直帰率とは何か?平均値や離脱率との違いから見る改善ポイントの全体像

自社サイトのアクセス解析をしていて、「直帰率」という言葉に引っかかったことはありませんか?なんとなく「悪い数字」だと思っていても、それがどのように測定され、どのように改善すべきものなのかを理解している人は意外と少ないものです。この記事では、直帰率の定義から平均値、離脱率との違い、目安の見方、GA4の仕様変更、そして改善のための戦略までを、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。Webマーケティングやサイト運用に関わる方であれば、ぜひ知っておきたい内容です。

目次

直帰率とは何か?意味と正しい理解

直帰率とは、ユーザーがWebサイトに訪問した際に、1ページだけを閲覧して離脱した割合を指します。つまり、「ランディングページだけ見て、他のページに遷移せずに帰った人の割合」ということです。

たとえば、100人があるページに訪れて、60人がその1ページだけでサイトを離れた場合、そのページの直帰率は60%になります。ページの内容に関心がなかった、あるいは期待した情報と違ったなど、さまざまな理由が考えられます。

ここで重要なのは、「直帰=悪」ではないということです。たとえば、お問い合わせ先やアクセスマップのように、1ページ完結型のページであれば、直帰してもユーザーの目的は達成されています。むしろ、情報提供の効率性が高いとも言えるのです。

直帰率を評価するには、ページの種類、訪問者の目的、導線設計、業種特性など多面的な要因を踏まえた上で考える必要があります。たとえば、ブログ記事やニュースページで直帰率が高いのは自然なことですが、コンバージョンを目的とする商品紹介ページで直帰率が高ければ、何らかの問題があると判断できます。

直帰率と離脱率の違いとは?混同しやすい2つの指標を明確に区別する

直帰率と離脱率の違いは、アクセス解析を行う上で非常に重要な知識です。両者は似て非なるものであり、誤解したまま対策を進めると改善の方向性を見誤ってしまいます。

直帰率は「そのページが訪問の最初であり、かつ最後だった割合」を示します。一方、離脱率は「そのページがセッション内のどこで表示されたかにかかわらず、結果的にそのページでサイトを離れた割合」を示します。

たとえば、ユーザーがA→B→Cとページを閲覧し、Cページでサイトを離れた場合、Cは離脱ページになりますが、直帰ページではありません。一方で、ユーザーが最初にCに訪れてそのまま帰った場合、Cページは直帰ページにも離脱ページにもなります。

つまり、離脱率は「そのページがセッションの終わりにあった割合」であり、直帰率は「1ページしか見なかったセッションの割合」です。これを正確に区別しないままページを改善してしまうと、ユーザーの動線や行動分析が歪んでしまい、的外れな対策になってしまいます。

直帰率の平均値はどれくらいか?業界別の目安を知る

直帰率に「理想値」は存在しませんが、一般的に参考とされる平均値はあります。また、業種やページの目的によっても、平均的な直帰率には大きなばらつきがあります。

例えば、以下は業界別の平均直帰率の目安です。

  • ECサイト:20〜45%(ユーザーが商品一覧やカートページへ遷移する構造が多いため)
  • サービス業(BtoB系):30〜55%(比較検討フェーズが長く、複数ページを確認する傾向)
  • メディア・ニュースサイト:60〜80%(1記事読んで離脱が自然)
  • ランディングページ:70〜90%(1ページ完結型のため直帰が基本)

これらの数値はあくまで目安であり、自社サイトの目的やユーザー層によって適正値は異なります。大切なのは、「業界平均と比べて高いか低いか」よりも、「自社の目標と比べてどうか」「意図したユーザー行動ができているか」に注目することです。

