DVDやBlu-rayのデータを扱う業務では、「安全にバックアップしたいけど、どのツールを使えばいいのかわからない」と悩む人が少なくありません。かつて人気だったDVDFabも、今ではリスクや制限が多く「もういらない」と言われ始めています。この記事では、DVDFabの危険性や制約を踏まえたうえで、企業や個人事業でも安心して使える正規のDVD・BDコピー／バックアップツールを徹底比較。業務効率を下げず、法令に沿った安全なデータ運用を実現する方法を詳しく解説します。
DVDFabが「もういらない」と言われるようになった本当の理由
DVDFabは一時期「最強DVD BDツール」として話題になりました。無料版や永久ライセンス版も存在し、個人ユーザーを中心に愛用されていたソフトです。しかし、2025年現在、業務で使うには多くの懸念点が指摘されています。
その代表的な理由を、現場の声や実例を交えながら見ていきましょう。
中国製ソフトとしての安全性リスクが拭えない
DVDFabは中国の企業「Fengtao Software Inc.」が開発・運営しているソフトウェアです。中国製ソフト全般にいえることですが、企業利用においては「情報セキュリティの不透明さ」が最大の懸念点になります。
・DVDFab購入時に入力したクレジットカード情報がどこに保管されているのか不明
・ソフトウェアのアップデート通信先が海外サーバーに直結している
・日本語サポート窓口がなく、トラブル時に企業として責任を追及しづらい
これらの点から、社内ネットワーク上の端末にインストールするのは避けた方がいいと考える企業が増えています。実際、情報システム部門では「中国製ソフトのインストール禁止」を社内ポリシーで定める動きも珍しくありません。
永久ライセンスの罠とアップデート切り捨て問題
「DVDFab 永久ライセンス」という言葉に惹かれて購入した方も多いでしょう。しかし、この“永久”には落とし穴があります。実際には、永久なのは「その時点のバージョン」であり、新しい規格のDVDやBlu-rayに対応するには追加料金が発生します。
特に業務用途で新しい映像メディアを扱う場合、アップデート対応が欠かせません。たとえば、新しい著作権保護技術（AACS 2.1など）が導入されたディスクは、古いバージョンのDVDFabでは読み取れなくなります。そのため、永久ライセンスを購入しても、実質的には数年で使えなくなるケースがほとんどです。
無料版の制限が多く、業務には不向き
DVDFabの無料版は「お試し」的な位置づけで、主要機能には制限があります。
具体的には以下のような制約です。
・DVD/Blu-rayコピーの速度制限（最大2倍速など）
・変換ファイルの長さ制限（30分までなど）
・透かし（ウォーターマーク）の強制挿入
・一部のコーデック・フォーマット非対応
これらの制限は、業務での利用には大きな障害となります。動画制作や教育用データのバックアップなど、正確性が求められる現場では致命的です。無料版の範囲で済むのは個人の趣味レベルまででしょう。
「期限解除」や「レジストリ改変」は危険行為
一部のネット掲示板では、「DVDFab 期限 解除 レジストリ」という検索が目立ちます。これは無料版の期限を強制的に解除する裏技を探すユーザーの動きですが、これは極めて危険です。
レジストリを直接書き換える行為は、Windowsの動作に深刻な影響を与える可能性があります。さらに、企業ネットワーク上で不正改変を行えば、情報セキュリティ規定違反として処分対象にもなりかねません。
技術的には可能でも、法的にもリスクがある行為です。ソフトの使用は、ライセンス契約に基づいて正しく行うことが原則です。もし業務でDVDデータを扱う必要があるなら、合法的に利用できる正規ソフトを選びましょう。
業務利用でDVDFabを使うべきでない理由と企業リスク
個人で使う分にはまだしも、企業利用ではDVDFabの導入は推奨できません。なぜなら、法的・セキュリティ・信頼性の3つの観点で問題があるからです。
法的リスク：著作権保護の回避行為にあたる可能性
DVDFabは、著作権保護（CSSやAACSなど）を解除してコピーする機能を備えています。これが問題なのです。
日本の著作権法では、技術的保護手段を回避して複製を行うことは、たとえ私的利用目的であっても禁止されています。つまり、DVDFabを使って市販のDVDやBlu-rayをコピーする行為は、法的にグレーではなく「違法」です。
