「取り組む」という言葉は、ビジネスの場面でもよく使われる表現です。しかし、毎回同じ言い回しをしていると、文面が単調に感じられたり、敬語として適切でない印象を与えたりすることもあります。
上司や取引先への報告、面接での自己PR、資料やメールでの説明文など、TPOに応じた言い換え表現を使うことで、より説得力と好印象を生み出せるようになります。この記事では「取り組む」の意味や使い方を踏まえ、シーン別に使える敬語・表現例を紹介します。
「取り組む」の意味と使い方の基本
ビジネスシーンで使われる「取り組む」は、「課題や業務、目標に真剣に向き合い、実行している状態」を指します。単なる行動ではなく、「目的意識」や「主体性」が含まれている点が特徴です。
たとえば、次のような文脈で使われます。
- 新規プロジェクトに取り組んでいます
- 業務改善に真剣に取り組んでいます
- 学習にも積極的に取り組んでおります
シンプルで伝わりやすい反面、連続使用すると文章の平坦さが目立ちやすくなるため、場面に応じた言い換え表現を用いることで、表現の幅を広げることができます。
ビジネスシーンで使える「取り組む」の言い換え表現
丁寧な印象を与える敬語表現
社外への報告メールや資料では、直接的な表現よりも丁寧で端正な言い回しが好まれます。「取り組む」に相当する丁寧語や謙譲語には、次のような表現が適しています。
- 尽力する
- 精励する
- 注力しております
- 従事しております
- 専念しております
たとえば「新規顧客の開拓に取り組んでいます」を書き換える場合、
→「新規顧客の獲得に注力しております」
→「営業活動に精励しております」
などに言い換えると、よりフォーマルで信頼感のある文章になります。
仕事に取り組むことを表す言い換え例
「仕事に取り組む」を言い換える場合、熱意や姿勢を強調したいときと、業務範囲を説明したいときで適切な表現が異なります。
熱意を表す場合:
- 業務に真摯に向き合う
- 責任感を持って遂行する
- 積極的に推進している
業務範囲を伝える場合:
- ~の業務に従事しております
- ~のプロジェクトを担当しております
- 業務改善活動を主導しています
上司やクライアントに進捗を伝える際も、「取り組んでいます」だけではなく「推進中」「計画を進めている」などの言葉で補足することで、ビジネスとしての信頼度が高まります。
「物事に取り組む」の自然な置き換え方
抽象的な「物事に取り組む」は、対象が漠然としているため、意味の伝達力に乏しいことがあります。言い換える際は、目的や成果を意識させる表現に置き換えるのが効果的です。
例:
- 「物事に取り組む姿勢を大切にしている」
→「目的意識を持って業務に臨む姿勢を大切にしている」
→「課題解決に向けて前向きに行動する姿勢を重視している」
これにより、単なる努力ではなく、「何を達成したいか」が明確になり、読者や聞き手の理解と共感を得やすくなります。
「活動に取り組む」表現のビジネス的な言い換え
たとえばボランティア活動や社内プロジェクトなど、比較的広い概念の「活動に取り組む」を表現したい場合は、以下のような言い換えが適しています。
- 活動に参画する
- 取り組みに携わる
- 〇〇推進に加わっている
- 〇〇の実行に貢献している
活動の内容が明確な場合は、「~に従事する」「~を推進する」など、能動的で成果を意識した言葉が好印象です。
「学習に取り組む」場面での表現の広げ方
学習や研修への姿勢を表す際、「取り組む」以外の表現としては、意欲・継続性・計画性を含んだ言葉を使うと評価されやすくなります。
- 自発的に学んでいる
- 継続して研鑽を積んでいる
- 知識習得に励んでいる
- 意欲的に取り組んでいる
自己PRやキャリア面談で、「学習に取り組んでいます」だけでは抽象的すぎるため、「継続的に学び、実務に活かしている」といった実践的な表現への変換がポイントです。
「懸命に取り組む」の具体的な言い換え表現
「懸命に取り組む」は熱意や努力を強調する表現ですが、ビジネス文書では少し情緒的になりすぎることも。以下のような置き換えで、よりプロフェッショナルな印象を与えられます。
- 全力を尽くす
- 一意専心で向き合う
- 使命感を持って遂行する
- 最大限の努力を傾ける
例:「懸命に取り組んできました」
→「プロジェクト成功に向けて最大限の努力を注いできました」
→「成功に向けて、一貫した姿勢で全力を尽くしてまいりました」
英語で「取り組む」を表すときの表現
ビジネス英語で「取り組む」に相当する言葉はいくつかありますが、場面によって適切な動詞が異なります。
- work on(~に取り組む)
- engage in(~に従事する)
- commit to(~に専念する)
- address(問題に対処する)
- tackle(課題に取り組む)
たとえば、「業務改善に取り組んでいる」は
→ “I am working on improving our operations.”
→ “I am engaged in process improvement initiatives.”
と表現できます。
日本語での言い換え表現を身につけると、英語でも自然なアウトプットが可能になります。
まとめ:言葉の選び方で印象と成果が変わる
「取り組む」は便利で汎用性の高い言葉ですが、場面や相手によっては、より明確で好印象な表現に置き換えることが重要です。丁寧語や敬語、具体性のある表現を選ぶことで、あなたの姿勢や能力を正確に伝えることができます。
語彙の選択は、ビジネススキルそのもの。ワンランク上の表現を意識して、伝える力を磨いていきましょう。