業務で使うパソコンのデータを丸ごと移行したい、SSDを交換したい、でもトラブルなく確実にクローンしたい——。
そんな時に役立つのが「Acronis True Image for Sabrent」です。SabrentのSSDを購入した人なら無料で利用できるこのソフトは、バックアップとクローン作成に特化した信頼性の高いツールです。しかし実際のところ「使い方がわからない」「クローンが進まない」「起動しない」などの悩みを抱える人も少なくありません。
この記事では、業務PCを安全かつ効率的にクローンするための手順から、トラブル時の原因と対処法、日本語化設定までをわかりやすく解説します。IT担当者やビジネスユーザーが“現場で役立つノウハウ”としてすぐ活用できるよう、実践的な情報をまとめました。
Acronis True Image for Sabrentとは何かをわかりやすく解説
まずは、「Acronis True Image for Sabrent」とはどんなソフトなのかを整理しましょう。
Acronis True Imageは、世界的に知られるバックアップソフト「Acronis」が開発したツールで、SabrentのSSD購入者向けに無償提供されている特別版です。主に以下の2つの機能で使われます。
- ディスククローン:既存のHDDやSSDの中身をそっくりそのまま別のドライブへコピーする
- バックアップ:システムやファイルをイメージ化して保存し、万が一の障害時に復元できる
このソフトの魅力は、操作画面がシンプルで直感的なこと。
しかし、英語表記のまま導入してしまうと設定で迷うことが多く、「日本語化できない」「クローンが途中で止まる」といった声も多く聞かれます。
そのため、正しいダウンロード手順・環境準備・手順通りの設定が非常に重要です。
Acronis True Image for Sabrentを使いこなせると、社内のPC入れ替え作業やデータ保全業務の効率が格段に上がります。
例えば、部署全体で使っているノートPCをSSD換装する場合も、1台ずつ環境を再構築する手間が省け、数時間の作業が数十分に短縮されることも珍しくありません。
Acronis True Image for Sabrentのダウンロード方法とインストール手順
Sabrent公式サイトから安全にダウンロードする
Acronis True Image for Sabrentは、Acronis社のサイトではなくSabrent公式サイトからダウンロードします。
以下の手順で進めるのが最も安全で確実です。
- Sabrent公式サイト(https://www.sabrent.com/)にアクセス
- ページ下部の「Support」から「Downloads」を選択
- 「Acronis True Image for Sabrent」をクリック
- シリアル番号入力(SSD本体またはパッケージ記載の番号)
- ダウンロードリンクが表示されたらインストーラーを取得
インストール前に、必ずSabrent製SSDをPCに接続しておく必要があります。接続されていないと、ライセンス認証が行えず「この製品を使用できません」と表示されてしまいます。
インストール時の注意点
- ウイルス対策ソフトを一時的に停止する
→ 一部のセキュリティソフトがAcronisのシステムファイルをブロックするケースがあります。 - SSDの接続ポートを確認
→ USB接続の場合はUSB3.0以上を推奨。転送速度が遅いと「進まない」トラブルの原因になります。 - 管理者権限で実行
→ Windowsの右クリックメニューから「管理者として実行」を選択してインストールします。
セットアップが完了したら、PCを再起動しましょう。再起動後にAcronisを開くと、ライセンスが自動的に有効化されているはずです。
Acronis True Image for Sabrentの日本語化設定と初期設定の流れ
Acronis True Image for Sabrentは、初期状態では英語表記です。業務で複数台を扱う場合、設定ミスを防ぐためにも日本語表示に切り替えておくのがおすすめです。
日本語化の手順
- Acronisを起動
- メニュー左下の「Settings」をクリック
- 「Language」項目を開く
- プルダウンメニューから「日本語(Japanese)」を選択
- 「Apply」をクリックして再起動
これで全メニューが日本語化されます。
ただし、一部のSabrent専用版では日本語リソースが正しく読み込まれないことがあり、その場合はAcronis公式の多言語パックを手動導入する必要があります。
初期設定のポイント
- バックアップ先の確認:社内NASや外付けHDDなど、保存先を事前に決めておく
- スケジュール設定:業務時間外(例:深夜帯)に自動バックアップを設定すると業務効率が向上
