ビジネスメールで「行ってらしてください」と書くのは正しいのか、不安に感じたことはありませんか?
一見、丁寧に聞こえるこの表現ですが、実は使い方を誤ると違和感を与えてしまうケースがあります。
この記事では、「行ってらしてください」「お気をつけて行ってらしてください」などの敬語の正しい使い方と、上司・取引先・社外メールでの適切な言い換え表現を徹底解説します。さらに、出張や営業同行などの具体的な場面別に例文も紹介し、言葉選びで印象を上げる方法を紹介します。
「行ってらしてください」は正しい敬語?意味と使われ方を整理
まず最初に確認しておきたいのは、「行ってらしてください」という言葉がそもそも敬語として正しいのかどうかです。見た目は丁寧ですが、日本語としてやや不自然な組み合わせになることもあります。
「行ってらっしゃい」と「行ってらしてください」の違い
日常的な挨拶で使われる「行ってらっしゃい」は、相手が出かける際に「いってらっしゃる(行くの尊敬語)」を短縮した言葉です。
一方、「行ってらしてください」は「行って(動作)+らっしゃい(尊敬語)」の形をさらに丁寧にしようとして作られた表現ですが、厳密には文法的な正確さよりも響きの柔らかさを優先した言い回しです。
つまり「完全な誤り」ではないものの、**正確な敬語としては「行っていらしてください」や「お気をつけて行ってください」**のほうが自然です。
「行ってらしてください」がよく使われるシーン
実際には、以下のような状況で使われることが多いです。
- 出張や営業で外出する上司・同僚への声かけ
- お客様が会社を後にするときの挨拶
- 社内メールで出張報告の前後に添える言葉
- ホスピタリティを重視した接客・サービス現場
たとえば社内で「お気をつけて行ってらしてください」と伝えるのは柔らかく、相手への気遣いが感じられる表現です。ただし、文書やメールでは「行っていらしてください」などに置き換える方がより正確でフォーマルです。
「行ってらしてください」の敬語としての位置づけと文法解説
「行ってらしてください」は口語的には一般化していますが、文法的にはやや特殊です。ここでは、正しい敬語表現との違いを整理しておきましょう。
文法的な正しさで見ると…
- 正:行っていらしてください(「行く」の尊敬語「いらっしゃる」を使用)
- 略:行ってらしてください(話し言葉で略された形)
- 丁寧:お気をつけて行ってください(相手の動作に敬意+配慮)
つまり、「行ってらしてください」は「行っていらしてください」の省略形であり、口語的には成立します。
ただし、書き言葉・ビジネスメールでは略さずに「行っていらしてください」や「お気をつけて行ってください」を使うのが望ましいです。
敬語の階層イメージ
| 表現 | 敬意レベル | 使用シーン |
|---|---|---|
| 行ってきてください | 丁寧語 | 同僚・後輩など社内カジュアル |
| 行っていらしてください | 尊敬語 | 上司・取引先など社外向け |
| お気をつけて行ってください | 尊敬+気遣い | 出張・外出時などフォーマル |
| 行ってらしてください | 丁寧口語 | 会話で柔らかく伝えたいとき |
このように、使い分けのポイントは「誰に」「どんな場面で」伝えるか。社内の軽い挨拶なら自然に聞こえますが、外部メールでは控える方が無難です。
ビジネスメールでの「行ってらしてください」の正しい使い方
では実際にビジネスメールで「行ってらしてください」を使う場合、どんな文面にすればよいのでしょうか。
ここでは、出張・営業・研修などの具体的な場面に分けて例文を紹介します。
出張前のメールで使う場合
社外の人や上司に対しては、少しフォーマルな言い回しを選ぶことが大切です。
例文1:上司への社内メール
件名:出張のご出発について
本日はご出張とのこと、どうぞお気をつけて行っていらしてください。
成果を楽しみにしております。
お戻りになられましたら、ぜひお話を伺わせてください。
このように、「お気をつけて行っていらしてください」は柔らかく、同時に敬意も伝わります。
「行ってらしてください」よりも一段上の丁寧さがあります。
例文2:取引先へのビジネスメール
件名:本日のご移動につきまして
○○株式会社 △△様
本日はご出張とのこと、どうぞお気をつけて行ってください。
天候も不安定とのことですので、くれぐれもご無理のないようお過ごしください。
今後ともよろしくお願いいたします。
「お気をつけて行ってください」は、尊敬+配慮のニュアンスがあり、目上にも失礼なく使えます。
「お気をつけて行ってらしてください」と「気をつけて行ってください」の違い
ビジネスメールでは、似たようなフレーズの使い分けが重要です。
「お気をつけて行ってらしてください」と「気をつけて行ってください」では、どちらがより丁寧でしょうか?