特に業務で使う場合、社内の教育資料や販売促進映像などが市販作品に含まれる場合は要注意です。たとえ社員個人が知らずに使用しても、企業としての責任が問われます。
法律的な安全性を確保するためには、正規の手段でバックアップを行う必要があります。
セキュリティリスク：外部通信とマルウェア感染の懸念
DVDFabをインストールすると、自動的にバックグラウンドで中国のサーバーと通信を行うことが確認されています。これ自体はアップデートチェックなどの正規通信かもしれませんが、企業の情報システム担当からすると見過ごせない問題です。
また、非公式サイトや「DVDFab 永久無料版」と称する偽配布サイトも多数存在します。中にはマルウェアを仕込んだコピー版が出回っており、ウイルス感染や情報漏洩のリスクがあります。特に業務用PCでダウンロード・インストールすることは絶対に避けましょう。
信頼性の問題：サポート体制とライセンスの不安定さ
DVDFabは海外ソフトであり、サポートはすべて英語ベース。ライセンスの認証サーバーも海外にあり、アクセス障害で突然使えなくなる事例も報告されています。
例えば、次のようなトラブルが起こりやすいです。
・突然「ライセンスが無効です」と表示され、起動不可になる
・アップデート後に機能が削除される
・サポート窓口に問い合わせても返信がない
こうした不安定さは、業務の継続性を重視する企業にとって致命的です。映像制作・教育機関・官公庁などでは、信頼性の高い国産ソフトや企業契約可能な製品が求められます。
DVDFabの代わりに選ばれている正規DVD・Blu-rayコピー／バックアップツール
では、DVDFabの代替としてどのようなツールが企業で選ばれているのでしょうか。ここでは、2025年時点で業務利用に適した正規ソフトを紹介します。
選定基準は「安全性」「法令遵守」「操作性」「コスト」の4つです。
Leawo Prof. Media（レオプロフェッショナルメディア）
中国製ですが、Leawoは日本法人を通じて販売されており、比較的サポート体制が整っています。業務での利用報告も多く、一定の信頼があります。
ただし、著作権保護解除には法的リスクがあるため、保管用バックアップ用途に限定すべきです。
メリット
・直感的なUIで初心者でも操作しやすい
・DVDからMP4、MKVなど多形式に変換可能
・出力設定が細かく、業務動画に応用しやすい
デメリット
・無料版は制限が多く、変換時間が制限される
・最新Blu-ray規格への対応が遅れる傾向あり
CyberLink Power2Go（サイバーリンク パワー・トゥ・ゴー）
台湾企業CyberLink社が開発した、国内販売実績の長いソフト。企業導入実績が多く、国内PCメーカー（富士通やASUSなど）にもOEM採用されています。
著作権保護解除機能は持たないため、完全に合法的なコピー・書き込みツールです。
メリット
・日本語サポートが充実し、安定性が高い
・ISOイメージの作成やバックアップも可能
・企業ライセンス対応で導入管理が容易
デメリット
・プロテクト付きディスクのコピーは不可
・シンプルな機能に絞られているため、自由度は低め
WinX DVD Copy Pro（米国 Digiarty Software社）
海外製ながら、国内ユーザー評価が非常に高いソフトです。著作権保護を自動解除するのではなく、「読み取りエラー回避」技術で合法的にコピーを実現しています。
企業利用でも安全性が高いと評価されています。
メリット
・軽量で動作が安定している
・DVDをそのままISO形式でバックアップできる
・企業サポートのレスポンスが早い
デメリット
・Blu-rayには非対応
・Mac対応が一部制限されている
BurnAware Professional（国際的な評価の高い書き込みソフト）
BurnAwareは純粋に「書き込み」「バックアップ」に特化したソフトです。
著作権保護の解除機能はなく、法令を遵守した環境で安全にディスクを扱うことができます。
メリット
・社内システムへの組み込みが容易
・大量コピーなど業務的処理に強い
・永久ライセンスでも安定稼働し続ける
デメリット
・日本語UIが一部不自然
・初心者には操作説明がやや不足
企業で安全にDVDを扱うためのルールと法令遵守ポイント
業務でDVDを取り扱う際に重要なのは、「違法コピーをしない」こと以上に「運用体制を整えること」です。どんなに優れたソフトを使っても、ルールがあいまいだとトラブルを招きます。
