研修や社内レクリエーションで「コンセンサスゲームをやりたい」と思っても、いざ準備する側になると手が止まりますよね。砂漠、無人島、雪山、NASA系の問題は聞いたことがある。でも、どの問題を選べば場が盛り上がるのか、どう進行すれば学びにつながるのか、そこまで考えると急に難しくなります。
特に困るのは、ただのクイズ大会になってしまうことです。参加者が正解を当てにいくだけで終わると、「楽しかったですね」で終了します。せっかく時間を取ったのに、会議で意見が割れたときの話し合い方や、少数意見の拾い方まで持ち帰れないのはもったいないです。
コンセンサスゲームは、全員の意見を完全に一致させるゲームではありません。限られた時間の中で、納得できる判断基準をつくり、チームとして一つの結論にたどり着く練習です。ここでは、砂漠・無人島・雪山など人気シナリオの問題例から、進め方、回答の考え方、振り返りの質問まで、そのまま研修で使えるレベルでまとめます。
コンセンサスゲームとは何を学ぶゲームなのか

コンセンサスゲームは、チームで話し合いながら一つの結論を出すゲームです。コンセンサスとは、合意や総意という意味で、ビジネスでは「関係者が納得できる状態をつくること」と考えるとわかりやすいです。
たとえば、会議で新しい施策を決めるとき、営業は売上を重視し、制作は納期を気にし、管理部門はコストを見るかもしれません。全員が同じ視点を持っているわけではないから、話し合いが必要になります。
コンセンサスゲームは多数決ではなく納得解を作る練習
コンセンサスゲームでやってはいけないのは、最初から多数決で決めることです。多数決は早いですが、少数派の意見が消えます。現場の会議でも、声の大きい人に流されて決まった施策ほど、実行段階で不満が出やすいものです。
ゲームでは、まず個人で答えを考え、その後にグループで話し合います。この順番が大切です。最初からグループで話すと、発言力のある人の意見に引っ張られ、静かな人の考えが出ないまま終わります。
個人回答を先に作ることで、参加者は自分の判断基準を持って話し合いに入れます。そのうえで、他の人の意見を聞き、「自分の考えを変えるべきか」「相手に説明すべきか」を判断するわけです。
研修で使うなら正解よりも話し合いの過程を見る
コンセンサスゲームには、模範解答があるタイプと、正解が一つに決まらないタイプがあります。砂漠や月面サバイバル系は、専門家の考え方に近い順位を目指す形が多く、無人島や新規事業系はチームの価値観が出やすい問題です。
研修担当者が見るべきなのは、最終順位だけではありません。誰が最初に論点を出したか、反対意見が出たときにどう扱ったか、途中で判断基準を変えたか。そこにチームの癖が出ます。
会議でいつも同じ人だけ話している組織なら、ゲーム中にも同じことが起きます。逆に、普段は発言が少ない人が、サバイバル設定になると鋭い判断を出すこともあります。そこが面白いんですよ。
コンセンサスゲームの基本的な進め方

コンセンサスゲームは、進行を雑にするとただの雑談になります。逆に、進行が硬すぎると参加者が萎縮します。ちょうどいい設計は、「時間」「役割」「判断基準」を最初に渡すことです。
社内研修でやるなら、30分から60分くらいが扱いやすいです。短すぎると話し合いが浅くなり、長すぎると途中で集中力が落ちます。
進行は個人回答からグループ回答の順番にする
参加者が問題を読んだ直後にグループ討議へ入ると、最初に発言した人の意見が基準になりやすいです。会議でも、最初に出た案がなんとなく残り続けることがありますよね。
だから、最初に個人回答の時間を取ります。5分から10分ほどで、自分なりの順位や選択理由を書いてもらいます。その後、グループで話し合い、チームとして一つの答えにまとめます。
進行の流れは次の形が使いやすいです。
- ルール説明を3分で行う
- 個人回答を5分から10分で作る
- グループ討議を15分から25分行う
- チーム回答を発表する
- 模範解答や考え方を共有する
- 振り返りを10分行う
この流れで進めると、ゲームとしての楽しさと研修としての学びが両立しやすくなります。特に最後の振り返りは削らないでください。ここを削ると、参加者は「盛り上がった」で終わってしまいます。
司会者は答えを急がせず判断基準を聞く
司会者がやりがちな失敗は、「では、どれを選びますか」と答えだけ聞いてしまうことです。これだと、話し合いの質が見えません。
司会者は、答えではなく理由を聞きます。「なぜ水を1位にしたのか」「なぜ地図を下げたのか」「チームとして何を最優先にしたのか」と聞くと、参加者は判断基準を言語化します。
合意形成で大切なのは、意見を足し合わせることではありません。判断基準をそろえることです。砂漠なら「移動するのか、待つのか」、雪山なら「救助を待つのか、下山するのか」で優先順位が変わります。ここを話し合わないと、ずっとアイテム単体の好みで揉めます。
砂漠のコンセンサスゲーム問題

