農業といえば、畑での作業や市場への出荷が中心というイメージが根強く残っていますが、いまやSNSを活用してブランディングする農家が急増中です。自分たちの作物の魅力や育てる過程を発信し、ファンを獲得して販売につなげる流れは、個人農家にとって大きな追い風となっています。本記事では、SNS初心者の農家がゼロから始めてファンを増やすためのブランディング戦略と、実際に成果を上げている成功事例をご紹介します。
なぜいま農家にSNSが必要なのか
JAに頼らない販売モデルが注目されている背景
従来はJAを通じて出荷し、安定した販路を確保することが一般的でしたが、手取りの低さや価格決定権のなさから、個人での直販を目指す農家が増えています。SNSはその第一歩として非常に有効で、発信を通じて“ファン”を獲得し、販売につなげることが可能です。
農家SNS活用のメリットとは
- 自分のブランディングができる
- 作物に付加価値をつけられる
- 顧客と直接つながれる
- リアルな日常が信頼と安心感につながる
初めての農家でもできる!SNSアカウントの作り方
どのSNSを使えばいい?
- Instagram:写真や動画が中心。ビジュアルで作物や農作業の魅力を伝えやすい。
- X(旧Twitter):日常のつぶやきやリアルタイム性の高い情報が得意。
- YouTube:作業風景やストーリーを長尺で伝えるなら最適。
- LINE公式アカウント:リピーターとの関係維持や販売告知に有効。
SNSアカウントの立ち上げ手順
- アカウント名は農園名+地域などで検索されやすく
- プロフィールには想いや育てている作物、購入方法も明記
- 過去の投稿がゼロだと信頼されないので、最低3投稿してから本格運用開始
どうやってファンを増やす?農業ブランディングのコツ
毎日更新しなくてもOK!継続がカギ
毎日の投稿が難しい方でも、週1〜2回の発信をルーティン化するだけでOK。質の高い投稿をコツコツ積み重ねることが信頼構築につながります。
見せるべきは「結果」より「過程」
収穫物だけではなく、苗の成長や失敗談、虫の駆除など日常のリアルな作業こそファンに刺さります。プロセスの公開が信頼と共感を生みます。
顔を出す?出さない?
顔出しは安心感を与えやすく、ブランドの信頼性を高めます。ただし、顔出しに抵抗がある場合は「手元の作業」「後ろ姿」「風景+声」などでも問題ありません。
ハッシュタグや位置情報の活用
「#農家の日常」「#野菜販売」「#農業インスタ」などのタグを活用し、地域名+作物名なども組み合わせると発見されやすくなります。
SNSを使った野菜販売の始め方
SNS→LINE→販売の導線をつくる
SNSで興味をもってもらい、LINEや自社サイトでフォローしてもらう流れをつくると購入率が上がります。
オンライン販売の選択肢
- 自社EC(BASE、STORESなど)
- 産直アプリ(ポケットマルシェ、食べチョク)
- 定期購入モデル(サブスク形式)
発送トラブル対策も明記
収穫時期・発送目安・クール便の有無・不在時対応などをSNSでもしっかり案内しておくことで、トラブル予防と顧客満足に直結します。
SNSで成功した農家インスタグラマーの事例
事例1:素朴な日常でファンを掴んだ若手農家
関東の20代夫婦農家は、種まき〜収穫〜発送準備をVlog形式で発信。1年でフォロワー8,000人を超え、リピーターの定期購入が売上の60%以上に。
事例2:加工品とセットでブランディング成功
中部地方のトマト農家は、収穫品+トマトジャムをセットにして販促。SNS投稿にレシピ動画を組み合わせたことで、セット販売が大ヒット。
事例3:ふるさと納税×SNSで爆売れ
九州の米農家では、SNSでの発信をきっかけにふるさと納税で注目され、掲載初年度から年間寄付額が1,000万円を突破。
よくある質問と不安への回答
SNSは時間がかかるのでは?
たしかに初期は慣れるまで時間がかかりますが、スマホ一台で5〜10分あれば投稿は可能。長文ではなく写真+一言コメントでもOKです。
炎上や悪評が不安…
誤解を招かないよう、情報の正確性や丁寧な言葉づかいを意識することでリスクは最小限に抑えられます。応援してくれるフォロワーが多ければ防波堤にもなります。
続かないかもしれない…
義務感でやると苦しくなります。楽しみながら、あくまで“誰かの役に立つ”発信を意識すると、継続しやすくなります。
まとめ|SNSは農業のブランディングを変える武器になる
JAを通さずに売るという選択肢は、今や珍しくありません。SNSは「誰が、どんな想いで育てているか」を伝える最高のツールです。農家自身がメディアとなり、価値を自ら発信する時代。
無理に“映える”必要はなく、リアルな日常を見せることが最大のブランディングになります。最初は小さな一歩でも、SNSが農業の未来を変えるきっかけになるはずです。