「Windows Server 2019 のサポートはいつ切れるのか」「延長サポートは有料なのか」「2016 や 2022、さらには 2025 の期限は?」——社内インフラの責任者なら必ず押さえておきたい疑問を、この記事で一気に解決します。公式のライフサイクル情報を根拠に、今やるべき移行判断と費用の考え方、SQL Server との同期更改のコツまで、実務でそのまま使える形で整理しました。読み終えたとき、自社の更改ロードマップがそのまま引けるはずですよ。
Windows Server 2019 サポート期限はいつまで
Windows Server 2019 は固定ライフサイクル(Fixed Lifecycle)で、メインストリームサポートは 2024年1月9日、延長サポートは 2029年1月9日まで提供されます。セキュリティ更新は延長サポート期間も継続されます。
2019 の「今」押さえるポイント
- 2024年1月にメインストリームが終了済み:新機能や仕様変更は基本停止。以後はセキュリティ更新が中心です。
- 2029年1月9日が延長サポート最終日:ここが「安全に運用できる公式の最終ライン」。以降は通常の更新提供はありません。
2019 を使い続ける場合の現実解
延長サポート期間中はセキュリティパッチが配布されるため、短期での更改が難しいシステムでも運用は可能です。ただしゼロトラスト対応や新しい管理機能は基本的に提供されません。結果として、監視・EDR・脆弱性管理など周辺対策の負担が相対的に増える点は覚えておきましょう。
Windows Server 2019 サポート期限 延長はあるのか
「延長サポートの延長」や「自動で期限が伸びる」ことは想定されていません。マイクロソフトはサーバ OS の EOS(End of Support)後に、Extended Security Updates(ESU) を提供する場合がありますが、これは「通常の延長サポートの延長」ではなく、EOS 後に限定のセキュリティ更新だけを提供する特別プログラムです。Azure 上では ESU が無償で提供され、オンプレミスでは購入が必要になるのが基本です。
重要:現時点で Windows Server 2019 向けの ESU 提供が告知されているわけではありません。2012/R2 に対する ESU 実績(Azure 無償・オンプレ有償)があるため、2019 でも 2029 年以降に ESU が案内される可能性はあるものの、投資判断は「2029 年 EOS」を前提に組むのが安全です。
Windows Server 2016 サポート期限
Windows Server 2016 はメインストリームサポートが 2022年1月11日に終了、延長サポートは 2027年1月12日までです。すでに延長フェーズに入っており、セキュリティ更新のみ配布されています。
2016 運用の注意点
- Microsoft 365 Apps のサポートは 2025年10月までという別軸の制約も存在します。アプリ面での影響評価も併せて実施しましょう。
- 2027 年 1 月がハードデッドライン。基幹系や AD ドメイン コントローラー等は特に、2026 会計での更改計画が現実的です。
Windows Server 2022 サポート期限
Windows Server 2022 は 2021年8月18日リリース。メインストリーム 2026年10月13日、延長サポート 2031年10月14日 まで。長期運用の受け皿として 2029 年以降の主力候補になります。
2022 を選ぶ理由
- 2019 の EOS(2029/1)を跨いで 2031 年まで余裕がある
- Azure Edition ではホットパッチの適用性など、運用性の向上領域も(メインストリーム期間内)サポート対象です。
Windows Server 2025 サポート期限
Windows Server 2025(LTSC)は 2024年11月に一覧掲載開始。メインストリームは 2029年11月13日、延長は 2034年11月14日 までと公表されています。長期での標準 OS 候補として最長の支援期間を確保できます。
2025 を選ぶ判断軸
- 2034 年までの長期サイクルを確保したい
- 新しいハードウェア世代やセキュリティ機能との親和性を最大化したい
一方で、初期導入年の運用知見や周辺製品の対応状況は導入前に検証が必要です。
Windows Server サポート期限 一覧(早見表)
主要 LTSC のサポート期限を一覧で確認できます。日付は Microsoft Learn の公式ライフサイクルに基づきます。
製品(LTSC) | メインストリーム終了 | 延長サポート終了 |
---|---|---|
Windows Server 2016 | 2022年1月11日 | 2027年1月12日 |
Windows Server 2019 | 2024年1月9日 | 2029年1月9日 |
Windows Server 2022 | 2026年10月13日 | 2031年10月14日 |
Windows Server 2025 | 2029年11月13日 | 2034年11月14日 |
※ サポート日は太平洋時間(PT)基準。日本では翌日扱いの場合があります。
