ビジネスの現場では、不要になった書類やデータの取り扱いに関する依頼メールを送る機会があります。その際「破棄してください」という表現をそのまま使うと、場合によっては相手に命令調の印象を与えかねません。この記事では「破棄してくださいますようお願い致します」といった丁寧な言い回しを中心に、失礼のないメール例文や敬語の使い方を徹底解説します。読み終える頃には、上司や取引先にも安心して送れる自然で正しい表現を身につけられますよ。
「破棄してくださいますようお願い致します」を正しく使う方法
「破棄してくださいますようお願い致します」は、ビジネスシーンでよく用いられる依頼表現です。命令形の「破棄してください」とは異なり、相手への敬意を前提とした柔らかい依頼のニュアンスが伝わります。
「破棄してください」との違いを理解する
「破棄してください」は、シンプルで分かりやすい一方で、立場が上の相手に送ると命令口調に聞こえるリスクがあります。特に取引先や目上の上司に対しては注意が必要です。
一方「破棄してくださいますようお願い致します」や「破棄してくださいますようお願い申し上げます」といった表現なら、依頼の形をとりながらも丁寧さを維持できます。相手に配慮しつつ意図を正しく伝えるためには、この使い分けが欠かせません。
よく使われる類似表現
- 破棄してくださいますようお願い申し上げます
- お手数ですが、破棄をお願い致します
- ご不要でしたら、破棄いただけますと幸いです
- お手元に残さず、破棄していただきますようお願い致します
これらの表現はすべて同じ「破棄の依頼」ですが、相手との関係性や状況によって選び分けることが大切です。
ビジネスメールで使える「破棄依頼」の例文集
では実際に「破棄してくださいますようお願い致します」を使ったメール文例を見てみましょう。ここでは、相手が上司の場合と取引先の場合の2つのケースを取り上げます。
上司に送る場合の例文
件名:資料の破棄についてお願い
〇〇部長
お疲れ様でございます。△△の件で先日送付いたしました旧版の資料ですが、最新の内容に差し替えております。
恐れ入りますが、旧版の資料はお手元で破棄してくださいますようお願い致します。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
この例文では「恐れ入りますが」というクッション言葉を添えることで、依頼の印象を和らげています。
取引先に送る場合の例文
件名:先日送付の資料について
株式会社〇〇
△△様
平素より大変お世話になっております。ロロント株式会社の□□でございます。
先日ご送付いたしました書類につきまして、一部内容に修正がございました。改めて最新版をお送りいたしますので、お手数ですが旧版の書類は破棄してくださいますようお願い申し上げます。
このように「お願い申し上げます」を用いると、よりフォーマルで誠意のある表現になります。
「破棄してください」メールへの返信方法と注意点
依頼メールを受け取った側は、適切に返信することも重要です。特に「破棄してください メール 返信」と検索されるほど、返答の仕方に悩む人は多いのです。
返信例文
件名:資料破棄の件について
□□様
お世話になっております。△△株式会社の〇〇です。
ご依頼いただきました旧版資料につきまして、承知いたしました。お手元分は破棄させていただきます。最新版を使用させていただきますので、引き続きよろしくお願い致します。
この返信では「承知いたしました」と受け入れを明確にし、「破棄させていただきます」と自分の行動として伝えることで、依頼への対応を丁寧に表現しています。
注意点
- 依頼を受けたことを一言で済ませない
- 「了解しました」より「承知いたしました」を使うとフォーマル
- 相手への感謝や今後の対応も一言添える
返信を省略してしまうと、相手が「本当に破棄してもらえたのか」と不安に感じるかもしれません。短文でもよいので、必ず返信するのがマナーです。
英語で「破棄してください」を伝える表現
グローバルな取引が増えている今、「破棄してくださいメール英語」という検索も多く見られます。英語ではストレートに “Please discard” と書けますが、フォーマルなビジネスではより丁寧な表現が好まれます。
英語例文
- Please kindly discard the previous version of the document.
(先にお送りした資料は破棄していただけますと幸いです。) - We would appreciate it if you could dispose of the outdated files.
(古いファイルをご処分いただけますと幸いです。) - The previous copy is no longer valid. Kindly disregard and destroy it.
