Androidアプリ開発といえば「Java」という時代もありましたが、Kotlinの台頭やJetpack Composeの登場など、技術トレンドは大きく変化しています。では、2025年現在でもJavaは現場で使えるのか?本記事では、Android×Javaの現在地を整理し、開発環境やフレームワーク、業務効率化の視点で実用的なノウハウを紹介します。Javaで開発を続けるべきか、移行を検討すべきか、判断材料としてご活用ください。
JavaはAndroid開発で今も使われているのか
かつてAndroidの公式開発言語とされていたJavaは、今なお多くのプロジェクトで使われています。GoogleがKotlinを推奨するようになったとはいえ、既存資産の継続保守や学習コストの観点から、Javaの利用は続いています。
たとえば、金融・医療・製造業などのエンタープライズ系アプリでは、堅牢性と実績のあるJavaが選ばれるケースも多く、完全に廃止される気配は今のところありません。
一方で、Jetpack ComposeやKotlin DSLに最適化された設計思想が主流になってきた今、Java単独での新規開発は縮小傾向にあります。
Android Java開発のメリットと今のポジション
レガシー資産を活かせる安定感
すでにJavaで構築されたコードベースがある場合、わざわざKotlinに書き換えるのはコストもリスクも高くなります。そのため、大規模企業や長期運用が前提のプロダクトでは、あえてJavaを使い続ける戦略が採られることもあります。
採用やチーム構成の柔軟さ
Javaは新卒エンジニアでも触れた経験があることが多く、社内研修や教育コストを抑えやすいという利点があります。Android特化というよりは、バックエンドも含めた一貫した開発言語としての活用も視野に入る点が強みです。
Android StudioでJava開発を始めるための環境設定
Javaプロジェクトの作成手順
現在のAndroid Studioでは、新規プロジェクト作成時にデフォルトで「Kotlin」が選択されており、Javaは選択できないケースもあります。そのため、手動での設定変更が必要です。
- 新規プロジェクト作成時に「No Activity」を選択
build.gradle
内のlanguageVersion
を明示的にJava 11
などに設定- モジュール作成時に「Java」を選ぶ(またはKotlinを削除してJava構成にする)
Javaでのプロジェクト作成に慣れていない場合、「Javaが選択できない」と混乱しがちですが、これはAndroid Studioのテンプレート仕様によるものです。
Java設定の具体例と注意点
以下は、Java環境で最低限入れておくべき設定例です。
gradleコピーする編集するandroid {
compileOptions {
sourceCompatibility JavaVersion.VERSION_11
targetCompatibility JavaVersion.VERSION_11
}
}
Java 11以降に対応することで、ラムダ式やvar推論といったモダンな書き方も取り入れられます。ただし、一部のAPIがKotlin前提になっているため、Jetpack系ライブラリ導入時には注意が必要です。
現場で使われているJava向けフレームワークとは
JavaによるAndroid開発では、以下のような従来型のフレームワークやライブラリが依然として現役です。
MVP・MVVMアーキテクチャの採用
JavaでMVVMを実装するにはKotlinほどの柔軟性はありませんが、以下のような構成は依然として有効です。
- Dagger2(DI)
- Retrofit2(通信)
- Room(DB)
- LiveData(ライフサイクル対応の状態管理)
Jetpack Composeのような宣言的UI設計は難しいですが、古典的なMVCやMVPとの親和性は依然として高く、メンテナンス性を重視する現場では活用されています。
Javaでの開発効率を上げるためのサンプルコード紹介
Android Studioを使ったJava開発で、業務アプリによくある処理を簡潔に記述するサンプルを紹介します。
javaコピーする編集するpublic class MainActivity extends AppCompatActivity {
@Override
protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) {
super.onCreate(savedInstanceState);
setContentView(R.layout.activity_main);
Button btn = findViewById(R.id.button);
btn.setOnClickListener(view -> {
Toast.makeText(this, "クリックされました", Toast.LENGTH_SHORT).show();
});
}
}
Kotlinで書けばより短くなりますが、可読性・学習性を重視したい現場ではJavaの方が安心されるケースもあるため、シーンに応じて判断することが重要です。
JavaでのAndroidアプリ開発に役立つ書籍
JavaでのAndroidアプリ開発に向いている書籍は、「業務アプリ開発」や「UI構築」「テスト自動化」など実務寄りの内容に強い傾向があります。
- 『Androidアプリ開発の教科書 Java対応版』
- 『スッキリわかるJava入門 第3版』
- 『Android Studioではじめる Javaプログラミング入門』
特に、Kotlin移行を前提としない構成の本は、初心者や研修用途にも使いやすく、業務現場でも根強い支持があります。
スマホ単体でのJava開発は可能か?
スマートフォンだけでJavaによるAndroid開発を完結させることは理論上可能ですが、業務での使用には向きません。
たとえば以下のような環境があれば実現できます。
- Termux + OpenJDK
- AIDE(Android IDE)
- Dcoder, JStudio などのモバイル用コードエディタ
ただし、ビルド環境やUIデザインの複雑さ、ライブラリの導入制限などから業務開発には不向きです。本格的な開発にはやはりPCでのAndroid Studio利用が推奨されます。
Javaは廃止されるのか?今後の見通しと移行戦略
「Android Java 廃止」というキーワードに不安を感じる方もいるかもしれませんが、正確には**「非推奨」にはなっていても「廃止」はされていません**。
Kotlin推奨の裏でJavaはどうなる?
GoogleはKotlinファースト戦略をとっており、Kotlin向けのAPI・サンプル・ツールが優先される傾向にあります。しかし、Java向けのサポートも依然として継続されており、互換性の維持にも力を入れています。
そのため、すぐに移行する必要はありませんが、以下のような段階的移行が推奨されます。
- 新規モジュールはKotlinで実装
- 既存モジュールはJavaで維持しつつ徐々にリファクタリング
- チーム内でのKotlin研修を実施
まとめ|今こそ「Javaでどこまでやるか」を見直すタイミング
現在でもJavaでのAndroid開発は現場に根強く残っており、特に業務アプリや保守系プロジェクトでは現実的な選択肢です。ただし、Kotlin優位の流れは加速しており、Java一本での長期開発はリスクも伴います。
現時点では「Javaを完全に捨てる」のではなく、Kotlinとのハイブリッド体制や部分的な移行戦略を検討すべきフェーズです。Java資産を活かしながら、効率的な開発体制をどう築いていくか。それが、これからのAndroid開発者・企業に問われている重要な視点です。