クレーム対応から生まれたサービス事例まとめ!クレーム対応から学ぶ商品企画の本質

クレーム対応というと、どうしても「謝る仕事」「炎上を止める仕事」「嫌な電話を受ける仕事」というイメージがありますよね。現場で対応している側からすると、朝一番にお客様から強めの電話が入り、そのあと会議資料の提出があるのに気持ちが持っていかれる。しかも上司には「丁寧に対応して」とだけ言われて、根本原因までは誰も拾ってくれない。こういう状況、かなりしんどいです。

ただ、商品企画やサービス改善の視点で見ると、クレームはかなり濃い一次情報です。お客様がわざわざ時間を使って伝えてくる不満には、「使いにくい」「分かりにくい」「期待と違った」「本当はこうしてほしかった」という改善の種が入っています。実際にカゴメは、お客様相談センターに寄せられた意見や指摘を社内共有し、商品開発などに反映していると公表しています。

大事なのは、クレームを「処理」で終わらせないことです。謝罪して終わり、返金して終わり、担当部署に転送して終わりでは、同じ不満が何度も発生します。クレーム対応からサービスを生む会社は、怒っている言葉の奥にある「未充足ニーズ」を見ています。未充足ニーズとは、まだ商品やサービスで満たせていない顧客の困りごとのことです。

目次

クレーム対応から生まれたサービス事例は「不満の翻訳」から始まる

クレーム対応から生まれたサービス事例は「不満の翻訳」から始まる

クレーム対応から新しいサービスや改善が生まれる企業は、クレーム文をそのまま受け取っていません。「まずい」「遅い」「分かりにくい」「使えない」という言葉を、商品企画で使える課題に翻訳しています。

たとえば「この商品、開けにくい」というクレームが来たとします。表面だけ見ればパッケージへの不満です。でも実務では、開封時に手が汚れるのか、力が弱い人に開けにくいのか、説明表示が小さいのか、保存時に使いづらいのかまで分解します。ここまで落とし込むと、パッケージ改善、表示改善、小容量化、再封機能追加など、企画の打ち手が見えてきます。

ロロメディア編集部でも、Web集客の改善相談を受けるときに似たことがあります。「問い合わせの質が悪い」というクレームに見える相談でも、掘っていくと広告文の訴求、LPの約束、問診フォームの設計、架電オペレーションのズレが原因だったりします。クレームは感情の言葉で届きますが、商品企画では構造の言葉に直す必要があります。

クレームの言葉そのまま受け取った解釈企画に使える翻訳
分かりにくい説明不足初回利用時の導線が弱い
高い価格不満価値説明や料金設計が伝わっていない
遅い対応スピード不足待ち時間の可視化や通知が必要
使いにくい操作性が悪い利用手順やUIに摩擦がある
もう買わない感情的な離脱期待値と実体験に差がある

この翻訳ができると、クレームは単なる苦情ではなくなります。商品改善会議にそのまま持ち込める「改善テーマ」になります。

カゴメの事例に学ぶお客様の声を商品改善へつなげる方法

カゴメの事例に学ぶお客様の声を商品改善へつなげる方法

食品や日用品のように多くの人が使う商品では、クレームや要望がかなり具体的に届きます。味、量、表示、アレルギー、開けやすさ、保存しやすさ。生活に近い商品ほど、不満も細かくなります。

カゴメは、お客様相談センターで電話やWebサイトからの問い合わせに対応し、寄せられた意見や指摘を社内へ共有し、商品開発などに反映していると説明しています。また、2015年にはお客様相談センターの公式Xアカウントを開設し、より多くの意見を受け取る取り組みも始めています。

具体的には、カゴメのお客様相談センターでは「小容量のトマトジュースが欲しい」という要望を受けて、100ml紙容器の商品を発売した事例が紹介されています。また、パッケージ表示についても、黒い粒が野菜や香辛料由来であることを表示したり、注意表示の対象が分かるよう表記を改善したりしています。

カゴメの事例から分かる商品企画の本質

ここで大事なのは、クレームを大げさな新商品開発だけに使っていないことです。小容量化、表示追加、注意文の修正、栄養成分表示の改善。どれも派手なイノベーションではありませんが、使う人にとってはかなり大事です。

たとえば「黒い粒が入っている」という問い合わせは、企業側から見れば原材料由来で問題ない話かもしれません。でも購入者は、食べる直前に異物かもしれないと不安になります。ここで表示を足すだけで、不安を問い合わせに変えずに済むようになります。

