ビジネス文書や請求書などを共有するときに、突然「.xps」という拡張子のファイルが届いて開けなかった経験はありませんか?
以前はWindowsの標準機能として使われていた「XPSビューアー」ですが、Windows10以降では削除・非推奨となり、Windows11では初期状態でインストールされていません。
この記事では、XPSファイルが開けない原因と対策をわかりやすく解説し、Windows11対応の最新XPSビューアーの設定方法、そして無料で使える代替ソフトや変換ツールまでを紹介します。
読めないファイルに悩む時間を減らし、業務効率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
XPSファイルとは何かをわかりやすく解説
XPSファイルの基本とPDFとの違い
XPSファイルとは、Microsoftが開発した電子文書ファイル形式で、「XML Paper Specification(XPS)」の略です。
簡単に言えば、「Microsoft版のPDF」のようなもので、印刷イメージをそのまま保存・共有できる形式です。
かつては「印刷プレビューをデジタルで残す仕組み」としてOffice文書やWindowsの印刷機能で利用されていました。
しかし、PDFが世界標準になったことで、XPS形式は徐々に使われなくなり、現在では互換性の問題が増えています。
PDFはAdobeやブラウザでも開けますが、XPSは専用の閲覧ソフトが必要です。そのため、Windowsの更新や設定によって突然開けなくなるケースも珍しくありません。
どんな場面でXPSファイルが使われているのか
現在でも、次のようなシーンではXPSファイルが残っています。
- 公共機関や古い業務システムで出力された帳票・請求書
- 企業の内部文書で「印刷イメージをそのまま保存」する目的の資料
- Windows 7〜10時代のOfficeやプリンタードライバから出力された文書
つまり、最新環境に移行しても「昔の資料」や「取引先から送られるデータ」がXPS形式で届くことがあり、読む方法を知っておくと業務上で困らないのです。
XPSファイルが開けない主な原因と確認ポイント
XPSファイルが開けない場合、単なるアプリの不具合ではなく、OS設定や機能削除が原因であることが多いです。
ここでは代表的な原因を3つ紹介します。
1. XPSビューアーがインストールされていない
Windows11では、初期状態で「XPSビューアー」がインストールされていません。
そのため、古いXPSファイルを開こうとしても「対応するアプリがありません」と表示されます。
Windows10でも、2020年以降のアップデートでXPSビューアーが削除された環境があります。
特に業務用PCでは、管理者が不要機能を削除しているケースも多く見られます。
2. XPSビューアーが壊れている・設定が無効になっている
XPSビューアーがインストールされていても、機能が無効化されている場合や、関連付けが外れていると開けません。
システム更新やバージョンアップの影響で、設定がリセットされていることもあります。
具体的には、
- 「このファイルを開くアプリがありません」と出る
- 起動しても真っ白な画面になる
- XPSビューアーを選んでもエラーで落ちる
といった現象が起きている場合は、アプリの再インストールまたは設定の見直しが必要です。
3. ファイル自体が破損している・拡張子が間違っている
まれに、XPSファイルが正しく保存されていない、または拡張子が変わってしまっている場合もあります。
特にメール添付やクラウド共有時に変換ミスが起こることがあります。
ファイルサイズが異常に小さい(数KBしかない)場合は、破損の可能性が高いです。
ファイルを再送してもらう、別のPCで開いてみるなど、データ自体に問題がないか確認することも大切です。
Windows11でXPSビューアーをインストールして開く方法
Windows11では、XPSビューアーは標準で入っていませんが、「Windowsの機能」から簡単に追加できます。
ここでは、実際の操作手順をステップごとに紹介します。
ステップ1:設定から「オプション機能の管理」を開く
- スタートメニューを開く
- 「設定」→「アプリ」→「オプション機能」を選択
- 「機能を追加する」をクリック
この一覧には、削除されたWindows標準機能(ペイント、メディアプレイヤーなど)を再インストールできる項目が並んでいます。
ステップ2:「XPSビューアー」を検索して追加する
検索欄に「XPS」と入力すると、「XPSビューアー」という項目が表示されます。
「インストール」をクリックすると、数分で自動的に追加されます。
完了後、スタートメニューに「XPSビューアー」が再び現れます。
※ネットワーク環境によってはインストールに時間がかかることがあります。
社内PCで権限が制限されている場合は、管理者アカウントでの操作が必要です。
ステップ3:XPSファイルを開いて確認する
インストール後は、XPSファイルを右クリックして「プログラムから開く」→「XPSビューアー」を選択します。
一度開けば、以後は自動的に関連付けが記録され、ダブルクリックで開けるようになります。
