「できるようにすべく」の意味とビジネスで正しく使うための例文まとめ

会議資料やメールで「できるようにすべく」と書こうとして、「これ、日本語として合っているのかな」と手が止まることがあります。なんとなく丁寧に見える。なんとなくビジネスっぽい。でも、声に出して読むと少し硬い。こういう言葉、仕事の文章ではけっこう厄介です。

結論からいうと、「できるようにすべく」は「できる状態にするために」「できるようになることを目的として」という意味で使えます。ただし、かなり硬い表現なので、普段のビジネスメールでは「できるようにするため」「対応できるよう」「実現に向けて」と言い換えたほうが自然な場面が多いです。

たとえば、「来月から運用できるようにすべく、準備を進めています」は意味としては通じます。ですが、取引先メールなら「来月から運用できるよう、準備を進めております」のほうが読みやすいでしょう。丁寧にしたつもりが、少し力みすぎた文章に見えることもあります。

ロロメディア編集部でも、報告書や提案書の文面を整えるとき、「すべく」はかなり慎重に扱います。文章に重さを出したいときは使えます。でも、軽い確認メールに入れると、急に役所文書のようになる。言葉は、正しさだけでなく、場面との相性が大事なんですよね。

目次

「できるようにすべく」の意味は「できる状態にするために」

「できるようにすべく」の意味は「できる状態にするために」

「できるようにすべく」は、「何かを実現する目的で行動する」という意味です。もっとかみ砕くと、「できるようにするために」「できる状態へ近づけるために」となります。

「すべく」は、文語的な表現で、「するために」「しようとして」という目的を表します。日本語学習向けの文法解説でも、「〜べく」は「〜するために」という意味で、目的や強い意志を表す硬い表現として説明されています。日本語教師のN1et「〜べく」

つまり、「できるようにすべく」は、単に「できる」ではなく、「できるようにする目的で何かを進める」という流れを作る言葉です。結果ではなく、目的と行動をつなぐ表現だと考えるとわかりやすいでしょう。

「できるようにすべく」は目的を表す言葉

たとえば、「誰でも入力できるようにすべく、マニュアルを作成しました」という文があります。これは、「誰でも入力できる状態にするために、マニュアルを作成した」という意味です。

ここで大事なのは、「できるようにすべく」の後ろには、具体的な行動が続くという点です。「できるようにすべく、検討しています」「できるようにすべく、準備を進めます」「できるようにすべく、体制を整えます」のように使います。

逆に、「できるようにすべくです」のような終わり方は不自然です。「すべく」は文の途中で使い、後ろに行動や方針を続ける表現だと覚えてください。

「できるようにすべく」は少し硬い

「できるようにすべく」は、意味としては問題ありません。ただ、会話やカジュアルなメールではかなり硬く見えます。

たとえば、社内チャットで「明日までに確認できるようにすべく対応します」と書くと、少し大げさです。この場合は「明日までに確認できるよう対応します」で十分でしょう。

「すべく」は、報告書、提案書、稟議書、改善計画、公式なお知らせなど、文章に一定の重さが必要な場面で使うと自然です。逆に、日常的な連絡、Slack、LINE WORKS、軽い確認メールでは、少し浮いて見えることがあります。

「できるようにすべく」は正しい日本語なのか

「できるようにすべく」は正しい日本語なのか

「できるようにすべく」は正しいのか。ここは気になるところですよね。結論として、意味は通じますし、文章としても使えます。ただし、やや重複感が出やすい表現です。

なぜなら、「できるように」と「すべく」の両方が、目的に向かう意味を含んでいるからです。「できるようにするために」という意味なので、厳密には少し回りくどくなりやすいのです。

とはいえ、ビジネス文章では完全に誤りとは言えません。実際に「運用できるようにすべく」「対応できるようにすべく」のような表現は見かけます。ただ、読みやすさを優先するなら、言い換えたほうが自然な場面が多いです。

