お詫び状は、ミスや不手際が発生した際に「誠意を伝え、信頼を回復するための正式な文書」です。メールや電話での謝罪では伝えきれない思いを、丁寧な文章で形にするのが目的です。しかし、「どのように書けばいいのか分からない」「お客様をさらに不快にさせないか不安」という方も多いですよね。
この記事では、お詫び状テンプレートを使った正しい書き方と例文集を紹介します。ビジネスから個人対応まで、すぐ使える無料フォーマット(Word対応)と、心のこもった謝罪文の作成ポイントを詳しく解説します。
お詫び状テンプレートを使う前に理解しておきたい基本と目的
お詫び状は単なる「形式的な謝罪文」ではなく、相手の信頼を取り戻すためのコミュニケーションツールです。まずは、その目的と基本構成を理解しておきましょう。
お詫び状の目的は「信頼の回復」
お詫び状の目的は、問題を認め、相手の気持ちを尊重し、再発防止を約束することです。
お客様や取引先が「誠実に対応してくれた」と感じることで、信頼関係を再構築できます。
たとえば、納品遅延・誤配送・誤請求など、ビジネスでは小さなミスでも信用問題に発展することがあります。その際に、ただ「申し訳ありません」と言葉だけで伝えるよりも、きちんと文書として残すことで誠意が伝わるのです。
お詫び状に必要な基本構成
お詫び状には、いくつかの基本要素があります。これを押さえておけば、どんな状況でも丁寧な文面が作れます。
- 宛名(相手の会社名・役職・氏名)
相手の立場に合わせて丁寧に記載します。
例:「株式会社〇〇 〇〇部 部長 〇〇様」 - 頭語・時候の挨拶(必要に応じて)
ビジネス文書では「拝啓」「敬具」などの形式を使うのが一般的です。社内向けや個人向けの場合は省略しても構いません。 - 謝罪の言葉(冒頭で明確に)
「このたびは〇〇によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。」
冒頭でまず謝罪の姿勢を明確に示します。 - 経緯説明(何が起こったか、どのように判明したか)
事実を簡潔に伝え、言い訳にならないよう注意します。 - 今後の対応・再発防止策
「今後はこのような事態を防ぐため、〇〇を徹底いたします。」など、具体的な改善策を述べます。 - 結びの言葉
相手への感謝や再度の謝罪を添え、誠実な印象で締めくくります。
この構成を意識して書けば、どんなテンプレートを使っても印象の良い文面になりますよ。
お客様向けお詫び状の書き方と文例【接客・サービス業にも対応】
お客様対応での謝罪文は、ビジネス文書の中でも特に繊細です。言葉選びひとつで印象が大きく変わるため、「正しい敬語と誠意ある表現」を重視しましょう。
お詫び状で避けるべきNG表現
お客様にお詫び状を出すとき、悪気はなくても「相手をさらに不快にしてしまう」言葉遣いがあります。次のような表現には注意が必要です。
- 「このたびは〇〇してしまい、すみませんでした」
→ ビジネスでは「すみません」はやや軽く感じられるため、「申し訳ございません」に統一します。 - 「今後は気をつけます」
→ 抽象的な印象になります。「再発防止に向けて〇〇を徹底いたします」と具体化しましょう。 - 「以後、このようなことがないよう努めます」
→ 定型文として多く使われますが、真剣味に欠ける印象を与える場合があります。具体的行動を加えるのがおすすめです。
お客様向けお詫び状の文例(テンプレート)
お詫び状
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたびは、弊社の不手際により〇〇様に多大なるご迷惑とご不快な思いをおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
原因は〇〇であり、今後は同様の事態を防ぐため、〇〇の確認体制を強化いたします。
改めてご不便をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げるとともに、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
〇〇部 〇〇(氏名)
接客トラブル時のお詫び状のポイント
店舗やサービス業などで「お客様を不快にさせてしまった場合」は、次の3点を意識して書きましょう。
- 相手の感情に寄り添う表現を入れる
「ご不快な思いをおかけし」「お心を傷つける結果となり」などのフレーズを使うことで、気持ちに共感している姿勢を示せます。 - 担当者個人の謝罪を明確にする
現場での出来事であれば、「担当の〇〇が不適切な対応をした件について」など、責任の所在をあいまいにしないことが大切です。 - 再発防止策を具体的に示す