「お気をつけて行ってらしてください」=柔らかく気遣いを込めた表現
「お気をつけて行ってらしてください」は、語感が穏やかで、親しみやすい印象を与えます。
同僚や親しい上司、社内メールなどに適しています。
例文:
本日は遠方への出張とのこと、どうぞお気をつけて行ってらしてください。
お戻りをお待ちしております。
「お気をつけて」というクッションがあることで、形式的すぎず人間味のある表現になります。
「気をつけて行ってください」=ややシンプルな丁寧語
「気をつけて行ってください」は文法的にも自然で、敬語としても問題ありません。
ただし、ややストレートで硬い印象になることもあるため、メール文では前後に一文添えるとより好印象です。
例文:
ご出張お疲れさまです。
どうぞお気をつけて行ってください。無事のご帰社をお祈り申し上げます。
「楽しんで行ってらしてください」は使える?カジュアルとの境界線
プライベートな会話や親しい社内メンバーには「楽しんで行ってらしてください」もよく使われます。
ただし、ビジネスではTPOを考慮することが大切です。
フォーマルな場面では避けるのが無難
「楽しんで行ってらしてください」はポジティブで柔らかい響きがありますが、
“仕事を楽しむ”という表現が不適切な場面もあります。
たとえば、葬儀や視察、公式な行事への出張などでは使わないようにしましょう。
カジュアルな場面では効果的
一方、研修旅行や社員イベントなどでは、好印象な言葉として使えます。
例文:
本日は研修旅行とのこと、どうぞ楽しんで行ってらしてください。
たくさんの学びと交流の機会になることを願っています。
“楽しんで”を入れることで、親しみや温かみが伝わるのがこの表現の魅力です。
「行っていらしてください」と「行ってらしてください」の違いと使い分け
この2つはよく混同されますが、文法的には明確な違いがあります。
- 「行っていらしてください」=「行く」の尊敬語(正式)
- 「行ってらしてください」=省略形(口語的・やや柔らかい)
したがって、フォーマルなメールでは「行っていらしてください」が最適です。
「行ってらしてください」は社内会話など、話し言葉として使うのが自然です。
「気をつけて行ってらっしゃい」は敬語として使える?
「気をつけて行ってらっしゃい」はごく一般的な挨拶ですが、目上の人にはややカジュアルです。
尊敬語ではあるものの、「〜らっしゃい」が日常語化しているため、ビジネス上では略式表現とされています。
より丁寧に言い換えるなら
- 「お気をつけて行ってください」
- 「どうぞご無理のないように行ってらしてください」
- 「道中お気をつけて」
このように言い換えると、ビジネスでも自然な敬意が伝わります。
英語で「行ってらしてください」を伝えるフレーズ
外資系企業や海外出張のシーンでは、英語で同様のニュアンスを伝えることもあります。
単純に直訳せず、「気遣い」「安全」「応援」の意味を含めた表現を選ぶのがポイントです。
- Take care and have a good trip.(お気をつけて、良い旅を)
- I hope you have a safe and pleasant trip.(安全で快適なご出張になりますように)
- Enjoy your business trip.(ご出張を楽しんでください)
フォーマルなメールでは “Please have a safe trip.” が最も汎用的です。
まとめ:自然で丁寧な「行ってらしてください」の使い方を身につけよう
「行ってらしてください」は、口語では柔らかく感じの良い言葉ですが、
ビジネスでは「行っていらしてください」や「お気をつけて行ってください」に言い換えることでより正確で上品になります。
ポイントを整理すると:
- 「行ってらしてください」は口語的で社内向け
- フォーマルには「行っていらしてください」が正解
- メールでは「お気をつけて行ってください」が自然
- 「楽しんで行ってらしてください」はカジュアルな場面限定
- 英語では “Have a safe trip.” が最適
言葉遣いは印象を左右します。
日常の挨拶ひとつでも、相手の立場を想いながら言葉を選ぶことで、ビジネスコミュニケーションの質がぐっと上がりますよ。




























