「どこに何があるのかわからない」「表示が見にくくて探しづらい」――そんな課題を抱える倉庫や物品管理の現場では、棚の“見やすさ”が生産性と安全性に直結します。この記事では、在庫管理の精度を上げ、倉庫運用の効率を高めるための「棚表示の工夫」を、ラベル・プレート・棚番設計の実践テクニックとともに解説します。誰が見ても迷わない環境づくりを目指す担当者必見の内容です。
見やすい棚表示が業務効率を変える理由
表示が曖昧なままでは「探す時間」が膨大に
商品や部品の位置が明確でないと、探す手間が増えます。その結果、作業時間が長くなり、スタッフ同士の問い合わせも増えてしまいます。特に繁忙期や急ぎの業務では、このロスが致命的になりかねません。
- 商品や部品の位置が明確でないと、探す手間が増える
- 作業中の無駄な動線や問い合わせが頻発する
作業の属人化リスクが増す
棚に表示がない、あるいは読みにくい状態だと、配置を把握している人にしか在庫の場所が分からない状況が生まれます。これは新しく入ったスタッフや外注業者には大きなハードルとなり、教育コストや引き継ぎの手間も増加します。
- 表示がない／見づらいと、経験者にしかわからない状態になる
- 新人・外注・短期スタッフでも対応できる表示が必要
ヒューマンエラーの温床に
似たような棚番号や不明瞭な表記は、誤出荷や誤投入などのトラブルを引き起こしやすくなります。視認性の高い棚表示は、こうした人的ミスの抑止にもつながります。
- 似たような棚番・不明瞭な表記は、誤出荷・誤投入の原因になる
棚表示を見やすくする5つの基本原則
1. 視線の高さに表示を設置
人が立った状態で自然に目が行く位置（おおよそ120〜160cm）にラベルやプレートを設置すると、表示が最も目に入りやすくなります。上下段の棚については、視線から外れるため補足的に矢印や補助ラベルを設けると、より分かりやすくなります。
- ラベル・プレートは人の目線（120cm〜160cm）に合わせる
- 下段・上段には矢印や補足ラベルを配置
2. 棚番号にルールを設ける
棚番号は上から下、左から右という明確なルールを設けましょう。アルファベットと数字を組み合わせることで、エリア識別と位置関係が視覚的に把握しやすくなります。たとえば「A-01」「B-05」といった表記なら直感的に整理しやすく、管理にも便利です。
- 左から右／上から下など、統一された番号設計に
- アルファベット＋数字の組み合わせで判別しやすく
3. 色分けでゾーニングする
棚やエリアを色で分けることで、瞬時に場所を把握できます。カテゴリーごとに色を変えたり、用途別に背景色を設定したりすることで、在庫の種類や用途を感覚的に理解できます。色覚多様性への配慮として、赤と緑の組み合わせを避けるなどの工夫も必要です。
- エリアごと・カテゴリごとに背景色を変える
- 色覚多様性に配慮した配色（赤緑を避けるなど）も大切
4. フォントとサイズにこだわる
フォントは視認性が高く読みやすいゴシック体を推奨します。サイズは最低でも12ポイント以上、可能なら20ポイント前後にすると、遠くからでも判読しやすくなります。棚ごとに異なるフォントやサイズを使うと混乱を招くため、全体で統一するのが望ましいです。
- ゴシック体・太字・12pt以上で視認性アップ
- フォントの統一も管理上有効
5. 表示物は「耐久性」も重視
頻繁に人の出入りがある倉庫では、紙のラベルがすぐに破れたり剥がれたりするリスクがあります。ラミネート加工やプラスチックプレート、マグネット素材など、環境に応じて適切な表示材を選ぶことが重要です。
- 倉庫環境に合った素材（ラミネート・プラプレート・マグネットなど）を選ぶ
実用的な棚表示ラベル・プレートの種類
倉庫表示プレートの定番アイテム
プラスチックプレートは視認性・耐久性ともに優れており、長期的な運用に向いています。マグネットプレートは鉄棚や移動式棚に適しており、表示の切り替えも簡単です。吊り下げ型のプレートは、高い位置からでも視認できるので、大型倉庫や高所棚に効果的です。
- プラスチックプレート：視認性・耐久性ともに高い
