AirTag電池がすぐなくなる原因!業務利用で起きがちな設定・運用ミスの直し方

会社の備品管理や社用車の鍵の紛失防止として、AirTagを導入する企業が増えていますね。とても便利ですが、いざ運用を始めてみると「あれ、もう電池切れ?」「交換したばかりなのに動かない」といったトラブルに頭を抱える担当者の方も多いのではないでしょうか。特に何十個も管理していると、電池交換の手間だけでかなりの時間を取られてしまいますよね。実は、AirTagの電池がすぐに切れたり、うまく交換できなかったりするのには、意外な「落とし穴」があるんです。

この記事では、AirTagを業務で活用している方向けに、電池持ちを良くする設定から、失敗しない電池の選び方、開かない蓋を開けるコツまで、現場で役立つノウハウを徹底解説します。これを読めば、電池交換のストレスから解放され、本来の業務に集中できるようになりますよ。

目次

AirTagの電池がすぐなくなる原因と業務利用時の注意点

「スペック上は1年持つはずなのに、半年も経たずに通知が来た」という経験はありませんか。実はAirTagの電池寿命は、使い方はもちろん、設置環境や設定によって大きく変わります。特にビジネスで使う場合、個人の利用とは違った負荷がかかっていることが多いのです。ここでは、なぜ電池が急速に消耗してしまうのか、その主な原因と対策について見ていきましょう。

頻繁にサウンドを再生したり探す機能を使ったりしている

AirTagの電池を最も消費するのは、やはり「通信」と「音」です。業務で管理している物品が見当たらないとき、すぐに「サウンドを再生」ボタンを押していませんか。あるいは、精密な位置情報を知るために「正確な場所を見つける」機能を頻繁に使っているかもしれません。

これらの機能は非常に便利ですが、AirTag内部のチップをフル稼働させ、スピーカーを鳴らすため、待機時に比べて何倍もの電力を消費します。

  • サウンド再生の頻度 1日に何度も音を鳴らして場所を確認するような運用フローになっていると、数ヶ月で電池が切れることがあります。定位置管理のために音を鳴らすのではなく、棚卸し時など「本当に見つからない時」に限定する運用ルールが必要かもしれません。
  • 正確な場所を見つける機能の多用 iPhoneの画面に矢印が出て方向を示す機能(UWB通信といいます)は、高度な通信を行うため電池食いです。これも必要最低限に留めるのが長持ちのコツです。

もし、日々の点検で「音を鳴らして存在確認」をしているなら、代わりにiPhoneを近づけて接続確認をするだけに留めるなど、運用の見直しを検討してみてください。

離れた場所での保管により紛失モードの通信が増えている

AirTagには、持ち主(ペアリングしたiPhone)から離れると、周囲のiPhoneのネットワーク(「探す」ネットワーク)を利用して位置情報を送信する仕組みがあります。

例えば、社員が持ち歩くバッグではなく、倉庫に置きっぱなしの機材や、遠方の営業所に貸し出している車両の鍵にAirTagをつけている場合を想像してください。ペアリングした管理者のiPhoneが近くにない状態が長く続くと、AirTagは常に「誰か私の位置を伝えて!」と、通りがかりのiPhoneを探して通信を試み続けます。

特に人通りの多い場所に保管されている場合、ひっきりなしに他人のiPhoneと通信を行うことになり、結果として電池の消耗が激しくなります。

  • ペアリング元の見直し 管理者のiPhoneではなく、その機材を常に利用する現場スタッフのiPhoneとペアリング(または共有設定)をすることで、安定した接続状態を保てます。
  • 置き場所の電波状況 電波の入りにくい金属製のロッカーや地下倉庫などは、AirTagが通信出力を上げようとして電池を食う原因になります。

「常に持ち主を探している状態」は、AirTagにとって過酷な労働環境なのだと理解しておくと良いでしょう。

低温環境や振動の多い場所で使用している

意外と見落としがちなのが「温度」と「環境」です。AirTagに使用されるコイン型リチウム電池(CR2032)は、化学反応で電気を作っているため、温度変化に敏感です。

特に冬場の社用車の中や、冷蔵倉庫、屋外の資材置き場などで使用している場合、寒さによって電池の電圧が一時的に下がり、「電池残量が低下しています」という通知が早めに出ることがあります。これは電池が空になったわけではなく、寒さで性能が出せていないだけのケースも多いのですが、結果として交換頻度が上がってしまいます。

  • 低温による電圧低下 氷点下に近い環境では、電池寿命が極端に短くなることがあります。
  • 振動による接触不良の誤検知 工事現場の機材や車両など、常に振動がある場所では、電池と端子の接触が一瞬途切れることがあり、再起動を繰り返すことで電力を消費する可能性があります。

