ビジネスメールや会話で「内々でお願いします」と言われた経験はありませんか。なんとなく意味はわかっても、正しい使い方や敬語表現に迷うことが多い言葉です。特に社内外の関係者に使う場合、表現を誤ると「失礼」「上から目線」と感じられることもあります。この記事では「内々で」という表現の正しい意味や由来、適切な言い換え方法、ビジネスシーンでの例文まで詳しく解説します。読み終える頃には安心して使えるようになりますよ。
内々でとは何かを正しく理解する
まずは「内々で」という言葉の基本的な意味を押さえましょう。
内々での意味と読み方
「内々で(ないないで)」は、周囲に公表せず、限られた範囲で物事を進めることを意味します。辞書的には「内密に」「秘密裏に」といったニュアンスが近いです。たとえば「この件は内々で進めてください」と言えば、「社外に漏らさず、関係者の間だけで共有して進めてください」という意図になります。
ビジネスにおける使われ方
ビジネスでは、以下のようなシーンで「内々で」が使われます。
- 新規事業や組織変更など、まだ正式発表できない情報の共有
- 契約や人事に関するデリケートな話題を伝える場合
- 社外秘の資料や数字を一部のメンバーにだけ展開する場合
このように「内々で」は、信頼関係を前提にした閉じたやりとりを示す表現なのです。
内々にとどめるを使うときの注意点
「内々にとどめる」という表現もよく耳にします。これには「情報を広げないように注意する」という意味が込められています。
内々にとどめるの例文
- 「この件については、まだ公式発表前なので内々にとどめておいてください」
- 「調査結果は経営陣に報告しましたが、現場には当面内々にとどめる方針です」
いずれも、情報管理を徹底するために使われています。
注意点
ただし「内々にとどめる」は強い制約を与える響きがあり、相手によっては窮屈に感じられる場合もあります。そのため、相手との関係性や状況に応じて「念のためご配慮いただけますと幸いです」といった柔らかい表現に言い換えることも有効です。
内々でお願いしますと言うときの表現の工夫
次に「内々でお願いします」という言い回しです。メールや会話で頻繁に登場しますが、言葉選びを誤ると上から目線に聞こえる恐れがあります。
適切な言い換え例
「内々でお願いします」を柔らかく言い換えるには、以下のような工夫が有効です。
- 「恐れ入りますが、当面は関係者のみで共有いただけますと幸いです」
- 「正式発表までは、社内だけの取り扱いにてお願いいたします」
- 「この件は現時点では外部にはお控えいただけますでしょうか」
これらは「お願い」の形をとりつつ、相手への配慮が感じられる表現です。
ビジネスメールでの例文
件名:新プロジェクトに関する情報共有のお願い
本文:
「平素より大変お世話になっております。
新プロジェクトに関する情報を一部ご共有いたします。ただし、現段階では正式発表前のため、内々での取り扱いをお願いできますでしょうか。正式リリース後に改めて詳細をご案内いたします。」
このようにすれば、失礼なく「内々で」の意味を伝えられます。
内々の話をするときの言い換え表現
「内々の話ですが」という言葉もビジネスでしばしば使われます。これは「オフレコ」と同じように「ここだけの話」というニュアンスです。
言い換えの工夫
- 「まだ確定情報ではないのですが」
- 「ご参考までに非公式の情報としてお伝えします」
- 「念のため社外秘としてご理解いただければ幸いです」
これらを使うと、単なる口約束ではなく、ビジネス上の慎重さを示せます。
例文
- 「内々の話ですが、来期の組織体制について検討が進んでいます」
- 「まだ公式発表前ですが、参考までに内々での情報を共有いたします」
相手との信頼関係を強める効果も期待できます。
内々で済ませると言うときのニュアンス
「内々で済ませる」という表現には、少し注意が必要です。
意味
これは「公式な手続きを取らずに、関係者内で処理する」という意味合いがあります。
注意点
ビジネスでは「内々で済ませる」と言うと、透明性を欠いている印象を与えかねません。特に金銭や契約に関する場面で使うと、不正や隠蔽を連想させることもあるため要注意です。
適切な言い換え
- 「簡易的に対応させていただきます」
- 「必要最小限の手続きにて進めさせていただきます」
- 「限定的に処理させていただきます」
これらならビジネス上も角が立ちにくく、誤解を避けられます。
内々の言い換え表現とビジネスでの適用例
最後に、「内々で」を他の言葉に言い換える方法を整理します。
