育休後の退職はずるい?職場復帰せずに辞めることのリスクについて解説

2025年12月30日

育児休業（育児のために仕事を休む期間のことです）を終える時期が近づくと、多くのパパやママが「本当にこのまま復帰してやっていけるのかな」と不安になるものです。中には、やむを得ない事情や環境の変化で、復帰せずにそのまま退職を考えている方もいるでしょう。しかし、ネット上では「育休後の退職はずるい」という厳しい声もあり、罪悪感に押しつぶされそうになっていませんか。この記事では、育休後に退職することの法的なルールや周囲への影響、そして後悔しないための判断基準を詳しく解説します。この記事を読むことで、今のあなたが抱えるモヤモヤが解消され、自分と家族にとって最善の選択を自信を持って下せるようになりますよ。

育休後退職割合と実態｜復帰せずに辞める人の現状

育休からそのまま復帰せずに辞めるという選択は、決してあなた一人だけの悩みではありません。統計的に見ると、育休を取得した後に退職を選ぶ人の割合は一定数存在します。厚生労働省の調査や各種メディアのアンケートを紐解くと、育休取得者のうち約5パーセントから10パーセント前後が、復帰せずに、あるいは復帰後間もなく退職しているというデータもあります。この数字を多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれですが、少なくとも「全くあり得ない話」ではないということが分かりますね。

育休後に退職を選ぶ背景には、個人のわがままだけでは片付けられない深刻な事情が隠されていることが多いのですよ。育休に入る前は「絶対に復帰する」と思っていても、いざ子供が生まれて生活が激変すると、以前と同じような働き方が物理的に不可能になるケースは多々あります。ここでは、どのような理由で多くの人が退職を選んでいるのか、その具体的な中身を見ていきましょう。

育休からそのまま退職を選ぶ主な理由は以下の通りです。

子供の預け先が見つからない、いわゆる「待機児童」の問題が解決しなかったため
子供に持病が見つかったり、育児による心身の疲弊が予想以上に大きかったりしたため
復帰後の時短勤務（通常より短い時間で働く制度のことです）の条件が折り合わず、生活が立ち行かないため
パートナーの転勤や親の介護など、家庭環境に予期せぬ大きな変化があったため

このように、本人の意思とは裏腹に、環境が許さないというパターンが非常に多いのが実情です。保育園に落ちてしまった場合、育休の延長はできますが、それでも枠が空かないとなれば、最終的には辞めざるを得ないという決断に至ることもあります。また、育児を経験する中で「今は子供のそばにいたい」という価値観の変化が起きることも、人間として自然なことかもしれませんね。

しかし、この割合の中には、最初から辞めるつもりで育休手当（育児休業給付金のことです）をもらおうとする、いわゆる確信犯的なケースも含まれているのではないかと疑われることがあります。これが「ずるい」と言われる一因になっているのですが、実際には多くの方がギリギリまで悩み抜き、苦渋の決断として退職を選んでいるというのが、データや体験談から見える真実なのですよ。

育休後退職非常識と言われる理由｜職場への影響と育休明け退職迷惑の実態

「育休明けに辞めるなんて非常識だ」という言葉を向けられると、心が折れそうになりますよね。なぜこれほどまでに厳しい批判が起きるのかというと、それは会社側が育休期間中、その人が「戻ってくること」を前提に体制を整えているからです。会社は育休中の代わりの人員を確保したり、残ったメンバーで仕事を分担したりして、復帰後の席をずっと守り続けています。その期待が裏切られたと感じたとき、同僚たちの不満が「迷惑だ」という形になって噴出してしまうのです。

特に、ギリギリになってから辞めると言われた場合、現場の混乱は相当なものになります。復帰に合わせてプロジェクトの担当を割り振っていたり、新しい業務の研修を準備していたりする上司からすれば、全ての計画が白紙になってしまうわけですから、感情的になるのも無理はないかもしれません。ここでは、周囲がどのような点に「ずるい」「迷惑だ」と感じているのか、その本音を探ってみましょう。

周囲が抱く「非常識」「迷惑」という感情の正体は以下の通りです。

給付金や社会保険料の免除という恩恵だけを受けて、会社に貢献せずに去ることへの不公平感
復帰を信じて忙しい時期をカバーし続けてきたメンバーたちの、報われない徒労感
欠員が確定するのが遅れることで、新しい採用活動を始めるタイミングが遅れてしまう実務的な支障
「これだから育休を取る人は」という偏見を助長し、後に続くパパ・ママたちの肩身を狭くすることへの怒り

