「マクロの実行がブロックされました」と出たときの正しい解除方法|Excel業務が止まらない安全設定術

「マクロの実行がブロックされました」と出たときの正しい解除方法|Excel業務が止まらない安全設定術

「マクロの実行がブロックされました」という警告が出て、Excelファイルが動かない――そんな経験はありませんか?日常業務の自動化を支えるマクロが突然動かなくなると、報告書の集計も経費管理も止まってしまいます。本記事では、その原因と正しい解除方法、Windows 11や共有フォルダ環境での注意点、安全な設定変更の手順までを網羅。Excel業務を止めず、セキュリティを守りながらスムーズに再開するための実践ガイドです。


目次

マクロの実行がブロックされましたと表示される原因を正しく理解する

まず、「マクロの実行がブロックされました」と表示される背景を理解しておきましょう。Microsoftは2022年以降、セキュリティ強化を目的に「インターネット経由で取得したファイルのマクロを自動的にブロックする仕様」に変更しました。これが多くのユーザーを悩ませている原因です。

マクロとは何かを簡単におさらい

マクロとは、Excelで繰り返し作業を自動化するための仕組みです。たとえば「日報を開いて集計して印刷する」という一連の操作を、ボタン1つで実行できます。マクロの記録やVBA(Visual Basic for Applications)で作成されるため、プログラムとして動作します。

ただし、この「プログラムとして動く」という特性が問題になります。外部から取得したExcelファイルに悪意のあるマクロが仕込まれていると、システムに影響を及ぼすリスクがあるのです。そのためMicrosoftは、インターネット経由のファイルを自動的に安全側で「ブロック」するよう仕様変更しました。

「セキュリティの警告が表示されない」場合の背景

以前は、マクロを含むファイルを開くと上部に黄色いバーで「セキュリティの警告」が表示され、「コンテンツの有効化」をクリックすれば実行できました。しかし、仕様変更後はこの警告バー自体が表示されず、単に「マクロの実行がブロックされました」とメッセージが出るだけというケースが増えています。これは、ファイルに「インターネットから取得したフラグ」が付いているためです。

表示されるメッセージ例

  • 「マクロの実行がブロックされました。このファイルのソースが信頼できないため、Microsoft によりマクロの実行がブロックされました。」
  • 「Excel セキュリティリスク:マクロの実行がブロックされました。」

どちらも、「ファイルが安全な場所にない」「信頼されていない」と判断されているサインです。


Excelで「マクロの実行がブロックされました」を解除する方法

では、実際にこのブロックを解除するにはどうすればよいのでしょうか。ここからは、最も安全で確実な解除手順を紹介します。

手順1:ファイルのプロパティからブロックを解除する

最も一般的な方法は、Windowsの「プロパティ」からブロックを解除する方法です。

  1. 対象のExcelファイルを右クリック
  2. 「プロパティ」を選択
  3. 「全般」タブの一番下に「セキュリティ」欄が表示されているか確認
  4. 「このファイルは他のコンピューターから取得したものです。コンピューターを保護するためにブロックされている可能性があります。」と出ている場合、「ブロックの解除」にチェックを入れる
  5. 「OK」をクリックして閉じる

この操作で「インターネットから取得したファイル」のフラグが外れ、Excelを開いたときにマクロが動作するようになります。

もし「セキュリティの欄が表示されない」場合は、OneDriveやTeams経由で開いている可能性があります。その場合は、ローカル(PC本体)に一度保存してから試すと表示されることが多いです。

手順2:信頼できる場所にファイルを移動する

共有フォルダ上のExcelマクロで発生するケースも非常に多いです。社内ネットワークやNAS上のファイルを開くとブロックされるのは、「信頼できる場所」に指定されていないためです。

安全に解除するには、以下の手順で信頼フォルダを設定しましょう。

  1. Excelを開く
  2. 「ファイル」→「オプション」→「トラストセンター」→「トラストセンターの設定」をクリック
  3. 「信頼できる場所」を選択
  4. 「新しい場所の追加」をクリック
  5. 使用している共有フォルダ(例:\Server\Share)を指定
  6. 「この場所のサブフォルダーも信頼する」にチェックを入れてOK

これで、共有フォルダ内のExcelファイルがブロックされず開けるようになります。
ただし、社外との共有フォルダ(Google Drive、Dropboxなど)は安全性が保証されないため、信頼フォルダに追加しないほうが無難です。

手順3:Microsoftのセキュリティ設定を見直す

Microsoft 365 や Office 2021 以降では、「ブロックされたマクロの管理」が既定で有効になっています。これを一時的に変更することでも対処可能です。