商品企画というと、新しい味、新しい機能、新しいパッケージを考えることだと思われがちです。でも実際には、「買ったあとに不安にならない」「開けた瞬間に迷わない」「使い切れる量で売る」といった小さな摩擦を消すことも立派な商品企画です。クレーム対応から生まれる改善は、こういう細部に強いのです。

セブン-イレブンの事例に学ぶ顧客の声を商品ラインナップへ反映する方法

セブン-イレブンの事例に学ぶ顧客の声を商品ラインナップへ反映する方法

コンビニの商品企画では、顧客の声がかなり重要です。毎日多くのお客様が来店し、商品回転も早いので、「また食べたい」「こういう商品がほしい」「最近見かけない」といった声が、次の商品投入に直結しやすいからです。

セブン-イレブンは、お客様相談室について、店舗への意見や指摘を関係部署と共有し、商品開発の関係部門と定期的に打ち合わせをして、商品の開発・改善・充実に向けて責任者全員で検討していると説明しています。

また、セブン-イレブンの「声のキャンバス」では、お客様の声をもとにした商品化や再販の事例が紹介されています。たとえば「甘食しっとりケーキを見なくなりました。再販しますか?」という声に応えて再販した事例や、「たんぱく質が摂れるカップタイプのおかずがあったら嬉しい」という声をもとに、鶏ささみを使ったカップデリを品揃えした事例が掲載されています。

セブン-イレブンの事例から分かる商品開発の考え方

セブン-イレブンの事例で注目したいのは、クレームだけでなく「要望」や「また食べたい」という声も商品企画に使っている点です。お客様の声は、怒っている声だけではありません。好きだった商品がなくなって困る、もっとこういう栄養の商品がほしい、季節商品をまた出してほしい。こういう声も、立派な改善データです。

現場で商品開発をするなら、クレームを「マイナスの声」だけに分類しないほうがいいです。「不満」「要望」「再購入希望」「使い方の質問」「迷いの声」に分けると、企画の方向性が変わります。

たとえば「たんぱく質が摂れるおかずが欲しい」という声は、健康志向、時短、食事管理、コンビニで完結したいという複数のニーズを含んでいます。単なる商品追加ではなく、生活シーンの変化を拾っているわけです。クレーム対応から学ぶ商品企画の本質は、言葉の裏にある生活行動を見ることです。

らでぃっしゅぼーやの事例に学ぶ改善できない理由まで伝えるサービス設計

らでぃっしゅぼーやの事例に学ぶ改善できない理由まで伝えるサービス設計

お客様の声を集めても、すべてを商品化・改善できるわけではありません。ここが現場ではかなり難しいところです。クレーム対応をしていると、「全部改善できないなら意味がない」と感じてしまうかもしれませんが、実は改善できない理由を説明することもサービス品質の一部です。

らでぃっしゅぼーやは、顧客の意見や要望を活かした商品・サービス改善に取り組み、改善したものは自社サイトで紹介し、改善できなかったものはその理由も共有する取り組みを行っていたと報じられています。さらに、サービスセンターに寄せられる毎週120〜200件未満の意見や要望を集約し、社内共有や改善提案につなげていたとされています。

この考え方は、商品企画だけでなくカスタマーサポートにもかなり重要です。お客様は必ずしも「すぐ改善しろ」とだけ思っているわけではありません。なぜできないのか、今後どう検討されるのか、自分の声がどこに届いたのかが分かるだけで、納得感が変わることがあります。

改善できない声を放置しない仕組みが信頼を作る

クレーム対応で一番つらいのは、現場が「ご意見ありがとうございます」と言うしかない状態です。お客様は本気で困っているのに、担当者は改善部署につなげられない。結果として、同じ説明を何度も繰り返すことになります。

改善できない理由を整理しておけば、対応品質が上がります。たとえば「安全基準上できない」「原材料調達の都合で難しい」「コストが上がりすぎる」「一部地域からテストする予定」など、理由を言語化できれば、現場はただ謝るだけではなくなります。

商品企画の本質は、すべての要望を叶えることではありません。叶える声、検討する声、現時点では難しい声を分け、その理由を社内外で説明できるようにすることです。ここまで設計できる企業は、クレーム対応が強くなります。