砂漠シナリオは、コンセンサスゲームの定番です。命に関わる状況なので、参加者が自然と真剣になります。新入社員研修から管理職研修まで使いやすく、初めて導入するならかなり扱いやすいテーマです。
ただし、砂漠問題は盛り上がる反面、「水が大事」「方位磁石が大事」と単発の意見に流れやすいです。だから最初に、移動するのか、その場で救助を待つのかをチームで決める必要があります。
砂漠脱出シナリオの問題文
あなたたちは出張先へ向かう途中、小型飛行機のトラブルで砂漠地帯に不時着しました。機体は損傷していますが、乗員は全員無事です。目的地まではかなり距離があり、正確な現在地もわかりません。
気温は高く、日中の移動は体力を大きく奪います。救助が来る可能性はありますが、いつ来るかはわかりません。機体から持ち出せるアイテムは限られています。
次のアイテムを、生存に重要だと思う順に順位づけしてください。
| アイテム | 用途の例 |
|---|---|
| 水の入った容器 | 水分補給 |
| パラシュート布 | 日よけ、目印 |
| 懐中電灯 | 夜間の合図 |
| 方位磁石 | 方角確認 |
| 地図 | 地形確認 |
| ナイフ | 加工、切断 |
| 鏡 | 光の反射で合図 |
| 防寒用上着 | 夜間の寒さ対策 |
| 救急セット | 応急処置 |
| 食料 | 体力維持 |
| ロープ | 固定、運搬 |
| ライター | 火起こし |
| 拳銃または発煙筒 | 合図、防衛 |
| サングラス | 目の保護 |
| 携帯ラジオ | 情報確認 |
この問題では、最初に「救助を待つか、移動するか」で意見が割れます。そこで議論が止まったら、司会者は「現在地が不明な状態で移動するリスクは何ですか」と聞いてください。これだけで、話し合いがアイテム選びから戦略選びに変わります。
砂漠問題の回答の考え方
砂漠では、水分確保と日差し対策、救助への発見されやすさが重要になります。逆に、現在地が不明なまま長距離移動する判断はリスクが高くなります。
そのため、移動前提で方位磁石や地図を高くするチームと、その場で救助を待つ前提で水や日よけ、合図道具を高くするチームでは、順位が大きく変わります。ここに合意形成の学びがあります。
大切なのは、「誰の順位が正しいか」ではなく、「チームとしてどの生存戦略を選ぶか」です。戦略が決まれば、アイテムの順位は自然に整理されます。
砂漠問題の振り返り質問
砂漠問題の後は、判断基準が途中で変わったかを聞くと学びが深まります。最初は移動派だった人が、他の人の説明で待機派に変わることもあります。
振り返りでは、次の問いを使うと話し合いを仕事に接続しやすくなります。
- 最初に決めるべき論点は何だったか
- 声の大きい人の意見に流れなかったか
- 少数意見は最後まで検討されたか
- 仕事の会議で同じことが起きる場面はあるか
この質問を入れると、ゲームの話が現場の会議に戻ってきます。「水を何位にしたか」よりも、「最初に方針を決めずに細部を話していた」という気づきのほうが、実務では価値があります。
無人島のコンセンサスゲーム問題

