YouTubeは今や、誰もが動画を投稿できるプラットフォーム。個人も企業も参入し、ジャンルによっては「もう遅い」「飽和している」と感じる人も少なくありません。
しかし実際には、競争が激しい“レッドオーシャン”の中でも成果を出すチャンネルは存在します。さらに、視点を変えれば、今でも“ブルーオーシャン”を開拓できる余地は十分にあります。
この記事では、YouTubeがなぜレッドオーシャンと言われるのか、再生回数の分布データやジャンル別競争度、そして企業・個人が勝ち抜くためのブルーオーシャン戦略を具体的に解説します。
「再生回数が100回しかない」「もうYouTubeで伸びるのは無理なのでは？」と感じている方でも、この記事を読み終えるころには、再び戦略を立て直せる視点が得られるはずです。
YouTubeがレッドオーシャンと言われる理由と現状の市場構造
YouTubeは誰でも無料で参入できるため、年々チャンネル数が急増しています。結果として、多くのクリエイターが視聴者の時間を奪い合う構造になり、「レッドオーシャン化」しているのです。
登録者1000人未満が9割という厳しい現実
2024年のデータによると、全世界のYouTubeチャンネルのうち、登録者数が1000人未満のチャンネルが約9割を占めます。つまり、収益化のスタートライン（登録者1000人＋総再生時間4000時間）に届いている人はごく一部です。
この現実が、「YouTubeはもう稼げない」「今から始めても無理」と言われる理由の一つとなっています。
再生回数100回でも実は上位層に入る
「再生回数100回なんて少なすぎる」と感じる人もいるでしょう。しかし、YouTubeの再生分布を分析すると、100回再生を超える動画は全体の上位30％に入るとも言われます。
つまり、100回再生は“凡庸”ではなく“到達”なのです。多くの動画が10回〜50回再生で止まる現状を考えれば、100回以上視聴されている動画は「アルゴリズムに乗る可能性を持つ動画」と言えます。
人気ジャンルがレッドオーシャン化するメカニズム
YouTubeがレッドオーシャン化する最大の理由は、「成功例の模倣」が繰り返されることです。
一時期の“ゲーム実況”“Vlog”“美容・メイク系”のように、再生回数が取れるジャンルには次々と新規参入者が増え、差別化が難しくなります。
結果として、「コンテンツの質」だけでなく「頻度」「演出」「編集力」までが競争要素になり、個人で太刀打ちしづらい環境が生まれているのです。
YouTubeレッドオーシャンジャンル一覧とその特徴
ここでは、特に競争が激しいとされる主要ジャンルを具体的に紹介します。
「レッドオーシャン＝悪」とは限りませんが、これらの領域では“勝ち筋”を明確に設計しなければ伸びづらいのが現実です。
1. エンタメ・トーク系は大手が支配
芸能人・有名インフルエンサーの参入により、個人のエンタメ系チャンネルが伸びにくくなりました。
特に「日常Vlog」「雑談」「恋愛トーク」などはファンベースが形成されない限り、再生数が伸びにくい傾向にあります。
視聴者も「誰が話しているか」に価値を見出すため、コンテンツ内容より“人”の力が支配的です。
2. ゲーム実況は完全に飽和状態
「フォートナイト」「APEX」「マイクラ」などの人気タイトルは、既にトップ層が固定化。
新規参入者は“トーク力”や“解説力”で差別化しなければ埋もれてしまいます。
また、ゲームタイトルの人気サイクルも短く、2〜3年で視聴者が移動してしまうリスクも高いです。
3. 美容・ライフスタイル系はブランド化が進行
美容・コスメジャンルは企業公式チャンネルやモデル系YouTuberが強く、個人では再生数が安定しにくいです。
さらに、アルゴリズムは「実績があるチャンネル」を優先表示する傾向があるため、初心者が入り込む余地は少なくなっています。
4. 解説系・教育系も徐々に飽和
「ニュース解説」「社会問題」「金融リテラシー」などのジャンルも、質の高い動画が増えたことで差別化が難しくなっています。
視聴者は専門性よりも“話のテンポ・親しみやすさ”を重視するため、スクリプト・編集に時間をかけても埋もれることが多いのが現実です。
再生回数100回・300回の壁を超えるための思考法
YouTube再生回数が100回〜300回で止まってしまう人は多いです。この壁を突破するには、アルゴリズムの仕組みを理解し、“初速”を制することが重要です。
YouTube再生回数の分布構造を理解する
YouTubeの再生数は均等に分布していません。上位1％の動画が全体再生数の9割以上を占めているというデータもあります。
つまり、残りの99％が残り1割の再生回数を奪い合う構造。これがレッドオーシャンの正体です。
再生数100回を超えるための3つのポイント
- クリック率を上げるサムネイル設計
視覚的に「内容が一瞬で伝わる」デザインが必要。表情・文字数・色使いのバランスが重要です。 - タイトルに“検索意図”を埋め込む
「〜のやり方」「〜を検証」「〜する理由」など、検索されやすい形に整えること。 - 投稿直後の拡散を意識する
