ビジネスメールでは丁寧さが求められる場面が多く、「〜となっております」という表現はその代表格です。しかし、適切に使わないと回りくどく感じられたり、意味が曖昧になる恐れがあります。本記事では、「となっております」の意味や言い換え方、間違いやすい使い方との違いを踏まえながら、信頼を得るためのビジネス表現を解説します。
「となっております」の意味とビジネス上の役割
敬語としての基本的な意味
「となっております」は「〜です」「〜になっています」の丁寧な言い換えにあたります。「会場は○○でございます」や「本日は休業日となっております」など、柔らかく状況を伝えるために使われます。
「になっております」との違い
「になっております」は状態や変化を示すときに使われますが、文章によっては「となっております」に比べてやや口語的で軽い印象を与えることがあります。ビジネスの場面では、丁寧な印象を重視するため「となっております」がよく使われます。
「となっております」の言い換えパターンと使い分け
「〜でございます」
もっとも丁寧かつ直接的な表現です。会話やメールの文末で相手に印象を残したいときに有効です。
例:「ご予約は○○日○○時でございます」
「〜となります」
ややカジュアルな印象を与える表現です。口頭での案内や、ビジネスカジュアルな社内メールなどで使いやすい形です。
例:「今月の納期は30日となります」
「〜とさせていただきます」
敬意を強調したい場合に適しています。何かを決定した際に使うことで、相手に配慮している印象を与えられます。
例:「今回は○○での開催とさせていただきます」
よくある誤用と注意点
「となっております」「になっております」の誤用例
間違いやすいポイントとして、「〜になっております」を形式的に使ってしまうケースが挙げられます。たとえば「会議は10時になっております」は文法上間違いではありませんが、かしこまった表現が必要な場面では「となっております」に置き換えたほうが無難です。
「予定となっております」は失礼?
「〜の予定となっております」は、予定が確定していない印象を与える場合があります。確定事項であれば「〜でございます」や「〜と決定しております」と表現したほうが正確で信頼性の高い印象になります。
ビジネスメールでの応用例
相手に配慮するメール文例
「現在、在庫切れとなっております。次回の入荷は○○日を予定しております。」
このような文面では、「となっております」によって過度な謝罪にせず、事実を丁寧に伝える印象になります。
誤解を避けるための表現例
「ご案内したスケジュールに変更が生じたため、最新の予定は下記の通りとなっております。」
一見当たり障りない表現ですが、「変更いたしました」「変更がございました」とすることで、能動的に対応している印象を与えることもできます。
「となっております」の敬語的な位置づけ
尊敬語でも謙譲語でもない「丁寧語」
「〜となっております」は丁寧語に分類されます。相手への敬意は伝わりますが、地位や立場に関係なく誰に対しても使える表現であるため、上司・取引先にも無難に使用できます。
より印象を良くする言葉選び
同じ意味でも「〜でございます」「〜といたしております」などに変えることで、文脈や相手に合わせた丁寧さを調整することが可能です。
言葉選びは信頼構築の第一歩
ビジネスメールでは、伝えたい内容以上に「どう伝えるか」が信頼に直結します。特に、やりとりが文章に限られるメールでは、「となっております」のような定型表現に頼るだけでなく、状況や関係性に応じて一歩踏み込んだ言葉選びが求められます。
まとめ
「となっております」は、ビジネスにおける定番表現でありながら、適切な場面での使い方を間違えると相手に違和感を与えることもあります。意味やニュアンスを理解した上で、「言い換え」の引き出しを増やし、相手に配慮したスマートな表現を選べるようにしておくことが、信頼されるビジネスパーソンへの第一歩です。