「農協に出しても思ったより儲からない…」そんな悩みを抱える農家は少なくありません。
JA(農業協同組合)は、農業経営を支える重要な存在ですが、一方で手数料や流通構造の問題により、利益が圧迫されるケースも多々あります。
本記事では、農家がJAに頼らずに「自力で稼ぐ」ための方法にフォーカス。直販やネット販売を活用して収益を最大化する具体的な戦略と、実際の成功事例を紹介します。
新しい時代の“稼げる農業”のヒントが詰まった内容です。
JAに頼らない農業経営とは?
農協を通すことの限界
JAを通して出荷する場合、安定した販路や代金回収の保証はあるものの、その代償として販売手数料(10〜30%)や規格の厳格さ、価格の自由度のなさが課題になります。
農産物の価値を「安定供給できる規格品」としてしか扱われないため、「こだわり」や「付加価値」を伝えにくい構造です。

直販・ネット販売が注目される背景
自由な価格設定とブランディングが可能
直販を行う最大のメリットは、「価格を自分で決められること」。
さらに、自分の顔や農法へのこだわり、ストーリー性などを伝えることでファンを作り、リピートや口コミによる集客も狙えます。
SNS・ECの普及で農家の発信力が増した
InstagramやYouTube、BASEやSTORESといったECツールの台頭により、農家でも手軽に情報発信と販売ができる時代になりました。
スマホ一つで全国の消費者とつながることが可能です。
農家が直販で稼ぐための3つの方法
1. 直売所・マルシェでの対面販売
地元の直売所や都市部のマルシェは、手軽に始められる直販チャネル。特に「新鮮さ」や「生産者の顔が見える」ことを重視する消費者に人気があります。
成功ポイント
- POPやパッケージで商品の魅力を伝える
- レシピ付きで販売することで購買率アップ
- 名前・SNSアカウントを載せてリピーターを増やす
2. 自社ECサイト・ネットショップでの全国販売
自分のWebサイトやBASE・Shopifyなどで構築したネットショップを通じて全国の消費者に農産物を届けるスタイル。
主なメリット
- ブランド化ができる
- 単価設定が自由
- 顧客データ(リピート傾向や購入頻度など)を蓄積できる
注意点
- 在庫・配送・返品対応のオペレーションを整備する必要あり
- SEOや広告運用の知識が必要になる
3. SNS・クラウドファンディングを活用した集客と先行販売
Instagramで農作業風景や収穫の様子を発信しながらフォロワーを獲得し、フォロワー向けに限定販売や予約販売を実施する手法。
例:CAMPFIREやMakuakeでの先行予約販売
- 収穫前に売上を確保できる
- ストーリー性が評価されやすい
- 「応援購入」でファンとのつながりが強化される
JAに頼らない販売モデルと成功事例まとめ
【成功事例①】Instagram発信でレストランと契約した新潟の若手農家
新潟県の30代男性農家は、収穫の様子や調理シーンをInstagramで発信することでフォロワーが増加。
その後、地元レストラン3店舗と年間契約を結び、JA出荷価格の約1.8倍で販売することに成功。
ポイント
- SNSで価値を「見える化」
- BtoB直販によって安定収入を確保
【成功事例②】規格外野菜の定期便で安定収益|愛知の女性農家
「もったいない野菜定期便」というコンセプトで、規格外の野菜を月額定額制で配送。
SNSで「フードロス×農業」の共感を得たことで、定期会員は半年で200名を突破。
戦略
- 食育・SDGs文脈での発信
- 毎月のサブスクモデルで安定化
【成功事例③】ふるさと納税経由で年間売上1,200万円達成
宮崎県の農家がふるさと納税ポータル(さとふる・ふるなび等)に出品し、オフシーズンでも寄付ベースで売上を確保。
リピーターが増えたことで、ふるさと納税経由で「年商の約40%」を安定的に獲得。
JAと直販、どちらを選ぶべきか?
JAのメリットを整理
- 販路・請求・集荷の仕組みが整っている
- 高齢農家にとって安心感がある
- 共済・融資・保険などサポートが充実
直販・ネット販売のメリット
- 単価・ブランド戦略が自由に立てられる
- 規格外品やストーリーで付加価値がつけられる
- 顧客と直接つながることでLTV(顧客生涯価値)最大化が狙える
👉 結論:どちらか一方ではなく、ハイブリッド戦略が理想
たとえば「規格品はJAへ、B品は自社ECで販売」「収穫量の少ない珍しい野菜はSNS販売」といったように、作物ごとに販路を使い分けることでリスク分散と収益最大化が可能です。
直販で成功するための集客戦略と運営ポイント
1. 顧客に“選ばれる理由”を明確に
- 有機栽培や自然農法などのこだわり
- 農家のストーリーや理念
- 食卓に届くまでの透明性(トレーサビリティ)
2. デジタルの基礎をおさえる
- SEO記事(農家ブログ)で集客する
- SNS連携で認知を拡大
- メルマガやLINEで再購入を促進
3. 販売チャネルを増やす
- BASE、STORES、ShopifyなどでECサイトを構築
- Yahooショッピング、楽天市場などのモールも視野に入れる
- ふるさと納税を活用してBtoC販路を拡張
まとめ|農業も「売る力」が求められる時代へ
農家がJAに頼らずに稼ぐためには、「売る力」「伝える力」「仕組み化する力」が鍵となります。
直販やネット販売は、自由で柔軟な価格設定・商品設計が可能である反面、自ら動いて顧客をつかまえる必要があります。
ただし、ゼロからすべてを独力で行う必要はありません。
SNSやECツール、自治体支援制度を活用すれば、小規模農家でも収益性の高いモデルを構築することが可能です。