日常的なメモ管理に使えるGoogle Keepは、ビジネスの現場でも広く利用されている便利なクラウドメモサービスです。しかし、その使いやすさの裏側には、仕事で使うにはリスクを見落としがちな点がいくつか存在します。特に企業での情報管理やセキュリティを重視する場合、Google Keepの仕組みや注意点を理解せずに使ってしまうと、情報漏洩や業務トラブルの原因にもなりかねません。

この記事では、Google Keepを業務で使う際に知っておきたい危険性とその具体的な対処法、さらにビジネスシーンでの安全な活用術について、初心者にもわかりやすく解説していきます。

Google Keepとは？基本機能とビジネス利用の特徴

Google Keepは、Googleが提供する無料のクラウドメモサービスで、PCやスマートフォン、タブレットからシームレスにメモの作成・編集が可能です。音声入力や画像添付、ラベル分類、リマインダー機能など、多彩な機能を備えており、Googleアカウントと紐づいているため、ログインさえすればどのデバイスからでもアクセスできます。

一方で、そのシンプルな操作性とオープンな共有性は、業務においては“油断”を招く原因にもなります。メモに記録する内容が業務関連であればあるほど、適切な管理と使い方が求められるのです。

セキュリティの盲点：Google Keepは他人に見られる可能性がある

Google Keepの最大のリスクとして挙げられるのが、「共有設定の甘さ」による情報漏えいです。Keepのメモは、他のGoogleアカウントと共有できる機能がありますが、共有範囲を誤ると意図しない第三者にも内容が見られてしまう危険があります。

また、Google Workspaceなどで複数のアカウントを使い分けている企業では、アカウントの切り替え時に共有対象を誤るミスも多発しています。たとえば、個人アカウントで作ったメモを誤って業務用グループに公開してしまうなど、見落としがちな操作がセキュリティリスクに直結します。

このような事態を避けるには、共有前に必ず相手のアドレスを確認し、機密情報はそもそもKeepに書かないという基本方針が重要です。加えて、共有したメモの履歴は定期的に見直し、不要になったものは削除または共有を解除しておきましょう。

パスワードや機密情報の保存は危険：Keepに不向きな用途とは

「とりあえずここにメモしておこう」と、Google KeepにパスワードやID、社内のアクセス情報などを記録してしまっていませんか？これは非常に危険な使い方です。

Google Keepには、パスワードや個人情報を暗号化して保護する仕組みはありません。つまり、Googleアカウントにアクセスできる誰かがいれば、そのメモの中身はそのまま閲覧可能ということになります。特に、スマートフォンのロックが甘い、他人とデバイスを共有しているなどの環境では、情報漏えいのリスクが非常に高くなります。

パスワード管理には、1PasswordやBitwardenなど、専用のパスワードマネージャーを使うべきです。Keepはあくまで“記録”に特化したメモアプリであり、重要情報の保管には適していません。

Google Keepはサービス終了するの？噂の背景と対処法

「Google Keep サービス終了 2024」などの検索ワードが急増した時期がありましたが、2025年6月時点で、Googleから正式にKeepの終了がアナウンスされた事実はありません。

ただし、Googleは過去にInboxやGoogle Readerなど、多くのサービスを突然終了した前例があります。そのため、重要な情報をKeepのみに依存していると、万が一のときにデータを失うリスクがあります。

業務でKeepを使う場合は、定期的なバックアップを取っておくことが推奨されます。Googleドキュメントやスプレッドシートへのエクスポート、またはNotionやOneNoteなどの他ツールと併用する形でリスクを分散するのが賢明です。

Google Keepに保存されたデータの行方：保存先と管理方法

Google Keepに入力されたメモは、Googleアカウントと連携してGoogleのクラウド（Googleドライブ）上に保存されています。ただし、ドライブ上に直接表示されるわけではなく、「Keep専用のクラウド領域」に格納される形式となっています。

これはユーザーにとっては利便性が高い一方で、「どこにデータがあるのか見えづらい」という不安にもつながります。メモの一括管理やバックアップを行いたいときには、KeepのメモをGoogleドキュメントに変換してエクスポートする方法が有効です。

Googleアカウントにログインできなくなった場合、当然Keepのデータも失われる可能性があるため、ログイン情報の管理とアカウントの二段階認証設定は必ず行いましょう。

なぜGoogle Keepが英語になるのか？表示トラブルの原因と解決方法

「突然Google Keepの表示が英語になってしまった」という声も多く見られます。これはアカウントの言語設定や使用しているブラウザの言語設定が影響している可能性が高いです。

設定を確認するには、Googleアカウントの「データとプライバシー」から言語設定を確認し、「日本語」に戻すだけで解消するケースがほとんどです。また、Chromeの設定からも表示言語を確認できます。

英語表記になると業務での使い勝手が落ちるため、早めに設定を確認しておくと安心です。

Google Keepのビジネス活用術：安全に使いこなすための実践ポイント

Keepは軽量かつすぐに使えるメモアプリとして非常に優秀です。特に以下のようなビジネスシーンで活躍します。

• 会議中の発言メモ
• 簡易的なTODOリスト
• アイデアの箇条書き保存
• 商談時のキーワードメモ

ただし、業務システムの中核として使うのではなく、補助的な用途にとどめておくことが重要です。ラベルを活用してメモの分類を整えたり、Googleカレンダーとの連携でリマインダー機能を使ったりすることで、効率的かつ安全な運用が可能になります。

特に社外とのやり取りを含む情報はKeepには残さず、共有が必要な場合はGoogleドキュメントやドライブを使いましょう。

まとめ：便利なKeepも、使い方次第で危険になる

Google Keepは、使い方によっては業務の効率化に大きく貢献する優秀なツールです。しかしその反面、セキュリティの考慮が不足していると、情報漏えいや業務トラブルの火種にもなりかねません。

特に「他人に見られるリスク」「サービス終了の可能性」「保存先の曖昧さ」など、初心者が見落としがちなポイントに注意を払いながら、補助的な業務ツールとして賢く使うことが求められます。

Google Keepを使うなら、情報の機密性に応じた使い分け、共有設定の管理、定期的なバックアップを基本とした運用を徹底しましょう。