収益性指数法とは?中小企業でも使える投資判断のメリットと計算手順を解説

企業経営において、新規事業や設備投資の判断は将来の収益性を大きく左右します。その際に活用されるのが「収益性指数法」です。限られた資源の中で、どの投資案件に資金を投入すべきかを判断する有効な指標として、多くの企業や診断士に活用されています。本記事では、収益性指数法の基本概念から具体的な計算方法、他の投資評価指標との比較、そして中小企業でも実務に活かせるポイントまで、わかりやすく解説していきます。

目次

収益性指数法とは何か?その基本構造と意味

投資判断における収益性の可視化

収益性指数法(Profitability Index, PI)とは、投資に対して得られる収益(キャッシュフロー)の現在価値と初期投資額の比率を示す指標です。具体的には、以下のような計算式で表されます。

収益性指数(PI)= 将来キャッシュフローの現在価値 ÷ 初期投資額

この値が1以上であれば、投資額以上の回収が見込めると判断され、1未満であれば非効率と判断されます。

他の評価指標との違い

NPV(正味現在価値)が絶対額での収益を評価するのに対し、PIは相対的な収益性を示す点が大きな特徴です。特に複数の投資案件があり、資本に制限がある場合に有効です。

収益性指数法の計算と実例

実際の計算方法を学ぶ

収益性指数法の計算では、以下の手順を踏みます。

  1. 各年のキャッシュフローを割引率で現在価値に換算する
  2. 現在価値の合計を初期投資額で割る

たとえば、初期投資が100万円、3年間にわたって毎年40万円のキャッシュフローが得られ、割引率が10%だった場合、以下のように計算されます。

PI = (40万/1.1 + 40万/1.21 + 40万/1.331) ÷ 100万 ≒ 1.03

この場合、PIが1を上回っているため、投資判断としては「実施すべき」となります。

中小企業診断士試験でも頻出の指標

収益性指数法は、中小企業診断士の財務・会計分野でも重要な論点とされており、簿記知識とあわせて問われることが多いです。

収益性指数法のメリットとデメリット

メリット

  • 資本が限られている状況での投資選定に有効
  • 比率で評価できるため、投資規模が異なる案件の比較がしやすい
  • 他の評価法と併用しやすく、補完的な活用ができる

デメリット

  • キャッシュフローや割引率の正確な予測が前提
  • 投資案件のリスクや外部要因が考慮されにくい
  • 分母がゼロに近いと、比率が過大評価されることもある

他の投資評価法との比較

内部利益率法(IRR)との比較

内部利益率法は、NPVがゼロとなる割引率を求める手法です。IRRとPIは、どちらも収益性を判断する指標ですが、IRRは資本コストとの比較が主眼で、PIは限られた予算内での案件比較に向いています。

回収期間法・会計的利益率法との違い

回収期間法は投資回収までの期間に着目し、リスク回避的な判断に使われます。会計的利益率法は、会計上の利益をベースに評価するため、キャッシュフローの重要性を無視しがちです。

収益性指数法はキャッシュフローを重視するため、より現実的な投資判断が可能です。

独立投資案と相互排他的投資案への応用

複数の案件が並行する場合の判断基準

独立投資案は、それぞれが他と無関係に評価される投資案件であり、PIが1を超えていれば原則すべて実行可能です。

一方、相互排他的投資案は一方を選ぶと他を選べないケースです。この場合、収益性指数が高い案件を優先することで、資本の効率的な配分が可能となります。

限られた資本を最適配分する戦略

限られた資源で最大の効果を出すために、収益性指数法は特に有効です。実務では、PIの高い順に資源を割り当てる「グリーディー方式」が採用されることもあります。

収益性指数法をビジネスに活かす具体例

事業部別の新規プロジェクト評価

複数の事業部が新規提案を持ち寄った際に、収益性指数を活用することで、経営判断が定量的かつ公平に行えます。

マーケティング投資や人材投資への応用

新商品キャンペーンや採用活動への投資でも、将来的なキャッシュインフローの予測を行い、PIが1を超えるかを確認することで、より戦略的な施策立案が可能となります。

まとめ:収益性指数法は中小企業にも必須の投資判断ツール

収益性指数法は、単なる会計指標ではなく、資本制約のある企業にとって極めて実用的な投資判断手法です。特に中小企業では、すべての投資案件を実施できない場面も多いため、限られた予算内で最大の成果を得るために活用されるべきです。

キャッシュフローに基づく評価、複数案件の比較、実務での応用性といった点から見ても、収益性指数法はビジネス現場における“判断力の強化”に直結するフレームワークです。投資の選定や経営資源の配分に悩む経営者・事業責任者にとって、必須の知識となるでしょう。

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