無人島シナリオは、砂漠よりも少し柔らかい雰囲気で実施できます。新入社員同士のアイスブレイクや、部署をまたいだ交流会に向いています。
ただ、柔らかいからといって学びが浅いわけではありません。無人島では「短期的な生存」と「長期的な生活」のバランスを考える必要があり、チームの価値観がはっきり出ます。
無人島サバイバルの問題文
あなたたちは船の事故により、無人島へ漂着しました。島には木々があり、海岸には漂着物もあります。近くを船が通る可能性はありますが、いつ救助されるかはわかりません。
天候は比較的安定していますが、夜は冷え込みます。島の奥には水があるかもしれませんが、まだ確認できていません。持ち出せるアイテムは、次の中から5つだけです。
| アイテム | 用途の例 |
|---|---|
| ナイフ | 食材加工、木材加工 |
| ロープ | 拠点作り、固定 |
| 鍋 | 水の煮沸、調理 |
| ライター | 火起こし |
| ブルーシート | 雨よけ、寝床 |
| 釣り糸と針 | 食料確保 |
| 懐中電灯 | 夜間活動 |
| 鏡 | 救助信号 |
| 救急セット | けがの処置 |
| ノートとペン | 記録、合図 |
| 着替え | 防寒、衛生 |
| ラジオ | 情報収集 |
5つだけ選び、チームとして優先順位をつけてください。個人で選んだあと、グループで一つの答えにまとめます。
無人島問題の回答の考え方
無人島では、火、水、寝床、救助信号、食料確保が重要な論点になります。特に鍋は軽視されがちですが、水を煮沸できるため、長期滞在を想定するならかなり重要です。
一方で、懐中電灯やノートとペンは便利ですが、電池切れや用途の限定性をどう見るかで評価が分かれます。ここで「便利そう」と「生存に不可欠」を分けて考える必要があります。
無人島問題で見えるチームの癖
無人島問題では、現実派とアイデア派の違いが出ます。現実派は水や火を重視し、アイデア派は救助信号や道具の応用を重視します。
どちらが正しいという話ではありません。チームに必要なのは、両方の視点です。実務でも、売上を作る人、リスクを見る人、顧客体験を考える人がいて、初めて判断が立体的になります。
このゲームでは、「自分と違う優先順位をどう扱ったか」を見てください。反論したのか、質問したのか、黙って流したのか。そこに、普段の会議の癖がそのまま出ます。
雪山のコンセンサスゲーム問題

雪山シナリオは、判断ミスの怖さが伝わりやすい問題です。寒さ、体力低下、視界不良という条件があるため、「動くべきか、待つべきか」の議論がかなり深くなります。
管理職研修やリーダー研修では、雪山問題が向いています。理由は、焦ったときの意思決定、情報不足の中での判断、チームの安全確保というテーマが入るからです。
雪山遭難シナリオの問題文
あなたたちは研修旅行中、雪山で乗っていた車がスリップし、道路脇に停車しました。幸い全員に大きなけがはありませんが、携帯電話は圏外です。近くの山小屋までは歩いて数時間かかる可能性がありますが、正確な場所はわかりません。
外は雪が降り続いており、日没まであまり時間がありません。車内には限られた物資があります。次のアイテムを、生存に重要だと思う順に並べてください。
| アイテム | 用途の例 |
|---|---|
| 毛布 | 体温維持 |
| 水 | 水分補給 |
| チョコレート | エネルギー補給 |
| 懐中電灯 | 合図、視界確保 |
| スコップ | 雪を掘る、車周辺整備 |
| 地図 | 場所確認 |
| 方位磁石 | 方角確認 |
| ライター | 火起こし |
| 救急セット | 応急処置 |
| ロープ | 移動時の安全確保 |
| 笛 | 音で合図 |
| 発煙筒 | 救助への合図 |
| 予備の靴下 | 防寒、乾燥 |
| ビニール袋 | 防水、防寒 |
| 携帯ラジオ | 情報収集 |
雪山では、体温を守ることが最優先になります。移動するか待機するかの判断も重要ですが、悪天候や日没が近い状況では、無理な移動が危険になる可能性があります。
雪山問題の回答の考え方
雪山問題では、防寒と救助への合図を高く評価するのが基本になります。毛布、発煙筒、笛、懐中電灯などは、救助を待つ前提では重要度が上がります。
一方で、地図や方位磁石は、移動前提なら重要に見えます。しかし、現在地が不確かで視界も悪い場合、移動そのものがリスクになります。ここで「使える道具」と「使ってよい状況」を分ける必要があります。
この問題で面白いのは、行動力のある人ほど移動を選びやすい点です。仕事でも同じです。早く動くことは価値ですが、情報が足りない状態で動くと、チーム全体を危険にさらすことがあります。
雪山問題の振り返りで見るべきポイント
雪山問題の振り返りでは、「不安な状況で誰が判断を急いだか」を見ます。焦っている人を責めるためではありません。チームが不確実な状況でどう意思決定するかを知るためです。
研修担当者は、次のように問いかけると実務に落とし込みやすくなります。「情報が足りないとき、私たちは何を根拠に決めたのか」「反対意見が出たとき、止まって考え直せたか」。この問いが、会議やトラブル対応の学びにつながります。
雪山問題は、参加者の性格がかなり出ます。だからこそ、終わった後に笑って終わらせず、「仕事で同じ判断をしていないか」まで戻すと効果があります。
月面サバイバル型のコンセンサスゲーム問題