McDonald’sの紙製コーヒー蓋の事例に学ぶ「良い意図」だけではサービス改善にならない理由

McDonald’sの紙製コーヒー蓋の事例に学ぶ「良い意図」だけではサービス改善にならない理由

サステナビリティや環境配慮のために新しい素材へ切り替えることは、企業にとって大切な取り組みです。ただし、利用者の体験が悪くなると、どれだけ意図が良くてもクレームにつながります。

英国のMcDonald’sでは、環境配慮型の繊維製コーヒー蓋を導入したものの、蓋が外れやすい、漏れる、やけどにつながる、紙っぽい感触が悪い、味に影響するという顧客不満が出たため、プラスチック蓋へ一時的に戻す対応が報じられました。同社は、顧客が満足していないと伝えてきたため、性能基準を満たす代替品を探す間、一時的に戻すと説明しています。

この事例は、クレーム対応から商品企画を考えるうえでかなり示唆があります。企業側の意図は「環境によい取り組み」でも、顧客側の体験は「熱い飲み物が漏れる」「飲みにくい」「不快」だったわけです。

サービス改善では理念と使用体験を同時に満たす必要がある

商品企画では、企業が伝えたい価値と、顧客が実際に感じる価値がズレることがあります。環境に良い、健康に良い、コストを抑えられる、効率が上がる。企業側の理屈としては正しくても、使う瞬間に不便ならクレームになります。

ここで学ぶべきなのは、「正しいことをしているから受け入れられる」と考えないことです。顧客は理念だけで商品を使っているわけではありません。朝の通勤前にコーヒーを買い、歩きながら飲む。そのとき蓋が不安定なら、環境配慮より先に「危ない」「不便」が勝ちます。

商品企画では、導入前テストだけでなく、導入後のクレームを早く回収する仕組みが必要です。特にパッケージやUI、決済、配送、予約導線のように毎回触れる部分は、小さな不満が一気に大きな離脱につながります。

クレーム対応からサービスが生まれる企業はVOCを仕組み化している

クレーム対応からサービスが生まれる企業はVOCを仕組み化している

クレームを商品企画に活かす企業は、担当者の勘だけに頼っていません。VOCを仕組み化しています。VOCとはVoice of Customerの略で、顧客の声を意味します。問い合わせ、クレーム、レビュー、アンケート、SNS投稿、チャット履歴など、顧客が発した声全般を指します。

Zendeskは、VoCには問い合わせ窓口だけでなく、SNS、口コミサイト、アンケート、インタビュー、ECレビューなども含まれると説明し、商品・サービス開発や改善のヒントになるとしています。

また、パーソルビジネスプロセスデザインは、VOCを一定量集めて分析し傾向を知ることで、商品開発やサービス改善、マーケティングに活用できると説明しています。

VOCを集めるだけでは商品企画に使えない

現場でよくある失敗は、クレームを集めているのに使えていない状態です。問い合わせフォーム、電話メモ、SNSコメント、レビューがバラバラに保存されていて、商品企画部門には月末の件数だけが共有される。これでは改善につながりません。

商品企画に使うなら、声を分類する必要があります。たとえば「不具合」「分かりにくさ」「価格」「量」「味」「配送」「接客」「導線」「期待値ズレ」のようにタグを付けます。さらに、件数だけでなく、売上影響、再発頻度、緊急度、改善コストも見ます。

クレームは一件だけ見ると感情的に見えます。でも同じ声が何十件も集まると、市場のサインになります。VOCの本質は、個別対応の履歴を、商品改善のデータに変えることです。

クレーム対応から商品企画につなげる実務フロー

クレーム対応から商品企画につなげる実務フロー

クレームからサービスを生むには、流れを作る必要があります。現場担当者が「これは重要そう」と感じても、商品企画や開発に届かなければ改善されません。

たとえばカスタマーサポートに「予約画面が分かりにくい」という声が毎週届いているのに、Web担当者には共有されていない。広告担当はCVRが低い原因を広告クリエイティブだと思い込んでいる。こういうことは普通に起きます。部署ごとに見ている数字が違うからです。

クレームを商品企画へつなげるには、次の流れが必要です。

  • クレームを記録する
  • 感情ではなく事象で分類する
  • 件数と影響度を集計する
  • 原因部署を決めつけず横断で確認する
  • 改善案を小さくテストする
  • 改善後のクレーム件数やCVRを見る
  • 顧客に改善内容を伝える