よく使われる言い換え
- 内密に
- 限定的に
- 非公開で
- 関係者のみにて
- 社外秘として
使い分けのコツ
例えば「内密に」はフォーマルな響きが強いため、役員クラスとのやりとりに適しています。一方で「関係者のみにて」は社内向けの案内で違和感なく使えます。
内密と言い換えの違い
「内密」は秘密を厳格に守るニュアンスが強く、「内々で」はもう少し柔らかく「限られた範囲で」といったニュアンスがあります。状況に応じて選び分けることが大切です。
内々に使える例文集
ここからは、実際にビジネスメールや会話で「内々で」という表現を使うときの例文をまとめて紹介します。シーンごとに適切な言葉を選ぶと、相手への配慮がより伝わりやすくなります。
社内での例文
- 「この件はまだ社外には出せないため、内々での共有にとどめてください」
- 「役員会議の議題については、正式に決まるまで内々でお願いします」
社内の場合は「内々」という言葉をそのまま使っても違和感は少ないですが、相手に堅苦しい印象を与えないよう、「念のため」や「当面は」といった柔らかい副詞を添えると、受け手が安心して受け止めやすくなります。
社外向けの例文
- 「正式リリース前につき、現段階では内々でご参考までにご確認ください」
- 「恐れ入りますが、こちらの資料は当面内々での扱いにてお願い申し上げます」
社外の場合は「お願い申し上げます」「ご参考までに」といった言葉を添えると、より丁寧で失礼のない依頼表現になります。
ビジネスメールでの効果的な使い方
メールで「内々で」と伝える際は、状況や相手との関係性に応じて言葉をアレンジすることがポイントです。
柔らかい依頼の仕方
- 「恐れ入りますが、現時点では関係者のみのご共有にてお願いいたします」
- 「まだ正式に確定していない内容のため、当面は社内のみでの取り扱いをお願いできますと幸いです」
「お願いいたします」「幸いです」といった表現を入れることで、相手に協力を求めるニュアンスが伝わりやすくなります。
社外秘を強調するとき
- 「社外秘の内容を含みますので、何卒内々での取り扱いをお願い申し上げます」
- 「外部には未公開の情報となりますため、関係者のみにてご確認ください」
社外秘情報を扱うときは、「何卒」「未公開」といったフォーマルな言葉を添えることで、注意喚起の効果を高められます。
内密との違いと注意点
「内々で」と似た言葉に「内密」がありますが、この2つには微妙な違いがあります。
内々での特徴
- 限られた範囲での共有
- 柔らかい響きで日常的に使いやすい
- 社内外で幅広く活用できる
内密の特徴
- 絶対に漏らしてはいけない強い秘密性を持つ
- フォーマルで硬い印象
- 公的機関や契約関連の場面に適する
注意点
もし相手に「絶対に漏らさないでほしい」と強調したい場合は「内密にお願いします」を使った方が適切です。ただし、日常のやりとりで「内密」を多用すると堅苦しく感じられるため、柔らかさが欲しいときは「内々で」を選ぶ方が自然です。
ケース別の成功事例
実際に「内々で」を上手に使うと、コミュニケーションの質が大きく変わります。
プロジェクトの準備段階
ある企業では、新規プロジェクトの企画段階で「この件は内々でお願いします」と伝えました。その結果、関係者が情報をコントロールしやすくなり、正式発表までスムーズに準備が進んだのです。
人事異動の内示
人事部が異動の内示を出す際に「発表までは内々でお願いします」と伝えるケースがあります。ここで「内密に」と言ってしまうと圧が強すぎるため、あえて「内々で」を使うことで、相手にプレッシャーを与えず受け入れやすくしています。
顧客への限定情報提供
取引先に新商品の先行情報を提供する際に「正式発表前につき、内々でご確認いただけますと幸いです」と伝えたケースもあります。信頼感を高めながら、情報管理もしっかりできた例です。
まとめ
「内々で」という表現は、一見すると漠然としているようですが、実はビジネスにおいて非常に便利な言葉です。社内外の情報管理や信頼関係の維持に役立ち、適切に使うことで「配慮ができる人」という印象を与えられます。
ただし、「内々で」と「内密」にはニュアンスの違いがあり、シーンに応じた言葉選びが重要です。また、相手に上から目線に聞こえないよう「お願いいたします」「幸いです」といった柔らかい表現を添える工夫も欠かせません。
この記事で紹介した例文や言い換えを使い分ければ、安心してメールや会話で「内々で」を活用できます。ぜひ実務で取り入れて、信頼されるビジネスコミュニケーションを築いていってくださいね。