- イメージファイルの保存形式:「.tib」形式を選択しておくと、復元時の整合性が高い
この初期設定を丁寧に行っておくことで、後々のトラブルや復元ミスを防ぐことができます。
Acronis True Image for Sabrentでクローンを作成する方法
Acronis True Image for Sabrentの最もよく使われる機能が「クローン作成」です。ここでは、業務PCのデータを丸ごとSSDに移行する標準的な手順を紹介します。
クローン作成の手順
- Acronisを起動
- ホーム画面の「ツール」から「ディスクのクローン」を選択
- クローンモードを「自動(Automatic)」に設定
- コピー元ディスク(例:Cドライブ)を選択
- コピー先ディスク(Sabrent SSD)を指定
- 内容を確認して「実行」をクリック
進行状況バーが表示され、クローンが始まります。
完了までの時間はディスク容量や接続速度により異なりますが、一般的なオフィスPC(500GB前後)であれば30〜60分ほどです。
注意すべきポイント
- クローン中はPCを絶対にスリープさせない
- 他のUSB機器を抜くことでエラーを回避できる
- コピー先のSSDは容量が同等以上であることが条件
もし「進まない」「途中で止まる」という現象が起きた場合は、後述のトラブルシューティングを参考にしてください。
クローン作成が進まない・止まる時の原因と対処法
Acronis True Image for Sabrentで最も多いトラブルが、「進まない」「途中でフリーズする」というケースです。業務時間中にこれが起きると復旧に時間がかかるため、原因を正しく切り分けることが大切です。
主な原因
- SSDやHDDのエラーセクタ:コピー元のドライブに不良領域がある
- USB接続の不安定:SATA→USB変換ケーブルが劣化している
- セキュリティソフトの干渉:Acronisのシステムアクセスをブロックしている
- ディスク構成の不一致:GPT/MBRのフォーマットが異なる
対処法の例
- ドライブエラーチェックを実施
Windowsの「chkdsk」コマンドを使って、コピー元ドライブの不良セクタを修復します。 - 別のUSBポート・ケーブルを使用
特にフロントパネルのUSBポートはノイズが多く、安定性が低い傾向があります。 - ウイルス対策を一時停止
クローン中のみ一時的にオフにすることで、アクセス制限の干渉を防げます。 - Acronisのブータブルメディアで実行
Windowsを起動せずにクローンできるため、システムファイル使用中によるエラーを回避できます。
特に業務用PCでは、ウイルス対策やセキュリティ管理ソフトが常駐しているため、ブータブルメディア経由のクローンが最も安定します。
クローン作成後に起動しない時の確認ポイント
クローン自体は完了したのに、新しいSSDで起動しないというトラブルも多く報告されています。
その場合は、以下の項目を順に確認してください。
- BIOS設定の起動順序:新しいSSDが最優先になっているか
- 旧ディスクが同時接続されていないか:2台同時だと誤認識することがあります
- UEFI/レガシーモードの設定:コピー元とコピー先でブートモードが異なると起動しません
- クローン方式が「セクター単位」になっているか:ファイル単位コピーだとシステム領域が欠けます
これらを確認しても改善しない場合は、Acronisの「復元メディア」を作成して再構築を行うと復旧できるケースがあります。
まとめ:Acronis True Image for Sabrentを使いこなせば業務効率が格段に上がる
Acronis True Image for Sabrentは、Sabrent SSDを業務利用する上で非常に強力なツールです。
バックアップの自動化、PCクローンの高速化、トラブル時の復元までを一括で管理できるため、IT部門だけでなく一般社員でも安心して扱えます。
この記事の要点を整理すると次の通りです。
- Sabrent公式サイトからダウンロードし、SSD接続状態で認証する
- 日本語化設定と初期設定を済ませてからクローン作成に入る
- クローンが進まない場合は接続・フォーマット・セキュリティ設定を確認
- 起動しない場合はBIOS設定やUEFIモードをチェック
クローンやバックアップ作業は「難しそう」と感じがちですが、正しい手順を踏めば誰でも安定して使えます。
特に複数台の業務PCを管理する企業や、自社のIT担当者が少ない中小企業にとって、Acronis True Image for Sabrentは「時間を生み出すツール」と言っても過言ではありません。
トラブルを恐れず、まずはテスト環境で1台分のクローンを作ってみる。
その成功体験が、あなたのチーム全体の業務効率化の第一歩になるはずです。




























