データを“見える化”することは、報告・分析・提案などビジネスのあらゆる場面で求められます。中でもエクセルの折れ線グラフは、時間の経過による変化や傾向を直感的に伝えるために非常に有効です。しかし、2つ以上のデータ系列を並べて比較したいとき、特に「単位が違う場合」にうまく表示できず困った経験はありませんか?この記事では、単位が同じ場合と違う場合それぞれの正しい比較方法や、複数本の折れ線グラフを見やすく整えるコツまで、実務で即使える知識をわかりやすく解説します。
折れ線グラフを2本並べる基本手順
まず、エクセルで折れ線グラフを2本表示する基本的な作成方法をおさえましょう。2本以上の系列を同時に視覚化するには、まずデータの構造が正しく整っている必要があります。
たとえば、以下のように日付と2つの数値列が並んでいる形式が理想です。
日付 売上 利益
1/1 100 30
1/2 120 40
1/3 90 25
この表を選択したうえで、[挿入] → [折れ線グラフ]を選ぶと、エクセルが自動的に2本の系列を1つのグラフに表示してくれます。ここまでが「単位が同じ場合」の基本的な作り方です。
単位が同じデータの比較グラフのポイント
売上と利益のように単位が揃っている場合、グラフはそのままでも比較的見やすくなります。ただし、以下の工夫を加えることで、より分かりやすい視覚表現になります。
- 色分けを明確にする
- 凡例(ラベル)を表示させる
- 線の太さを調整する
これにより、読み手が「どちらがどの線か」を直感的に理解でき、グラフの情報伝達力が高まります。
単位が違うデータを2本並べて表示する方法
「売上(万円)」と「販売数(個)」のように単位が異なる2系列を並べて比較する場合は、第2軸を活用します。以下がその手順です。
- 折れ線グラフを通常通り挿入する
- 任意の系列(たとえば販売数)を右クリックして「系列グラフの種類の変更」を選ぶ
- 「第2軸に表示する」にチェックを入れる
これで、左右に異なる目盛を持つ2軸グラフになります。ビジネスの現場では、KPIや業績データなど異なる単位を並列で見る必要があるため、このスキルは非常に役立ちます。
見やすい折れ線グラフに整えるための工夫
2本以上の折れ線グラフを見やすく表示するには、以下のような調整が効果的です。
- 目盛線を控えめにする
- 背景を白にして余計な要素を排除する
- 凡例の位置を変更してスペースを有効活用
- 不要なタイトルやラベルを削除
とくに第2軸を使用するグラフでは、軸のスケールを調整して、線の傾きが不自然にならないように気をつけましょう。
折れ線グラフが1本しか表示されないときの原因と対策
データを2列選択したのに、なぜか折れ線グラフが1本しか表示されない…というトラブルもよくあります。
この場合、考えられる主な原因は以下の通りです。
- データの範囲が正しく選択されていない
- 行/列の方向が誤っている
- 空白セルや非数値セルが混在している
グラフ上で右クリック → [データの選択] → 「行/列の切り替え」などで調整すれば、解決できることが多いです。
3本以上の折れ線グラフを作るときの注意点
データが増えて3本以上の系列を折れ線で表示することもありますが、注意すべきは「視認性の限界」です。
折れ線が交差したり、色が似ていたりすると読みづらくなるため、以下のような対応が求められます。
- 色はコントラストの高いものを使う
- 補助線を極力減らす
- 不要な系列は非表示にする
- インタラクティブ機能(フィルター)を使って選択表示にする
グラフに表示する系列数は、一般的に2〜3本程度が視認性・分析性のバランスが取れた構成とされています。
折れ線グラフを複数比較したいときの構成テクニック
複数の折れ線グラフを比較したい場合、1つのグラフに詰め込みすぎるのではなく、「グラフを横に並べる」「スライサーを使って切り替え可能にする」といった工夫が有効です。
また、KPIの種別や指標の違いがある場合は、比較対象ごとにグラフの単位やレイアウトを統一することで、読み手の理解を助けることができます。
折れ線グラフの作り方と業務活用のヒント
折れ線グラフは[挿入] → [グラフ] → [折れ線グラフ]から簡単に作成できますが、業務で使うには次のポイントを押さえておくと安心です。
- データの範囲にブレがないように整える
- 時系列が正しく並んでいるか確認
- 系列ごとの意味や単位を明記する
報告書や社内プレゼン資料に使う場合、デザインよりも“読みやすさ”が重視されます。数字の比較意図が一目で伝わるようなラベリングや強調処理ができれば、資料全体の信頼感も向上します。
まとめ|正しい折れ線グラフの表示で伝わるデータに変える
エクセルで折れ線グラフを2本並べて表示する方法は、一見シンプルでも「単位が同じか違うか」で対応が分かれます。特に第2軸の活用や色分け、ラベル設定などの工夫を加えることで、比較したい情報がぐっと伝わりやすくなります。複数系列を扱う場合でも、視認性を保つ工夫を怠らなければ、グラフが業務の意思決定を支える有力なツールになります。