オフスクリーン画像の遅延読み込みでサイト高速化|WordPress対応の最適化手法と注意点

Webサイトの表示速度が遅くて離脱率が上がっている、モバイルでの読み込みが重いなど、業務用ホームページにおいて速度パフォーマンスの改善は喫緊の課題です。中でも注目されているのが「オフスクリーン画像の遅延読み込み」という技術です。この記事では、ビジネスサイトにおける表示速度改善の基本として、WordPressで実践可能な遅延読み込みの仕組みと設定方法、注意点までを初心者にもわかりやすく解説します。

目次

オフスクリーン画像とは何か?なぜ遅延読み込みが重要なのか

オフスクリーン画像とは、現在のビューポート(ユーザーが画面で見えている範囲)に表示されていない画像のことを指します。Webページにはスクロールしないと見えない場所にも多くの画像が配置されていることがありますが、これらの画像をページの読み込み時にすべて読み込むと、初期表示にかかる時間が長くなり、ユーザー体験を損なう原因になります。

このようなオフスクリーン画像を、必要になるタイミングで初めて読み込むようにする技術が「遅延読み込み(Lazy Load)」です。とくにスマートフォンでの表示では通信環境が安定しないこともあり、すべての画像を一括で読み込む設計では「読み込みが遅い」「ページが固まる」といった問題を引き起こします。

さらに、画像が多く配置されているサイトでは、非表示の画像を事前に読み込ませることで無駄な帯域を消費し、サーバーリソースを圧迫する原因にもなります。これは結果的にページ読み込み時間を延ばすだけでなく、モバイルユーザーにとっては通信料の増加やバッテリー消耗につながるという不利益にもなりかねません。

サイト表示が遅くなる原因とオフスクリーン画像の関係

Webサイトが重く感じられる原因のひとつに、画像ファイルの処理負荷があります。画像はコンテンツの中でもデータサイズが大きく、ページの読み込み時間に与える影響が大きいため、最適化されていない画像の存在が直接的な「表示の遅さ」の原因になります。

なかでも、スクロールしないと表示されないオフスクリーン画像を、最初から読み込んでしまう構成になっていると、ユーザーに見えるコンテンツの表示が後回しにされてしまうため、直感的に「遅い」と感じさせてしまいます。このような構造は、実際には問題がない表示スピードでも心理的な離脱を引き起こし、直帰率を高める要因となります。

この問題は、GoogleのPageSpeed Insightsにおいても明確に指摘されます。たとえば「オフスクリーン画像の遅延読み込みを使用してください」というメッセージが表示されるケースは、重要でない画像を先に読み込んでいることで全体のレンダリングパフォーマンスが下がっていることを意味します。SEOにおいても表示速度はランキング要因の一つであるため、改善は必須と言えるでしょう。

遅延読み込みの仕組みとWordPressでの実装方法

オフスクリーン画像の遅延読み込みの基本的な考え方は、「必要になるまで画像を読み込まない」ことにあります。技術的には、HTMLにおけるloading="lazy"属性を使うことで、ブラウザが画像の表示タイミングを判断してくれるようになります。

たとえば以下のようなHTML記述をすることで、遅延読み込みが実現します。

<img src="sample.jpg" loading="lazy" alt="説明文">

このシンプルな記述により、Google ChromeやSafari、Firefoxなどの主要ブラウザでは遅延読み込みが自動的に機能するようになります。ユーザーがその画像に近づくまで、実際の読み込みは発生しません。

WordPressにおいては、バージョン5.5以降でこの機能が標準で組み込まれており、基本的には追加の設定なしでも機能するようになっています。ただし、使用しているテーマやページビルダーが独自の画像出力処理をしている場合や、JavaScriptライブラリが画像に特殊な装飾を加えている場合には、正しく反映されないケースもあります。

そういった場合には、functions.phpにフィルターを追加して遅延読み込みを強制したり、専用プラグインを用いることで補完する方法が有効です。

遅延読み込みとdecoding=”async”の違いと使い分け

画像の読み込み最適化には、loading="lazy"と並んでdecoding="async"という属性も重要です。この属性は、画像をブラウザが読み込んだ後に「描画(デコード)」するタイミングを制御するもので、非同期的に描画を進めることでページ全体の表示速度を高める狙いがあります。

具体的には、以下のように指定します:

