ビジネスメールを書いていると、「システム障害による遅延」「確認不足により発生」「変更によって影響が出る」のどれが自然なのか、手が止まる瞬間がありますよね。
しかも提出前や送信前ほど迷います。「この表現、硬すぎないかな」「謝罪メールで“によって”は軽く見えないかな」と考え出すと、本文より助詞のほうに時間を使ってしまうこともあります。ロロメディア編集部でも、クライアント向けの報告文を整えるときに、この3つの使い分けで何度も赤入れした経験があります。
結論から言うと、「〜による」は名詞を説明するとき、「〜により」はビジネス文書で原因や手段を端的に伝えるとき、「〜によって」は原因・手段・違いをやや自然な文章で説明するときに使います。まずはこの判断軸だけ持っておけば、メールもレポートもかなり書きやすくなりますよ。
「〜による」「〜により」「〜によって」の違いは文の位置で判断する

最初に迷ったら、意味よりも「文のどこに置くか」で考えるのが早いです。文法を深く掘るより、実務ではこちらのほうが使えます。
たとえば「台風による配送遅延」と「台風により配送が遅延しました」は、どちらも原因を表しています。ただし、前者は「配送遅延」という名詞を説明していて、後者は「遅延しました」という文全体の原因を説明しています。
| 表現 | 使う位置 | 実務での役割 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 〜による | 名詞の前 | 名詞を説明する | システム障害による遅延 |
| 〜により | 文中 | 原因・理由を硬めに伝える | システム障害により遅延しました |
| 〜によって | 文中 | 原因・手段・違いを説明する | 対応方法によって結果が変わります |
この表だけ見ると簡単そうですが、実際のメールでは「お客様への謝罪」「社内報告」「英文メールの下書き」など、場面によって自然さが変わります。ここからは、実務でそのまま使える形に落とし込みます。
「〜による」は名詞を説明するときに使う表現

「〜による」は、後ろに名詞を置くときに使う表現です。ビジネス文書ではかなり登場回数が多く、報告書・議事録・メール件名でも使いやすい形になります。
「〜による」は後ろに名詞が来ると覚える
メール件名を書いているとき、「障害により」なのか「障害による」なのか迷うことがあります。特に、件名や見出しは短くしなければならないので、ここで止まると地味に焦りますよね。
判断はシンプルです。後ろに「遅延」「影響」「変更」「停止」「発生」などの名詞が来るなら、「〜による」を選びます。
例としては、以下のような形です。
・大雨による配送遅延
・確認不足による入力ミス
・仕様変更による作業範囲の拡大
・システム障害による一時停止
この表現は、件名や見出しに向いています。「システム障害による一時停止のお知らせ」と書けば、何が原因で何が起きたのかが一瞬で伝わります。一方で、本文の中で何度も使うと事務的になりすぎるため、本文では「〜により」や「〜によって」と組み合わせると自然です。
「〜による」を使うと文章が短く締まる
「台風が原因で配送が遅れています」と書いても意味は伝わります。ただ、ビジネス文書では少し口語的に見える場合があります。
そこで「台風による配送遅延が発生しております」と書くと、文書らしい印象になります。お知らせ文、案内文、報告書ではこちらのほうが収まりやすいでしょう。
「〜による」の例文をビジネス場面で使い分ける
たとえば社内でトラブル報告をする場合、「確認不足によるミス」とだけ書くと、原因は伝わります。ただし、それだけでは次の対応が見えません。
実務では、「確認不足による入力ミスが発生しました。再発防止として、提出前のダブルチェック項目を追加します」まで書くと、報告として成立します。原因と対策がつながるからです。
「〜による」は便利ですが、原因のラベルを貼るだけで終わらせないことが大切です。仕事では、原因の次に「だからどうするか」まで求められます。
「〜により」はビジネス文書で原因を端的に伝える表現

