ビジネスの現場でもLINEの活用が進む中、「LINE VOOM」という機能の存在に戸惑っている方も多いのではないでしょうか。投稿が自動で公開されたり、知らない人にフォローされたりと、ビジネス用途には不向きと感じる声も増えています。中には「気持ち悪い」「子どもに見せたくない」といった懸念もあり、安全性に疑問を抱く人も少なくありません。本記事では、LINE VOOMの基本から、ビジネスシーンでの注意点、そして非公開設定の落とし穴までをわかりやすく解説します。
そもそもLINE VOOMとは?基本機能と利用目的
LINE VOOM(旧タイムライン)は、LINEの中にあるSNS的な機能です。自分の日常や思いを投稿したり、他人の投稿に「いいね」やコメントをすることができます。InstagramやTwitterに近い仕様で、フォロー関係があると投稿が表示される仕組みです。
ただしLINE VOOMはLINEの友だち機能とは別軸で動いています。つまり、「LINEの友だち=VOOMのフォロワー」ではなく、知らない人からもフォローされる可能性があるのが特徴です。これにより、LINEを使っているだけで予期せぬ人からVOOM経由で投稿が見られたり、逆に見せたくない人に情報が届いてしまうこともあります。
とくに企業の公式アカウントや、業務にLINEを使っている社員の個人アカウントでは、LINE VOOMの仕様を理解せずに使うことは大きなリスクとなります。投稿が誤って全体に公開されたり、フォロー・フォロワー関係が第三者に可視化されることで、情報漏洩や炎上のリスクに繋がる恐れがあるからです。
また、LINE VOOMは初期設定のままだと、投稿の公開範囲が「全体公開」になっている場合があります。つまり、LINE内の「友だち」ではない人にも投稿が表示される可能性があるのです。こうした背景から、LINE VOOMの活用には慎重な設定と理解が求められます。
LINE VOOMの危険性とは?放置が招くリスクとは
LINE VOOMをそのまま放置していることで起きるリスクは想像以上に多く、プライバシーや業務情報に関わる問題に発展することもあります。以下に、ビジネス利用における実際の危険性を具体例を交えて解説します。
まず代表的なリスクは「意図しない情報公開」です。たとえば、ある営業担当者がプライベートで投稿したVOOMの内容が、偶然にも取引先の社員に見られてしまい、その内容が不適切と判断されて企業イメージに悪影響を与えた、という事例があります。投稿内容に趣味や日常生活が含まれていても、それがビジネス相手に届くことで、プロフェッショナリズムを欠いた印象を持たれてしまうことがあります。
また、VOOMでは「勝手にフォローされる」「フォローしていないのに投稿が表示される」という事象も報告されています。これはLINE側のレコメンド機能によるもので、共通の知人や興味関心があると判断された場合に、自動で投稿が表示されたり、おすすめアカウントとして紹介されてしまうのです。このアルゴリズムによって、企業のアカウントが意図しない方向に認知されてしまうこともありえます。
さらに、業務用のスマートフォンでLINEを利用している場合、VOOMを通じて他人の投稿(プライベート、あるいは刺激的な内容)が画面上に表示されることがあります。オフィスや顧客の前でこれらが偶然目に入ると、非常に気まずい状況となり、社内でもトラブルの火種になりかねません。
このように、LINE VOOMは気軽に使えるSNS的機能であるがゆえに、油断するとビジネスに致命的なダメージを与えかねない存在となるのです。
投稿を非表示・非公開にする方法と注意点
LINE VOOMの投稿は、設定によって非表示・非公開にすることができますが、設定項目がややわかりにくく、注意点も多く存在します。
まず、投稿の公開設定には以下の3種類があります:
- 全体公開:誰でも閲覧可能。
- フォロワーのみ:VOOM内でのフォロワーに限定。
- 自分のみ:本人しか見られない。
しかし、この設定は投稿ごとにしか変更できず、「一括で非公開」にするオプションは用意されていません。そのため過去の投稿すべてを非公開にしたい場合、1件1件手動で変更する必要があるのです。
たとえば、ある広報担当者が3年前から使っていたLINE VOOMに業務用端末で誤って全体公開の投稿を多数していたことに気づき、慌てて非公開設定を行ったが、過去の投稿数が数百件にのぼり作業が数時間かかったという例もあります。