もし起動しても開けない場合は、一度再起動してから再試行しましょう。
再起動後も開かない場合は、関連付け設定を手動で行う必要があります。
XPSビューアーをインストールできないときの対処法
環境によっては、「XPSビューアーのインストールに失敗しました」と表示されるケースがあります。
その場合、以下の3つの原因が考えられます。
1. グループポリシーで制限されている(企業PCで多い)
企業のIT管理部門がセキュリティポリシーで機能追加を制限している場合、
「機能を追加する」からXPSビューアーをインストールできません。
この場合は、システム管理者に「XPS Viewerの追加許可」を依頼しましょう。
2. Windows Updateの不具合
Windows Updateの途中エラーなどにより、一部の機能が正常に登録されていないケースもあります。
次の手順で修復できます。
- 「設定」→「Windows Update」を開く
- 「更新プログラムのチェック」を実行
- すべての更新を適用して再起動する
それでもインストールできない場合は、コマンド操作での手動追加が有効です。
3. コマンドプロンプトで強制的に追加する方法
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを入力します。
DISM /Online /Add-Capability /CapabilityName:XPS.Viewer~~~~0.0.1.0
これで自動的にXPSビューアーがインストールされます。
完了後、スタートメニューから「XPS Viewer」を検索して起動できるか確認しましょう。
XPSビューアーが終了・削除された理由と今後の対策
「昔は開けたのに、最近のWindowsで見られなくなった」という人も多いと思います。
それもそのはずで、MicrosoftはXPSビューアーの提供を段階的に終了しています。
MicrosoftがXPSビューアーを終了した背景
- PDFが世界標準になったため、XPSの需要が減少
- セキュリティリスクや古いコード維持コストの削減
- Windowsの軽量化とシンプル化方針
こうした理由から、Windows 10以降では初期状態で削除、Windows 11では完全非搭載となりました。
しかし、過去データを開く必要がある企業ユーザーも多いため、「オプション機能」として残されています。
今後の安全な対策は「PDF変換」か「代替ソフト」
今後、業務上でXPSファイルを扱う場合は、PDF変換または代替ビューアーの導入が現実的な選択肢です。
- 互換性重視:PDFに変換して共有
- 表示重視:代替ソフト(無料ビューアー)を導入
- 長期保管重視:印刷イメージをPDF/A形式で保存
特に共有業務では、XPSをそのまま使うよりもPDF形式に変換した方がトラブルを防げます。
無料で使えるXPSビューアー代替ソフト・フリーソフト
Windows純正のXPSビューアーが使えない場合、無料のフリーソフトで代用する方法もあります。
ここでは、信頼性の高いツールを紹介します。
1. Sumatra PDF
軽量で動作が速く、PDF・EPUB・XPSなど複数形式に対応した人気ソフトです。
XPSファイルもスムーズに開けるため、業務用PCでも安定して使えます。
インストールも簡単で、設定不要ですぐ利用できます。
2. STDU Viewer
複数の文書形式(XPS、TIFF、DjVuなど)に対応した高機能ビューアー。
ページサムネイルや検索機能もあり、業務書類の閲覧に最適です。
3. PDF24 Creator(変換も可能)
XPSファイルをPDFに変換して保存できる無料ツール。
ドラッグ&ドロップで変換できるため、社内共有用にも便利です。
安全性も高く、広告表示がない点もポイントです。
XPSファイルをPDFに変換して業務を効率化する方法
オンライン変換ツールを使う場合
「Smallpdf」「iLovePDF」などのオンライン変換サービスを使えば、インストール不要で変換できます。
ただし、機密文書や社内資料はセキュリティの観点から、社外サーバーにアップロードしないよう注意が必要です。
オフラインで変換する方法
PDF24 CreatorやMicrosoft Print to PDF機能を使えば、安全にローカル変換が可能です。
- XPSファイルをXPSビューアーで開く
- 「印刷」→「Microsoft Print to PDF」を選択
- 出力先を指定して保存
これでPDFとして再保存できます。
変換後は、どの環境でも閲覧できるようになり、ファイル共有トラブルも防げます。
まとめ:XPSビューアーは終わっても業務は止められない
XPSビューアーは公式には終了方向にありますが、ファイル自体は今でも多くの現場に残っています。
開けない場合は、以下のステップで対処しましょう。
- Windowsの「オプション機能」からXPSビューアーを再インストールする
- 企業PCでは管理者権限を確認する
- インストールできない場合は、Sumatra PDFなど代替ソフトを使う
- 安全性を重視するならPDFに変換して共有する
XPSは過去の技術ですが、業務上の橋渡しとしてまだまだ役立ちます。
この記事を参考に、トラブルを回避し、効率的な文書管理を実現してください。