文法としては「できるようにするために」に近い

「すべく」は、「するべく」「改善すべく」「実現すべく」のように、動詞につながって目的を表します。「する」は「すべく」という形でも使えると文法解説でも説明されています。日本語教師のN1et「〜べく」

そのため、「できるようにすべく」は、「できるようにするべく」が少し縮まったような表現として理解できます。意味は「できるようにするために」です。

ただ、より自然に書くなら、「できるようにするため」「対応できるよう」「実現すべく」のように整理できます。文法的に許容されるかどうかより、読み手が引っかからないかで選ぶのが実務的です。

ビジネスでは正しさより読みやすさを優先する

仕事の文章で大切なのは、相手が迷わず読めることです。文法的に説明できる表現でも、読み手が「ん?」と止まるなら改善したほうがよいでしょう。

たとえば、上司に提出する改善計画書で「属人化を解消できるようにすべく、手順書の整備を進めます」と書くと、少し重いです。「属人化を解消すべく、手順書の整備を進めます」のほうがすっきりします。

取引先メールなら、さらにやわらかくして「今後はスムーズに対応できるよう、手順を見直しております」と書くと自然です。同じ意味でも、相手と文書の種類によって言葉を変える。これがビジネス文章の基本です。

「できるようにすべく」を使ってよい場面

「できるようにすべく」を使ってよい場面

「できるようにすべく」は、使いどころを選べば便利です。特に、目的に向けて準備や改善を進めていることを、少し改まった調子で伝えたいときに使えます。

ただし、使うなら文書の種類を選びましょう。提案書や報告書では自然に見えることがありますが、短いメールでは重く見えやすいです。

報告書や改善計画書では使える

報告書で「できるようにすべく」を使うと、目的に向けて取り組んでいる印象を出せます。たとえば、「再発防止を徹底できるようにすべく、確認フローを見直しました」という文です。

ただ、このままだと少し長いです。報告書では、「再発防止を徹底すべく、確認フローを見直しました」のほうが締まります。文章の硬さを活かすなら、「できるように」を削ったほうが読みやすいケースが多いです。

改善計画書では、目的と施策をつなぐ表現として使えます。「現場担当者が迷わず対応できるようにすべく、FAQとチェックリストを整備します」のような形です。意味は伝わりますが、最終原稿では「対応できるよう、FAQとチェックリストを整備します」に直すと自然です。

提案書では「実現すべく」のほうがスマート

提案書では、「できるようにすべく」よりも「実現すべく」「達成すべく」「改善すべく」のほうがすっきりします。

たとえば、「短期間で成果を出せるようにすべく、初月から施策を集中実行します」と書くより、「短期間での成果創出を実現すべく、初月から施策を集中実行します」のほうが提案書らしくなります。

提案書は、相手に「この会社は整理して考えている」と思ってもらう文書です。回りくどい表現より、目的語を明確にした表現が向いています。かっこよく見せるために硬くするのではなく、読み手が判断しやすい形にしましょう。

「できるようにすべく」を避けたほうがいい場面

「できるようにすべく」を避けたほうがいい場面

「できるようにすべく」は、すべてのビジネス文書に合うわけではありません。むしろ、日常的なメールやチャットでは避けたほうが自然です。

特に、相手にすぐ理解してほしい連絡文では、硬い表現が邪魔になることがあります。急ぎの確認メールで「すべく」が入ると、内容より言葉の重さが目立つんですよね。

社内チャットでは硬すぎる

社内チャットで「本日中に共有できるようにすべく、対応中です」と書くと、少し堅苦しい印象になります。悪くはありませんが、同僚とのやり取りでは距離が出ます。

この場合は、「本日中に共有できるよう対応しています」で十分です。もっと短くするなら、「本日中に共有できるよう進めています」でも自然です。

チャットはスピードとわかりやすさが大事です。報告書のような硬さは不要です。文章を丁寧にしようとして、逆に読みづらくしないようにしましょう。

お詫びメールでは言い訳っぽく見えることがある

お詫びメールで「再発しないようにすべく、改善を進めます」と書くと、少し形式的に見えることがあります。謝罪の場面では、硬い言葉よりも、具体的な改善策を明確に書くほうが大切です。