この中で特に大事なのは、原因部署を決めつけないことです。「接客クレーム」に見えても、実は予約システムが分かりづらく、スタッフが説明に追われているだけかもしれません。「商品クレーム」に見えても、実は広告で期待値を上げすぎている場合もあります。

商品企画の本質は、部署の責任追及ではなく、顧客体験の詰まりを見つけることです。

クレームをサービス事例に変えるための分類方法

クレームをサービス事例に変えるための分類方法

クレームを商品企画に使うには、分類が命です。分類が雑だと、改善の優先順位が決められません。

「不満」「要望」「問い合わせ」だけで分けると、粒度が粗すぎます。商品企画に使うなら、顧客がどの瞬間に困ったのかを分ける必要があります。購入前なのか、購入中なのか、使用中なのか、使用後なのか。ここまで見ると、改善すべき場所が見えます。

顧客のタイミングクレーム例商品企画で見るポイント
購入前料金が分かりにくい価格表示、比較表、FAQ
購入時申し込みが進まないフォーム、決済、UI
利用直後使い方が分からない説明書、チュートリアル、導入支援
利用中壊れやすい、面倒耐久性、操作性、手間
利用後期待と違った広告表現、商品説明、レビュー導線

このようにタイミングで分けると、クレームの意味が変わります。

たとえば「分かりにくい」という声でも、購入前ならLP改善、購入後なら説明書改善、利用中ならUI改善です。同じ言葉でも、発生タイミングによって打ち手は違います。ここを分けずに「説明を増やそう」とすると、逆に読みにくくなることもあります。

商品企画で使えるクレームの見極め方

商品企画で使えるクレームの見極め方

すべてのクレームをそのまま商品企画に反映すると、商品はどんどん複雑になります。大事なのは、反映すべきクレームと、個別対応で終えるクレームを分けることです。

たとえば、1人だけが極端な使い方をして起きた不満と、多くの顧客が同じ場所でつまずいている不満は扱いが違います。前者は個別対応でよい場合がありますが、後者は商品やサービス設計を変えるべきです。

商品企画に上げるべきクレームは、次のようなものです。

  • 同じ内容が繰り返し発生している
  • 売上や継続率に影響している
  • 顧客の安全や信頼に関わる
  • 初回利用でつまずく原因になっている
  • 問い合わせ対応コストが高い
  • 競合選択の理由になっている

この中で特に強いのは、初回利用でつまずくクレームです。初回で分かりにくい商品は、リピート以前に体験が止まります。サブスク、アプリ、EC、予約サービス、オンライン診療などでは、初回体験のクレームを最優先で見たほうがいいです。

クレーム対応から新サービスを作るときの企画書の作り方

クレーム対応から新サービスを作るときの企画書の作り方

クレームから新サービスを企画するなら、感情的な訴えではなく、数字と具体例で企画書にする必要があります。「お客様から不満が出ています」だけでは、社内は動きません。

企画会議でよくあるのが、現場は危機感を持っているのに、経営や開発側には伝わらないパターンです。現場は毎日同じクレームを受けているので深刻さを体感しています。でも会議室では、月10件の数字だけを見ると「そこまで多くない」と判断されることがあります。

だから企画書では、件数だけでなく影響を書きます。返金率、解約率、問い合わせ工数、対応時間、低評価レビュー、SNS拡散リスク、CVR低下などに変換します。

クレーム起点の企画書に入れる項目

クレームからサービス改善案を出すときは、次の項目でまとめると通りやすくなります。

  • 発生しているクレーム内容
  • 発生件数と期間
  • 顧客が困っている具体的な場面
  • 現在の対応コスト
  • 放置した場合のリスク
  • 改善案
  • 小さく試す方法
  • 改善後に見るKPI

この企画書で一番大切なのは、顧客の具体的な場面です。「使いにくい」という抽象表現ではなく、「予約完了ボタンを押したあとに確認メールが届かず、来院できているか不安になって問い合わせが発生している」のように書きます。

ここまで書くと、改善案が自然に出ます。確認メールの文面を変える、予約完了画面に次の流れを表示する、LINE通知を追加する。クレームを具体化すると、商品企画は一気に進みます。

クレーム対応から生まれるサービス改善のよくあるパターン

クレーム対応から生まれるサービス改善のよくあるパターン

クレームから生まれるサービス改善には、いくつか定番パターンがあります。これを知っておくと、自社のクレームを見たときに「これはどの改善に変えられるか」と考えやすくなります。

