高齢化が加速する一方で、介護現場の人手不足はますます深刻化しています。「介護の人手不足はもう限界」「施設が閉鎖しているらしい」「現場は本当にやばい」といった声がネット上でも飛び交う中、現実はどうなっているのでしょうか。本記事では、介護業界の人手不足が“やばい”と言われる理由や、現場の声、2025年問題など未来への影響、そして企業側・介護施設ができる対策までをわかりやすく解説します。
介護の人手不足がやばいと言われる理由とは?
採用・離職の最新データから見る現状
「介護の人手不足は当たり前」とも言われますが、実際には改善の兆しも見えています。公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、採用率は2021年以降やや増加傾向にあり、2023年には離職率が13.1%と過去5年間で最も低下しています。
とはいえ、依然として6割以上の介護事業所が「人手が足りない」と回答しており、特に訪問介護職員においては約8割の施設で不足感が深刻です。
訪問介護職員はもっとも深刻
訪問介護職員の不足はとくに顕著で、「大いに不足」と回答した割合は31.3%。これは業界全体の中でももっとも高い水準であり、地域によってはサービス提供自体が難しくなってきている現状があります。
増える一方の要介護者数
日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行しています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年を前に、介護が必要な高齢者の数は急増しており、それに対応する人材の確保が追いついていません。
介護職の離職率が高すぎる
介護職は身体的・精神的にハードな上に、給与が低めで評価もされにくい傾向があります。その結果、離職率が高く、業界全体で慢性的な人手不足に。
現場の過酷な労働環境
夜勤や長時間勤務、人手不足による多忙さが重なり、「辞めたい」「もう限界」と感じる職員が続出しています。実際、SNSや匿名掲示板(例:介護 人手不足 なんJ)では、現場のリアルな悲鳴が見られます。
「介護 人手不足は当たり前」は本当か?
「どこも人が足りてない」「求人出しても来ない」ーーこうした声は、もはや“当たり前”のように語られています。実際、地方だけでなく都市部の介護施設でも同様の傾向があり、業界全体で深刻な状況が常態化しています。
特に中小規模の施設では、人手不足が原因で新規利用者を受け入れられず、経営が逼迫しているケースも少なくありません。
人手不足が続けばどうなる?(介護 人手不足 どうなる)
- 介護サービスの質と量の低下
- 利用者の受け入れ制限による収益悪化
- 介護離職・家庭内介護の負担増加
- 最悪の場合、施設の閉鎖・倒産
実際、2023年には介護事業者の倒産が122件と過去2番目に多く、特に訪問介護の倒産は過去最多となりました。
2025年問題と介護人材の未来
2025年には、団塊の世代が75歳以上となり、後期高齢者人口が急増します。国の推計では、約32万人の介護職員が不足すると言われています。
つまり、現状のままでは“要介護者 > 支える人”という構造が加速し、社会インフラとしての介護が機能しなくなる恐れもあるのです。
厚生労働省のデータによれば、2025年には介護職員が約32万人不足すると見込まれています。2040年には57万人に達するとも。
これにより、特に地方においては施設運営の継続が困難となり、要介護者の「受け皿」そのものが失われる危機に瀕しています。
介護施設が閉鎖する現実
人手不足が続くと、最悪の場合「施設の閉鎖」にまで追い込まれます。特に地方では、スタッフ確保が困難で運営継続ができず、泣く泣く閉鎖を決める施設も。
閉鎖により介護難民が発生し、地域全体の医療・福祉にも影響が波及する深刻な事態となります。
- 人手不足により新規受け入れが困難に
- コロナ禍以降、利用者減による収益悪化
- 採用難による稼働率の低下
こうした状況により、事業継続が困難な施設が増加。特に小規模な事業所や地方の施設は、閉鎖や廃業のリスクが高まっています。
「介護の人手不足は嘘」説の真偽
一部で「実は人手は足りている」という声もありますが、それはごく一部のモデル施設や都市部の話に限られます。全体として見れば、国の統計でも“数十万人規模”の人材不足が今後も続くとされています。
要するに、“足りている場所もあるが、業界全体では深刻”というのが事実です。
介護職が「辞めたい」と感じる理由
1. 労働に対して報酬が見合わない
介護職は命を預かる仕事でありながら、給与水準は他業種と比較しても低い傾向にあります。
2. 人間関係のストレス
チームで動く現場では、指導や連携ミス、価値観の違いなどで摩擦が起こりやすい環境です。
3. 家族や利用者からのクレーム対応
丁寧にケアをしていても、説明不足や行き違いで苦情を受けることがあり、精神的な負担となっています。
このまま介護の人手不足が進むとどうなるか?
- 介護施設のサービス低下・利用制限
- 家族による介護の負担増加(介護離職の増加)
- 医療との連携にも支障が出る
介護は社会全体のセーフティネットであるため、崩壊すれば国民生活全体に影響が及びます。
企業・介護施設が今できる人手不足対策
1. 働き方改革と業務の見直し
- 業務分担を見直し、事務作業や記録業務のIT化を進める
- 夜勤の回数制限やシフトの柔軟性を高める
2. 職員の定着率を上げる工夫
- メンター制度やOJT体制の強化
- 定期的な面談で不満の吸い上げ
- 有給取得の促進と福利厚生の改善
3. 外国人材の活用と多様性の受け入れ
技能実習生や特定技能など、外国人介護人材の受け入れ拡大も不可欠。文化や言語の壁を超える教育体制がポイントです。
4. 採用ブランディング・SNS活用
- 求職者に向けて、施設の魅力や職場の雰囲気を動画や投稿で伝える
- 採用ページやインディードなど求人媒体の見直しも効果的
国や自治体による支援制度も活用しよう
- 処遇改善加算や特定処遇改善加算などの制度活用
- キャリアアップ研修や資格取得支援の導入
これらを上手く取り入れることで、職員の満足度やスキル向上にもつながります。
まとめ:介護の人手不足は“現場任せ”では解決できない
介護の人手不足は、現場職員の努力だけでは限界があります。業界全体、社会全体、そして経営者や企業が真剣に向き合うべき構造的課題です。
「人がいないから仕方ない」ではなく、「どうしたら人が集まり、辞めずに働けるのか?」を考えることが、これからの介護業界に求められています。
介護は“未来の自分”に直結する社会インフラ。だからこそ、現場と経営が一体となって、持続可能な環境づくりを進めていく必要があります。
本記事は、介護施設や福祉事業者の採用・ブランディング支援を行うロロント株式会社が監修・執筆しています。