月面サバイバル型は、コンセンサスゲームの代表的な形式として知られています。NASAゲームとも呼ばれ、月面で母船へ戻るためにアイテムの優先順位を考える設定です。NASAの月面サバイバル演習は、個人回答とチーム回答を比較し、チームでの意思決定を振り返る教材として紹介されています。
このタイプは、正解に近づく楽しさがあります。自分の直感が専門的な判断とズレることも多く、振り返りが盛り上がります。
月面サバイバルの問題文
あなたたちは月面探査チームです。母船との合流地点から離れた場所に不時着しました。機体の多くは損傷しましたが、いくつかのアイテムは無事に残っています。
目的は、チーム全員で母船との合流地点へ向かうことです。月面という特殊環境を踏まえ、次のアイテムを重要度順に並べてください。
| アイテム | 用途の例 |
|---|---|
| 酸素ボンベ | 呼吸の確保 |
| 水 | 生命維持 |
| 星座表 | 方角確認 |
| 食料 | エネルギー補給 |
| ロープ | 移動補助 |
| 救急セット | 応急処置 |
| 通信機 | 連絡 |
| パラシュート布 | 運搬、遮光 |
| 磁石コンパス | 方角確認 |
| マッチ | 火起こし |
| 月面地図 | 位置確認 |
| 信号用フレア | 合図 |
| 携帯暖房器具 | 防寒 |
| ピストル | 推進、合図など |
| 粉ミルク | 栄養補給 |
月面問題では、地球上の常識が通用しにくい点がポイントです。たとえば、磁石コンパスは地球上では便利ですが、月面では使い方が限られます。ここで「知っている道具だから重要」と判断すると、順位がズレやすくなります。
月面問題の回答の考え方
月面では、酸素と水の重要度が高くなります。呼吸や生命維持に直結するからです。次に、移動や位置確認、通信に関わるものが検討対象になります。
この問題は、専門知識がある人の意見が強くなりやすいです。理系出身者や宇宙に詳しい人がいると、周囲がすぐに納得してしまうことがあります。
ただし、コンセンサスゲームでは「詳しい人に丸投げする」のも学びになります。仕事でも、専門家の意見をどう扱うかは重要です。鵜呑みにするのではなく、「その根拠は何か」「他の条件でも成り立つか」を聞く姿勢が必要になります。
社内研修向けのビジネス版コンセンサスゲーム問題

サバイバル系は盛り上がりますが、研修後に実務へつなげるならビジネス版もおすすめです。特に管理職や営業チームでは、現場に近いテーマのほうが振り返りが深くなります。
ただし、実際の自社課題に近すぎると、参加者が身構えます。最初は架空の会社や架空のプロジェクトにしたほうが、心理的安全性を保ちやすいです。
新規事業の優先順位を決める問題
あなたたちは新規事業チームです。限られた予算と人員の中で、次に取り組む施策を3つ選ぶ必要があります。経営陣は早期の売上化を求めていますが、現場では顧客理解がまだ足りていないという声もあります。
次の施策から、優先すべき3つを選び、順位をつけてください。
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 顧客インタビュー | 顧客課題を深く聞く |
| 広告出稿 | 早期に見込み客を集める |
| LP改善 | 申込率を上げる |
| 営業資料作成 | 商談化率を高める |
| 競合調査 | 市場での立ち位置を把握する |
| 無料セミナー開催 | 見込み客との接点を作る |
| 価格改定 | 収益性を改善する |
| カスタマーサポート強化 | 継続率を上げる |
この問題では、短期成果を重視する人と、顧客理解を重視する人で意見が割れます。どちらも正しいので、議論が白熱しやすいです。
ビジネス版問題の回答の考え方
この問題に絶対的な正解はありません。だからこそ、最初に判断基準を決める必要があります。売上を最優先にするのか、検証精度を上げるのか、継続率を重視するのかで選ぶ施策は変わります。
研修では、最終的な施策よりも「判断基準を明文化できたか」を見ます。たとえば、「3か月以内に売上貢献が見込める施策を優先する」と決めれば、広告出稿や営業資料作成が上がるかもしれません。一方で、「失敗コストを下げる」を基準にすると、顧客インタビューや競合調査が上がります。
実務に近い問題ほど、参加者の職種による視点差が出ます。営業は商談化を重視し、マーケティングは流入やCVRを見て、CSは継続率を気にします。その違いを見える化できるのが、この問題の価値です。
コンセンサスゲームで盛り上がるお題の選び方

