ゲーム実況の許可の取り方とは?配信前に必ず確認すべきガイドライン完全解説

「大好きなゲームを実況して、みんなと盛り上がりたい!」 そう思って準備を始めたものの、ふと「著作権って大丈夫なのかな?」と不安になったことはありませんか。 せっかく育てたチャンネルが、権利侵害で突然削除されてしまったら悲しいですよね。また、知らず知らずのうちに法律違反をしてしまうのも避けたいところです。

実は、ゲーム実況における「許可」の考え方は、ここ数年で大きく変化し、多くのメーカーが明確なガイドラインを出してくれるようになりました。 この記事では、これからゲーム配信を始める方が絶対に知っておくべき「許可の取り方」や「確認方法」、そして「配信してはいけないゲーム」の見分け方について、プロの視点で優しく、かつ徹底的に解説します。正しい知識を身につけて、安心して配信活動を楽しみましょう。

目次

なぜゲーム実況には「許可」が必要なのか?無許可配信のリスクと著作権

まず最初に、少しだけ真面目な話をさせてください。どうして自分の買ったゲームなのに、勝手に配信してはいけないのでしょうか。 「みんなやってるから大丈夫でしょ」と軽く考えていると、後で痛い目を見るかもしれませんよ。

ゲーム画面は「著作物」の塊です

私たちが普段遊んでいるゲームは、映像、音楽、ストーリー、キャラクター、プログラムなど、数えきれないほどの「著作物」で構成されています。 これらをインターネットを通じて不特定多数の人に見せる行為は、法律用語でいうと「公衆送信権」に関わってきます。簡単に言えば、ゲームメーカー(権利者)だけが持っている「みんなに見せていい権利」を、許可なく勝手に使うことはできないということです。

一昔前までは、ゲーム実況は法的に「グレーゾーン」と言われていました。メーカー側が「宣伝になるから」と黙認していたケースも多かったのです。 しかし現在は違います。多くの企業が「ガイドライン」という形で、「ここまではOK」「これはNG」というルールを明確にしています。つまり、今は「ルールを守ればホワイト、守らなければブラック」という時代になったのです。

無許可で配信を続けるとどうなる?

もしガイドラインを無視して「無許可」で配信を続けた場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

最も一般的なのは、YouTubeやTwitchなどのプラットフォーム側からのペナルティです。 権利者からの申し立てにより、動画が削除されたり、収益化が停止されたりします。さらに悪質な場合は「著作権侵害によるストライク(違反警告)」が溜まり、チャンネル自体が永久に削除(BAN)されてしまうこともあります(通称「垢BAN」ですね)。

最悪のケースでは、法的な責任を問われる可能性もゼロではありません。 実際に、ストーリーのネタバレを含む動画を無許可で公開し続けた投稿者が、著作権法違反で逮捕された事例も出てきています。「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。だからこそ、自分の身を守るためにも、事前の確認が必須なのです。

ゲーム配信の許可を確認する具体的な方法と手順

「じゃあ、いちいちメーカーに電話して許可をもらわないといけないの?」と思うかもしれませんが、安心してください。 個別にメールや電話をする必要があるケースは稀です。ほとんどの場合、Web上で公開されている情報をチェックするだけで解決します。ここでは、その具体的なリサーチ手順を紹介します。

公式サイトの「ガイドライン」を探すのが基本

まずは、そのゲームを販売しているメーカーの公式サイトを確認しましょう。 最近の大手メーカーは、「著作物利用ガイドライン」や「動画投稿ガイドライン」といったページを用意しています。

探し方はとても簡単です。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、以下のキーワードで検索してみてください。

「(ゲームタイトル) 実況 ガイドライン」 「(メーカー名) 動画配信 ガイドライン」 「(メーカー名) 著作物利用」

例えば、「カプコン 動画ガイドライン」などで検索すると、公式のルールページがすぐに見つかります。 そこには、「YouTubeパートナープログラムでの収益化はOK」「エンディングの配信はNG」といった具体的なルールが書かれています。これを見つけることができれば、そのルールに従うだけで「許可を得た」ことと同義になります。

ガイドラインが見つからない場合の確認場所

すべてのゲームに専用のガイドラインページがあるわけではありません。特に古いゲームや、海外のゲームの場合、見つけにくいことがあります。そんなときは、以下の場所もチェックしてみましょう。