「〜により」は、3つの中で最もビジネス文書向きです。社内報告、プレスリリース、案内文、謝罪文など、少し硬めに整えたい文章で使えます。
たとえば「システム障害により、サービスの一部が利用できない状態です」のように、原因から結果へつなぐときに自然です。文章が引き締まり、余計な感情を入れずに状況を伝えられます。
「〜により」は原因を正式に伝えたいときに使う
お客様向けの謝罪メールで、「こちらの不手際によって遅れました」と書くと、少し話し言葉に近く見える場合があります。間違いではありませんが、フォーマルさを出すなら「確認不足により、対応が遅れました」のほうが自然です。
特にトラブル報告では、感情的な言い回しよりも、事実を落ち着いて伝えることが重要です。原因をぼかすと不誠実に見えますし、強く書きすぎると責任の押し付けに見えることがあります。
実務では、次のように使います。
・確認不足により、返信が遅れております。
・社内確認に時間を要したことにより、ご連絡が遅くなりました。
・アクセス集中により、サイトへ接続しづらい状態が発生しております。
・担当者不在により、本日中の回答が難しい状況です。
「〜により」は硬いので社内チャットでは浮くことがある
社内チャットで「体調不良により、本日は休暇を取得いたします」と書くと、丁寧ではありますが少し硬く見えることがあります。もちろん上司や取引先に送るなら問題ありません。
一方、チーム内のSlackやChatworkなら、「体調不良のため、本日は休みます」のほうが自然な場面もあります。ここで大切なのは、正しさよりも距離感です。
「〜により」は、文書として整えたいときに強い表現です。カジュアルな連絡では「〜のため」、正式な報告では「〜により」と使い分けると、読み手に合わせた文章になります。
「〜により」を使うと責任の所在をぼかしすぎない
謝罪文でよくあるのが、「諸事情により遅れました」という表現です。これは便利ですが、相手から見ると「結局なぜ遅れたの?」となりやすいです。
たとえば納期遅延なら、「確認作業に想定以上の時間を要したことにより、納期が遅れております」と書いたほうが誠実に見えます。責任逃れのように見えないからです。
「〜によって」は原因・手段・条件の違いを説明するときに使う

「〜によって」は、3つの中で最も幅広く使える表現です。原因だけでなく、手段や条件による違いも表せます。
たとえば「対応方法によって結果が変わります」「広告配信によって認知度が向上しました」「担当者によって判断が異なります」のように使います。文章としては「〜により」より少しやわらかく、説明文や会話調の文章にもなじみます。
「〜によって」は違いが出る場面で使いやすい
実務で特に使いやすいのは、「場合によって変わる」と言いたいときです。たとえばお客様対応では、同じ問い合わせでも契約内容によって回答が変わることがあります。
このとき「契約内容により回答が異なります」でも正しいですが、「契約内容によって回答が異なります」のほうが少し自然に聞こえます。説明の文章として流れがよいからです。
具体的には、以下のように使えます。
・契約内容によって、必要書類が異なります。
・ご利用環境によって、表示速度に差が出る場合があります。
・担当部署によって、確認にかかる時間が変わります。
・設定内容によって、通知の表示方法が変わります。
「〜によって」は手段を説明するときにも使える
「広告によって認知を広げる」「ツールによって作業時間を短縮する」のように、手段を表す使い方もあります。
ただし、日常的な道具には使いません。「箸によってご飯を食べる」とは普通言いませんよね。この場合は「箸で食べる」が自然です。
ビジネスでは、抽象度の高い手段に使うと自然です。広告、システム、分析、改善施策、研修、制度などは「〜によって」と相性が良い言葉になります。
「〜によって」は責任者を表すときにも使える
「この資料は田中さんによって作成されました」のように、動作の主体を表すこともできます。受け身の文章でよく使われる形です。
ただし、ビジネスメールでは少し翻訳調に見えることがあります。社内文書なら「田中さんが作成しました」のほうが自然です。
「〜による」と「〜により」で迷ったときの判断基準

一番迷いやすいのが、「〜による」と「〜により」の違いです。どちらも硬めの表現なので、メール本文で手が止まりやすいところですね。
名詞を説明するなら「〜による」
「遅延」「影響」「変更」「不具合」などの名詞を説明するときは、「〜による」が自然です。
たとえば「大雪による配送遅延」「仕様変更による追加対応」「確認不足による誤送信」のような形です。件名や見出しに向いています。
メール件名なら、次のように使えます。
「システム障害によるサービス一時停止のお知らせ」
文として説明するなら「〜により」
本文では、「〜により」のほうが使いやすい場面があります。
「システム障害により、サービスの一部が利用できない状態です」
この文章は、原因から結果へ自然につながっています。本文で状況説明をするなら、こちらのほうが読みやすいでしょう。
実務では、件名で「〜による」を使い、本文で「〜により」を使うときれいです。
件名:システム障害によるサービス一時停止のお知らせ
本文:システム障害により、現在サービスの一部が利用できない状態です。
この組み合わせは、そのまま使えます。
「〜により」と「〜によって」で迷ったときの判断基準

