パソコンを自作したものの、「OSを入れようとしてもうまくいかない」「Windows11をUSBから入れても途中で止まる」──そんな経験はありませんか?
実は、OSインストールは自作PCの中でもつまずきやすい工程です。しかし正しい手順と設定を押さえておけば、業務用マシンとしても安定した環境を構築できます。
この記事では、Windows11を中心に、自作PCへのOSインストールの方法・USBメディア作成の手順・インストールできない時の原因と対処法・無料OSの選択肢・ライセンスの注意点までをすべて網羅します。
IT担当者や業務用PCを構築する人にとって、OS導入の基礎からトラブル解決まで一気に理解できる保存版マニュアルです。
Windows11を自作PCにインストールする前に準備すべきもの
自作PCのOSインストールをスムーズに進めるには、事前準備が8割です。
OSインストール前の段階で必要なものをそろえておかないと、途中でエラーが発生したり、インストールが進まなかったりします。
1. OSインストール用のUSBメディアを準備する
Windows11をインストールする場合は、Microsoft公式サイトのメディア作成ツールを使うのが最も確実です。
16GB以上のUSBメモリを用意し、以下の手順でインストール用メディアを作成します。
- Microsoft公式サイトにアクセス
- 「Windows11のインストールメディアを作成する」をクリック
- 「ツールを今すぐダウンロード」を選択
- ダウンロードしたツールを実行し、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択
- USBドライブを選び、Windows11のデータを書き込む
このUSBが、後ほどOSインストール時に使う「起動ディスク」となります。
2. Windows11のライセンスキーを用意する
Windows11を正規利用するには、ライセンスキーが必要です。
業務用途では特に、ボリュームライセンス契約やOEMライセンスの扱いを誤ると法的トラブルにつながることがあります。
ライセンスの種類を整理しておきましょう。
- DSP版:特定のPCに紐づく。自作PCに最も一般的。
- OEM版:メーカーPC専用。別マシンに移行不可。
- リテール版(パッケージ):他PCへの移行が可能。業務用にはこちらが安全。
自作PCであっても業務用途で使う場合は、ライセンスの使い回しはNGです。後ほど詳しく解説します。
3. BIOS設定を確認する
マザーボード(特にASRockなど)を使う場合、BIOS設定を誤るとインストールが進みません。
BIOSとは、PCの基礎動作を司る設定画面のことです。電源を入れた直後に「Delete」キーを押すと開けます。
以下をチェックしてください。
- Boot Modeを「UEFI」に設定
- Secure Bootを有効化(Windows11要件)
- TPM(Trusted Platform Module)2.0が有効になっているか
TPM2.0が無効だと、Windows11のインストール画面で「このPCではWindows11を実行できません」と表示されます。
ASRockマザーボードの場合、「Advanced」タブ → 「Security」 → 「Trusted Computing」で設定可能です。
自作PCにUSBからWindows11をインストールする正しい手順
準備が整ったら、いよいよ実際のインストール作業です。
USBからOSを入れる手順はシンプルですが、BIOS設定やディスクフォーマットを誤るとインストールが途中で止まることがあります。ここでは、確実に進めるための流れを解説します。
1. USBメディアを挿して起動順序を変更する
まず、作成したインストール用USBをPCに差し込み、BIOSを開きます。
次に、起動順序(Boot Priority)を「USBドライブ」を最上位に変更します。
これを設定しないと、内蔵ストレージから起動してしまい、インストーラーが立ち上がりません。
ASRockマザーボードの場合は以下の手順が一般的です。
「Boot」タブ → 「Boot Option #1」でUSBを選択 → F10キーで保存して再起動。
再起動後に「Press any key to boot from USB」と表示されたらEnterを押します。
2. インストールウィザードに従う
Windows11のセットアップ画面が起動したら、言語・地域・キーボード設定を選び、「今すぐインストール」をクリックします。
ライセンスキーの入力画面が表示されたら、手元のキーを入力するか、「プロダクトキーがありません」を選択して後から入力も可能です。
その後、インストール先ディスクの選択画面になります。ここで注意すべきは、既存のパーティションを削除すること。
以前に何かしらのOSが入っていた場合、不要な領域が残っているとエラーが出ることがあります。
削除したら「未割り当て領域」が表示されるので、そのまま選択して「次へ」をクリックします。
3. 自動再起動後の初期設定
インストールが進むと数回の再起動が行われます。
再起動後に「地域の設定」「ネットワーク接続」「Microsoftアカウントログイン」などの初期設定を行います。
