刑事の年収は本当に稼げるのか？警視庁モデル・役職別収入と現場のリアルな働き方

2025年7月23日

刑事という仕事に憧れを持つ人は多い一方で、実際に「どれくらい稼げるのか？」「現場でどんな働き方をしているのか？」を具体的に知る機会はあまりありません。激務で命の危険も伴う職種というイメージが先行する一方、「その対価はどうなのか」という年収面のリアルもまた気になるところです。

この記事では、警視庁を例にした給与モデル、役職別の収入、年齢別の平均、そして他職種との比較を交えながら、刑事という仕事の収益性と働き方を掘り下げていきます。警察官を目指す方はもちろん、現役でキャリアの先を考えている方にも役立つ内容をお届けします。

刑事は稼げるのか？警視庁モデルに見る年収構造のリアル

警察官の給与は、地方公務員または国家公務員としての制度に則っており、基本給・各種手当・賞与によって構成されています。刑事も例外ではなく、階級・地域・勤務実績などによって支給額が変動します。とくに「警視庁年収モデル」として注目される東京都の警察官の場合、首都圏勤務の特性により「地域手当」が高めに設定されているのが特徴です。

さらに、刑事には「夜勤」「時間外労働」「特殊任務」などがつきもののため、一般の交番勤務よりも手当が上乗せされやすい傾向があります。
年収の目安としては、以下のように階級や年齢によって幅があります。

巡査（新卒〜25歳）：約350万円〜450万円
巡査長（25歳〜30歳）：約450万円〜520万円
警部補（30代中盤）：約550万円〜650万円
警部（40代前半〜後半）：約700万円〜800万円
警視・署長クラス：年収900万円〜1000万円超

手当には深夜勤務、時間外勤務、住宅、扶養、地域、単身赴任、管理職など多数あり、実働時間と家族構成によって実際の収入は変動します。一般的に「現場に長くいる刑事」は収入が高い傾向にありますが、それに比例して心身の負荷も大きい点は無視できません。

巡査長から警部補、警部、そして警察署長へ｜役職別に見る年収差

警察官のキャリアは階級とともに明確に段階を踏んで昇進していきます。刑事課に所属する職員の多くもこの流れに乗るため、「どのポジションでどれくらいの年収になるのか」を把握しておくことは、将来設計のうえでも重要です。

巡査長の収入と働き方

巡査長は一般職員の中でのリーダー的存在です。警察学校を卒業して5年〜8年目ほどで昇進するのが一般的で、日常業務に加え新人指導や事務整理なども担います。
年収としては450万円〜520万円程度で、捜査や夜勤が多い刑事課所属の場合はこれに各種手当が加算され、月収ベースで30万円を超えることもあります。

ただし、拘束時間は長くなりやすく、休日出勤や突発呼び出しも珍しくありません。体力と精神力のバランスを保つ工夫が必要とされるポジションです。

35歳警部補の年収と現場での役割

「35歳警部補年収」という検索が示すように、警察官の中でもこのポジションは現場と管理のバランスを求められる重要な階級です。部下を指揮する一方で、自ら捜査にも出る立場にあるため、実務とマネジメントの両方をこなす必要があります。

都内勤務で家族持ちの35歳警部補の場合、年収は550万円〜650万円程度が一般的。昇任試験を早期に突破し、評価を受ければ700万円に迫ることもあります。役職手当や家族手当、住宅手当を加味したうえで、毎月の可処分所得は25万〜30万円台となります。

警視庁警部〜署長の収入とキャリア選択

警部に昇進すると、いわば「課長クラス」のポジションとなり、管轄チームの予算管理や組織統率まで求められるようになります。年収は700万円〜850万円程度が目安で、警視庁など大規模警察本部ではもう少し上積みされるケースもあります。

また、地域の警察署で署長に就任する場合、階級としては「警視」「警視正」となり、管理職手当や単身赴任手当などを含めて年収900万〜1100万円前後になることも。
ただし、ここまでたどり着くには人事評価・学歴・実績・人脈など複数要素が絡み、警察官全体の中でも上位数％に限定される狭き門です。

警察官年収のリアル｜「生活できる」のか「稼げない」のか

よくある比較対象として、「司法書士生活できない」という検索キーワードが挙げられます。これは独立型士業に見られる収入の不安定さを象徴しています。一方、警察官（とくに刑事）はどうなのか？

結論からいえば、「警察官は安定して生活できるが、収入の急上昇は難しい」です。
民間企業のように成果報酬やインセンティブで年収1000万円を20代で実現することはまずありません。ただし、以下のような点で生活基盤としての信頼性は非常に高いといえます。

定期昇給が確実にある
勤務年数が長くなるほど昇任しやすくなる
退職金・年金制度が手厚い
福利厚生が充実している（住宅補助・医療補助・育児支援など）

稼ぎだけを追うならば向いていないかもしれませんが、「安定とやりがいを両立した仕事」として見れば、刑事は魅力的なキャリアといえます。

刑事の仕事と働き方のリアル｜捜査の現場はビジネスとは別世界

警察官の中でも刑事課に所属する刑事は、日常的に厳しい現場に身を置きます。
刑事の主な業務には、次のようなものがあります。

殺人・強盗・傷害などの重大事件捜査
盗難・詐欺・薬物などの知能犯罪捜査
防犯カメラや証拠映像の解析
取調べ・証言聴取・関係者面談
裁判資料の作成と検察への送致

時間外労働は日常であり、事件が起これば深夜でも即時出動というケースが多く、精神的・肉体的なプレッシャーも強い仕事です。
その分、事件を解決したときの達成感、被害者や家族からの感謝の言葉などは、他のどんな仕事にも代えがたい“やりがい”となります。

「稼ぎ」よりも「誇り」を重視する人にとっては、刑事の仕事は唯一無二の選択肢となるでしょう。

キャリアを伸ばして年収を上げるには？警察組織での“戦略的昇進術”

公務員の世界では、「実績」と「信頼」が昇進の要ですが、それだけでは足りません。警察官として収入を上げていくには、意識的な戦略と準備が欠かせません。

早期の昇任試験突破
警部補への昇任試験を20代後半〜30代前半で突破することで、10年後の収入差が大きく変わります。筆記・面接に加えて日常の勤務態度も評価されます。
専門スキルの獲得（語学・IT・法知識）
外事課やサイバー犯罪対策室など、専門職ポジションに就くことで評価が高まりやすく、他署からの引き抜きや推薦にもつながります。
人材育成・指導ポジションへの挑戦
新人教育や警察学校の講師経験は、管理職候補としての信頼を得る大きな材料になります。現場での実績＋育成実績のバランスが求められる時代です。

昇進はただの階級アップではありません。年収に直結し、退職後の再雇用先や信頼にも大きな影響を与えます。