ビジネスの現場でよく耳にする「ご一緒させてください」という言葉。
一見、丁寧で礼儀正しい表現のように聞こえますが、実は使う相手や場面を間違えると、違和感を与えることもあります。
特に上司や取引先といった“目上の相手”に対して使う際は、「へりくだりすぎではないか」「もう少し自然な言い方がいいのでは?」と悩む人も多いはずです。
この記事では、「ご一緒させてください」の正しい意味と敬語の構造、上司や社外の相手への使い方、メール・食事・英語表現までを徹底解説します。
最後まで読むことで、どんな立場の人にも失礼のない言葉選びができ、自然で印象の良いコミュニケーションが取れるようになります。
「ご一緒させてください」は敬語として正しい?意味と使う場面の基本
まず、「ご一緒させてください」は敬語として間違っていません。
ただし、その構造や使い方を正しく理解しておかないと、場面によっては不自然に響くこともあります。
「ご一緒させてください」の構成と意味
この表現は、
- 「ご一緒」=相手を立てる尊敬語的な語
- 「させて」=自分の行為をへりくだる謙譲語
- 「ください」=依頼・丁寧語
という3要素で成り立っています。
つまり、「あなたと一緒に行動させていただくことをお許しください」という意味になり、謙譲語+丁寧語の組み合わせです。
敬語としては問題ありませんが、あまりにもへりくだった響きになるため、場面によっては「堅苦しい」「大げさ」に感じられることもあります。
たとえば、同僚や親しい上司に対して毎回この言葉を使うと、少し距離を感じさせる印象になります。
よく使われるシーン
「ご一緒させてください」は、次のようなシーンで自然に使えます。
- 上司や先輩に同行を申し出る時
例:「次回の打ち合わせに、私もご一緒させてください。」 - お客様や取引先との訪問に同行したい時
例:「もしよろしければ、私もご一緒させていただければ幸いです。」 - 食事や会食への誘いに応じる時
例:「ありがとうございます。ぜひご一緒させてください。」
いずれも、“自分が相手と行動を共にする”ことを申し出る丁寧な形です。
ただし、相手に「ご一緒してください」と言うと命令のように聞こえるため、注意しましょう。
「ご一緒させてください」を目上に使うときの注意点と丁寧な言い換え方
上司や取引先など目上の人に「ご一緒させてください」を使うときは、
敬意を示しながらも、柔らかく自然に伝えるバランスが重要です。
目上に使うときのマナー
- “お願い”のトーンを和らげる
「ご一緒させてください!」とストレートに伝えると、押しが強く感じられることがあります。
「よろしければ」「お許しいただけましたら」などの緩衝表現を添えると、丁寧で上品です。
例:
- 「よろしければ、ご一緒させていただけますでしょうか。」
– 「お差し支えなければ、ご一緒させていただければと思います。」
- 文書では“願望”をやや控えめに
ビジネスメールなどでは、「ご一緒させてください」よりも、「ご一緒させていただければ幸いです」と表現する方が自然です。 - 同行意図を添えると印象が良い
単に「ご一緒させてください」だけだと目的が曖昧に見えることもあります。
「補佐として」「サポートとして」など、自分の役割を明確にすると、誠実な印象になります。
例:
- 「明日の訪問には、補佐としてご一緒させていただければと思います。」
- 「議事録作成のため、同行させていただけますでしょうか。」
上品に聞こえる言い換え表現
「ご一緒させてください」よりも柔らかく、自然に聞こえる表現も覚えておくと便利です。
- 「同行させていただければ幸いです」
- 「お供させていただけますでしょうか」
- 「ご一緒できれば光栄です」
- 「お伺いの際、ご一緒させていただければと思います」
たとえば社外の人へのメールでは「ご一緒させていただければ幸いです」、社内では「ご一緒できればうれしいです」とトーンを変えるのが理想です。
敬語の重複に注意
「ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか」という表現は、謙譲語と丁寧語が重なりすぎて不自然です。
正しくは「ご一緒させていただけますでしょうか」が自然です。
言葉が重なると堅苦しく感じられるため、シンプルに整えるのが上級の言葉づかいです。
会食・飲み会・ビジネスランチでの自然な「またご一緒させてください」の使い方
「またご一緒させてください」は、食事や懇親会の締めでよく使われる一言です。
しかし、使い方によってはビジネスよりも私的な印象を与えることがあるため、文脈を選ぶ必要があります。
食事・接待で使うときのコツ
社外の食事や懇親会で「またご一緒させてください」と言うときは、お礼+再会への意欲を込めて使うのが自然です。
- 「本日はお時間をいただきありがとうございました。またご一緒させてください。」
- 「貴重なお話を伺えて光栄でした。ぜひまたご一緒させていただければと思います。」
このように使えば、「また会いたい=関係を続けたい」というポジティブな印象になります。
「飲み」やカジュアルな場面での表現
同僚や親しい上司との飲み会では、もう少し柔らかい表現が適しています。
たとえば以下のように変えると自然です。
- 「また飲みに行けたらうれしいです。」
- 「またご一緒できる機会があるといいですね。」
「ご一緒させてください」はフォーマル寄りなので、社交的な場では“距離感の調整”を意識しましょう。
「脈あり」に見えるケースとその回避法
ビジネスの場で異性に「またご一緒させてください」と伝えると、好意のサインと受け取られることがあります。
