収支計画書の作り方を徹底解説|エクセルテンプレートから実務で使えるフォーマットまで

収支計画書の作り方を徹底解説|エクセルテンプレートから実務で使えるフォーマットまで

事業計画の実行には、「お金の流れ」を具体的に見通すための設計図が欠かせません。その設計図こそが収支計画書です。企画段階での信頼性を示す資料として、融資申請や補助金申請においても求められるこの書類は、単なる数字の羅列ではなく、事業の実現性と継続性を伝える力を持ちます。本記事では、収支計画書の役割やエクセルを活用した効率的な作成方法、無料テンプレートの使い方、さらに実務で使えるフォーマット構成まで、初心者にもわかりやすく徹底解説します。

目次

収支計画書とは何か?目的と基本構成を知る

収支計画書とは、事業における収入と支出の見通しを一定期間(多くは1年)でまとめた書類です。主に創業計画書や事業計画書の一部として作成され、資金繰りの管理、収益性の判断、第三者への説明(銀行・投資家・行政)に活用されます。

収支計画書の基本構成は、主に以下の要素に分かれます。

  • 売上(予想収入)
  • 変動費(仕入れや販売コスト)
  • 固定費(人件費、家賃、光熱費など)
  • 営業利益、経常利益、税引後利益

これらの項目を明示することで、「このビジネスが実際に回るのか?」を定量的に判断できるようになります。

収支計画書が必要なシーンと目的別の重要性

収支計画書は、目的によって求められる精度や書き方が変わります。たとえば以下のようなケースが考えられます。

起業・創業時

新規ビジネスの立ち上げでは、創業融資や助成金の審査に必須となります。説得力ある収支計画があることで、第三者からの資金調達の成功率が上がります。

企画書の一部として提出

新規事業や新商品提案においては、収支計画を加えることで上司や経営層の納得を得やすくなります。感覚的なアイデアではなく、実際の利益構造が見えることが強みです。

補助金・助成金の申請

自治体や国の補助金では、フォーマットの指定がある場合もあり、適切な収支計画書を添付することで審査を通過しやすくなります。

エクセルで作成する収支計画書の基本ステップ

エクセルは、収支計画書を作成するうえで最も実用的なツールです。テンプレートを使えば、関数による自動計算や見やすい表作成も可能で、業務効率が大幅に向上します。

ステップ1:テンプレートの入手と構成確認

まずは無料で使えるテンプレートを探しましょう。中小企業庁や商工会議所、銀行系サイトなどからダウンロード可能です。テンプレートには月次・年次両方の構成があるので、用途に応じて選びます。

ステップ2:売上予測の入力

売上の根拠は具体的に示すのが基本です。顧客数×単価や市場規模からの逆算など、ロジカルに算出しましょう。前提が甘いと計画全体の信頼性が崩れてしまいます。

ステップ3:支出項目の入力

固定費(人件費、賃料)と変動費(仕入れ、配送料など)を分けて記載します。エクセル関数を使って「利益=売上−支出」の構造を明確にしておくと、資金繰りの見通しも立てやすくなります。

ステップ4:グラフやチャートで視覚化

プレゼンや上司への報告では、表よりもグラフでの提示が説得力を増します。エクセルで棒グラフや折れ線グラフを活用すれば、損益の推移が一目で伝わります。

実務で使える収支計画書のフォーマットと注意点

収支計画書のフォーマットに「正解」はありませんが、相手に伝わる構造であることが重要です。以下のような構成にすると汎用性が高く、さまざまな場面で応用できます。

  • 表紙(事業名、作成日、作成者)
  • 収入内訳(月別売上、事業別売上など)
  • 支出内訳(固定費・変動費に分類)
  • 利益計算(営業利益、経常利益、当期純利益)
  • 前提条件(価格設定、仕入原価、販促コストなど)
  • 損益計算書との連携(実績比較用)

特に注意したいのは、前提条件が曖昧なまま数字だけ記載してしまうケースです。審査機関や上司は「なぜこの数字になるのか」を常に問うため、根拠の記述は省略せずに添えましょう。

無料で使える収支計画書テンプレートの入手先と使い方

テンプレートを活用することで、初めて収支計画書を作成する方でもスムーズに取り組めます。以下のような信頼できるサイトからダウンロード可能です。

  • 中小企業庁「創業計画書」
  • 日本政策金融公庫の創業支援資料
  • 商工会議所のビジネスプランテンプレート
  • Microsoft公式テンプレート(エクセル)

テンプレートをそのまま使うのではなく、必ず自分の事業やプロジェクトに合わせてカスタマイズしてください。項目の追加・削除や表現の微調整も重要です。

収支計画と企画書の関係|伝わる資料を作るポイント

企画書に収支計画書を組み込む際には、「説得力」が最大の武器になります。単なる見込みではなく、マーケット調査や競合比較を通じて実現可能性を示すと効果的です。

企画書全体の中で収支計画書は「裏付け」としての役割を担います。そのため、「夢だけ語っている資料」ではなく、「収支の筋が通った計画書」として信頼されるように意識して作成しましょう。

よくあるミスと収支計画書のチェックポイント

収支計画書は一見シンプルに見えても、細かな注意点があります。以下のようなミスには特に気をつけましょう。

  • 数値の整合性がとれていない(売上と支出に矛盾)
  • 損益の根拠が弱い(裏付け資料がない)
  • 支出の抜け漏れがある(保険料や雑費など)
  • 利益が出過ぎている(現実味に欠ける)
  • 月別推移が極端(季節変動や業界慣例を無視)

これらを避けるには、第三者(同僚・上司・専門家)に確認してもらうのが効果的です。自分では見落としがちな論理の飛躍や数値の甘さに気づくことができます。

エクセルで作成する際の便利関数と小技

エクセルで効率的に収支計画書を作るには、以下のような関数が役立ちます。

  • SUM:合計値の計算
  • IF:条件による表示制御(利益がマイナスなら赤字表示など)
  • ROUND:端数処理
  • VLOOKUP:他シートからのデータ抽出
  • TEXT:日付や通貨の書式設定

また、スプレッドシートを使えばGoogleドライブでチーム共有もしやすく、クラウド環境での作業効率もアップします。

まとめ|収支計画書は「見せる資料」ではなく「考えるツール」

収支計画書は単なる提出書類ではなく、事業の実現性や経営の健全性を自ら検証するためのツールです。エクセルテンプレートをうまく使いつつ、前提条件と構造を明確にし、相手に「この人は計画の本質を理解している」と思わせることが、最終的な信頼獲得につながります。

ビジネスの立ち上げや提案の場面では、熱意やアイデアだけでは不十分です。数字で裏付けた戦略を、見える形で表現できる収支計画書こそが、次のステージへの第一歩となるのです。

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