公開後1〜3時間が勝負。SNS・コミュニティ・LINEオープンチャットなどで初速を確保することが鍵です。
「再生回数100万すごいのか？」より“目的”を明確に
多くの人が「100万再生＝成功」と捉えがちですが、実際は目的によって意味が異なります。
広告収益を狙うなら大量再生が必要ですが、ビジネス・採用・ブランディングが目的なら「1,000人の濃い視聴者」を得るほうが効果的です。
数字の大小にとらわれず、自分のチャンネルの“ゴール設計”を見直すことが重要です。
海外向けYouTubeチャンネルでブルーオーシャンを狙う
国内市場がレッドオーシャン化している中で、2025年以降注目されているのが「海外向けYouTube」です。
言語の壁が高いように見えますが、実際には“ノンバーバル（非言語）”ジャンルなら誰でも参入可能です。
海外向けジャンルの魅力と収益性
YouTubeの広告単価（CPM）は、国によって大きく異なります。
日本では平均1,000〜2,000円程度ですが、アメリカ・カナダ・ドイツでは3,000〜5,000円以上のケースも珍しくありません。
つまり、同じ再生数でも「誰に見られているか」で収益が数倍変わるのです。
代表的な海外向けブルーオーシャンジャンルとしては、以下のようなものがあります。
- ASMR・料理・クラフトなど、言葉に依存しない映像
- 日本文化紹介（祭り・伝統工芸・街並み）
- 無言で進む作業動画（DIY、修理、掃除など）
成功している海外向けYouTuberの共通点
- 英語タイトル・英語タグを併用している
例：「Japanese Street Food」「How to Make Sushi」など。 - 日本的要素を活かしている
海外ユーザーは“日本らしさ”に価値を感じる傾向があります。 - 投稿時間を海外に合わせている
ターゲット国のゴールデンタイムに合わせることで、初速を稼ぎやすくなります。
海外向けチャンネルは一度バズると、国際的にシェアされやすく、SNS連動で伸びやすい点も特徴です。
YouTubeでブルーオーシャンを作る5つの差別化戦略
ブルーオーシャンを見つけるとは、誰もやっていない市場を作ることではなく、“同じ市場の中で違う価値を提供する”ことです。ここではそのための実践戦略を紹介します。
1. コンテンツテーマを狭く絞る
「料理」ではなく「フライパンひとつで作る時短料理」
「教育」ではなく「30代社会人のための英語学習」
このようにテーマを細分化すると、視聴者の共感を得やすく、アルゴリズムにも乗りやすくなります。
2. タイトルとサムネイルの“文脈一致”を意識する
タイトルが「衝撃の結果！」でもサムネイルが平凡ではクリックされません。
タイトルで興味を引き、サムネで内容を保証する設計を心がけましょう。
3. 視聴維持率を高める構成にする
最初の10秒で「何を・誰に・どう伝えるか」が明確な動画ほど離脱率が低下します。
ストーリー構成を意識し、「起→承→転→結」を2〜3分サイクルで組むと最後まで見てもらいやすいです。
4. シリーズ化でファンを固定化する
単発動画ではなく、テーマを連続させて「続きを見たい」と思わせる設計が重要です。
例えば「起業の始め方①②③」や「地方移住Vlogシリーズ」など。サムネも統一感を出すことでブランド化できます。
5. “数字より信頼”を優先する運用方針
再生回数が少なくても、コメント欄やリピート視聴者の質が高ければ十分成功です。
視聴者との関係を築くことが、企業なら「採用」や「顧客獲得」につながります。
企業YouTubeが個人より伸びやすい理由と今後のチャンス
近年では、企業がYouTubeを「採用」「広報」「教育」「ブランディング」の手段として活用する例が増えています。
企業チャンネルが有利な理由
- 継続的な投稿体制を構築できる
- 広告ではなく「信用」を蓄積できる
- 商品・サービスの検索導線を作れる
YouTubeは“人間的な信頼”が重要なプラットフォームです。
社員の顔が見える動画や、製品開発の裏側などは企業の透明性を高め、ブランド価値を高める武器になります。
今後伸びる企業ジャンルの傾向
- BtoBノウハウ共有型（例：製造業・IT・物流など）
- 採用ブランディング型（社風・社員インタビュー）
- 教育・研修型（社員育成・マナー・スキル解説）
これらの分野は、まだブルーオーシャンが多く、2025年以降も需要が拡大すると予測されています。
まとめ｜YouTubeはまだブルーオーシャンを作れる
YouTubeは確かにレッドオーシャン化しています。しかし、それは「誰もが参入できる自由市場」だからこそ。
大切なのは、戦う場所を変えることではなく、戦い方を変えることです。
競争が激しいジャンルでも、
・切り口を変える
・視聴者層を変える
・伝え方を変える
この3つを実践すれば、あなたのチャンネルにもブルーオーシャンは必ず存在します。
100回の再生にも価値を見いだし、1,000人の“濃いファン”と出会うことこそが、YouTubeで成功する真の近道です。
今からでも遅くありません。戦略を立てて動き出せば、あなたのチャンネルが“選ばれる側”に変わりますよ。