コンセンサスゲームは、問題選びで結果がかなり変わります。参加者の年齢、職種、関係性、研修目的に合っていない問題を選ぶと、話し合いが浅くなります。
たとえば、初対面のメンバーにいきなり重いビジネス課題を出すと、遠慮して本音が出ません。逆に、管理職研修で軽すぎる無人島問題だけを出すと、楽しいけれど仕事に戻りにくくなります。
初対面なら無人島や砂漠が使いやすい
初対面の人が多い場では、仕事の利害が直接絡まない問題が向いています。無人島や砂漠なら、役職や部署に関係なく話しやすいからです。
初対面の研修で大切なのは、正解に近づくことよりも、発言しやすい空気を作ることです。無人島問題なら、「鍋は絶対いる」「いや、まず火でしょ」と自然に会話が生まれます。
この段階で司会者が厳しく評価しすぎると、参加者は黙ります。最初は「なぜそう思ったのか」を聞き、発言の量を増やすことを優先してください。
管理職研修なら雪山やビジネス版が向いている
管理職やリーダー層には、判断の重さがある問題が向いています。雪山や新規事業の優先順位問題は、限られた情報の中で方針を決める練習になります。
管理職研修では、単に「全員が発言できたか」だけでは足りません。誰が論点を整理したか、対立をどう扱ったか、決定後に納得感を確認したかまで見る必要があります。
特に雪山問題は、リスクを取る判断と安全を守る判断がぶつかります。これは実務の意思決定にかなり近いです。短期成果を狙うのか、長期的な安全性を取るのか。管理職にとって避けられないテーマです。
コンセンサスゲームを失敗させない進行のコツ

コンセンサスゲームは、問題が良くても進行で失敗します。参加者が黙る、声の大きい人だけが話す、時間切れで多数決になる。研修現場で起こるつまずきは、だいたいこのあたりです。
司会者は、正解を教える人ではありません。話し合いの質を整える人です。ここを間違えると、ただの答え合わせ係になってしまいます。
最初に多数決禁止を伝える
コンセンサスゲームでは、最初に「多数決で決めない」と伝えてください。これを言わないと、時間がなくなった瞬間に多数決へ逃げます。
多数決が悪いわけではありません。ただ、合意形成を学ぶゲームでは、反対意見をどう扱うかが大事です。多数決にすると、その練習が消えてしまいます。
ルール説明では、次のように言うと伝わりやすいです。
「今回は、早く決めることよりも、納得して決めることを大切にします。多数決ではなく、なぜその順位にするのかを話し合ってください。」
この一言を入れるだけで、参加者の意識が変わります。結論の速さではなく、話し合いの質を見られているとわかるからです。
役割を決めると発言の偏りが減る
話し合いが偏りそうなチームには、役割を置くと効果があります。司会、記録、時間管理、発表者を決めるだけでも、場の動きが安定します。
ただし、役割を細かくしすぎる必要はありません。参加者が役割をこなすことに集中しすぎると、肝心の議論が薄くなります。
おすすめは、司会役と記録役だけ決めることです。司会役は全員に発言を振り、記録役は判断基準や意見の違いを書き残します。この2つがあるだけで、振り返りの質が上がります。
コンセンサスゲーム後の振り返りで合意形成を学ばせる方法