(旧版は無効となりました。どうぞご放念いただき、破棄をお願いいたします。)
ポイント
日本語と同様に、命令形よりも「お願い」や「依頼」のニュアンスを出すことで、相手に配慮した表現になります。メールの相手が海外の取引先の場合は特に注意しましょう。
書類破棄をお願いするときの場面別の注意点
同じ「破棄してください」という依頼でも、状況や相手によって適切な言い方は変わります。ここでは代表的な場面ごとに注意すべきポイントを整理します。
機密情報を含む資料を破棄してもらう場合
顧客情報や契約関連のように機密性が高い書類は、破棄方法にも配慮が必要です。単に「破棄してください」では不十分で、シュレッダー処理やデータ削除といった具体的な処理方法を明記することが望ましいです。
例文:
「先日送付いたしました旧版の契約書は、内容に誤りがございました。恐れ入りますが、必ずシュレッダーにて破棄してくださいますようお願い申し上げます。」
情報漏洩のリスクを避けるためにも、破棄方法を添えるのが安心です。
大量の資料を破棄依頼するとき
相手に負担をかける可能性がある場合は、お詫びや感謝を添えましょう。「お手数をおかけしますが」「ご面倒をおかけいたします」といった言葉を入れることで、依頼の印象が柔らかくなります。
例文:
「旧資料一式を送付しておりましたが、最新の内容に差し替えました。ご面倒をおかけしますが、旧資料は破棄していただけますと幸いです。」
上司に依頼するとき
目上に対しては、敬語の使い方をより丁寧にする必要があります。「破棄していただけますでしょうか」と疑問形にして依頼するのも一つの方法です。
例文:
「先日ご確認いただきました資料ですが、差し替え版をお送りします。旧版は破棄していただけますでしょうか。」
「破棄していただいて結構です」と「そちらで処分してください」の違いと使い分け
似たように見える表現でも、ニュアンスには違いがあります。誤用すると相手に失礼な印象を与えることもあるため、それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。
「破棄していただいて結構です」
これは相手の判断に委ねるニュアンスを含んだ表現です。命令ではなく「もう保管しておく必要はありませんよ」という意味合いになります。取引先や顧客に対しても使いやすい柔らかな言い回しです。
例文:
「旧版のカタログは破棄していただいて結構です。最新版をお使いください。」
「そちらで処分してください」
こちらはやや直接的で、事務的な印象を与えやすい表現です。社内でのやりとりや、親しい同僚に対しては問題ありませんが、取引先や上司に対しては避けたほうが無難です。
例文:
「使用済みの備品については、そちらで処分してください。」
使い分けのポイント
- 取引先や顧客 → 「破棄していただいて結構です」「破棄してくださいますようお願い申し上げます」
- 上司や社内の目上 → 「破棄していただけますでしょうか」
- 同僚や社内のフラットな関係 → 「そちらで処分してください」でも可
表現を状況に応じて切り替えるだけで、相手が受ける印象は大きく変わります。
書き出しと締めの挨拶で失礼を避ける工夫
「破棄依頼」を含むメールは、本文だけでなく書き出しや締めの言葉にも配慮するとより丁寧に伝わります。
書き出しの工夫
- 「お世話になっております」
- 「先日はご対応いただきありがとうございました」
- 「先日送付いたしました件でご連絡差し上げました」
書き出しで相手への感謝や状況を伝えてから本題に入ると、依頼が唐突に感じられません。
締めの挨拶の工夫
- 「お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます」
- 「引き続きどうぞよろしくお願いいたします」
- 「ご確認のほどお願い申し上げます」
最後の一文で相手への配慮を示すことで、依頼が円滑に受け入れられやすくなります。
書類破棄をお願いするメールでの失敗例と注意点
正しい表現を使っても、ちょっとした言葉の選び方で誤解を招くことがあります。よくある失敗例を整理しておきましょう。
よくある失敗例
- 「破棄してください」だけで終わらせてしまう
- 上司や取引先に「そちらで処分してください」を使ってしまう
- 書き出しや締めがなく、唐突に本題に入る
- 破棄理由を説明せずに依頼してしまう
これらはすべて相手に「命令された」と感じさせる原因になります。依頼の背景や感謝を添えるだけで、印象は大きく変わりますよ。
まとめと実践のポイント
「破棄してください」という表現は、一歩間違えると命令調に響いてしまいます。しかし「破棄してくださいますようお願い致します」や「破棄していただいて結構です」といった敬語を正しく使い分ければ、丁寧に依頼することができます。
実践のポイントは次の3つです。
- 相手との関係性に合わせて表現を切り替える
- 書き出しと締めの挨拶を忘れない
- 必要に応じて破棄理由や方法を明記する
これらを意識すれば、上司や取引先に送るメールでも失礼なく依頼できます。今日から早速、業務でのメール作成に取り入れてみてください。