新入社員研修やチームの育成で「報連相（ほうれんそう）」をどう教えるか悩む上司や教育担当者は多いものです。頭では理解していても、実際の業務で使いこなせない人が多いのが現実です。この記事では、報連相を“実践で身につける”ための練習問題・ケーススタディ・ロールプレイ例・ゲーム形式のトレーニング方法まで、すぐに使える内容を網羅します。読むだけでなく、今日からチームで実践できる形にまとめました。
報連相の基本を現場で活かすには「実践練習」が欠かせない
報連相（報告・連絡・相談）は、社会人の基本中の基本と言われますが、理解しているだけでは不十分です。実際の現場では、
「いつ報告すべきか分からない」
「相談のタイミングを逃してしまう」
「連絡が遅れてトラブルになった」
といった悩みが多く見られます。
これらの課題を解決するには、“座学”ではなく“体験的に学ぶ”ことが不可欠です。特に効果的なのが、以下の3つの方法です。
- ロールプレイ（役割演習）：実際の会話を再現し、報連相のタイミングや言葉づかいを体験的に学ぶ。
- ケーススタディ（事例研究）：実際の職場トラブルや成功事例をもとに、適切な対応を考える。
- ゲームやアプリを活用したワーク：チームで楽しみながら報連相の感覚を磨く。
どれも“体感を伴う”学習法であり、頭で覚えるよりもずっと定着率が高いのが特徴です。
報連相ロールプレイの例｜上司と部下の会話で練習する
ロールプレイは、報連相を自然に使いこなすための最も効果的な練習法です。ここでは「報連相 ロールプレイ 例」として、職場で実際に使える演習シナリオを紹介します。
新人研修で使える基本ロールプレイ例
シナリオ1：進捗報告のタイミングを学ぶ
状況：
新入社員Aさんは、上司から「来週の営業資料を作っておいて」と言われていた。
しかし、途中でクライアントから仕様変更の連絡が入り、内容を一部作り直す必要が出た。
悪い例：
A「すみません、資料が間に合わないかもしれません。」
上司「どうしてもっと早く言わなかったの？」
良い例：
A「昨日、クライアントから仕様変更の連絡がありました。修正内容を反映するのに追加で半日かかりそうです。進行をどう調整すべきでしょうか？」
このように、「起こったこと」だけでなく「今後の見通し」と「相談の意図」を添えるのがポイントです。報告と相談を分けて考えるのではなく、**“セットで伝える”**ことを意識すると、報連相が自然に身につきます。
ロールプレイを効果的に行うコツ
- 役割を交代する
上司役と部下役を交代で行うことで、双方の立場を理解できる。 - 録音・録画して振り返る
話し方やタイミングのズレを可視化することで、改善点が明確になる。 - 1対1よりグループ演習にする
他の人の発言を聞くことで、自分にない表現方法や考え方を学べる。
ロールプレイは“恥ずかしい”と感じる人もいますが、訓練の場での失敗こそが一番の学びです。企業研修でも「報連相 ロールプレイ 例」を実践するだけで、新入社員の行動スピードと正確さが大きく向上します。
報連相ケーススタディの例題でトラブル回避力を鍛える
次に、「報連相 ケーススタディ 例題」から、よくある職場シーンを使った練習問題を紹介します。ケーススタディは、リアルな業務場面を想定して、どう動くべきかを考えるトレーニングです。
例題1：報告の遅れでミスが拡大
シナリオ：
商品在庫の更新を担当していた社員Bさんが、システムの不具合に気づいたが、他部署に迷惑をかけたくないと思い報告を後回しにした。結果、受注データに誤りが発生し、出荷トラブルに発展。
設問：
Bさんはどの時点で報連相をすべきだったでしょうか？
模範回答例：
「システム不具合を発見した時点で、担当上司に報告し、他部署への影響を相談すべきだった。」
報告の目的は“自分の責任回避”ではなく、“被害の最小化”です。特にトラブル時の報連相は、早ければ早いほど価値があるという意識を持つことが重要です。
例題2：相談が遅れて機会損失に
シナリオ：
営業担当Cさんは、大口顧客からの問い合わせに対して自分で判断しようとしたが、価格交渉権限がなく、返答が遅れて契約を逃してしまった。
設問：
この場合、Cさんが取るべき行動は？
模範回答例：
