面接官の役割は、単に質問をするだけではありません。応募者の能力や適性を見抜き、自社との相性を見極めたうえで適切な判断を下す重要なポジションです。しかし、初めて面接官を任された方や、我流で進めてきた方の中には「これでいいのか?」と不安を抱えている方も少なくないでしょう。この記事では、面接官としての基本的な進行方法から、最初の挨拶、質問の仕方、評価ポイントまで、実践で役立つ具体的な流れをわかりやすく解説します。
面接官の仕事とは何か?役割と心構えを理解する
採用のミスマッチを防ぐ存在
面接官は応募者を評価する「選定者」であると同時に、会社の顔でもあります。そのため、面接時の対応は企業イメージや採用成功率に直結します。質問の仕方ひとつで印象が変わるため、感情や先入観にとらわれず、客観的に人物を見極めるスキルが求められます。
面接官としての心構え
面接官には次のような基本姿勢が求められます。
- 公平性の維持
- 採用要件に基づいた評価
- 応募者への敬意ある態度
この軸を忘れずに進めることが、正しい面接の第一歩です。
面接官の正しいやり方|全体フローの流れをつかむ
面接前の準備が鍵を握る
まず、面接に臨む前に以下の準備をしておきましょう。
- 応募者の履歴書・職務経歴書を熟読する
- 求める人物像(評価基準)を明文化しておく
- 質問項目を事前に用意しておく
準備不足のまま面接に臨むと、評価の軸がブレたり、応募者に不信感を与える可能性があります。
面接当日の基本的な流れ
- 最初の挨拶とアイスブレイク
- 応募者の自己紹介や経歴説明
- 質問フェーズ(業務理解・スキル・志望動機など)
- 応募者からの逆質問
- 終了時の挨拶と今後の連絡についての説明
この流れを把握しておくだけでも、スムーズで信頼性のある面接を実施できます。
最初の挨拶と面接官の印象づくり
冒頭の挨拶が面接全体の空気をつくる
面接は緊張感があるものです。応募者が話しやすくなるよう、冒頭で「本日はお越しいただきありがとうございます」など、丁寧かつ落ち着いた第一声を意識しましょう。面接官の最初の挨拶が、応募者の表情や話しぶりに影響を与えることもあります。
面接官のセリフ例(冒頭)
「本日はお忙しい中、面接のためにお時間をいただきありがとうございます。短い時間ではありますが、○○さんのお人柄やこれまでのご経験についてぜひお伺いできればと思っています。よろしくお願いいたします。」
このように、面接に対する前向きな姿勢と相手を尊重する言葉がけが重要です。
質問のやり方|深掘りするための効果的な問いかけ
基本の質問パターン
- 志望動機
- 今までの経験(成功体験・失敗体験)
- 業務理解度
- 自己評価と課題意識
- 将来のキャリアビジョン
これらは職種や雇用形態に関係なく使える基本質問です。
採用目的別に質問を工夫する
新卒・中途・アルバイト・パートなど、応募者の属性によって質問を変える必要があります。
新卒採用の場合
- 学生生活で取り組んだこと
- チームでの役割と対人関係の経験
- 社会人になる意識と準備
中途採用の場合
- 前職の業務内容とその成果
- 退職理由と応募先の魅力
- 即戦力としてのスキル
アルバイト・パート採用の場合
- シフトや勤務条件への柔軟性
- 接客経験や対人対応力
- 長期勤務への意欲
面接官のやり方として避けたい質問
- 「結婚の予定は?」などプライベートに過度に踏み込む質問
- 圧迫的な言葉や、否定的な反応
- 漠然とした「なんでもいいので自己PRしてください」などの無責任な質問
応募者にとって不快な質問は、企業の印象低下と応募辞退につながるリスクがあります。
面接する側のコツ|評価の偏りを防ぐポイント
評価は「印象」ではなく「行動」で見る
「この人、なんかいい人そう」などの第一印象に流されず、発言の中身や具体的なエピソードに注目します。過去の行動や実績を聞くことで、性格やスキルの再現性を測ることができます。
複数人で面接する場合の役割分担
評価者が複数いる場合は、あらかじめ「スキル評価」「カルチャーフィット」「人柄」など、見る観点を分担しておくと、より客観的な判断ができます。
採用判断と面接後の評価フロー
面接直後の記録が重要
面接が終わった直後に、聞いた内容をベースに簡潔にメモを残しましょう。時間が経つと記憶があいまいになるため、すぐに記録することが正確な評価につながります。
採否の決定と理由づけ
最終的な採用可否の判断では、以下の視点を総合的に評価します。
- スキル・経験のマッチ度
- 企業文化へのフィット感
- コミュニケーション能力
- 成長意欲とキャリアプラン
そして、採用でも不採用でも、「なぜその判断に至ったのか」を自分の中で言語化できるようにしておくと、次回以降の面接にも活かせます。
面接官のやり方を改善するには?振り返りとアップデートが鍵
録音・議事録を活用して自己改善
面接のやり取りを振り返ることで、「もっとこうすればよかった」「この質問が効果的だった」といった改善点が見えてきます。定期的にフィードバックを受ける体制があると、面接スキルの向上が加速します。
面接の型をマニュアル化してチームで共有
属人的な面接ではなく、チーム全体で質を一定に保つためには、評価基準や質問のテンプレート化が効果的です。マニュアルを整備することで、新任面接官や多拠点展開の企業でも安定した面接が可能になります。
まとめ|面接官のやり方を正しく理解して採用成功につなげよう
面接は企業の未来を左右する重要なプロセスです。面接官の正しいやり方を身につけることで、応募者の本質を見抜き、ミスマッチのない採用が実現します。最初の挨拶から質問の組み立て、評価の仕方に至るまで、一貫したプロセスと誠意をもって対応することが、信頼と成果につながります。初めての面接担当者も、今回の内容をベースに「評価できる・伝わる・印象に残る」面接を目指してみてください。