現場で多いのは、説明不足、待ち時間、不安、操作ミス、期待値ズレです。どれも担当者の努力だけでは限界があります。サービス側の設計で減らす必要があります。

代表的な改善パターンは次の通りです。

クレーム生まれるサービス改善実務例
説明が分かりにくいFAQ・動画・初回ガイド申し込み後の使い方動画
待ち時間が長い順番通知・進捗表示予約状況の自動通知
何を選べばいいか分からない診断・比較表プラン診断コンテンツ
手続きが面倒フォーム改善・自動入力入力項目の削減
不安になる保証・確認メール予約完了後の案内強化
量が合わない小容量・大容量展開一人用サイズの追加

この表のように、クレームは新サービスの入口になります。

特に「何を選べばいいか分からない」という声は、診断コンテンツや比較表に変えやすいです。美容、保険、スクール、SaaS、転職、住宅など、選択肢が多い業界では、顧客が迷った瞬間に離脱します。クレーム対応から「選びやすさ」を作れる会社は強いです。

クレーム対応を商品企画に活かせない会社の原因

クレーム対応を商品企画に活かせない会社の原因

クレームをたくさん受けているのに、商品企画に活かせない会社もあります。これは現場の能力不足ではありません。多くの場合、仕組みの問題です。

一番多いのは、クレーム対応部門と商品企画部門が分断されているケースです。サポートは謝罪と対応に追われ、商品企画は市場調査や競合分析を見ている。顧客の生々しい声が、企画会議に届いていないわけです。

SCSKサービスウェアの事例でも、店舗で発生する苦情や相談室の対応履歴が残るだけで、関係部署へ共有されておらず、社内で本質的な問題や顧客の声が理解されていない状況が課題として紹介されています。改善では、問い合わせや苦情、店舗からの連絡を一元管理し、声の分析結果を社内展開することでレスポンス改善や苦情削減につなげたとされています。

クレームが埋もれる会社で起きること

クレームが埋もれる会社では、同じ問題が何度も繰り返されます。現場は毎回謝り、顧客は毎回不満を伝え、商品企画は別の新機能を作る。かなりもったいない状態です。

たとえば、申し込みフォームが分かりにくくて問い合わせが増えているのに、広告予算だけ増やす。配送日時の説明が分かりづらくて低評価レビューが出ているのに、キャンペーンだけ追加する。根本原因に触れないので、売上は伸びても不満も増えます。

商品企画に必要なのは、新しいアイデアだけではありません。今ある顧客体験の穴をふさぐことです。クレーム対応の現場は、その穴を一番早く見つけています。

クレーム対応から商品企画を成功させる会議の作り方

クレーム対応から商品企画を成功させる会議の作り方

クレームを商品企画に活かすには、会議の作り方も変える必要があります。ただ「今月のクレーム件数」を報告するだけでは、改善案は出ません。

会議では、件数ではなくテーマで話すほうが有効です。たとえば「配送遅延のクレームが12件」ではなく、「配送予定が見えないことで不安が発生し、問い合わせにつながっている」と整理します。すると、配送そのものを早くする以外にも、通知、追跡、FAQ、文面改善という打ち手が出ます。

クレーム改善会議で見るべき資料

会議で使う資料は、細かすぎても読まれません。現場の声を、意思決定できる形に加工する必要があります。

おすすめの資料構成は次の通りです。

  • 今月増えたクレームテーマ
  • 実際の顧客コメント
  • 発生タイミング
  • 売上や継続率への影響
  • 現場の対応工数
  • 改善案
  • 優先順位

実際の顧客コメントは、必ず入れたほうがいいです。数字だけだと他人事になりますが、顧客の言葉を見ると、企画担当者や経営者の解像度が上がります。

ただし、個人情報や攻撃的な表現は整理して扱います。目的は晒すことではなく、顧客がどこで困っているかを共有することです。

クレームを商品企画に活かすときの注意点

クレームを商品企画に活かすときの注意点

クレームは大切ですが、すべてを真に受けると商品がブレます。大きな声の人だけに合わせると、多数の顧客にとって使いにくい商品になることもあります。

たとえば、一部のお客様が「もっと機能を増やしてほしい」と言ったからといって、機能を増やしすぎると初心者には分かりづらくなります。逆に「安くしてほしい」という声だけを拾うと、品質やサポートを維持できなくなるかもしれません。