もし寒冷地での運用なら、低温に強いタイプの電池を選ぶか、断熱材で少し保護するなどの工夫が必要かもしれません。

AirTagの電池はどのくらい持つのか?交換時期の目安

Appleの公式サイトやパッケージには「バッテリーは1年以上持続」と書かれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。「1年持つと思ってたのに!」と慌てないために、リアルな寿命と、交換タイミングの見極め方について解説します。

公式スペックと実際の寿命のギャップについて

公式の「1年以上」という数字は、あくまで標準的な利用モデルに基づいたものです。具体的には、「1日にサウンド再生を4回、正確な場所を見つける機能を1回使用」という条件での試算です。

しかし、ビジネスの現場ではどうでしょうか。

  • ほとんど動かさない備品の場合 ロッカーに入れっぱなしで、めったに探さないような使い方であれば、1年半〜2年近く持つこともあります。これは待機電力しか使っていないためです。
  • 頻繁に持ち出される共有機材の場合 多くの人の手に渡り、そのたびに位置情報を更新し、時には音を鳴らして探されるようなケースでは、8ヶ月〜10ヶ月程度で交換時期が来ることも珍しくありません。

「だいたい1年」という認識は持ちつつも、業務の繁忙期前や、長期休暇前には一斉点検をしておくと安心です。ギリギリまで粘るより、早めの交換がトラブル防止の鍵です。

電池残量表示されない仕様変更と確認方法

以前はiPhoneの「探す」アプリを開くと、AirTagのバッテリーアイコンが表示され、電池がどれくらい残っているかを目視で確認できました。しかし、iOS 15.6以降のアップデートにより、この電池残量のゲージ表示が廃止されています。

これには困惑した方も多いはずです。「あとどれくらい持つか見えないじゃないか」と思いますよね。現在(最新のiOS環境)では、電池残量が少なくなった時にのみ、「バッテリー残量低下」という警告が表示される仕様になっています。

  • 能動的な確認ができない 「今はまだ大丈夫そう」という確認ができなくなりました。
  • 通知頼みの運用 iPhoneにプッシュ通知が来るか、「探す」アプリのアイテムリストに赤い文字で警告が出るのを待つしかありません。

この仕様変更のため、ビジネスで大量導入している場合は、「通知が来てから交換」だと対応が後手になりがちです。「毎年4月の年度初めに全台交換する」といった定期交換ルールを決めてしまうのが、管理コストを下げる一番の方法かもしれません。

交換タイミングを見逃さないための通知設定

電池残量のゲージが見えなくなった今、頼みの綱はiPhoneからの通知です。この通知を見逃すと、いざという時に「探せない」という最悪の事態になります。

確実に通知を受け取るために、以下の設定を確認しておきましょう。

  1. iPhoneの「設定」アプリを開く 「通知」>「探す」と進みます。
  2. 通知の許可をオンにする ここで通知がオフになっていると、電池切れの警告も届きません。
  3. 即時通知をオンにする 業務中は他の通知に埋もれてしまいがちなので、目立つ設定にしておくことをおすすめします。

また、AirTagの電池電圧が低下すると、iPhone上に「AirTagのバッテリー残量が少なくなっています。早めに交換してください」というバナーが出ます。これが出たら、まだ使えると思わずに、1週間以内を目処に交換するようにしましょう。ギリギリまで使おうとすると、寒暖差などで突然死することがあります。

AirTagにおすすめの電池とどこで売ってるかの購入ガイド

いざ電池交換の警告が出たとき、適当にコンビニで買った電池を使っていませんか。実はAirTagの電池選びには、絶対に知っておかなければならない「罠」があります。これを間違うと、新品の電池を入れても全く動かないということになりかねません。

苦味防止コーティング付き電池が使えない理由

これがAirTag運用における最大のトラブルポイントです。小さなお子さんがボタン電池を誤飲するのを防ぐために、一部のメーカーの電池(CR2032)には、表面に「苦味防止コーティング」という苦い薬剤が塗布されています。

しかし、Apple公式のサポートページにも記載がある通り、この苦味防止コーティングが施された電池は、AirTagでは使えない可能性が高いのです。

理由はシンプルで、コーティング剤が絶縁体のような役割を果たしてしまい、AirTagの電池端子との電気の流れを妨げてしまうからです。特にAirTagの端子は構造上、このコーティングの影響を受けやすいようです。

  • パッケージを要確認 電池を買うときは、パッケージの裏面や注意書きをよく見てください。「誤飲防止コーティング」「苦味成分配合」といった記載があるものは避けましょう。
  • 有名メーカーでも注意 Duracell(デュラセル)などの海外大手メーカーや、国内メーカーの一部の製品では、安全対策としてこのコーティングが標準採用されていることがあります。