SQL Server 2019 サポート期限(サーバ OS と同時に考える)
SQL Server 2019 は メインストリームが 2025年2月28日、延長サポートが 2030年1月8日 に終了します。アプリ更改は DB と OS を分けて考えがちですが、両者のサポート窓を重ねると移行の無駄が減ります。
更改プランの実務例
- 2019 OS × 2019 SQL の組み合わせ:2025 年にまず SQL を 2022 へアップグレード → 2028〜2029 年に OS を 2022/2025 へ、という二段階移行が現実的です。
- Azure への移行を選ぶ場合、EOS 後の ESU を無償で得られる選択肢(SQL/Windows 双方)が存在します。短期で更改困難な場合の安全策になります。
Windows Server 2019 延長サポート 費用の考え方
まず前提として、「延長サポート(Extended Support)」は製品ライフサイクルの一部で、2019 の場合は 2029 年まで追加費用なしで提供されます(セキュリティ更新中心)。有償の議論になるのは EOS 後の ESU(Extended Security Updates) です。Azure 上は無償、オンプレは購入が必要というのがマイクロソフトの基本方針です。
実務での費用整理
- 2029年までは「延長サポート内」:通常の月例セキュリティ更新が提供。追加ライセンス費用は不要
- 2029年以降、ESU を使う場合:
- **Azure(VM、Azure VMware Solution、Dedicated Host、Azure Stack など)**は ESU が期間限定で無償
- オンプレは ESU を購入。価格は年度で変動し、原則年次で上がる設計です(2012/R2 の実績)。計画時は 1〜3 年分を見込むのが定石です。
企業向け:Windows Server 2019 更改ロードマップの最適解
1. 購買・予算化のタイミング
- 2026 年度:2016 更改の最終便と 2019 更改の前倒し検討を並走
- 2027〜2028 年度:2019 のリプレイス発注ピーク。2029年1月の最終日から逆算して、検証 6 か月・本番展開 12 か月を最低ラインに
2. 更改先の候補(2022 と 2025 の選び分け)
- 安定重視・互換性重視:2022(2031 年まで)を標準に
- 長期運用・将来機能重視:2025(2034 年まで)を標準に
— ハード調達・ミドルウェア対応・クラウド接続性を「TCO」で比較し、標準 OS を一つに絞ると運用負荷が下がります。
3. Azure 併用という保険
移行が遅延した場合のリスク低減として、**Azure へ一時退避(Lift & Shift)**する設計を最初から用意しておくと、ESU を無償で確保でき、コンプライアンス違反の懸念を抑えられます。
よくある質問(FAQ)
Windows Server 2019 のサポート期限が「増える」「緩和」される可能性は?
公式のライフサイクルは既に公開済みで、2019 は 2029年1月9日で延長サポート終了です。変更は原則期待すべきではありません。ESU は「延長サポートの延長」ではなく、EOS 後のセキュリティ更新のみを提供する別枠の施策です。
Windows Server 2022 の期限は?
メインストリームは 2026年10月13日、延長は 2031年10月14日です。
Windows Server 2025 の期限は?
メインストリームは 2029年11月13日、延長は 2034年11月14日です。
SQL Server 2019 の扱いは?
メインストリームは 2025年2月28日、延長は 2030年1月8日です。アプリ保守の都合で DB がボトルネックなら、先に SQL を更改→OS を後追いが合理的です。
いま作るべきチェックリスト(テンプレート付き)
- 自社 OS 台帳を「バージョン×役割×サポート期限」で棚卸し
- 2016 は 2027/1、2019 は 2029/1 を赤線で明示
- 更改先 OS を 2022/2025 で標準化し、例外承認プロセスを用意
- SQL 2019 は 2025/2(メイン)・2030/1(延長)を軸に、DB と OS の二段階移行案を設計
- 期ズレに備えて Azure 退避パス(VM/AVS/Stack)を事前検証し、ESU 無償の使い道を決めておく
まとめ:2019 は「2029/1」起点で逆算、標準 OS を一本化
- Windows Server 2019 の延長サポートは 2029年1月9日まで。この日付から更改を逆算し、2027〜2028 年にピークを作るのが現実的です。
- 更改先は 2022(2031 まで) または 2025(2034 まで) を標準に。長期運用を見込むなら 2025 が有利
- SQL Server 2019(メイン 2025/2、延長 2030/1)との組み合わせで「二段階移行」を設計すると投資効率が上がります。
- どうしても遅延が出る場合は Azure 一時退避で ESU 無償を活用。コンプラと安全性を担保しつつ、運用の橋渡しができます。
この通りに進めれば、サポート期限に追われる「受け身の更改」から、費用対効果とセキュリティを両立させた「攻めのロードマップ」に切り替えられます。