たとえば、「今後同様の不備が発生しないよう、送信前の確認手順を見直します」のほうが自然です。何を変えるのかが見えるからです。

謝罪文では、立派な言葉より行動が見られます。「すべく」で重くするより、「誰が」「いつから」「何を確認するか」まで書いたほうが信頼回復につながります。

「できるようにすべく」の自然な言い換え表現

「できるようにすべく」の自然な言い換え表現

「できるようにすべく」は、言い換えたほうが読みやすいことが多いです。ビジネスでは、相手や文書の種類に合わせて表現を選びましょう。

ここで大事なのは、ただ丁寧な言葉に置き換えることではありません。何をできるようにしたいのか、どのくらい硬い文書なのか、相手に何を伝えたいのかで選びます。

元の表現自然な言い換え向いている場面
できるようにすべくできるようにするため一般的な説明
対応できるようにすべく対応できるようメール、社内連絡
実施できるようにすべく実施に向けて企画書、進行連絡
改善できるようにすべく改善すべく報告書、改善計画
達成できるようにすべく達成に向けて目標管理、提案書
運用できるようにすべく運用開始に向けてプロジェクト管理
共有できるようにすべく共有できるようメール、チャット

この表の通り、「すべく」を残したほうがよい場面と、消したほうがよい場面があります。報告書なら「改善すべく」「実現すべく」が使えます。メールなら「できるよう」「対応できるよう」のほうが読みやすいです。

メールでは「できるよう」が一番自然

社外メールや社内メールでは、「できるようにすべく」より「できるよう」が自然です。

たとえば、「来週から運用できるようにすべく、準備を進めております」より、「来週から運用できるよう、準備を進めております」のほうがすっきりします。意味は同じですが、読みやすさが違います。

メールは、短時間で読まれる文書です。相手は文章の美しさより、何が進んでいるのかを知りたいはずです。迷ったら「すべく」を抜いてみてください。かなり自然になります。

報告書では「実現すべく」「改善すべく」が使える

報告書では、少し硬めの表現が合うことがあります。「すべく」を使うなら、「できるようにすべく」より「実現すべく」「改善すべく」「達成すべく」のように目的語を明確にするのがおすすめです。