投稿の非公開化を徹底するには、以下のような手順が必要です:
- LINEアプリを開く
- 下部の”VOOM”タブをタップ
- 自身のプロフィール画面を開き、設定(歯車マーク)をタップ
- 「投稿の公開範囲」から希望の設定に変更
- 各投稿右上のメニュー(…)から個別に設定を変更
ビジネス利用者は、これに加えて「VOOMの利用自体を制限する」ことも視野に入れるべきです。たとえば、社用スマホではVOOMタブを非表示にする設定を適用し、通知もオフにすることで、業務中の誤操作やトラブルのリスクを最小限に抑えることができます。
企業としては、LINE VOOMをどう扱うかという方針を定め、従業員に共有する体制づくりが重要です。
LINE VOOMを「消したい」と感じる理由とその対処法
「VOOMなんて使っていないのに表示されて邪魔」「使い方もわからないし、危険そうだから消したい」という声は多く、ネット上でも多くの相談や苦情が見られます。とくにITに詳しくない人や中高年層では、VOOMの機能自体を知らないままトラブルになるケースも少なくありません。
VOOMを完全に削除することは現時点では不可能ですが、表示を極力抑えたり、通知を切ることで事実上”使っていない”状態に近づけることは可能です。
実際にビジネスで使っている50代の営業担当者が、「VOOMの投稿が勝手に出てきて気味が悪い。社用スマホで余計なものを見たくない」と社内の情シスに相談し、設定変更を行ったという事例もあります。このような声は、ITリテラシーの違いによって社内で温度差が生まれる原因にもなるため、管理者が一括で制御できる環境づくりが求められます。
具体的な対処方法は以下の通りです:
- VOOMの通知をオフにする(LINEの設定→通知→VOOM)
- フォローしているアカウントの投稿を非表示にする
- VOOMタブをホーム画面に表示させない(一部の端末やバージョンでは可能)
このような設定を行うことで、LINE VOOMに触れる頻度を減らし、業務への集中や安全性向上につなげることができます。
LINE VOOMの使い方で企業が取るべき対応策
企業がLINE VOOMを安全に管理するには、技術的な制御とともに、社員のリテラシー向上が欠かせません。VOOMはSNS的要素が強いため、軽はずみな投稿やフォローが企業イメージを左右することもあるからです。
まず重要なのは、LINE VOOMの利用ポリシーを明確にすることです。社用アカウントや会社支給スマートフォンではVOOMの利用を制限、または完全に禁止する方針を打ち出す企業も増えてきています。
また、研修や社内マニュアルにて以下のような点を徹底する必要があります:
- VOOMの初期設定で「全体公開」になっていないか確認する
- プライベートな内容の投稿を業務端末から行わない
- 他人の投稿に業務アカウントで反応しない
- 投稿履歴が残ることを意識し、過去の投稿も定期的に見直す
さらに、VOOMに限らずLINE全体の使用状況を可視化・管理できるMDM(モバイルデバイス管理)ツールの導入も有効です。IT管理者がLINEのバージョンや設定状況をリモートで確認・制御できることで、トラブル発生時の対応も迅速になります。
まとめ|LINE VOOMの危険性を正しく理解し、安心してビジネスに活用するために
LINE VOOMはSNS的な要素を持つ機能であり、気軽に使える一方で思わぬリスクを含んでいます。特にビジネスシーンでは、その仕様を正しく理解していないと、社内外のトラブルや誤解を招く恐れがあります。
今回紹介したように、LINE VOOMには以下のような注意点があります:
- 投稿が勝手に公開されるリスクがある
- フォローや表示アルゴリズムが不透明で不快感を与えることも
- 非公開設定や非表示化には制限がある
- 社員や子どもに不適切な投稿が表示されることがある
LINEを業務に使う場合は、VOOM機能を正しく設定し、不要であれば非表示にしておくことが安全です。社内でのLINE運用ポリシーを明確にし、リスク管理の一環としてVOOMの扱いにも目を向けましょう。導入前に一度社内の利用実態を棚卸しし、必要に応じて方針を見直すことが、長期的に見ても安全で効率的なLINE運用につながります。