同僚からすれば、あなたが休んでいる間、彼らはその穴を埋めるために残業をしたり、自分の業務を調整したりしてきたはずです。その苦労の対価が「あなたの復帰」による戦力の回復だったのに、それがゼロになるというのは、精神的なダメージが大きいのですよ。特に、中小企業や人手不足が深刻な職場では、一人の欠員が事業の継続を危うくすることさえあります。

だからといって、無理をして復帰して体や心を壊しては元も子もありません。大切なのは、自分の権利だけを主張するのではなく、周囲の負担に対してどれだけ「想像力」を持てるかという点です。たとえ退職することになったとしても、これまでの感謝と謝罪を誠実に伝える姿勢があるかどうかで、その後の人間関係や、職場に残る後味は大きく変わってきます。非常識というレッテルを貼られないためには、手続きだけでなく「心」の対応が必要なのですね。

育休復帰しない返金はあるのか｜育児休業給付金と社会保険料の法的義務

退職を検討する際に、最も不安になるのがお金のことではないでしょうか。「今までもらった育児休業給付金を全額返せと言われるのではないか」「免除されていた社会保険料を遡って請求されるのでは」と心配して、なかなか言い出せない方も多いはずです。結論から申し上げますと、育休後に復帰せず退職したからといって、既に受給した給付金の返還を求められることは法的にありません。これは、給付金が「過去の就業実績」に基づいて支払われるものだからです。

育児休業給付金は、雇用保険から支払われるものであり、会社のお金ではありません。また、社会保険料（健康保険や厚生年金のことです）の免除についても、育休期間中の実績に対して認められるものですので、復帰しなかったからといって遡って徴収されることはないのですよ。この点については、法律でしっかりと守られていますので、過度に怯える必要はありません。

ただし、注意が必要なポイントもいくつかありますので整理しておきましょう。

育児休業給付金は「復帰する意思があること」が受給の要件ですので、受給中に退職が決まった場合はその時点で支給が止まります
会社独自の「お祝い金」や「住宅手当の補填」などがある場合、就業規則によっては返金を求められる可能性があります
退職日によっては、その月の社会保険料が発生したり、ボーナスの一部を返還する規定があったりするかもしれません
住民税の特別徴収（給料から天引きされる仕組みのことです）が止まっているため、退職後に一括で請求が来る負担は覚悟しておく必要があります

このように、公的な給付金については返金の義務はありませんが、会社との契約内容（就業規則）によっては、会社独自の福利厚生費などの精算が発生することはあり得ます。退職を切り出す前に、会社の規定をこっそり確認しておくのが賢明ですよ。また、給付金がもらえなくなるタイミングを把握しておかないと、退職後の生活設計が狂ってしまうかもしれません。

法的に返金義務がないからといって、「もらえるものは全額もらってから辞めればいい」という開き直った態度は禁物です。制度の趣旨はあくまで「仕事と育児の両立」を支援するためのものですので、その恩恵を受けた以上、会社に対しては最後まで誠実な対応を心がけることが、円満な退職への唯一の道と言えるでしょう。お金の問題がクリアになっても、信用という財産を失わないようにしたいものですね。

育休後退職男が増えている背景｜男性の育休退職が「ずるい」と思われる原因

近年、男性の育休取得を促進する法改正が進み、パパが育休を取ることが当たり前の時代になりつつあります。それに伴って増えているのが、育休後退職男というケースです。女性の場合と同様に、育休中に自分自身のキャリアや人生観を見つめ直し、転職や独立を決意する男性が少なくありません。しかし、男性の育休退職は、女性以上に「ずるい」「計画的だ」という厳しい目で見られる傾向がまだ根強く残っています。

なぜ男性の育休退職がこれほどバッシングを受けやすいのか。それは、多くの職場でまだ「男性の育休は会社が特別に配慮してあげているもの」という古い認識が残っているからです。さらに、育休中に転職活動をして、復帰直後にライバル会社へ移るようなケースが散見されることも、不信感を助長しています。ここでは、男性が育休後に退職することの是非と、周囲の反応について深掘りしてみましょう。

育休後退職男が批判されやすい具体的な理由は以下の通りです。

「一家の大黒柱」という固定観念が強く、安定した職を捨てることへの周囲の理解が得られにくいため
育休中にスキルアップや転職活動を並行していることが、仕事への不誠実さと捉えられやすいため
男性の育休取得率がまだ低いため、一人の欠員による職場の負担感が女性よりも目立ちやすいため
「育児のため」と言いつつ、実際は転職のための有給休暇のように使っているのではないかと疑われるため

