ビジネスや学校生活の中で、会議や行事を欠席するときに使う「欠席させていただきます」。一見、丁寧な表現のようですが、「おかしい」と指摘されることもあります。実際にこの言葉を使うとき、「敬語として正しいのか」「上司や取引先に失礼ではないのか」と不安になる方は多いでしょう。この記事では、「欠席させていただきます」がどのような場面で適切なのか、ビジネスメールの書き方、言い換えや英語表現まで徹底的に解説します。正しい敬語を理解し、どんな場面でも自信を持って伝えられるようにしましょう。
「欠席させていただきます」はおかしい?正しい意味と使い方を理解する
「欠席させていただきます」という言葉は、敬語の中でも特に使い方を誤りやすい表現の一つです。まずはその意味と成り立ちを整理しておきましょう。
「させていただきます」はどういう意味?
「させていただきます」は、「自分の行動に相手の許可や恩恵がある」場合に使う謙譲表現です。つまり、「相手の了承を得て〜する」というニュアンスを含みます。たとえば、「発表させていただきます」や「ご説明させていただきます」は、相手の前で何かを行うことに許可を得た形です。
しかし、「欠席」は相手の了承を得るというより、自分の都合や体調によって決まる「行為の報告」に近いもの。ここが「欠席させていただきますはおかしい」と言われる理由です。
「欠席させていただきます」は本当に間違いなのか?
厳密にいえば、「欠席いたします」や「欠席いたしますことをご了承ください」がより適切です。なぜなら、「欠席」は相手の許可を前提とした行為ではないからです。
ただし、現代のビジネス現場では、「欠席させていただきます」も十分に一般化しています。特に柔らかい印象を与えたいときや、あらかじめ承認を得ている場面(例:上司に相談して欠席を決めた後の報告など)では、問題なく使用できます。
正しい使い分けの基準
- 自分の都合で欠席を伝える場合:
→「欠席いたします」が自然。 - 相手に了承を得て欠席する場合:
→「欠席させていただきます」も可。 - カジュアルな社内チャットなど:
→「今回は欠席します」で十分。
つまり、「させていただく=相手に迷惑をかけるが了承を得た上で」というニュアンスを意識して使うのがポイントです。
「欠席させていただきます」を使った正しいビジネスメール例文
メールで欠席を伝える場合、文の構成と敬語のトーンが非常に重要です。相手に不快感を与えず、事情が伝わる形に整えることが大切です。
社外への欠席メール例文
件名:会議欠席のご連絡(株式会社ロロント・新田)
本文:
株式会社〇〇
営業部 △△様
お世話になっております。ロロント株式会社の新田でございます。
誠に恐縮ですが、〇月〇日に予定されております定例会議につきまして、
都合により欠席させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、議事録を拝見し、内容を確認のうえ後日ご連絡いたします。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
ロロント株式会社
新田めぐみ
ここでは「欠席させていただきます」を使っても自然です。なぜなら、相手に了承を得る形(=会議に出ないことを伝え、理解を求める文脈)になっているからです。
社内メールの例文
件名:明日の定例ミーティング欠席のご連絡
本文:
お疲れさまです。マーケティング部の新田です。
明日の定例ミーティングですが、外出予定のため欠席いたします。
必要事項はSlackに共有済みです。よろしくお願いいたします。
社内であれば「いたします」だけでも十分です。過剰にかしこまると、逆に距離を感じさせてしまいます。
体調不良による欠席メール例文
件名:本日の会議欠席のご連絡(体調不良のため)
本文:
お世話になっております。営業部の新田です。
本日は体調不良のため、会議を欠席させていただきます。
急なご連絡となり申し訳ございません。
復帰次第、資料内容を確認のうえ、改めてご報告いたします。
体調不良の場合は、「させていただきます」でも問題ありません。体調に関する欠席は相手の理解を求める意味合いが強いため、柔らかく聞こえるこの表現が適しています。
「欠席させていただきます」の敬語を分解して理解する
正しい使い方を身につけるには、敬語の構造を理解するのが一番です。ここでは、「欠席させていただきます」の敬語を文法的に整理します。
「欠席する」+「させていただく」+「ます」
- 「欠席する」:基本動詞
- 「させていただく」:謙譲語+恩恵表現(相手の許可を前提)
- 「ます」:丁寧語
つまり、「欠席させていただきます」は「欠席することを相手に許可してもらう」ニュアンスです。そのため、単に「欠席いたします」と言うよりも、柔らかく聞こえる一方で、状況によっては「不自然」と受け取られることがあります。