「電池交換したのに動かない!」という問い合わせの多くが、このコーティング付き電池を使用していることが原因です。

100均やコンビニで買う際に見るべきメーカーと品番

急に電池が必要になった場合、コンビニや100円ショップ(ダイソーやセリアなど)で購入することもあるでしょう。AirTagに使う電池は**「CR2032」**という規格のコイン型リチウム電池です。似たようなサイズで「CR2025」や「CR2016」もありますが、厚みが違うので推奨されません。必ず「CR2032」を選んでください。

購入時のポイントは以下の通りです。

  • パナソニック(Panasonic)製 コンビニや家電量販店で最もよく見かけます。パナソニックの標準的なCR2032は、現状では苦味コーティングがされていないものが多く、AirTagでの動作報告も安定しています。ただし、製品リニューアルで仕様が変わる可能性もあるので、念のためパッケージを確認してください。
  • マクセル(Maxell)製 こちらも信頼性が高いメーカーです。
  • 100円ショップの電池 三菱電機製やGolden Power製などが置かれています。基本的には使えますが、業務利用で長期間持たせたい場合は、大手メーカー製のものに比べると若干寿命のバラつきがあるかもしれません。緊急用としては十分です。

「迷ったらパナソニック」と覚えておくと失敗が少ないですが、絶対に「コーティングなし」を確認する癖をつけましょう。

業務用の大量購入におすすめの電池と保管方法

会社で何十個もAirTagを使っているなら、都度コンビニで買うのはコストも手間もかかります。Amazonやアスクルなどで、業務用のバルクパック(個包装されていないまとめ買いセット)を購入するのがおすすめです。

おすすめの選び方は以下の通りです。

  • AmazonベーシックなどのPB商品 安価で大量に入っていますが、ロットによって品質に差があることがあります。レビューで「AirTagで使えた」という直近の声を参考にしましょう。
  • 家電量販店のオンラインショップ ヨドバシカメラやビックカメラなどの通販で、大手メーカーの5個入り、10個入りパックを買うのが、品質とコストのバランスが最も良いです。

保管時の注意点: コイン電池を保管するとき、電池同士を裸のまま重ねて箱に入れてはいけません。プラス極とマイナス極が接触してショートし、発火や破裂、あるいは使う前に放電してしまう恐れがあります。必ず個包装のまま保管するか、セロハンテープなどで絶縁して保管してください。いざ交換しようとしたら在庫の電池が全部空だった、なんてことにならないように管理しましょう。

誰でもできるAirTagの電池変え方と蓋が回らない時のコツ

適切な電池を用意できたら、いよいよ交換作業です。AirTagの電池交換は工具不要でできる設計になっていますが、実際にやってみると「蓋が硬くて回らない」「指が滑る」と苦戦することがよくあります。ここでは、スムーズに交換するための手順と、開かないときの裏技を紹介します。

正しい手順で行う電池交換のステップ解説

まずは基本の手順をおさらいしましょう。AirTagの表面にあるステンレススチール製のカバー(銀色の部分)を取り外して交換します。

  1. AirTagの銀色のカバーを押し下げる カバーの上から、親指で強めに押し込みます。ただ回すのではなく、「押しながら」がポイントです。
  2. 反時計回りに回す 押し込んだまま、カバーを左(反時計回り)に回します。少し回すとロックが外れる感触があります。
  3. カバーと古い電池を取り外す カバーが外れたら、中の古い電池を取り出します。
  4. 新しい電池を入れる 新しいCR2032電池を、プラス面(文字が書いてある面)を上にして入れます。
  5. カバーを戻す カバーの爪の位置を合わせて乗せ、再び上から押し込みながら、今度は時計回り(右)に回してロックします。

このとき、新しい電池を入れた瞬間に、AirTagから「ピロリロリン♪」という通電音が鳴れば成功です。

蓋が硬くて回らない・開かない場合の対処法

「説明通りにやっても、指が滑って回らない!」というケースは非常に多いです。特に新品の状態や、手が乾燥している冬場、あるいは油分がついていると、ツルツル滑って全く力が入りません。

そんなときは、以下の方法を試してみてください。

  • 両手の親指を使う「ダブル親指作戦」 AirTagを机の上に置き(傷つかないようにマウスパッドの上などがおすすめ)、左右両方の親指をカバーに押し当てて、同時に回します。片手でやるよりも力が均等に伝わり、回しやすくなります。
  • ゴム手袋や指サックを使う 摩擦力を上げるのが一番の近道です。掃除用のゴム手袋をはめるか、事務用の指サックをつけて回すと、驚くほど簡単に開きます。輪ゴムを指に巻くのも効果的です。
  • セロハンテープで取っ手を作る カバーにセロハンテープやガムテープを貼り付け、その粘着力を利用して回す方法もありますが、糊が残る可能性があるので、まずはゴム手袋をおすすめします。