  1. 公式サイトのフッター(一番下の部分) サイトの隅っこに小さく「利用規約」や「著作権について」というリンクがあることがあります。そこに動画投稿に関する記述が隠れている場合が多いです。
  2. ゲームソフトのパッケージや電子説明書 パッケージの裏面や、オンラインマニュアルの「注意書き」の欄に、配信に関する記載があることがあります。
  3. Steamなどの販売ストアページ PCゲームの場合、Steamのストアページの右側にある情報欄や、EULA(エンドユーザー使用許諾契約)の中に記載されていることがあります。

「個人」と「法人」でルールが違うことに注意

ガイドラインを読むときに、絶対に見落としてはいけないポイントがあります。それは、そのルールが「個人」向けなのか、「法人(事務所所属)」向けなのか、という点です。

多くのガイドラインには、「個人のお客様に限ります」という一文が含まれています。 もしあなたが、芸能事務所やYouTuber事務所(MCNなど)に所属している場合、あるいは法人としてチャンネルを運営している場合は、個人のガイドラインは適用されません。その場合は、事務所を通じてメーカーと包括契約を結んでいるか、別途許諾契約を結ぶ必要があります。

「自分は趣味でやっているから関係ない」と思っていても、将来的に事務所に入ることになったら、過去の動画の扱いが変わる可能性があることは覚えておきましょう。

任天堂・カプコン・スクエニなど大手メーカーの許可状況一覧

ここでは、実況人気が高い主要なゲームメーカーが、どのようなスタンスでガイドラインを公開しているか、その傾向を紹介します。 ただし、ルールは頻繁に更新されます。必ず配信する直前に、ご自身の目で最新情報を確認してくださいね。

【任天堂】ネットワークサービスにおける著作物の利用に関するガイドライン

任天堂は、ゲーム実況界隈におけるルールのスタンダードを作ったと言っても過言ではありません。 非常に明確で、かつ寛容なガイドラインを公開しています。

基本的に、個人が非営利目的で投稿することは認められています。さらに嬉しいことに、「YouTubeパートナープログラム」などの指定されたシステムを利用する場合に限り、収益化も公式に許可されています。 ただし、「自分の創作性が含まれていない動画(プレイせずにムービーだけを流すなど)」はNGとされています。あくまで「実況」や「解説」を加えることが条件ですよ。

【カプコン】動画ガイドライン

「モンスターハンター」や「バイオハザード」で知られるカプコンも、詳細なガイドラインを公開しています。 カプコンの特徴は、ネタバレに対する配慮を求めている点と、BGMの使用に関する注意喚起がある点です。また、感想や解説を含まない「そのままのプレイ動画」の投稿は推奨されていません。

【スクウェア・エニックス】タイトルごとのガイドライン

「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」を抱えるスクウェア・エニックスは、会社全体としての包括的なガイドラインだけでなく、ゲームタイトルごとに個別のガイドラインを設定しているケースが多いのが特徴です。

例えば、「ドラクエ」シリーズの中でも、ナンバリングタイトルごとに「エンディングの配信は禁止」「この区間まではOK」といった細かい指定がされていることがあります。 「スクエニだから全部OK」と思わずに、必ず「遊ぶそのゲームタイトル」のルールを確認するのが鉄則です。

【Steam】インディーゲームの許可の取り方

Steamで販売されているインディーゲームは、開発者が小規模であるため、大手のような立派なガイドラインページがないことも珍しくありません。

そんなときは、ストアページの説明文をよく読んでみてください。「実況歓迎!」「Monetization allowed」といった記載があればOKです。 もし記載がない場合は、開発者のTwitter(X)や公式サイトの「Press Kit(プレスキット)」を見てみましょう。開発者にとって実況は貴重な宣伝手段なので、基本的には歓迎されることが多いですが、確認せずに配信するのはリスクがあります。不安な場合は、翻訳ツールを使ってでも「配信してもいいですか?」とメールやDMを送ってみるのが一番確実で誠実な方法ですね。

実は配信禁止?気をつけるべき「配信禁止ゲーム」と「禁止区間」

「許可されているメーカーのゲームなら、何を配信してもいい」わけではありません。 中には、メーカーが公式に「このゲームは配信しないでください」とアナウンスしているタイトルや、ゲームの中の一部分だけが禁止されているケースがあります。

配信禁止ゲーム一覧のようなリストを過信しない

ネット上には、有志が作成した「配信禁止ゲーム一覧」や「実況OKリスト」のようなWikiやまとめサイトが存在します。 これらは非常に便利で参考になりますが、情報は必ずしも最新かつ正確とは限りません。昨日まではOKだったのに、今日からNGになったという事例も過去にありました。