敬語として自然な言い換え例
- 「欠席いたします」:最も無難で汎用的。
- 「欠席の旨をご報告申し上げます」:フォーマルな通知文に向く。
- 「今回は都合により参加を見送らせていただきます」:やわらかく遠回しな表現。
- 「出席できず申し訳ございません」:謝罪を強調したいとき。
言葉の選び方で印象は大きく変わります。社外・社内・上司・顧客といった立場の違いによって調整することが大切です。
「欠席させていただきます」の言い換えフレーズとシーン別の使い分け
ビジネスシーンでは、欠席を伝えるときの言い方ひとつで印象が変わります。ここでは、「欠席させていただきます」の言い換え表現を、シーンごとに紹介します。
フォーマルな場面(取引先・上司宛て)
- 「今回は都合により参加を見送らせていただきます」
- 「あいにく当日は別件のため、出席がかないません」
- 「誠に恐縮ですが、今回は欠席のご連絡を申し上げます」
これらは、相手への配慮が伝わる言い回しです。特に「見送らせていただきます」は、欠席=断りをやわらかく伝える表現として重宝します。
カジュアルな社内連絡
- 「今回は参加できません」
- 「別件対応のため欠席します」
- 「次回は出席しますので、資料共有をお願いします」
社内では過剰な敬語よりも、簡潔さと迅速さが優先されます。過度に「欠席させていただきます」を使うと、やや堅苦しく感じられることもあるので注意しましょう。
学校・PTA・社外行事などのフォーマルな案内返信
- 「欠席いたします」
- 「都合がつかず失礼いたします」
- 「出席できず申し訳ございません」
学校や地域の行事など、公的文書に近い場面では、シンプルな「欠席いたします」で十分です。
「欠席させていただきます」の英語表現とメールでの伝え方
海外とのやり取りや国際的なミーティングでは、英語での欠席連絡も必要になります。「欠席させていただきます」にあたる英語表現をいくつか紹介します。
基本表現
- I will not be able to attend.(出席できません)
- I’m afraid I will be absent from the meeting.(残念ながら欠席いたします)
- Please excuse my absence.(欠席をご容赦ください)
どれもシンプルですが丁寧な言い回しです。ビジネスメールでは、理由を添えることで誠意が伝わります。
例:
「I’m afraid I will not be able to attend tomorrow’s meeting due to another appointment. Thank you for your understanding.」
(別の予定のため、明日の会議を欠席いたします。ご理解のほどお願いいたします。)
丁寧に伝えたいときの一文
- I would appreciate your understanding regarding my absence.
(欠席についてご理解いただけますと幸いです。)
このように、英語でも「理解を求める」姿勢を示すことで、柔らかい印象を与えることができます。
「欠席させていただきます」は体調不良のときにも使える?
体調不良で休む場合、「欠席させていただきます」は自然に使える表現です。
このとき大切なのは、相手への気遣いと復帰後の対応を明確にすることです。
体調不良のときの使い方例
「体調不良のため、本日の研修を欠席させていただきます。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。」
このように理由を明示し、誠実なトーンで伝えることで、相手も安心します。
また、「早めにご連絡差し上げます」「復帰後に内容を確認いたします」といったフォロー文を添えると、社会人としての信頼感が高まります。
「欠席させていただきます」を使うときに注意すべき3つのポイント
- 相手の了承を得る文脈で使う
→ 許可を求めるニュアンスが含まれるため、一方的な報告には不向き。 - 相手や場面によってトーンを変える
→ 社内外・上司・取引先などで言葉を調整。 - 「おかしい」と言われないように根拠を持つ
→ 正しい敬語知識をもって使えば、安心して使える。
まとめ
「欠席させていただきます」は、使い方を理解すれば非常に丁寧で好印象な表現です。
ただし、すべての場面に万能ではなく、「許可を得て欠席する」文脈で使うのが自然です。
社外メールでは柔らかく丁寧に、社内連絡ではシンプルに伝える。そのバランスが大切です。
また、英語や学校行事など、文脈ごとの言い換えも押さえておくと、あらゆる場面で対応できます。
言葉の印象は、あなたの信頼や人間関係を左右する要素の一つです。
丁寧すぎず、冷たすぎず、適切な敬語で「伝わる欠席連絡」を心がけましょう。




