業務用PCの場合は、個人アカウントではなく「職場または学校アカウント」でのログインを推奨します。
これにより、社内のMicrosoft365やOneDrive、Teamsなどのサービスと連携しやすくなります。
Windows11のインストールができない時の原因と対処法
「インストールが途中で止まる」「エラーコードが出る」「USBを認識しない」──自作PCでは、OSインストールがスムーズに進まないこともよくあります。
ここでは、代表的なトラブルと解決策を紹介します。
1. USBメディアを認識しない場合
USBが認識されない原因は、大きく分けて2つあります。
- USBポートの相性:USB3.0ポートが一部のマザーボードで認識されにくい
- メディア作成時の不備:メディア作成ツールで正常に書き込めていない
対処法としては、USB2.0ポートに差し替えるか、別のUSBで再作成するのが効果的です。
また、BIOS設定で「CSM(Compatibility Support Module)」を有効にすると認識するケースもあります。
2. 「このPCではWindows11を実行できません」と表示される場合
これは、TPM2.0またはSecure Bootが無効になっているのが原因です。
ASRockマザーボードなら、BIOSの「Security」タブでTPMを「Enabled」に変更し、さらに「Secure Boot」をオンに設定します。
一部の古いCPU(第6世代以前)では、そもそもWindows11の要件を満たさない場合があります。その場合は、Windows10を入れてからアップグレードする方法も選択肢になります。
3. インストール途中で進まない・フリーズする場合
インストール中に進行バーが止まる場合は、以下を疑ってください。
- SSDまたはHDDに不良セクタがある
- メモリが不安定(OC設定が原因)
- BIOSバージョンが古く、UEFI対応が不完全
まずは別のSSDを接続して検証し、問題なければ元のSSDに「Diskpart」でクリーンインストールを試みます。
メモリのOCを解除(自動設定に戻す)することでも安定するケースがあります。
BIOSが古い場合は、ASRock公式サイトから最新版にアップデートしておきましょう。
無料OSを使って自作PCを構築する選択肢と注意点
Windowsだけでなく、無料で使えるOS(オペレーティングシステム)もあります。
特にテスト環境やサーバー用途、軽量な業務端末に導入する場合、Linux系OSが有効です。
よく使われる無料OSの例
- Ubuntu(ウブントゥ):最も一般的な無料OS。UIがわかりやすく、Office互換ソフトも標準搭載。
- Fedora:最新技術を早く試せる。開発者や研究職向け。
- Linux Mint:Windowsライクな見た目で、初心者にも扱いやすい。
無料OSはライセンス費用がかからないため、教育機関や小規模事業所では導入コストを大幅に削減できます。
ただし、Windows専用アプリを業務で使う場合は互換性が課題となるため、業務PC全体を置き換えるよりも、サブ機としての利用がおすすめです。
Windowsライセンスを使い回すことのリスクと正しい管理方法
自作PCユーザーの中には、「前のPCのプロダクトキーを使い回しても問題ないのでは?」と思う人もいます。
しかし、ライセンスの種類によっては再利用が認められないケースが大半です。
ライセンスの使い回しがNGな理由
Microsoftの利用規約では、DSP版やOEM版のライセンスは初回認証されたマシンにのみ有効と明記されています。
そのため、自作PCを組み直した場合やマザーボードを交換した場合、新しいライセンスが必要になります。
企業利用でこれを誤ると、ライセンス監査で指摘を受けるリスクがあります。
安全に運用するためのポイント
- ライセンス台帳を作成し、管理者が一元管理する
- 業務用はリテール版(パッケージ版)を優先的に導入
- Microsoft365管理画面からデバイス紐づけを定期確認
特に複数のPCを運用する企業では、ライセンス管理をExcelなどで台帳化しておくことが大切です。
まとめ:OSインストールの正しい知識が業務効率化の第一歩
自作PCのOSインストールは、一見難しく感じるかもしれません。
ですが、事前準備・正しい手順・BIOS設定を理解しておけば、誰でも安定した環境を構築できます。
この記事で紹介した要点をまとめると次の通りです。
- USBメディアを使えば誰でもWindows11をインストール可能
- TPM2.0・Secure Boot・UEFI設定が成功のカギ
- インストールが進まない時はUSB・SSD・メモリ・BIOSを順に確認
- 無料OSを活用すればコスト削減も可能
- ライセンスの使い回しは避け、正規ライセンスを管理することが重要
正しい手順でセットアップした自作PCは、既製品よりも柔軟で、業務環境に最適化できます。
業務効率を高めたい企業にとって、OSインストールは単なる初期設定ではなく、生産性を左右する基盤づくりの工程です。
今日から自作PCを正しく構築し、快適な業務環境を手に入れてください。




