「〜により」と「〜によって」は意味が近いので、どちらでも通じる場面があります。だからこそ、文章の印象で選ぶのが実務的です。
公式なお知らせや謝罪文なら「〜により」
お客様向けの重要なお知らせでは、「〜により」が向いています。
たとえば「アクセス集中により、サイトへ接続しづらい状況が発生しております」は、公式文として自然です。余計な感情を入れずに、原因と状況を伝えられます。
謝罪文でも同じです。
「弊社確認不足により、ご案内内容に誤りがございました」
このように書くと、責任の所在が明確になります。曖昧にせず、かつ感情的にもなりすぎません。
説明記事やFAQなら「〜によって」
操作説明や解説記事では、「〜によって」のほうが読みやすいことがあります。
たとえば「利用環境により表示が異なります」でも正しいですが、少し硬いですよね。読者向けの記事なら「利用環境によって表示が変わる場合があります」のほうが自然です。
ロロメディアのような実用記事では、読者が迷わないことが最優先です。かしこまりすぎた文章より、「自分の場合はここを確認すればいいんだ」と思える表現のほうが伝わります。
ビジネスメールでそのまま使える「〜による」「〜により」「〜によって」の例文

実務では、文法説明より例文のほうが早いです。送信前に迷ったら、近い場面の例文を選び、固有名詞だけ差し替えてください。
ただし、例文をそのまま貼るだけでは危険です。相手が知りたいのは、原因だけではなく「今どうなっているか」「次にどうするか」だからです。
謝罪メールで使える例文
謝罪メールでは、「〜により」が最も使いやすいです。原因を正式に伝えられるため、軽く見えにくいからです。
例文です。
「弊社確認不足により、ご案内内容に誤りがございました。現在、正しい内容を確認のうえ、本日中に改めてご連絡いたします。」
この文章では、原因、現状、次の対応が入っています。ただ謝るだけではなく、相手が次に何を待てばよいかまで見える形です。
「〜による」を使うなら、件名に向いています。
「確認不足によるご案内誤りのお詫び」
本文では「確認不足により」と書き、件名では「確認不足による」と書く。この使い分けができると、文章が一気に整います。
お知らせメールで使える例文
お知らせメールでは、最初に要点を出します。読者は急いでいるので、背景から書くと読まれません。
「システムメンテナンスにより、下記時間帯は一部機能をご利用いただけません。対象機能をご利用予定のお客様は、事前に必要な操作を完了していただきますようお願いいたします。」
このように書くと、原因と影響がすぐに伝わります。
「システムメンテナンスによる一部機能停止のお知らせ」という件名にすれば、メール一覧でも内容がわかります。メールは開かれる前から勝負が始まっています。
社内報告で使える例文
社内報告では、責任の押し付けに見えないように注意が必要です。
たとえば「営業部によって対応が遅れました」と書くと、営業部を責めているように読めます。社内文書では角が立ちやすい表現です。
改善するなら、こうです。
「営業部での確認に時間を要したことにより、回答が翌営業日となりました。次回以降は、確認フローを事前に分け、当日中に一次回答を行います。」
英文メールで「〜による」「〜により」「〜によって」を表す表現

日本語の「〜による」「〜により」「〜によって」は、英語では1語に固定できません。原因なのか、手段なのか、誰が行ったのかによって表現が変わります。
ここで直訳すると、不自然な英文になりやすいです。特に「by」だけで全部処理しようとすると、意味がズレます。
原因を表すなら due to / because of を使う
「〜により」が原因を表す場合、英文メールでは due to や because of が使えます。
due to は少しフォーマルです。ビジネスメールでは使いやすい表現になります。
例文です。
Due to a system error, some users may not be able to access the service.
意味は「システムエラーにより、一部のお客様がサービスへアクセスできない可能性があります」です。
because of は due to より少し自然で、幅広く使えます。ただし、正式なお知らせでは due to のほうが整って見える場合があります。
手段を表すなら by / through を使う
「広告によって認知を高める」のように、手段を表す場合は by や through を使います。
例文です。
We improved brand awareness through online advertising.
これは「オンライン広告によってブランド認知を高めました」という意味です。
人や組織が行ったことを表すなら by を使う
「この資料は営業部によって作成されました」は、英語では by を使えます。
This report was prepared by the Sales Department.
ただし、英文メールでは受け身ばかり使うと硬くなります。相手に自然に伝えたいなら、能動態にしても問題ありません。
The Sales Department prepared this report.
意味は同じですが、こちらのほうが読みやすいです。日本語でも英語でも、実務では「自然に読めるか」がかなり重要になります。
英文メールで使える表現集