特に食事後のメッセージでは、「またお食事できる機会がありましたら」など、控えめな言い回しにするのが安全です。
逆に、信頼関係を築きたい場合は、あえて少しフレンドリーに言うことで親しみを伝えることもできます。
メールでの「ご一緒させてください」表現|社内・社外別の使い分けと例文
メールでは、文章のトーンによって印象が大きく変わります。
相手が社内の上司なのか、取引先なのかによって適切な言葉を選びましょう。
社内メールでの使い方
社内では、やや簡潔で柔らかい言い方が自然です。
例文:
- 「明日の訪問、私もご一緒させていただければと思います。」
- 「打ち合わせに同席させていただけますでしょうか。」
上司に対しては、尊敬よりも“協調の意志”を示すような表現が好まれます。
なお、メールの末尾に「どうぞよろしくお願いいたします。」を添えると丁寧です。
社外メールでの使い方
取引先や顧客に送るメールでは、ややフォーマルに整えましょう。
例文:
- 「ご都合がよろしければ、私もご一緒させていただければ幸いです。」
- 「打ち合わせの際、同行させていただけますと幸いです。」
また、返信メールの文頭で使うときは、「このたびはご案内ありがとうございます。ぜひご一緒させてください。」のように、感謝を先に添えると印象が良くなります。
メールで避けたいNG表現
- 「ご一緒してください」:命令のようで失礼に響きます。
- 「同行いたしますね」:フレンドリーすぎてビジネスには不向き。
- 「同行させていただきます!」:感嘆符はビジネス文では避けましょう。
英語で「ご一緒させてください」を伝える時のフレーズと文化的違い
英語で「ご一緒させてください」を表す場合、直訳の “Let me join you” はやや強すぎます。
ビジネス英語では、相手を尊重しつつ控えめに表現することが大切です。
ビジネスで使える英語フレーズ
- “May I join you?”(ご一緒してもよろしいですか?)
→ 上司や取引先など、丁寧に申し出るとき。 - “I’d be happy to join you.”(ご一緒できれば光栄です。)
→ 招待を受けたときの丁寧な返答。 - “If you don’t mind, I’d like to join.”(もしご迷惑でなければ、ご一緒したいです。)
→ 謙虚に申し出たい場面で使えます。
会食・懇親会の英語表現
- “Thank you for the invitation. I’d love to join you next time.”
(お誘いありがとうございます。次回もぜひご一緒したいです。)
日本語と同様、「またご一緒させてください」を伝えるニュアンスです。
ただし、英語圏ではあまりへりくだらないため、過度な謙譲表現は不要です。
“join” “attend” “be part of” のいずれかを使えば自然に伝わります。
「ご一緒させてください」と言われた時の正しい返答マナー
相手から「ご一緒させてください」と言われたとき、どう返すかも重要です。
特に自分が上司や主催者の立場なら、相手に失礼なく受け答えする必要があります。
快く受け入れるときの返答
- 「ぜひお願いします。」
- 「助かります。よろしくお願いします。」
- 「ご一緒できて心強いです。」
シンプルですが、肯定+感謝の姿勢を見せることで関係性がスムーズになります。
丁寧に断る場合
同行が不要な場合でも、断り方を間違えると冷たく聞こえます。
そのため、「お気持ちだけ頂戴します」「またの機会にお願いいたします」といった緩和表現を使いましょう。
- 「お気遣いありがとうございます。今回は大丈夫です。」
- 「また次の機会にぜひお願いいたします。」
ご一緒させてくださいの言い換え・関連表現集
「ご一緒させてください」は便利な表現ですが、繰り返し使うと単調に感じられることもあります。
以下のように言い換えのバリエーションを持っておくと、より洗練された印象になります。
フォーマルな言い換え
- 「同行させていただければ幸いです。」
- 「お供させていただければと存じます。」
- 「ご同席させていただけますでしょうか。」
柔らかく親しみのある言い換え
- 「ご一緒できればうれしいです。」
- 「お時間を共にさせていただければと思います。」
英語風・グローバルな言い換え
- 「ご一緒できる機会があれば光栄です。」
- 「また同席の機会がありましたら、ぜひお声かけください。」
場面に合わせて言葉の温度を調整できると、相手に“言葉選びが丁寧な人”という印象を与えます。
まとめ|「ご一緒させてください」は距離感と敬意のバランスで印象が決まる
「ご一緒させてください」は、正しい敬語でありながら、使い方ひとつで印象が大きく変わる表現です。
目上の人に使う場合は、「よろしければ」「お許しいただければ」などの緩衝語を添えて柔らかく。
食事の場では感謝と再会の意志を伝える一言として活用し、社内ではややカジュアルにトーンダウンさせると自然です。
また、英語では “May I join you?” や “I’d be happy to join you.” のように、シンプルかつポジティブに表すのがポイントです。
言葉選びのコツは、相手への敬意と、場面に合った“距離感”を保つこと。
これを意識するだけで、ビジネス・社交どちらでも印象が格段に良くなります。
あなたの「ご一緒させてください」が、相手にとって心地よい一言として届くよう、ぜひ本記事の表現を活用してみてください。




