男性が育休後に退職する場合、キャリアアップを目的とした転職であることが多いのですが、これを職場のメンバーは「育休という制度を悪用して、給料（給付金）をもらいながら転職先を探していた」と捉えてしまいます。同僚たちが必死に業務をカバーしている間、パパが転職サイトを見ていたと知れば、裏切られたと感じるのは無理もありません。

しかし、男性にとっても、育児を通じて「もっと柔軟な働き方ができる会社に移りたい」と考えるのは切実な問題です。今の会社が深夜残業当たり前、育児への理解ゼロであれば、復帰しても早晩行き詰まるのは目に見えていますよね。男性の育休退職を全否定はできませんが、女性以上に慎重な伝え方と、これまでの貢献を示す誠実さが求められるのが今の日本の現状と言えるかもしれません。

育休後退職いつ言うべきか｜スムーズな退職交渉のタイミングと伝え方

退職の意思が固まったとき、最も悩むのが「いつ、どのタイミングで伝えるか」という問題です。育休後退職いつ言うのが正解かは、会社との関係性やあなたの状況によりますが、原則としては「決まったらできるだけ早く」が鉄則です。民法上は退職の2週間前までに伝えれば良いとされていますが、育休明けという特殊な状況では、そのルール通りでは「非常識」の烙印を押されてしまいます。

一般的には、復帰予定日の1ヶ月から2ヶ月前、保育園の結果が出て進路が確定した段階で伝えるのが、実務的な混乱を最小限に抑えるタイミングとされています。会社はあなたの復帰に向けて、パソコンの手配やデスクの確保、業務の割り振りなどの準備を数ヶ月前から始めています。その準備が本格化する前に伝えることが、最大の「迷惑」回避に繋がるのですよ。

退職を切り出す際のポイントを整理しましょう。

まずは直属の上司に電話、あるいは対面での面談を依頼し、メールだけで済ませないようにする
伝え方は「一身上の都合」ではなく、育児環境の変化や体調、家族の事情など、やむを得ない理由を正直に話す
会社への感謝と、復帰できなくなったことに対する心からの謝罪を冒頭でしっかりと伝える
有給休暇の消化や備品の返却など、退職までの事務手続きを自ら積極的に進める姿勢を見せる

もし、復帰直前まで黙っていて、復帰当日に「今日で辞めます」と言うようなことがあれば、それは職場にとってテロに近い衝撃となります。たとえ気まずくても、早めに伝えることで会社側も「代わりの人を募集する」「既存のメンバーの担当を継続する」といった対策を立てることができます。この「対策を立てる時間を与えること」こそが、退職する側の最後の大切な仕事なのですよ。

また、伝える理由については、嘘をつきすぎないことも大切です。狭い業界であれば、後で転職先がバレてしまうこともあります。今の環境ではどうしても育児との両立が難しいという現状を誠実に伝えれば、多くの上司は（心の中では困ったとしても）最後には背中を押してくれるはずです。逃げるように辞めるのではなく、筋を通して辞めることが、自分自身の今後のキャリアにとってもプラスに働きます。

育休後退職後悔を防ぐ判断基準｜勢いで辞める前に考えるべきポイント

育児の疲れや復帰へのプレッシャーから、「もう辞めてしまいたい！」と衝動的に考えてしまうこともあります。しかし、育休後退職後悔という言葉がある通り、辞めた後に「やっぱり続けておけば良かった」と血の涙を流す人も少なくありません。一度正社員の座を手放すと、同じような条件で再就職するのは想像以上に大変なのが今の社会です。

辞める決断をする前に、一度冷静になって自分の状況を客観的に見つめ直してみましょう。今の「辞めたい」という気持ちは、一時的な寝不足や不安から来るものなのか、それとも長期的に見て今の会社では幸せになれないという確信から来るものなのか。この見極めが運命を分けます。ここでは、後悔しないために自分に問いかけるべき項目をまとめてみました。

勢いで辞める前にチェックすべきポイントは以下の通りです。

時短勤務や残業免除、テレワークの活用など、会社に相談できる余地が本当にゼロなのか
退職後の収入源は確保できているか、またはパートナーの収入だけで数年間生活できる蓄えがあるか
キャリアの空白期間ができることで、数年後の再就職の難易度がどれくらい上がるかを理解しているか
自分が本当に求めているのは「退職」なのか、それとも「休息」や「環境改善」なのか