  1. Excelを開く
  2. 「ファイル」→「オプション」→「トラストセンター」→「トラストセンターの設定」
  3. 「マクロの設定」を選択
  4. 「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」にチェック

これにより、再び「セキュリティ警告」バーが表示され、「コンテンツの有効化」をクリックできるようになります。
ただし、「すべてのマクロを有効にする」はリスクが高いため、常用は避けてください。必要なときだけ一時的に変更し、作業後は元に戻すのが安全です。


「マクロの実行がブロックされました」が解除できないときの対処法

手順通りにやっても解除できない場合、別の要因が隠れていることがあります。ここでは、よくある失敗パターンと解決策を紹介します。

共有フォルダ経由のファイルが解除できない場合

共有サーバーやTeams上のファイルは、内部的に「インターネット経由のファイル」として認識されることがあります。
この場合、Excelの「信頼できる場所」に追加する方法のほか、グループポリシー設定を変更することで改善できます。

IT管理者向けの設定手順:

  1. Windowsの検索バーに「gpedit.msc」と入力して開く
  2. 「ユーザーの構成」→「管理用テンプレート」→「Microsoft Excel」→「Excelオプション」→「セキュリティ」→「信頼できる場所」を選択
  3. 「信頼できる場所を指定する設定を許可する」を有効に変更

これで、管理者制限によって信頼フォルダ追加がブロックされていた場合にも対応できます。

OneDrive・SharePointファイルがブロックされる場合

Microsoft 365では、OneDriveやSharePoint上のファイルも「ダウンロード扱い」になることがあります。この場合、ローカルに一度保存し直すだけでマクロが有効になるケースが多いです。
ファイルの保存先を確認し、パスが「https://〜」で始まる場合はローカル保存を試してみましょう。

Windows 11環境でブロック解除がうまくいかない場合

Windows 11では、右クリックメニューの構成が変わっており、「プロパティ」が隠れて見つけにくいことがあります。
ファイルを選択して「Alt+Enter」キーを押すと、従来通りのプロパティ画面を開けます。ここで「ブロックの解除」を行えば問題ありません。

また、セキュリティアプリやウイルス対策ソフトがマクロの実行を制御している場合もあるため、一時的に除外設定を行って動作確認を行うと良いでしょう。


「このファイルのソースが信頼できないためMicrosoftによりマクロの実行がブロックされました」と表示されるときの解除方法

このメッセージは、特にメール添付ファイルやインターネットからダウンロードしたExcelで頻発します。
「ソース(出所)」が信頼されていないと判断されたため、自動的に実行が止められている状態です。

安全に解除するステップ

  1. ファイルのプロパティで「ブロックの解除」
     最初に紹介した手順が最も安全かつ効果的です。
  2. 信頼済み発行元として登録する
     企業で使用している場合は、電子署名付きのExcelを使用すると、以後ブロックされません。
  3. ファイルを「信頼できる場所」に移動する
     社内ネットワークやローカルドライブに配置し、Excelの設定でそのフォルダを信頼済みに登録します。

解除後は、再度Excelを開き、「セキュリティ警告」が表示されることを確認しましょう。これが出れば正常な状態です。


Excel セキュリティリスクとマクロブロックの関係を理解して安全に使う

Excelマクロは非常に便利ですが、セキュリティリスクも伴います。
特に外部から受け取ったファイルに含まれるマクロは、ウイルス感染や情報漏えいの原因となる可能性があります。

安全に運用するためのポイント

  • 不明な送信元のマクロ付きファイルは開かない
  • 必要なファイルだけ「信頼済み」に設定する
  • VBAコードを社内で管理・レビューする
  • 定期的にMicrosoftのセキュリティアップデートを確認する

企業でマクロを活用する場合は、「便利さ」と「安全性」のバランスが重要です。
すべての制限を外すのではなく、必要な範囲で最小限の許可設定に留めるのが理想です。


まとめ:業務を止めず、安全にマクロを使い続けるために

「マクロの実行がブロックされました」という警告は、危険信号ではなく“注意喚起”です。
Excel業務を止めず、安全に続けるためには、正しい知識と設定が欠かせません。

  • ファイルのプロパティで「ブロックの解除」を行う
  • 信頼できるフォルダを設定し、共有環境でも安全に利用する
  • Windows 11ではAlt+Enterでプロパティを開く
  • 企業では署名付きファイルやグループポリシーで管理する

この基本を押さえておけば、セキュリティリスクを抑えながらマクロを活用できます。
日常業務で「Excelが動かない!」と慌てる前に、今すぐ設定を確認しておくことをおすすめします。

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