また、GoogleのGA4では従来の直帰率が直接的には表示されなくなり、「エンゲージメントのなかったセッション割合」として再定義されています。これは後述します。

直帰率は高い方がいいのか?悪いのか?数値に一喜一憂しない考え方

直帰率が高いと「何かがおかしいのでは」と感じるかもしれませんが、必ずしも悪いとは限りません。むしろ、高直帰率が“理想的な結果”であるページも多数存在します。

例えば、「○○市役所 住所」で検索して地図ページを見たユーザーは、住所を確認すればすぐにページを閉じます。このようなページは、直帰=目的達成というパターンです。

問題は、CV(コンバージョン)につながるはずのページや、商品説明ページ、フォーム入力前の導線ページなどで高い直帰率が出ている場合です。これらのページでは、何かがユーザーの期待とズレている、または行動を促せていない可能性が高いです。

直帰率の数値だけで良し悪しを判断するのではなく、「ページの役割」「訪問者の期待」「CVまでの導線の有無」を冷静に見直すことが必要です。ユーザーの行動に対する解像度を上げることで、初めて直帰率の“意味”が見えてきます。

GA4における直帰率の見方|従来との違いと対応方法

GoogleアナリティクスのバージョンがGA4へと移行したことで、直帰率の指標は大きく変わりました。従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、「直帰=1ページだけ見て離脱したセッション」と定義されていました。

GA4では、代わりに「エンゲージメントがなかったセッションの割合」という新たな考え方が導入され、次の3つの条件を満たさなかった場合に“直帰”と判断されます:

  1. ページ滞在が10秒以上である
  2. 2ページ以上閲覧した
  3. コンバージョンイベントが発生した

つまり、GA4における直帰は「10秒以内に離脱し、何もイベントを起こさなかったセッション」と定義されているのです。これにより、以前よりも“中身を見ていたかどうか”に重きを置いた設計になっています。

GA4では従来の「Bounce Rate」という項目自体はデフォルトでは表示されませんが、「非エンゲージメントセッション率」の逆数(100% – 非エンゲージメント率)を算出することで実質的な直帰率を再現できます。

この仕様変更を受け、サイト改善もより「ユーザー行動ベース」で行うことが求められるようになりました。

直帰率を改善するためのポイントとは?具体的な改善施策

直帰率を改善するには、ユーザーの視点に立ったページ設計と導線設計の見直しが必要です。以下は実際に効果があったとされる主な施策です。

1つ目は、ファーストビューの情報設計です。訪問直後に「このページは自分の求めていた情報だ」と理解できるように、タイトル・見出し・冒頭文の三点を最適化することが重要です。特に、検索クエリとページ内容がズレていると、直帰率は著しく高まります。

2つ目は、ページ内に適切な内部リンクを配置すること。関連情報や次に読むべきページが自然な導線で案内されていれば、ユーザーは1ページで終わる必要がなくなります。たとえば、「詳しい料金はこちら」「成功事例もチェック」など、次の行動を誘導する設計が有効です。

3つ目は、ページスピードの改善です。Googleの調査によると、読み込みに3秒以上かかると、訪問者の53%がページを離れるというデータもあります。特にモバイル最適化ができていないと、直帰率は上昇しやすくなります。

また、最近はユーザーの行動をトラッキングするヒートマップやセッションリプレイツール(例:ClarityやHotjar)を使って、離脱箇所を可視化することも可能です。これにより、「どこで離れているのか」「なぜ行動しないのか」を実際の画面で分析できます。

まとめ:直帰率は“数字”ではなく“行動”で読み解く

直帰率はただの数値ではなく、ユーザーの満足度や導線設計の健全性を映し出す“行動の鏡”です。数字だけを見て一喜一憂するのではなく、その背後にあるユーザーの期待、ページの目的、そして実際の行動とのギャップに注目することが何よりも大切です。

GA4によって、直帰率の定義はより“行動ベース”のものへと進化しました。これは、マーケティングにおいて「数字よりも体験を重視する時代」に移行している証拠でもあります。

直帰率を怖がるのではなく、ユーザーがなぜ帰ったのかを知るチャンスととらえ、改善の第一歩にしましょう。細かなチューニングを積み重ねていくことが、最終的にコンバージョンや成果に直結するサイトづくりにつながります。

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