりも、「他部署の方にご協力をお願いできますか?」と伝えた方が、柔らかく誠意が伝わります。
職場の雰囲気を良くするのは、こうした小さな言葉の積み重ねです。
人と人とのつながりを円滑にするためにも、「正確さ」より「丁寧さ」を優先する場面があることを覚えておきましょう。
まとめ|他部署との関係を良くするのは言葉づかいの積み重ね
「他部署」や「自部署」といった言葉は、社内コミュニケーションの中で当たり前に使われています。
しかし、その表現を少し工夫するだけで、相手に与える印象や信頼感は大きく変わります。
- 「他部署」と「他部所」の違いを理解する
- 状況に応じて「関係部署」「別の部署」などに言い換える
- 敬称は「さん」付けを基本にし、状況で「様」を使い分ける
- 他部署との連携では目的共有と感謝の言葉を忘れない
部署を超えた信頼関係は、日々の言葉づかいから生まれます。
「言葉で丁寧に橋をかける」ことが、結果的に業務効率を上げ、より良い職場づくりにつながるのです。




