たとえば、「業務効率化を実現すべく、申請フローの見直しを行いました」と書けます。これなら目的と行動がはっきりしています。

「できるようにすべく」は目的が少しぼやけることがあります。何を実現したいのかを名詞で置き換えると、文章が締まります。

「できるようにすべく」を使ったビジネス例文

「できるようにすべく」を使ったビジネス例文

ここからは、実際に使える例文を紹介します。ただし、あえて「できるようにすべく」を使う例と、自然に言い換えた例を並べます。

ビジネス文章では、使えるかどうかより、どちらが読みやすいかが重要です。提出前に見比べて、相手に伝わりやすいほうを選んでください。

社内報告で使う例文

会議後に上司へ進捗を報告する場面を考えます。改善対応を進めていることを伝えたいときです。

元の表現は、次のようになります。

「来月から新フローで対応できるようにすべく、現在マニュアルの整備を進めております。」

意味は通じます。ただ、少し硬く、回りくどさがあります。自然に直すなら、次のようになります。

「来月から新フローで対応できるよう、現在マニュアルの整備を進めております。」

さらに報告書らしくするなら、こうです。

「来月からの新フロー運用に向けて、現在マニュアルの整備を進めております。」

この3つを比べると、最後の文が一番すっきりしています。ビジネス文書では、言葉を足すより、不要な言葉を削るほうが読みやすくなることが多いです。

取引先メールで使う例文

取引先へ準備状況を伝える場面では、硬すぎない表現が向いています。

元の表現は、次のようになります。

「貴社にてスムーズにご確認いただけるようにすべく、資料の構成を調整しております。」

丁寧に見えますが、やや重いです。自然に直すなら、次のようにします。

「貴社にてスムーズにご確認いただけるよう、資料の構成を調整しております。」

さらに実務的にするなら、こう書けます。

「ご確認の負担を減らせるよう、資料の構成と表記を整理しております。」

取引先メールでは、相手にとってのメリットが見える表現が強いです。「できるようにすべく」より、相手がどう楽になるのかを具体的に書いたほうが伝わります。

提案書で使う例文

提案書では、少し硬めの表現も使えます。ただし、目的をはっきりさせましょう。

元の表現は、次のようになります。

「短期間で成果を出せるようにすべく、初月から優先度の高い施策を実行します。」

自然に直すなら、次のようになります。

「短期間で成果を出せるよう、初月から優先度の高い施策を実行します。」

提案書らしく整えるなら、こうです。

「短期間での成果創出を実現すべく、初月から優先度の高い施策を集中実行します。」

この場合は、「実現すべく」が合います。提案書では、少し硬い表現が説得力につながる場面もあります。ただし、使いすぎると重くなるので、重要な箇所だけに絞りましょう。

「できるようにすべく」と「できるようにするため」の違い

「できるようにすべく」と「できるようにするため」の違い

「できるようにすべく」と「できるようにするため」は、意味としてはかなり近いです。どちらも、何かを可能にする目的を表します。

違いは、文章の硬さです。「できるようにするため」は自然で幅広く使えます。「できるようにすべく」は硬く、報告書や提案書向きです。

普段のメールでは「できるようにするため」が自然

日常的なビジネスメールでは、「できるようにするため」のほうが読みやすいです。

たとえば、「来週から入力できるようにするため、設定を進めています」と書けば自然です。「来週から入力できるようにすべく、設定を進めています」だと、少し重く感じます。

メールは、相手の負担を減らす文書です。丁寧に見せるために硬くするより、すぐ理解できる表現を選んでください。

改まった文書では「すべく」も使える

稟議書、報告書、改善計画書のように、少し改まった文書では「すべく」も使えます。

たとえば、「業務効率化を実現すべく、承認フローの見直しを行います」と書くと、文書らしい印象になります。ここでは「実現するため」でもよいですが、「実現すべく」のほうがやや引き締まります。