「早い段階で上司に相談し、方針を共有してから対応すべきだった。」
報連相の“相談”は、判断力の補完です。経験が浅いほど「自分で解決しなければ」と思いがちですが、相談は弱さではなく“チームで成果を出すための戦略”なのです。
ケーススタディを効果的に活用する方法
- グループディスカッション形式にする：
異なる意見を出し合いながら、“正解が一つではない”ことを体感できる。 - 簡単なケースから始める（報連相ケーススタディ 簡単）：
新人向けには「メール返信の遅れ」「上司への報告漏れ」など身近な例題が効果的。 - 最後に“気づき”を共有する時間を設ける：
問題を解くだけで終わらず、振り返りの時間が理解を深める鍵。
ケーススタディは“正解探し”ではなく、“考える力”を育てるトレーニングです。
報連相ワークシートを使った実践トレーニング
報連相の習慣を定着させるには、「報連相 ワークシート」を使って日々の行動を見える化することが効果的です。
ワークシートでできる3つのこと
- 報告・連絡・相談の整理
1日の中で「報告したこと」「報告し忘れたこと」を書き出す。 - 優先度を明確にする
“今すぐ必要な報告”と“後でまとめても良い報告”を区別する。 - 改善点を記録する
どのタイミングで言うべきだったかを振り返ることで、行動が具体化する。
このワークシートを研修や1on1で使えば、口頭で指摘するよりも“自分で気づく力”が育ちます。Googleスプレッドシートなどのオンライン共有形式にすれば、チーム全体の透明性も高まります。
報連相をゲームで学ぶ｜無料でできる実践的な方法
「報連相ゲーム 無料」「報連相ゲーム やり方」といった検索が増えているのは、研修が“堅苦しい”と感じられがちだからです。遊びながら学ぶことで、心理的ハードルを下げ、チーム全体のコミュニケーションを活性化できます。
代表的な報連相ゲームの例
① 伝言ゲーム式コミュニケーション
参加者を3人1組に分け、最初の人が与えられた指示を次の人に口頭で伝達。最後の人が実際に作業を行う。正確に伝わったかどうかを確認し、報連相の難しさを体感する。
② ミッション遂行型チームゲーム
制限時間内にチームで課題（例：資料作成・簡単な工作）をクリアする。役割分担・進捗共有を通して「連絡の重要性」を学ぶ。
③ 絵を使った報連相ゲーム（報連相 ゲーム 絵）
Aさんが見本の絵を見て説明し、Bさんがその説明だけで同じ絵を描く。
言葉の不足や曖昧さが結果に反映されるため、「正確な伝達」がいかに難しいかがわかる。
これらはすべて無料でできるシンプルなトレーニングです。オンライン会議ツールでも応用でき、リモートワークのチームビルディングにも役立ちます。
報連相練習アプリでスキマ時間にトレーニング
最近では「報連相練習アプリ」を使って、スマートフォンで学べる教材も増えています。報連相は一度身につけても“使わなければ鈍る”スキルです。継続的な反復練習がポイントになります。
おすすめの練習スタイル
- クイズ形式アプリ：
場面ごとの正しい報連相行動を選択する。思考トレーニングに最適。 - シミュレーション型：
チャット形式で上司や同僚に返信する練習を行い、AIがフィードバックを返すタイプ。 - ケース記録アプリ：
自分の報連相実績を記録し、改善点を振り返る。
アプリを活用すれば、通勤時間や昼休みなどの短時間でも“実践的な振り返り”ができます。教育担当者は、研修後のフォローアップとして導入すると定着率が格段に上がります。
まとめ：報連相の力は「知る」より「やる」で磨かれる
報連相は社会人にとって永遠のテーマです。
「わかっているけど、できない」
このギャップを埋める唯一の方法は、“体験を通じて身につける”こと。
ロールプレイで会話力を磨き、ケーススタディで判断力を鍛え、ワークシートやアプリで習慣化する。これらを組み合わせれば、報連相はもう“義務”ではなく“武器”になります。
報連相ができる人は、信頼され、チームを動かし、成果を生む人です。
今日紹介した練習問題やゲームをきっかけに、あなたの職場でも「伝わる」「つながる」報連相を育ててみてください。
きっと、コミュニケーションが驚くほどスムーズになりますよ。