- マグネットプレート：鉄棚や可動棚で柔軟に対応
- 吊り下げ型プレート：通路側に見えるように設置可能
ラベル式の柔軟運用
ラベルはインクジェットプリンタで手軽に印刷でき、ラミネート加工で強度を保てます。再剥離タイプを使えば、配置変更にも柔軟に対応できます。また、バーコードやQRコードを印字すれば、在庫システムとの連携もスムーズに行えます。
- インクジェット対応ラベル＋ラミネート加工で自作可能
- 貼り替えやすい再剥離シールも便利
- ラベルプリンタでバーコードやQRを追加してデジタル連携も
見出しプレート・棚カードの工夫
見出しプレートは棚単位での大まかな分類に最適です。カード差し込み型なら更新も簡単で、頻繁に内容が変わる業務でも対応しやすいです。在庫カードと連携することで、棚に保管されている内容の最新情報を視覚的に確認でき、補充や棚卸し作業も効率化します。
- カード差し込み式で項目を頻繁に更新可能に
- 在庫カードとの連携で管理台帳と一致させやすく
- 中身の補充タイミングも棚カードで一目瞭然
在庫管理に最適な棚番号の付け方
棚番表示の基本ルール
棚番号は、エリア記号＋数字の組み合わせ（例：A-01、B-02など）で統一し、横方向（左→右）や縦方向（上→下）の並び方を一貫して管理することが重要です。また、段の高さごとに「1段目＝下段」として明示すると、誤解を防げます。
- A-01／B-02など、エリア＋棚番号で整列させる
- 左から右・奥から手前の順番を守る
- 棚の段数（1段目＝下）も番号付けで管理
デジタル在庫システムとの連動
棚番号をデジタル管理システムと同期させることで、現場とデータベースの整合性が取れます。棚カードにQRコードを印刷し、スマホやPDAで読み取る運用にすれば、棚卸しやピッキングのスピードが格段に向上します。
- 棚番号を管理システムと一致させる
- 棚カードにバーコードやQRコードを追加し、スマホやPDAで読み取り可能に
現場で使える表示の工夫・設計アイデア
倉庫表示工夫のポイント
高所の棚には吊り下げ型のプレートを設置して視認性を確保しましょう。また、照明が届きにくいエリアではLEDライト付きの表示プレートを使うと便利です。さらに、棚の表示と実際の収納位置にズレがあるとミスの原因になるため、設置時の位置合わせも重要です。
- 高所には吊り下げ型の表示を併用
- 見にくい棚にはライト付きプレートを活用
- 表示と実物の位置をズレなく揃える
標準化で「誰でもわかる」棚に
現場全体でラベルのフォーマットを統一し、新人マニュアルと表示内容をリンクさせることで教育工数を削減できます。さらに、保管物の写真を表示プレートに添えることで、言語に依存せず理解できる仕組みを構築できます。
- ラベルのフォーマットを統一
- 新人教育用のマニュアルと連動した表示設計
- 保管物の写真付き表示プレートで視覚的理解を補助
ラベル運用のミスを防ぐために
定期的な表示チェックと更新
棚のレイアウト変更や商品入れ替えの際には、表示のズレや劣化がないかを必ず確認しましょう。剥がれやインクのにじみなどが見られるラベルは早急に交換し、常に整った状態を保つことが重要です。
- 棚卸しや移動後に表示がズレていないか確認
- 剥がれ・にじみ・破損があれば即交換
ラベル・カードの在庫管理も忘れずに
棚の表示に必要なラベルやカード類も、在庫品として管理対象に加えておくことが望ましいです。必要なときに不足しないよう、備蓄数のルール化や発注フローも整備しておきましょう。
- 表示資材も在庫管理対象として分類
- 表示そのものが欠品しないよう備蓄ルールを設ける
見やすい棚表示は“仕組み”でつくれる
棚の表示改善は、現場全体の生産性を高める大きなカギです。
- 視認性を高めるだけで作業スピード・正確性が向上
- 色分け・棚番号・プレート活用で属人化リスクを軽減
- 定期点検と標準化によって、表示品質を長期的に維持
今日から導入できる棚表示の工夫を一つでも取り入れて、あなたの現場を“探さない”快適な作業空間にアップデートしていきましょう。
