突然かかってくる営業電話。忙しいときや心の余裕がないときほど、つい「結構です」とだけ言って切ってしまいがちです。でも、それでは相手に不快感を与えてしまうこともあるし、同じ業者から再び電話が来る原因にもなります。ビジネスシーンでは特に、相手の顔が見えない電話対応であっても“断り方”ひとつで印象は大きく変わります。この記事では、営業電話を上手に、かつ丁寧に断るためのコツや具体的な例文を、ケース別にわかりやすく解説していきます。担当者不在や社長宛てのパターン、新人が対応する場合など、リアルなシーンを想定して、すぐに使える断り方を紹介します。
なぜ営業電話は丁寧に断るべきなのか
営業電話を断るスキルは、単なる言葉遣いの問題ではなく、相手との関係性を円滑に保ち、自分や会社を守るための大切なビジネスマナーです。無愛想に対応してしまうと、企業の評判に関わるだけでなく、クレームや不快な対応を招いてしまうリスクもあります。また、丁寧に断っておくことで、再度の営業電話を避けることができるという実利的なメリットもあります。
さらに、電話対応は新人や受付担当に任されることが多いですが、明確なルールやテンプレートがないまま感覚で対応している企業も少なくありません。結果的に、相手が話し込んできてしまったり、担当者につなげてしまったりと、時間や業務の無駄につながることもあります。
ここでは、誰が対応しても一定のクオリティで断れるような、実用的かつ再現性の高い「断り方の型」を身につけることが重要です。
営業電話の基本的な断り方のポイント
営業電話に対応する際は、以下の3つのポイントを意識することで、スマートに断ることができます。
- 丁寧な口調を保つ:感情的にならず、常に落ち着いて対応。
- 明確な理由を伝える:「必要ありません」「導入予定がない」など簡潔に。
- 無駄に話を広げない:話し込まれないよう、必要以上のやり取りは避ける。
例えば、以下のような一言を使うだけでも、相手に与える印象は大きく変わります。
「恐れ入りますが、現在そのようなサービスの導入予定はございません。」
このフレーズはシンプルでありながら、断る意志を明確に伝えつつ、丁寧な印象を与えられます。「検討しておきます」といった曖昧な表現は、相手に期待を持たせてしまい、再度の連絡を招く原因になります。
担当者が不在のときの断り方
営業電話では「〇〇担当者はいらっしゃいますか?」という質問から始まることが多いです。このような場合にただ「いません」とだけ答えてしまうと、相手に不信感を与えることがあります。
もっとも無難で角が立たない対応は、担当者の不在を伝えたうえで、今後の営業連絡を遠慮してほしい旨を付け加えることです。
例文:
「恐れ入りますが、担当者はあいにく不在にしております。今後のご連絡はご遠慮いただけますと幸いです。」
「申し訳ありませんが、担当部署では外部からの営業のお電話は受け付けておりません。」
このように、あらかじめ社内で“営業電話には取り次がない”という方針を決めておくと、新人でも迷わず対応しやすくなります。また、相手が再び電話してこないよう、やんわりと今後の連絡を断る文言を添えるのが効果的です。
社長宛ての営業電話の断り方
中小企業では特に、「社長様いらっしゃいますか?」という営業電話が頻繁にかかってきます。これに対して毎回丁寧に取り次いでいては、社長の時間を奪うばかりか、業務全体にも支障が出てしまいます。
そこで有効なのが、**「営業のお電話はすべてお断りしています」という会社方針を伝えること」です。
例文:
「申し訳ありませんが、営業目的でのご連絡はすべてお断りさせていただいております。」
「社長は業務上、お電話での営業対応は控えさせていただいております。」
社長という立場を理由にしすぎると角が立ちやすいため、「会社全体の方針として断っている」と伝えるのがポイントです。トーンはあくまで丁寧に、でも言葉に芯を持たせましょう。
新人でも使いやすい断りフレーズ
電話対応に不慣れな新人社員にとって、営業電話の断り方はハードルが高く感じられます。無理に会話を進めようとせず、「会社として対応していない」という方針を盾に断ることで、落ち着いて対応できます。
例文:
「恐れ入りますが、こちらでは対応できかねますのでご了承くださいませ。」
「申し訳ございませんが、営業関連のお電話は社内で一律にお断りしております。」
また、緊張しやすい方には、定型文を事前にメモしておき、電話の近くに貼っておくことをおすすめします。実際、多くの企業が「電話応対マニュアル」を整備しており、新人にも安心して業務を任せられるようにしています。
個人宛てにかかる営業電話への対応
職場だけでなく、個人宅や携帯電話に営業電話がかかってくることもあります。特に不動産や光回線、投資系の勧誘はしつこいことで知られています。
個人として対応する際には、以下のような毅然とした言い回しを使うと、相手もそれ以上食い下がってきにくくなります。
例文:
「必要な場合はこちらからご連絡しますので、お電話はお控えください。」
「この番号は営業のご案内を受け付けておりません。失礼いたします。」
それでも何度もかかってくる場合は、着信拒否や通話録音、場合によっては消費者センターへの相談なども検討しましょう。記録を取っておくことがトラブル回避につながります。
「結構です」はNG?誤解されやすい表現
つい言ってしまいがちな「結構です」という断り方。実はこの言葉、相手によっては「好意的な意味」に捉えられてしまうことがあります。「それで結構です=了承した」と誤解され、再度の営業電話がかかってくることも。
そのため、しっかりと断る場合は、より明確な表現を心がけましょう。
例文:
「今回はご縁がありませんので、今後のご連絡は控えていただけますようお願いいたします。」
「サービス内容は承知いたしましたが、導入の予定はございません。」
丁寧さと断る意志の明確さを両立した表現が、最も効果的です。相手の営業成績をいたずらに伸ばしてしまわないためにも、「結構です」では終わらせないようにしましょう。
勧誘電話をユーモラスに断る方法
職場では難しいですが、私生活での勧誘電話には、あえて「面白い断り方」をする人もいます。話題性があり、相手がしつこく言い返しづらくなるという利点があります。
面白い断り方の一例:
- 「いま宇宙船のメンテナンス中なので忙しいです」
- 「この電話、実は録音されています」
- 「私はAIなので、人間相手の営業には対応していません」
こうした言い方はユーモアを交えながら、相手との距離を自然に置く効果があります。ただし、相手によっては不快に感じる可能性もあるため、相手の反応を見ながら使い分けるのが大人のマナーです。
まとめ:断る力は信頼されるビジネスパーソンの基本
営業電話をうまく断れるかどうかは、単なるスキルではなく、“自分と会社を守るための防衛術”でもあります。新人でもベテランでも、断るときには誠実かつ毅然と、そして丁寧に対応することが求められます。
角が立たず、かつ今後の連絡を防げる対応を身につければ、余計なストレスやトラブルも減り、業務の効率アップにもつながります。この記事で紹介した例文やコツをぜひ日常業務に取り入れて、今日から“断れるビジネスパーソン”を目指しましょう。