ただし、1つの文書内で「すべく」を何度も使うと重くなります。1〜2回に留め、ほかは「〜に向けて」「〜できるよう」「〜するため」に分散させると読みやすいです。

「できるようにすべく」と「できるよう努めます」の違い

「できるようにすべく」と「できるよう努めます」の違い

「できるようにすべく」と似た表現に、「できるよう努めます」があります。これもビジネスメールでよく使われます。

ただし、意味の強さが少し違います。「できるようにすべく」は、目的に向けて行動することを示します。一方、「できるよう努めます」は、努力する姿勢を示す表現です。

「努めます」は結果を約束しない表現

「努めます」は、努力するという意味です。つまり、必ず達成するとは言い切っていません。

たとえば、「再発防止に努めます」はよく使われますが、具体策がないと弱く見えます。謝罪メールでこれだけを書くと、「結局何をするの?」と思われることがあります。

実務では、「再発防止に努めます」より、「再発防止のため、送信前の確認項目を追加します」のほうが強いです。姿勢より行動を書いたほうが信頼されます。

具体策があるなら「できるよう整備します」が強い

「できるよう努めます」よりも、具体策がある場合は「できるよう整備します」「できるよう準備します」「できるよう見直します」と書くほうが自然です。

たとえば、「来月から運用できるよう努めます」だと、少し弱いです。「来月から運用できるよう、手順書と担当者一覧を整備します」のほうが具体的です。

ビジネスでは、努力の表明より、何をするかが大事です。特に上司や取引先は、気持ちより行動を見ています。

「できるようにすべく」のよくある間違い

「できるようにすべく」のよくある間違い

「できるようにすべく」は、使い方を間違えるとかなり不自然になります。特に、後ろに行動が続いていない文や、同じ目的表現が重なりすぎた文は注意が必要です。

送信前や提出前に、声に出して読んでみてください。引っかかるなら、たいてい直したほうがいいです。

文末で終わらせてしまう

「できるようにすべく」は、基本的に文の途中で使います。後ろに行動が続かないと不自然です。

たとえば、「今後、迅速に対応できるようにすべく。」で文が終わると、何をするのかわかりません。正しくは、「今後、迅速に対応できるよう、確認フローを見直します」と書きます。

「すべく」を使うなら、後ろに「進めます」「整備します」「見直します」「対応します」などの動詞を続けましょう。目的だけでは文が完成しません。

「できるようにすべくために」と重ねる

「できるようにすべくために」は不自然です。「すべく」自体に「ために」の意味があるため、意味が重なっています。

たとえば、「早期に対応できるようにすべくために、体制を整えます」は避けます。正しくは、「早期に対応できるよう、体制を整えます」または「早期対応を実現すべく、体制を整えます」です。

丁寧にしようとして言葉を足すと、かえって崩れることがあります。ビジネス文章は、足し算より引き算です。

軽い内容に使ってしまう

「本日中に返信できるようにすべく、確認します」のような軽い内容に使うと、少し大げさです。

この場合は、「本日中に返信できるよう確認します」で十分です。もっと自然にするなら、「本日中に返信できるよう、現在確認しております」と書けます。

「すべく」は便利ですが、重さがあります。文書全体のトーンと合わない場合は、無理に使わないほうがいいです。

メールでそのまま使える自然な例文

メールでそのまま使える自然な例文

ここからは、実際にメールで使いやすい例文を紹介します。ポイントは、「できるようにすべく」を無理に残さないことです。

相手に伝わりやすい表現を優先しましょう。特に取引先メールでは、硬さより具体性が大切です。

取引先への進捗共有メール

件名:〇〇の進捗について

〇〇様

お世話になっております。
〇〇の件につきまして、現在、社内確認を進めております。

来週からスムーズに運用できるよう、手順書と確認項目を整理しております。
確認が完了しましたら、〇月〇日までに改めてご共有いたします。

よろしくお願いいたします。

この文面では、「できるようにすべく」を使っていません。「スムーズに運用できるよう」で十分伝わります。さらに、手順書と確認項目という具体策があるため、相手も安心できます。