無理やりマイナスドライバーなどでこじ開けようとすると、傷がついたり防水性能が失われたりするので絶対にやめましょう。あくまで「摩擦」で勝負です。

交換後に音が鳴らない時のチェックポイント

新しい電池を入れても音が鳴らない場合、交換作業が完了していません。以下の原因が考えられます。

  • 電池の向きが逆 プラス面(平らで文字がある面)が上です。
  • 電池のコーティング 先ほど説明した「苦味防止コーティング」がついている電池ではありませんか。
  • 接触不良 一度電池を取り出し、乾いた布で電池の表面を拭いてから入れ直してみてください。指の油分が邪魔をしていることがあります。

蓋を閉める前に、必ずこの「通電音」を確認するのが鉄則です。音が鳴るまで蓋を閉めてはいけません。

電池交換したのに反応しない・残量が増えないトラブル解決法

「新品の電池に変えたし、音も鳴った。でもiPhoneで見ると『バッテリー残量低下』のまま…」あるいは「位置情報が更新されない」。そんな不可解な現象に悩まされることもあります。AirTagやiPhone側の認識がうまくいっていない場合に試すべき対処法をまとめました。

新品の電池でも動作しない時のリセット手順

AirTagの挙動がおかしいときは、一度リセット(初期化)して再登録するのが最も確実な解決策です。ただし、AirTagのリセット操作は少し特殊で、**「電池の出し入れを5回繰り返す」**というアナログな手順が必要です。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 電池カバーを押し下げて反時計回りに回し、カバーを外します。
  2. 電池を一度取り出し、再びセットします。
  3. 電池を押し込み、音が鳴るのを確認します。 音が鳴り終わったら、すぐに電池をまた外します。
  4. この「セットして音が鳴ったら外す」をさらに4回繰り返します。 合計で5回、音を聞くことになります。
  5. 5回目の音が鳴ったあと、通常とは違う音が鳴ればリセット完了です。
  6. カバーを戻してロックします。

その後、iPhoneの「探す」アプリから一度該当のAirTagを削除し、再度「持ち物を追加」でペアリングし直してください。これで内部のステータスがリフレッシュされ、正常に認識されるはずです。

接点不良や汚れが原因で認識されないケース

業務で屋外や工場などで使用しているAirTagの場合、内部に微細なホコリや湿気が入り込み、端子が汚れていることがあります。

  • 端子の清掃 電池を外した状態で、AirTag内部の金属端子を、無水エタノールを含ませた綿棒などで優しく拭いてみてください。
  • 電池自体の拭き取り 購入したばかりの電池でも、保管状態によっては表面に見えない酸化膜ができていることがあります。ティッシュやメガネ拭きで、電池の両面を強めにゴシゴシと拭いてからセットすると、通電が改善することがよくあります。

「電池は新しいはず」という思い込みを捨てて、物理的な接触状態を疑ってみるのも重要です。

ファームウェアの更新とペアリングの再設定

AirTag本体のソフトウェア(ファームウェア)が古いままになっていると、最新のiOSとの連携で不具合が起きることがあります。AirTagのファームウェアは、ユーザーが手動でボタンを押して更新することはできません。

更新される条件:

  • AirTagがペアリングされたiPhoneのBluetooth通信圏内にあること。
  • インターネットに接続されていること。

この状態で一晩ほど置いておけば、自動的に更新されます。もし挙動がおかしいAirTagがあれば、一度管理者のiPhoneのそばに一晩置いて様子を見てください。

それでも直らない場合は、やはり「ペアリングの解除と再登録」が最終手段です。「探す」アプリで対象のAirTagを選び、一番下にある「持ち物を削除」をタップします。その後、新品の時のようにiPhoneを近づけて再設定を行ってください。これで大抵のトラブルは解消されるはずです。

まとめ

業務でAirTagを活用する際、電池トラブルは避けて通れない課題ですが、正しい知識があれば怖くありません。

  • 原因を知る:頻繁なサウンド再生や低温環境は電池寿命を縮めます。
  • 適切な電池選び:必ず「CR2032」を選び、**「苦味防止コーティングなし」**を確認してください。迷ったらパナソニック製が安牌です。
  • 交換のコツ:蓋が開かないときはゴム手袋で摩擦を増やしましょう。
  • トラブル対応:交換してもダメなときは、電池の出し入れを5回繰り返すリセット手順を試してください。

たかが電池交換ですが、ここをスムーズに行えるかどうかで、備品管理業務の効率は大きく変わります。ぜひ、この記事で紹介したポイントを社内の運用マニュアルに盛り込んで、快適なAirTagライフを送ってくださいね。

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