英文メールでは、「〜による」を日本語の感覚で直訳しないことが大切です。原因、影響、手段、担当者を分けて考えます。
送信前に焦るのは、「日本語では自然なのに英語にすると急に不安になる」場面です。特に謝罪メールでは、表現ひとつで責任の見え方が変わります。
| 日本語 | 英語表現 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 〜により | due to | 公式な原因説明 |
| 〜のため | because of | 一般的な原因説明 |
| 〜によって | through | 施策・手段 |
| 〜によって作成された | prepared by | 作成者・担当部署 |
| 〜による影響 | impact caused by | 影響の説明 |
たとえば「配送遅延によるご迷惑をお詫びします」は、次のように書けます。
We apologize for the inconvenience caused by the delivery delay.
この caused by は「〜によって引き起こされた」という意味です。謝罪文ではよく使えます。
「システム障害により、返信が遅れました」はこうです。
Our response was delayed due to a system issue.
短いですが、ビジネスメールとして十分伝わります。
間違いやすい使い方と自然な直し方

「〜による」「〜により」「〜によって」は便利ですが、使いすぎると文章が硬くなります。特に1文の中に複数回入れると、読み手が疲れます。
提出前や送信前に「なんか読みにくい」と感じたら、この3つを減らすだけで改善することがあります。
「〜による」が連続すると読みにくい
悪い例です。
「確認不足による誤送信による顧客対応の遅れが発生しました」
かなり読みにくいですよね。原因が重なりすぎています。
改善するとこうです。
「確認不足が原因で誤送信が発生し、顧客対応が遅れました」
こちらのほうが自然です。ビジネス文書だからといって、すべてを硬い表現にする必要はありません。
「〜によって」を責任追及に見える形で使わない
「担当者によってミスが発生しました」と書くと、担当者を名指しで責めているように見えます。
社内で原因共有をするなら、「確認フローに不備があり、ミスが発生しました」のほうが建設的です。個人ではなく仕組みに目を向ける表現になります。
もちろん、責任者を明確にする必要がある場面もあります。ただ、通常の報告では、必要以上に人を主語にしないほうが角が立ちません。
「〜により」を使えば丁寧になるわけではない
「諸事情により」「都合により」は便利ですが、相手にとっては情報不足です。
たとえば納期が遅れる場面で「諸事情により遅れます」と書くと、相手は不安になります。納期調整が必要なのに、理由も次の予定も見えないからです。
改善するなら、こう書きます。
「最終確認に想定以上の時間を要しているため、納品予定を1営業日延長させていただきたく存じます」
実務で迷わないための使い分け早見表

ここまで読んでも、実際にメールを書く場面では迷うかもしれません。なので、最後に判断表としてまとめます。
大事なのは、「どれが正しいか」ではなく「どれがその場で一番自然か」です。社会人の文章では、正確さと読みやすさの両方が求められます。
| 迷う場面 | 選ぶ表現 | 例文 |
|---|---|---|
| 件名に入れたい | 〜による | 障害によるサービス停止のお知らせ |
| 本文で原因を説明したい | 〜により | 障害により、一部機能が停止しています |
| 条件で結果が変わる | 〜によって | ご利用環境によって表示が異なります |
| 施策や手段を説明したい | 〜によって | 広告配信によって認知を拡大しました |
| 英文メールで原因を伝えたい | due to | Due to a system issue, our response was delayed. |
| 英文メールで手段を伝えたい | through | We improved efficiency through automation. |
この表を見ながら書くと、かなり迷いが減ります。最初から完璧に使い分けようとしなくて大丈夫です。
まずは、件名なら「〜による」、正式な原因説明なら「〜により」、条件差や説明文なら「〜によって」。この3つだけで十分実務に耐えます。
まとめ

「〜による」「〜により」「〜によって」は、意味が近いからこそ迷いやすい表現です。ただ、実務では文法用語を細かく覚えるより、使う位置と場面で判断したほうが早いです。
「〜による」は、名詞を説明するときに使います。件名や見出しで「システム障害による遅延」「確認不足による誤送信」のように書くと、短くまとまります。
「〜により」は、正式な文書で原因を伝えるときに便利です。謝罪文やお知らせ文では、「確認不足により」「アクセス集中により」のように使うと、落ち着いた印象になります。
「〜によって」は、原因だけでなく、手段や条件による違いを説明するときに使えます。「環境によって変わります」「施策によって改善しました」のように、説明文で自然に使いやすい表現です。
英文メールでは、日本語の「〜による」をそのまま by にしないことが大切です。原因なら due to や because of、手段なら through や by、作成者なら by と分けて考えると、自然な英文になります。
送信前に迷ったら、こう考えてください。
名詞の前なら「〜による」。
正式な原因説明なら「〜により」。
違いや手段を説明するなら「〜によって」。
参考記事
・MLC Japanese Language School「JLPT N3の文法 grammar: ~によって・~による~」