「全スタッフへの再教育を実施いたします」「今後は二重チェックを徹底します」など、行動の根拠を添えましょう。
こうした工夫で、形式的ではなく“心のこもった謝罪文”になります。
個人でも使えるお詫び状の書き方と例文【メール・手紙両対応】
個人の場合も、お詫び状の目的は「誠実さを伝える」ことに変わりません。ビジネスとは違い、やや柔らかい言葉遣いでも構いませんが、誠意が伝わる構成は同じです。
個人向けお詫び状で大切な3つのポイント
- 自分の非を明確に認める
「〇〇したことにより、ご迷惑をおかけしました」と自分の行動を主語にして書きます。責任を曖昧にする表現(例:「誤解を招いてしまった」など)は避けましょう。 - 相手の気持ちに配慮する
「不快な思いをさせてしまったことを心よりお詫び申し上げます」と、相手の立場に立つ表現を加えます。 - 今後の対応を具体的に述べる
「今後は〇〇の点を改善し、同じことを繰り返さないようにいたします」など、行動を約束することで誠実さを示します。
個人で使えるお詫び状の例文
お詫び状
〇〇様
このたびは、私の不注意によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
〇〇の件では、私の配慮が至らず、〇〇様にご不快な思いをさせてしまったことを心よりお詫び申し上げます。
今後は同じことが起こらないよう、〇〇を改善し、より一層注意を払ってまいります。
どうか今後とも変わらぬご指導を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
〇〇(氏名)
個人のお詫び状を出すタイミングと注意点
お詫び状は、「謝罪の意思を示す最初の一歩」です。
たとえば、取引先への支払遅延、知人との約束の不履行、地域活動での不手際など、口頭では済まないと感じた場合に出します。
ただし、感情的になったまま書くのは避けましょう。
一晩おいて冷静になり、相手が読みやすく、誤解を生まない文章を心がけると良いですよ。
心のこもった謝罪文を書くためのコツと表現例
テンプレートをそのまま使うと、形式的で冷たい印象になることもあります。
そこで、“心のこもったお詫び文”を作るためのポイントを紹介します。
誠意が伝わる言葉の選び方
- 「申し訳ございません」を基本に、強調したいときは「深くお詫び申し上げます」とする。
- 「ご迷惑」だけでなく「ご不快な思い」「ご心配をおかけし」など、相手の感情を想像した言葉を使う。
- 「今後は気をつけます」ではなく、「再発防止のため〇〇を実施いたします」と具体的に述べる。
心のこもった謝罪文の一例
このたびは、弊社の対応により〇〇様にご不快な思いをおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
お客様からのご指摘を真摯に受け止め、今後は再発防止に向けて全社的な改善に努めてまいります。
改めて、貴重なご意見を賜りましたことに深く感謝申し上げます。
このように、感情に寄り添いながらも落ち着いた文面に整えることで、相手の信頼を再び得やすくなります。
お詫び状テンプレートを無料でダウンロードして使う方法
お詫び状を一から作るのは時間がかかります。ビジネスシーンでは、無料で使えるテンプレートを活用するのが効率的です。
無料テンプレートが手に入る主なサイト
- Microsoft Office テンプレート
Word形式で整ったフォーマットがあり、宛名や本文を差し替えるだけで使えます。 - bizocean(ビズオーシャン)
業種別・状況別に豊富なテンプレートが揃っています。 - CanvaやGoogleドキュメント
Web上でデザインや構成を調整でき、共有もしやすいのが特徴です。
Wordでお詫び状テンプレートを整えるポイント
Word(ワード)は、企業文書に最も使いやすいフォーマットです。
テンプレートを使用する際は、次の3点を意識しましょう。
- フォントを統一する(明朝体または游明朝が一般的)
- 行間を1.3倍〜1.5倍に調整し、読みやすくする
- 社名ロゴ・押印欄を追加することで正式文書として体裁を整える
印刷して渡す場合はA4縦を基本に、白地で余白を十分取るとより丁寧な印象になります。
まとめ:お詫び状は「誠実な対応」を形にする文書
お詫び状は、失敗を取り戻すための“信頼再構築ツール”です。
形式にとらわれすぎず、相手の気持ちに寄り添いながら誠意を込めて書くことが大切です。
- お詫び状は「信頼を取り戻すための正式文書」
- お客様や個人対応では「相手の感情に寄り添う表現」が鍵
- Wordや無料テンプレートを活用すれば誰でもすぐに整った文面が作れる
小さな誠意が、大きな信頼につながります。
どんな謝罪の場面でも、心のこもったお詫び状を添えることで、相手の印象は必ず変わりますよ。