社内でのルール整備と権限管理
バックアップや変換作業は、担当部署を明確にし、権限を限定することが大切です。
誰が・どのデータを・何の目的でコピーするのかを明示しておけば、不正利用を防げます。
特に動画素材を扱う制作部門では、次のような運用が効果的です。
・DVDコピーは情報システム部門または制作責任者の承認制にする
・バックアップ媒体には日付と担当者名を明記
・使用目的と保存期間を管理台帳に記録する
これだけでも、万が一トラブルが発生した際に「正しく管理されていた」と説明できます。
正規ライセンスの確認と記録
DVDFabのように「永久ライセンス」と表記していても、企業で使う際は利用規約を必ず確認すべきです。
法人利用を禁止している個人ライセンスを業務に使うと、違約となる場合があります。
また、社内PCに複数台インストールする場合は、ライセンス数を正確に管理することが必要です。
無料版ツールの落とし穴と「永久無料版」の誤解
「無料で使えるDVDコピーソフト」や「永久無料版」といった言葉に惹かれる人は多いですが、その裏にはリスクがあります。特に業務で使う場合は注意が必要です。
無料版の制限は単なる機能制限ではない
無料版は機能が限定されているだけでなく、「広告モジュール」や「バックグラウンド通信」が含まれることがあります。これにより、ネットワーク負荷やセキュリティリスクが増すケースもあります。
また、「無料期間終了後に自動課金が始まる」タイプのソフトもあり、経理処理で問題になる例もあります。企業で導入する場合は、必ず利用規約・ライセンス形態・支払い方式を確認しましょう。
永久無料版の実態は“体験版の延長”
「永久無料」と書かれていても、多くは「機能制限付きで期限がない」というだけです。
DVD変換が途中で止まる、Blu-ray書き込みに対応していないなどの制約があり、実務レベルでは使い物にならないことがほとんどです。
DVDFab Passkeyは安全か？企業での使用判断
DVDFab Passkeyは、DVDFab本体とは別の「保護解除専用ツール」です。バックグラウンドで起動し、他のソフトが読み取れないDVDやBlu-rayを認識させる仕組みになっています。
しかし、これは著作権保護技術の解除を目的としたツールであり、日本国内では違法の可能性が高いとされています。たとえ“視聴や保管目的”であっても、Passkeyを利用してコピーすることはリスクが大きいです。
企業での使用は、情報漏洩防止のためにも避けるのが賢明です。どうしても必要な場合は、法的助言を受けた上で、保護がかかっていない素材（自社制作映像など）のみに限定することをおすすめします。
正規ツールで業務効率を高める運用のコツ
正規のDVDバックアップソフトを導入しても、運用方法が非効率では意味がありません。ここでは、社内でスムーズにDVDデータを扱うためのコツを紹介します。
ISOイメージ化で保管効率を高める
ディスクをそのまま物理的に保管すると、劣化や破損のリスクがあります。
ISO形式（ディスクの完全コピー）で保存しておくと、容量を抑えながら安全にバックアップできます。
これをNAS（ネットワークストレージ）に保管しておけば、複数部署からアクセスでき、業務効率が向上します。
データの暗号化とアクセス権設定
特に教育・医療・官公庁など、個人情報を含む映像を扱う場合は暗号化が必須です。
Power2Goなどの正規ソフトには、暗号化書き込み機能が搭載されています。これを活用すれば、外部持ち出しや社外漏洩を防止できます。
「DVDFabはもういらない」と言える時代の選び方とまとめ
かつてDVDFabは、個人ユーザーにとって便利な存在でした。しかし、法改正やセキュリティ意識の高まりにより、2025年の今では「DVDFabはもういらない」と言われるのも当然です。
企業でDVD・Blu-rayを扱うなら、以下の方針が基本になります。
- 中国製や非公式ソフトは避ける
- 正規ライセンスのある製品を導入する
- 社内ルールと法令を守る体制を整える
- ISO化やクラウド保存で効率化する
業務でのバックアップは「便利さ」よりも「信頼性」が最優先です。
一度の情報漏洩や違法コピーで失う信用は、ソフト代よりもはるかに重い損失を生みます。
もし今もDVDFabを使っているなら、早めに正規ツールへの移行を検討しましょう。それが、企業としての安全と効率を守る最善の選択です。
