Wordで作成した文書をPDFに変換した際、「行間が広がってレイアウトが崩れた」「ページ数が増えた」という経験はありませんか?
特にiPhoneやMac、スマホアプリなど、端末や閲覧環境によって行間や文字サイズが変わってしまい、ビジネス資料や社外提出物で想定外のトラブルにつながるケースもあります。
この記事では、WordでPDF化したときに行間が広がる原因とその具体的な対処法、端末ごとの注意点まで詳しく解説します。
なぜPDFにすると行間が広がるのか
WordとPDFの描画エンジンの違い
WordはMicrosoft独自の描画エンジンを使っていますが、PDFはAdobeなどの標準仕様に従ってレンダリングされます。この差により、フォントや段落の処理が微妙に変わり、結果として行間が広くなったように見えるのです。
フォントの埋め込みが不完全
使用しているフォントがPDFに正しく埋め込まれていないと、代替フォントが使用され、想定よりも文字や行のサイズが大きく表示されてしまうことがあります。
行間のズレを防ぐための基本設定
Wordでの段落設定を見直す
- 対象の文章を選択
- 「ホーム」タブ →「段落」右下のアイコンをクリック
- 「行間」設定を「固定値」または「1.0」に
- 「段落後の間隔」も「0pt」に設定
これにより、Word側で意図した行間がPDF変換時に維持されやすくなります。
フォントは標準的なものを使用
Windows標準の「MS明朝」や「メイリオ」など、PDFに変換しても互換性の高いフォントを選ぶことがポイントです。特殊なフォントを使っている場合は、変換後にレイアウトが崩れることがあります。
iPhoneやiPadでの表示ズレの注意点
モバイルデバイスで行間が広がる理由
iPhoneやiPadでPDFを開いた場合、PDFビューアの種類(Apple Books、Safari内プレビュー、Adobe Readerなど)によって行間や文字サイズが変化することがあります。これは表示エンジンのレンダリング方式が異なるためです。
iOSでの確認手順
- 可能であれば「Adobe Acrobat Reader」など専用アプリで確認
- デバイス側でズームや表示モードを調整し、行間の見え方を確認
- WordでPDF化する前に、見た目を画像化して比べておくのも有効です
Mac環境でのPDF変換時の注意点
macOS版WordとWindows版Wordの微妙な違い
Macで作成したWord文書をPDFにすると、行間や改行位置に微妙な差が出ることがあります。とくに日本語環境では、フォントの互換性によってズレが起こりやすいです。
Macでの変換方法
- 「ファイル」→「プリント」→「PDFとして保存」ではなく
- Wordアプリから直接「PDFとして保存」を選ぶことで、MicrosoftのPDFエクスポート仕様が優先され、ズレが起きにくくなります。
スマホでPDFが崩れるときの対処法
スマホ(特にAndroid)では、Officeアプリを使ってWordをPDFに変換した際、行間や改行がずれることがあります。原因としてはアプリのバージョンや使用中のフォントの非対応が考えられます。
スマホでの変換時の工夫
- Wordアプリで「印刷レイアウト表示」に切り替えてから変換
- 一度クラウド上(OneDriveなど)でPDF変換し、PCで確認
- スマホでは最終版の確認より「閲覧専用」に留めるのが無難です
ページが増える・サイズが変わるときの原因
行間以外にも注意すべき要素
PDFに変換したときにページ数が増える原因は、行間だけでなく以下のような要素も関係しています。
- フォントサイズや行送りの変更
- セクション区切りやページ余白の解釈の違い
- 表や画像がページを押し出してしまう
また、Wordでページ数がピッタリでも、PDFでは1行分のズレで1ページ増えることもあるため、余白設定はやや広めに確保しておくのが安全です。
PDF化後に行間を調整する方法
専用ソフトでの修正
Adobe Acrobat Proを使用してPDF上の行間を直接調整することも可能ですが、基本的にはWord側で正しく設定する方が確実です。PDF編集はあくまで「最終手段」として扱うのが望ましいです。
PDFのサイズが変わる原因と対策
PDF変換によってファイルサイズが大きくなったり、印刷サイズがA4からB5にずれるといったケースもあります。
サイズが変わる主な理由
- 画像や表が埋め込まれている
- 文字間や行間が広がっている
- フォントの埋め込みにより容量が増える
対処法
- 解像度や出力品質を「標準」または「最小サイズ」に設定
- フォントの埋め込みを最小限に抑える(必要なもののみ)
- Wordで「印刷プレビュー」で余白・レイアウトを事前に確認
ビジネス文書に最適なPDF出力のすすめ
Word文書を社外に提出したり、PDF形式で保存・共有する場合、見た目のズレは相手の印象に大きく影響します。以下の点をチェックリストとして活用してください。
- フォントと行間は標準にする(固定値推奨)
- 段落後の余白設定をゼロにする
- 改行位置と余白は「印刷プレビュー」で事前確認
- PDFビューアを複数使って表示確認を行う
- Macやスマホなど異なる環境でも一度は表示テストする
まとめ
WordからPDFに変換した際に行間が広がる問題は、フォントや行間設定、変換方式、閲覧環境の違いなど、さまざまな要因が重なって発生します。
特にビジネスシーンでは、見た目の微妙なズレが信頼性や伝わり方に大きく影響するため、PDF出力前のチェックが非常に重要です。
- Word側で段落と行間を丁寧に設定する
- 使用フォントは標準的なものにする
- PDFは可能な限りPCで変換し、スマホでは閲覧専用に
- 出力後は必ず複数環境で確認する
このような対策をとることで、行間の広がりによるストレスやレイアウトの崩れを防ぎ、誰が見ても同じ見た目のPDFを作成できます。
業務効率を上げながら、文書品質も保つために、ぜひ本記事を参考に設定を見直してみてください。