例えば、今の不満が「今の部署の業務内容」だけにあるのなら、復帰後に部署異動を願い出るという選択肢もあります。また、保育園の送迎が厳しいのなら、ベビーシッターや家事代行を外注することで解決できるかもしれません。退職という究極の手段を使う前に、お金で解決できることや、制度で解決できることがないかを徹底的に洗い出してみてください。

後悔するパターンで多いのは、「子育てが一段落したときに、戻る場所がないことに気づく」というケースです。子供が3歳、5歳と成長すれば、手は離れていきます。その時に「やっぱり働きたい」と思っても、一度途切れたキャリアを繋ぎ直すのは容易ではありません。今の苦しさが「一生続くもの」なのか「今だけのもの」なのか。それをじっくり考えることが、後悔しないための最大の防衛策ですよ。

育休明け退職迷惑を最小限にするためにすべき引き継ぎと挨拶

どうしても退職せざるを得ない場合でも、最後くらいは綺麗に去りたいものですよね。育休明け退職迷惑と思われないための最善の策は、休業前の引き継ぎが完璧であったことと、辞める際のアフターフォローを徹底することです。「もう会わない人たちだから」と投げやりになるのではなく、プロフェッショナルとして最後まで責任を果たす姿を見せましょう。

物理的に出社して引き継ぎを行うことが難しい場合でも、今の時代ならオンラインや資料の作成でできることはたくさんあります。会社が困っているのは「情報が途絶えること」と「業務が止まること」です。それを解消するための努力を惜しまないことが、あなたの誠意として伝わりますよ。

円満な退職のために最後に行うべきことは以下の通りです。

自分が担当していた業務の進捗状況や、顧客情報の最新版を完璧な資料にまとめて提出する
会社から借りているパソコン、健康保険証、社員証などの備品を速やかに、かつ丁寧に返却する
お世話になった部署のメンバーに対し、可能であれば菓子折りなどを添えて個別に挨拶の連絡をする
後任者が困ったときに連絡が取れるよう、個人の連絡先を（差し支えない範囲で）伝えておく

こうしたアクションは、一見すると自己満足に見えるかもしれませんが、残された側からすれば「最後まで私たちのことを考えてくれたんだな」という安心感に繋がります。特に、お世話になった同僚には、一言「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ない」という言葉を添えるだけで、トゲのある感情が和らぐこともあります。

SNSなどで職場の悪口を書くようなことは絶対に避けてくださいね。どこで誰が見ているか分かりませんし、退職後もどこかで今の同僚と仕事で繋がるかもしれません。立つ鳥跡を濁さずという言葉通り、去り際を美しくすることで、あなた自身も新しい生活にポジティブな気持ちで踏み出すことができるのですよ。過去を綺麗に清算して、前を向いて歩き出しましょう。

育休後の退職はずるい?職場復帰せずに辞めることのリスクについてのまとめ

育休後の退職は、法的には個人の自由であり、給付金の返還義務もありません。しかし、感情面では職場への負担が大きく、「非常識」「ずるい」という批判を受けやすいのもまた現実です。この記事では、退職を考える際のリスクやマナー、そして男性のケースや後悔しないためのポイントを詳しく解説してきました。

大切なポイントを最後におさらいしましょう。

育児休業給付金の返還義務はないが、受給中の退職は支給がストップする
会社独自の規定によっては、福利厚生費の精算が発生する可能性がある
非常識と言われないためには、退職の意思を可能な限り早く（1〜2ヶ月前）伝える
男性の育休退職は特に風当たりが強いため、より慎重な根回しと誠実な説明が必要
勢いで辞める前に、時短勤務や外注サービスの活用など、継続の選択肢を出し切る

どんなに悩んでも、最終的に決めるのはあなた自身です。職場への申し訳なさは消えないかもしれませんが、それよりも「自分と家族が笑顔で過ごせるか」を優先することは、決して間違いではありません。ただし、権利だけを振りかざすのではなく、周囲への感謝と敬意を忘れずに手続きを進めること。これが、あなたという人間の価値を守り、後悔のない門出にするための唯一の条件です。

もし、この記事を読んでもまだ決断に迷いがあったり、退職後のキャリアが不安だったりする場合は、一人で抱え込まないでくださいね。専門のキャリアコンサルタントや、信頼できる友人に相談することで、新しい視点が開けることもあります。今回の内容が、あなたの人生の新しい章を始めるための勇気ある一歩になることを、心から応援しています。