法人税がどれくらいかざっくり計算する方法!利益別・シミュレーションと節税の考え方

「法人税って、利益に対してどれくらいかかるの?ざっくりでいいから知りたい…」
そんな疑問を抱えたまま、税理士に相談するのも気が引ける。そんな中小企業経営者や個人事業主の方に向けて、この記事では法人税の基本構造から、利益に応じた簡易シミュレーション、さらには節税の考え方までをわかりやすく解説します。数字が苦手な方でも、スッと理解できる内容にしていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。


目次

法人税の全体像をまず把握しよう

法人税というのは、企業が得た利益(所得)に対して課される税金です。税金といっても、法人税一本ではなく、いくつかの税金の“セット”で構成されています。

法人税に含まれる主な税金

  • 法人税(国税):企業の所得に対して国に支払う税金
  • 地方法人税:法人税に連動する国税。法人税額に一定率を乗じて計算されます
  • 法人住民税(都道府県・市区町村):所得に応じて課される地方税。法人税割と均等割があります
  • 法人事業税(都道府県):利益に応じて課される地方税の一種

つまり「法人税=法人にかかる全ての税金」と考えると、実際にはこれらを合算して計算する必要があります。


法人税は利益の何パーセントかかる?

税率は企業の規模(資本金)や利益額によって異なりますが、ざっくりとした目安として以下の通りです。

区分税引前の利益法人税等の目安(概算)実効税率の目安
小規模企業(資本金1億円以下)〜800万円約22%前後約22%
中規模〜大企業800万円超約30〜34%前後約30%

上記のとおり、「利益に対して法人税はいくらか?」と聞かれたときには、「ざっくり30%程度」と答えるのが一般的です。

※出典:国税庁「法人税の概要」、総務省「地方法人税の制度概要」


利益別に見る法人税のざっくり試算シミュレーション

では、実際に利益が100万円〜4000万円の場合、それぞれの法人税負担がどの程度になるのか、簡易的にシミュレーションしてみましょう。ここでは、資本金1億円以下の中小企業を前提とし、法人税率を以下のように仮定します。

  • 利益800万円以下:22%
  • 利益800万円超:30%

利益100万円の場合

  • 想定税率:22%
  • 法人税合計:約22万円

利益300万円の場合

  • 想定税率:22%
  • 法人税合計:約66万円

利益1000万円の場合

  • 800万円×22%=176万円
  • 残り200万円×30%=60万円
  • 合計:236万円(実効税率約23.6%)

利益4000万円の場合

  • 800万円×22%=176万円
  • 残り3,200万円×30%=960万円
  • 合計:1,136万円(実効税率約28.4%)

このように、利益が増えるごとに段階的に実効税率が上がっていくのが法人税の特徴です。


法人税の計算方法|ざっくりステップで理解する

法人税の基本的な計算の流れを簡単に説明します。

収益と費用から利益(所得)を算出

売上 − 費用(仕入・人件費・広告費など)=所得(課税所得)

所得に税率をかけて法人税を計算

所得 × 法人税率 = 法人税

法人住民税や法人事業税を加算

  • 法人住民税は「法人税の〇%(例:12.9%)」+均等割(最低7万円〜)
  • 法人事業税は所得に対して3〜5%程度

地方法人税を追加

  • 地方法人税は、法人税の10.3%が基本

地方法人税の計算もざっくり把握しよう

地方法人税は法人税の付属的な位置づけで、法人税額に10.3%をかけて求められます。

たとえば、法人税が100万円であれば、地方法人税は約10.3万円です。

※詳細は総務省「地方法人税制度の概要」にて公開されています。


中小企業向けのシミュレーションツールも活用しよう

中小企業庁や会計ソフト会社では、無料で使える法人税の試算ツールを提供しています。

代表的なツール例

  • マネーフォワード「法人税試算シミュレーター」
  • 弥生会計「法人税かんたん試算」
  • 税理士ドットコム「簡易法人税計算ツール」

実際の税額は控除・特別措置・繰越欠損金なども影響するため、あくまで参考程度に。


節税の考え方|正攻法で無理なく経費を見直す

法人税の節税を考える上で重要なのは「利益を減らすこと」=「経費を増やす」ですが、脱税にならないように正攻法で行うことが大切です。

よくある節税アイデア

  1. 必要な設備投資を年度内に前倒し
  2. 福利厚生費(社員旅行・書籍購入など)を活用
  3. 倒産防止共済や小規模企業共済への加入
  4. 役員報酬の最適化と分散

個人事業主と法人の違い|100万・300万レベルでも影響あり?

たとえば、利益が100万〜300万円程度の規模であっても、個人事業主と法人では大きな違いがあります。

観点個人事業主法人
税率累進課税(5〜45%)一律22〜30%
節税の幅限定的多様な方法あり
経費の自由度低め比較的高め
社会的信用低め高め(融資・取引面)

このように、「法人化することで税率を抑えられるケース」は決して少なくありません。


法人税はざっくり30%?実効税率を理解しよう

よく「法人税は利益の30%くらいかかる」と言われますが、これは地方法人税・住民税・事業税を含めた“実効税率”の話です。

実際にかかる税金の合計を見れば、利益の27〜34%程度が相場になることが多いため、「ざっくり30%」という表現はあながち間違っていません。


まとめ:法人税は利益の何%?計算の仕方を理解して意思決定に活かそう

法人税の計算は一見複雑に見えますが、利益の規模別にざっくりと把握しておくだけでも、事業計画や資金繰りに大きなメリットがあります。特に中小企業経営者の方は、シミュレーションツールや税理士のアドバイスを活用しつつ、「利益が出る=税金も増える」前提での戦略設計が重要です。

収支予測 × 税負担 × 節税策の三位一体で、無理のない財務戦略を築いていきましょう。

資料ダウンロード

弊社のサービスについて詳しく知りたい方はこちらより
サービスご紹介資料をダウンロードしてください