クレームを商品企画に使うときは、顧客セグメントを見る必要があります。セグメントとは、顧客を属性や目的ごとに分けたグループのことです。新規顧客の声なのか、長期利用者の声なのか、高単価顧客の声なのか、離脱寸前の顧客の声なのかで重みが変わります。

大きな声と重要な声を分ける

クレームの声量と重要度は一致しません。強い言葉で届いたクレームが重要なこともありますが、静かに離脱している顧客のほうが深刻な場合もあります。

見るべきなのは、声の強さではなく、再現性と影響度です。同じ問題が多くの顧客に起きるのか、売上や安全に影響するのか、改善すれば問い合わせが減るのか。ここで判断します。

商品企画では、感情に反応しすぎず、感情の奥にある事象を見ます。怒りの言葉をそのまま会議に持ち込むのではなく、「なぜ怒りが発生したのか」に分解する。これができると、クレームは冷静な企画材料になります。

小さな会社でもできるクレーム起点の商品改善

小さな会社でもできるクレーム起点の商品改善

大企業のようなお客様相談室やVOCシステムがなくても、クレーム起点の商品改善はできます。むしろ小さな会社ほど、顧客の声から改善までの距離が近いので、早く動けます。

たとえば、Googleフォーム、スプレッドシート、Slack、Notionだけでも十分です。問い合わせ内容を記録し、週1回見返し、同じ声が3件以上出たら改善候補にする。これだけでも、かなり変わります。

小さく始めるクレーム改善の仕組み

最初から完璧なVOC分析をしようとすると続きません。まずは、クレームを「見える化」することから始めます。

小さな会社なら、次の運用で十分です。

  • 問い合わせを1枚のシートに記録する
  • クレーム内容にタグを付ける
  • 週1回だけ件数を確認する
  • 同じタグが増えたら原因を話す
  • 1つだけ改善して翌月の件数を見る

この運用なら、現場負担も少ないです。

たとえば「料金が分かりにくい」というタグが増えたら、料金表の見せ方を変える。「予約後の流れが不安」というタグが増えたら、予約完了メールを改善する。大きな開発をしなくても、文面や導線の改善でクレームが減ることはあります。

クレーム対応から学ぶ商品企画の本質

クレーム対応から学ぶ商品企画の本質

クレーム対応から学べる商品企画の本質は、顧客の不満をなくすことだけではありません。顧客が何を期待し、どこで迷い、どこで裏切られたと感じたのかを理解することです。

商品企画というと、新しいものを作る仕事に見えます。でも実際には、顧客の体験を設計する仕事です。買う前、買う瞬間、使う瞬間、困った瞬間、問い合わせる瞬間。この一連の流れの中で、どこに摩擦があるかを見つける必要があります。

クレームは、その摩擦が表に出たものです。だからこそ、謝って終わらせるのではなく、「なぜこの人は怒るほど困ったのか」を見る必要があります。

クレームは商品と顧客のズレを教えてくれる

良い商品でも、顧客の期待とズレればクレームになります。高機能でも操作が難しければ不満になりますし、安くても説明が不足していれば不安になります。

商品企画で大切なのは、企業が作りたいものではなく、顧客が使えるものを作ることです。ここを間違えると、機能は増えたのにクレームも増えるという状態になります。

クレーム対応の現場には、企画書には出てこないリアルがあります。「ここで迷った」「ここで不安になった」「ここで期待と違った」。その声を商品企画に戻せる会社は、改善のスピードが速くなります。

クレーム対応から生まれたサービス事例のまとめ

クレーム対応から生まれたサービス事例のまとめ

クレーム対応から生まれたサービスや商品改善には、共通点があります。それは、顧客の怒りや不満をそのまま処理するのではなく、商品企画に使える課題へ翻訳していることです。

カゴメは、お客様の声を商品・サービス改善に反映し、小容量商品の発売やパッケージ表示改善などにつなげています。セブン-イレブンも、お客様相談室に寄せられた声を関係部署と共有し、商品開発や改善に活用しています。こうした事例を見ると、クレーム対応は守りの仕事ではなく、商品企画の入口でもあることが分かります。

大切なのは、クレームを集めるだけで終わらせないことです。分類し、原因を見つけ、改善案に変え、実行後の変化を見る。ここまでやって初めて、クレームはサービス改善の資産になります。

もし自社でクレーム対応がつらいだけの仕事になっているなら、まずは同じ声が何度も出ていないかを見てください。そこに、新しいサービスや改善のヒントがあります。お客様の怒りの中には、次の商品企画の種が眠っています。

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