<img src="image.jpg" loading="lazy" decoding="async" alt="説明">

この組み合わせにより、読み込みと描画の両面で遅延処理が働き、ページの初期表示がさらにスムーズになります。ただし、ファーストビューに位置する画像については、decoding="sync"の方が自然な見た目になる場合もあり、すべてに機械的に適用するのではなく、状況に応じた使い分けが求められます。

特にバナーやトップビジュアルのような重要な画像は、遅延読み込みによって表示タイミングがずれることでUXが損なわれる場合もあります。実装前にブラウザでの動作確認を行い、デザイン全体とのバランスを取ることが重要です。

WordPressで遅延読み込みが効かないときの原因と改善策

WordPressに標準で遅延読み込み機能が付いているにもかかわらず、実際のサイトでは反映されていないというケースが少なくありません。これはテーマやプラグインとの競合や、JavaScriptの動作が原因であることが多いです。

たとえば、以下のようなパターンに該当すると、loading="lazy"が正しく動作しません。

・JavaScriptで画像を動的に読み込んでいる(例:スライダー、フェードイン効果) ・画像タグにsrcsetが設定されていない、または誤っている ・CDNやキャッシュプラグインがHTMLを最適化しすぎて属性が削除されている

これらの問題を避けるためには、まずHTML出力のソースコードをブラウザで確認し、実際にloading="lazy"が記述されているかを確認します。次に、PageSpeed Insightsなどの診断ツールで、オフスクリーン画像の遅延読み込みに関する警告が出ていないかをチェックしましょう。

加えて、Lazy Load専用のプラグイン(a3 Lazy Load、Lazy Load Optimizer、WP Rocketなど)を導入することで、より強力かつ確実に遅延読み込みを適用できるようになります。これらのプラグインは管理画面から設定できるため、コードに不慣れな方でも扱いやすいのが特長です。

HTMLベースでできる画像高速化のテクニック

WordPressを使わずにHTMLベースでWebサイトを運用している場合でも、遅延読み込みをはじめとした画像最適化は実現可能です。基本となるのは、画像に適切なサイズ指定とフォーマットを行うことです。

たとえば、画像のwidthheight属性を指定することで、ブラウザがレイアウトをあらかじめ確保し、レイアウトシフトを防ぐことができます。また、WebP形式への変換によってファイルサイズを軽量化し、読み込み速度をさらに向上させることが可能です。

CDN(Content Delivery Network)を使うことで、画像の配信をユーザーの地域に最も近いサーバーから行うことも効果的です。Cloudflare、AWS CloudFront、Fastlyなどが有名な選択肢ですが、国内向けサービスも増えてきており、小規模なビジネスサイトでも導入しやすくなっています。

業務サイトにおける遅延読み込みの導入メリット

遅延読み込みは、単にページ速度を速くするだけの施策ではありません。業務用のコーポレートサイトや採用サイト、ECサイトにおいては、ユーザー体験の向上と同時に、CV(コンバージョン)の改善にも直結する非常に重要な改善ポイントとなります。

たとえば、採用情報ページで読み込みが遅いと、離脱率が高まり応募数が減少する恐れがあります。ECサイトでは、ページ表示が3秒を超えると直帰率が急上昇するといった調査結果もあるほどです。こうした課題を抱える中で、オフスクリーン画像の遅延読み込みを適切に導入することは、全体のビジネス成果に直結する投資となりえます。

SEOにおいても、Page Experienceの評価基準に「Largest Contentful Paint」などの指標があるように、ページの実際の表示速度が検索順位に影響を与える時代です。遅延読み込みによるパフォーマンス改善は、単なる技術論ではなく、集客・成約のための戦略的施策なのです。

まとめ:パフォーマンス改善はビジネス成果に直結する施策

オフスクリーン画像の遅延読み込みは、今日のWebサイト運営において避けて通れない基本施策の一つです。とくにWordPressで構築されたサイトでは、比較的容易に導入・調整が可能であり、表示速度とUXの両方にメリットをもたらします。

ただし、テーマやプラグインの構成、画像の使い方によっては適切に機能しない場合もあるため、実装後の動作確認やツールによるスコアチェックが欠かせません。正しく設定すれば、サイトの軽量化はもちろん、SEO評価やCV向上といったビジネス上の成果に結びつく効果が期待できます。

自社サイトの表示スピードに少しでも不安がある場合は、今すぐ「オフスクリーン画像の遅延読み込み」が機能しているかを見直し、次の改善施策として取り入れてみてはいかがでしょうか。

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