コンセンサスゲームの価値は、終わった後に決まります。ゲーム中は盛り上がっても、振り返りが浅いと学びが残りません。
振り返りでは、「正解に近かったか」より「どう決めたか」を聞きます。参加者が自分たちの話し合い方を客観視できると、現場の会議改善につながります。
振り返りは結論よりプロセスを聞く
最初に聞くべきなのは、順位の理由ではありません。どうやって話し合いが進んだかです。
「最初に何を決めましたか」「意見が割れたとき、どうしましたか」「途中で考えが変わった人はいましたか」。こうした問いを投げると、参加者は自分たちの対話を振り返れます。
特に大事なのは、少数意見の扱いです。少数意見が最後まで検討されたチームは、合意の質が高くなりやすいです。反対に、少数意見が早い段階で消えたチームは、納得感に差が残ります。
仕事の会議に置き換えて考えさせる
ゲームで終わらせないためには、最後に実務へ接続します。「今回の話し合いは、普段の会議に似ていましたか」と聞いてください。この問いはかなり効きます。
参加者の中には、「普段も最初に方針を決めずに細かい話をしている」と気づく人がいます。あるいは、「自分は反対意見を出す前に諦めていた」と気づく人もいます。
研修担当者は、その気づきを行動に変えるところまで促します。「次の会議で一つだけ変えるなら何か」と聞くと、学びが具体化します。合意形成は、ゲームの中だけで上手くなっても意味がありません。次の会議で使えて初めて価値があります。
コンセンサスゲームで使える振り返り質問集

振り返り質問は、研修の質を左右します。質問が浅いと「楽しかったです」で終わります。質問が具体的だと、参加者は自分の話し方や聞き方に気づきます。
ここでは、司会者がそのまま使える質問をまとめます。全て聞く必要はありません。研修目的に合わせて、3つから5つ選ぶとちょうどいいです。
合意形成の質を見る質問
合意形成の質を見るには、結論ではなく納得感を聞きます。全員が発言できたか、反対意見が扱われたか、判断基準が共有されたかを見るイメージです。
使いやすい質問は次の通りです。
- 最初にチームで確認すべき前提は何でしたか
- 意見が割れたとき、何を基準に決めましたか
- 少数意見は最後まで検討されましたか
- 自分の意見を変えた人は、何がきっかけでしたか
- 普段の会議でも同じ話し合い方をしていますか
質問した後は、すぐに正解を言わないでください。少し沈黙があっても待ちます。振り返りの時間は、参加者が自分で気づくための時間です。
リーダーシップを見る質問
リーダー研修で使うなら、誰が場を動かしたかを見る質問が有効です。ただし、「誰がリーダーでしたか」と聞くと評価の場のようになり、参加者が身構えます。
おすすめは、「場が前に進んだ瞬間はどこでしたか」と聞くことです。誰かが論点を整理した、黙っていた人に話を振った、決めきれない場面で基準を提案した。そういう具体的な行動が見えてきます。
リーダーシップは役職だけのものではありません。コンセンサスゲームでは、役職がなくても場を動かす人が出ます。そこを見つけると、組織の人材理解にもつながります。
まとめ

コンセンサスゲームは、砂漠や無人島、雪山などの非日常シナリオを使いながら、合意形成の力を鍛える実践的な研修です。大切なのは、問題を解くことそのものではなく、意見が割れたときにどう話し合い、どんな判断基準で結論にたどり着くかです。
初めて実施するなら、砂漠や無人島の問題が扱いやすいでしょう。リーダーや管理職向けなら、雪山やビジネス版の問題を使うと、実務に近い意思決定の癖が見えます。月面サバイバル型は、専門的な判断とチーム判断の差が出やすく、答え合わせも盛り上がります。
進行では、個人回答、グループ討議、チーム回答、振り返りの順番を守ってください。特に、最初に個人回答を作る工程と、最後に振り返る工程は削らないほうがいいです。ここを削ると、声の大きい人に流されるだけのゲームになりやすくなります。
研修担当者は、正解を教える人ではなく、話し合いの質を見える化する人です。「なぜそう考えたのか」「何を基準に決めたのか」「少数意見はどう扱われたのか」を問いかけることで、参加者は普段の会議やチーム運営を見直せます。
コンセンサスゲームは、楽しいだけで終わらせるにはもったいない題材です。うまく設計すれば、発言しやすい空気づくり、論点整理、意思決定、リーダーシップまで一度に学べます。次の研修では、問題を配って終わりではなく、振り返りまで含めて設計してみてください。
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