あくまで「当たりをつける」ための参考情報として利用し、最終的な裏付け(エビデンス)は必ず一次情報(公式ソース)で取る癖をつけましょう。

ストーリー重視のゲームにおける「ネタバレ禁止区間」

アドベンチャーゲームやミステリーゲームなど、ストーリーの結末を知ってしまうと面白さが損なわれてしまうジャンルの場合、メーカーは「ネタバレ」に非常に敏感です。

そのため、「第○章までは配信OK、それ以降は禁止」「エンディングおよびスタッフロールは配信禁止」といった「配信禁止区間」が設けられていることがよくあります。 最近のゲーム機(PS4/PS5やSwitch)の本体機能を使って配信する場合、禁止区間に入ると自動的に画面が真っ暗になって配信が止まる「録画禁止区間」が設定されていることもあります。しかし、キャプチャーボードを使ってPC経由で配信している場合は、この制限をすり抜けて映せてしまうため、自分で配信を止める配慮が必要です。

ルールを破ってエンディングを流してしまうと、権利侵害の申し立てを受けるリスクが格段に高まります。なにより、これから遊ぼうとしている他のプレイヤーの楽しみを奪うことになりますから、マナーとしても絶対に守りたいですね。

ゲーム内の「音楽」に関する落とし穴

意外と見落としがちなのが、ゲーム内で使われている「音楽(BGM)」の著作権です。 ゲームのBGMには、メーカーが自社で作ったオリジナル曲だけでなく、有名なアーティストの既存曲が使われている場合があります(例:ラジオから流れる洋楽、オープニングテーマ曲など)。

ゲーム自体の配信は許可されていても、その曲の権利は音楽会社が管理しているため、そのシーンが流れた瞬間にYouTubeのAI(Content ID)に検知され、動画がブロックされたり収益化できなくなったりすることがあります。 多くの配信モード搭載ゲームでは、「著作権に関わる曲を自動でミュートにする機能」がついていることもありますので、設定画面をよく確認しましょう。

許可が明記されていない「グレーゾーン」のゲームはどう扱う?

ここまでの確認作業をしても、どうしてもガイドラインが見つからず、問い合わせの返事も来ないゲームに遭遇することがあるかもしれません。 いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる状態です。この場合、どう判断すべきでしょうか。

「書いていない=OK」ではありません

最も危険なのは、「禁止と書いていないから、やってもいいだろう」という解釈です。 冒頭でお話しした通り、著作権法的には「許可がない=原則NG」が基本です。メーカーが単に黙認しているだけ、あるいは気づいていないだけかもしれません。

もちろん、古いレトロゲームなどでは、今の時代にガイドラインを整備すること自体が難しいケースもあります。 多くの実況者が配信しているからといって、自分も安全だという保証はどこにもありません。もしグレーゾーンのゲームを配信する場合は、「いつ削除されても文句は言えない」というリスクを覚悟した上で行う必要があります。 ビジネスとしてチャンネルを成長させたいのであれば、リスクのあるタイトルは避け、ガイドラインが明確なタイトルを選んで活動するのが、長く続けるための賢い戦略と言えるでしょう。

収益化をしないなら大丈夫?

「お金を稼がなければ(広告をつけなければ)怒られないんじゃないか」と考える方もいます。 確かに、営利目的でない方がメーカーからの心証は良い場合が多いですし、ガイドラインでも「非営利ならOK」としているところはあります。

しかし、無許可であることには変わりありません。収益化していなくても、動画自体が削除されるリスクは残ります。 「収益化オフなら何でも許される」というわけではないことを理解しておきましょう。

まとめ:正しい手順で許可を確認し、クリーンな配信活動を

今回は、ゲーム実況を始める前に知っておきたい「許可の取り方」と「ガイドラインの確認方法」について解説しました。 少し難しく感じる部分もあったかもしれませんが、要点を整理するととてもシンプルです。

  1. まずは検索:「ゲーム名 ガイドライン」で検索し、公式サイトのルールを読む。
  2. 内容を確認:個人利用か、収益化はOKか、配信禁止区間はないかをチェックする。
  3. なければ問い合わせ:インディーゲームなどは直接聞いてみる。
  4. 不明なら避ける:リスクを冒してまでグレーなゲームを選ばない。

ゲーム実況は、ゲームの楽しさを多くの人と共有できる素晴らしい文化です。 メーカー側も、ルールを守ってくれる実況者には感謝していますし、お互いにWin-Winの関係を築きたいと願っています。

「バレなきゃいい」ではなく、「堂々と胸を張って配信できる」状態にすることが、あなたのチャンネルの信頼性を高め、結果的にファンを増やすことにも繋がりますよ。 さあ、しっかりとガイドラインを確認したら、安心して録画ボタンを押しましょう。あなたの実況を楽しみにしている人が待っていますよ。

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