社内向けの改善報告メール

件名:確認フロー見直しの進捗について

〇〇部長

お疲れさまです。
先日の入力ミスを受け、確認フローの見直しを進めています。

今後、担当者が迷わず確認できるよう、チェックリストを作成しています。
本日中に初稿を共有し、明日午前中に運用案を確認いただければと思います。

よろしくお願いいたします。

社内メールでは、このくらいの自然さで十分です。「確認できるようにすべく」と書くより、読みやすく、行動も明確です。

提案書に入れやすい文章

提案書では、少し硬い表現を使っても問題ありません。

「短期間での成果創出を実現すべく、初月はCVに近いキーワード群から優先的に記事制作を進めます。」

この文では、「実現すべく」が効いています。目的が明確で、後ろに施策が続いているからです。提案書では、こういう使い方なら自然です。

報告書で使える例文

報告書で使える例文

報告書では、文章を少し引き締める必要があります。ただし、硬すぎると読みづらくなります。

「すべく」を使うなら、目的を短く書き、後ろに具体的な対応を書くのがコツです。

改善報告の例文

「再発防止を徹底すべく、送信前の確認項目を3点追加しました。」

この文は自然です。「できるようにすべく」よりも「再発防止を徹底すべく」のほうがすっきりしています。何を目的にした対応なのかが明確です。

さらに具体化するなら、次のように書けます。

「再発防止を徹底すべく、送信前に宛先、添付ファイル、本文内の日付を確認するチェック項目を追加しました。」

ここまで書くと、読み手は実際に何を変えたのか理解できます。報告書では、目的だけでなく変更内容まで書きましょう。

業務改善計画の例文

「属人化を解消すべく、作業手順の標準化とマニュアル整備を進めます。」

この表現も自然です。属人化とは、特定の人しか業務内容や手順をわからない状態のことです。ビジネスでは、担当者が休むと業務が止まる原因になります。

より読みやすくするなら、次のように書けます。

「特定の担当者に依存しない運用を実現するため、作業手順の標準化とマニュアル整備を進めます。」

このように、読者層によっては「属人化」という言葉をかみ砕くほうが親切です。専門用語を使うかどうかは、相手に合わせて決めましょう。

「できるようにすべく」を使う時の判断基準

「できるようにすべく」を使う時の判断基準

最後に、使うかどうかの判断基準を整理します。「できるようにすべく」は絶対にNGではありません。ただ、何も考えずに使うと回りくどくなります。

迷ったら、文書の種類、相手、目的の3つで判断してください。

報告書・提案書なら使ってもよい

報告書や提案書では、「すべく」が合う場面があります。文章に少し硬さや意志を出せるからです。

ただし、「できるようにすべく」ではなく、「改善すべく」「実現すべく」「達成すべく」のように、目的を短くしたほうが自然です。

たとえば、「顧客満足度を向上できるようにすべく」より、「顧客満足度を向上すべく」のほうが締まります。さらに自然にするなら、「顧客満足度の向上に向けて」でもよいでしょう。

メール・チャットなら言い換える

メールやチャットでは、基本的に言い換えたほうがよいです。相手にすぐ伝わることを優先してください。

「できるようにすべく」は、「できるよう」「対応できるよう」「実施に向けて」「準備を進めるため」に直すと自然です。

たとえば、「明日共有できるようにすべく、確認しております」は、「明日共有できるよう、確認しております」で十分です。言葉を1つ削るだけで、かなり読みやすくなります。

まとめ|「できるようにすべく」は意味は通じるがメールでは言い換えるのが自然

まとめ|「できるようにすべく」は意味は通じるがメールでは言い換えるのが自然

「できるようにすべく」は、「できる状態にするために」「できるようにする目的で」という意味です。文法的に大きな問題はありませんが、かなり硬い表現で、ビジネスメールでは回りくどく見えることがあります。

報告書や提案書では、「改善すべく」「実現すべく」「達成すべく」のように目的を明確にすれば使いやすいです。一方で、取引先メールや社内チャットでは、「できるよう」「対応できるよう」「〜に向けて」と言い換えたほうが自然です。

大切なのは、難しい言葉を使うことではありません。相手が迷わず読めることです。丁寧に見せたいあまり、読み手を止めてしまうなら本末転倒です。

最後に、迷ったときの基準をまとめます。

・意味は「できるようにするために」
・メールでは「できるよう」「対応できるよう」に直す
・報告書では「改善すべく」「実現すべく」が使いやすい
・チャットでは硬すぎるため避ける
・後ろには必ず具体的な行動を続ける
・「すべくために」は重複なので使わない
・謝罪文では「すべく」より具体策を書く

ビジネス文章は、硬ければ良いわけではありません。読みやすく、具体的で、相手が次に動ける文章が強いです。「できるようにすべく」と書きたくなったら、一度だけ「できるよう」で足りないか確認してみてください。それだけで、文章はかなりスマートになりますよ。

参考記事

日本語教師のN1et「JLPT N1文法・例文:〜べく」

絵でわかる日本語「〜べく」

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