見積書を作っているときに「マージン20%で出して」と言われて、原価に20%を足せばいいのか、売上の中に20%の利益を残せばいいのかで手が止まったことはありませんか。
提出直前に計算し直したら利益が想定より少なく、上司確認で差し戻しになる。営業や制作、広告運用、卸売、代理店ビジネスでは、このミスがそのまま粗利のズレになります。
マージンの内掛けと外掛けは、どちらも「利益を乗せる計算」ですが、基準にする金額が違います。
外掛けは原価を基準に利益を足す考え方、内掛けは販売価格の中に利益を何%残すかを考える方法です。
マージンの内掛けと外掛けの違いは基準にする金額で決まる

内掛けは販売価格の中に利益を残す考え方

マージンの内掛けは、販売価格を基準にして「この売上のうち何%を利益として残すか」を考える方法です。
実務では、粗利率や利益率を管理したいときに使います。
たとえば、原価8万円の商品を販売するときに「利益率20%は確保したい」と考える場面がありますよね。
この場合、8万円に20%を足して9万6,000円にしてしまうと、販売価格に対する利益率は20%になりません。
なぜなら、9万6,000円で売った場合の利益は1万6,000円です。
1万6,000円を販売価格9万6,000円で割ると、利益率は約16.7%になります。つまり「20%の利益率を取りたい」と思っていたのに、実際は20%を下回るわけです。
この違いを知らないまま見積もると、「ちゃんとマージンを乗せたつもりなのに利益が薄い」という状態になります。
特に広告代理店、制作会社、卸売、営業代行のように原価や外注費が先に決まるビジネスでは、内掛けを理解していないと利益管理がかなり危なくなります。
外掛けは原価に利益を上乗せする考え方

外掛けは、原価を基準にして「原価に対して何%上乗せするか」を考える方法です。
計算としてはシンプルで、原価に一定割合を足すだけです。
たとえば原価10万円に外掛け20%を乗せるなら、10万円 × 1.2 = 12万円になります。
この場合、利益は2万円です。見た目はわかりやすく、計算も早いですよね。
ただし、ここで注意してほしいのは、外掛け20%で販売しても利益率は20%ではないという点です。
12万円で売って利益が2万円なので、利益率は2万円 ÷ 12万円 = 約16.7%になります。
現場で起きやすいのは、上司が「粗利20%は必要」と言っているのに、担当者が原価に20%を足して見積もってしまうケースです。
提出前に利益計算を見直した瞬間、「これ粗利20%ないよ」と差し戻され、見積書を作り直すことになります。
外掛けは悪い計算ではありません。
ただし「原価に対して何%乗せたか」を見る方法であり、「売上に対して何%の利益が残るか」を見る方法ではない。この区別が非常に重要です。
内掛けと外掛けの計算式を実務で使える形で覚える

内掛けの計算式は利益率を守るために使う

内掛けの計算は、最初だけ少しややこしく感じるかもしれません。
でも、見積もりや価格設定で使うなら、覚える式は1つで十分です。
原価 ÷ (1 − 確保したい利益率)= 販売価格
たとえば原価が7万円で、利益率30%を確保したい場合は、7万円 ÷ 0.7 = 10万円です。
10万円で売れば、利益は3万円。販売価格10万円に対して利益3万円なので、利益率は30%になります。
ここで、原価に30%を足して9万1,000円にしてしまうと、利益は2万1,000円です。
2万1,000円 ÷ 9万1,000円 = 約23.1%なので、想定していた30%には届きません。
実務で使うなら、次のように覚えると迷いません。
・利益率を守りたいなら内掛け
・販売価格の中に利益を何%残すかを見る
・原価を「1 − 利益率」で割る
この3つだけ押さえれば、見積書を作るときの迷いはかなり減ります。
特に「粗利率30%以上」「利益率20%は死守」のような指示がある場合は、内掛けで計算するのが基本です。
外掛けの計算式は原価に上乗せするときに使う

外掛けの計算式はかなり簡単です。
原価 × (1 + 上乗せ率)= 販売価格、これだけです。
たとえば原価5万円に外掛け40%を乗せるなら、5万円 × 1.4 = 7万円です。
利益は2万円になります。
外掛けは、仕入れ値に一定割合を足して販売価格を決めるときに使いやすい方法です。
「原価に対して最低これくらいは乗せたい」「この商品は仕入れ価格の1.3倍で売る」といった運用には向いています。
ただし、外掛けの割合をそのまま利益率だと思わないでください。
7万円で売って利益が2万円なら、利益率は約28.6%です。外掛け40%だから利益率40%ではありません。
このズレが、現場で一番事故になります。
「40%乗せているから十分利益がある」と思っていたのに、売上ベースで見ると利益率が思ったより低い。月末の数字を見て、なぜ粗利が足りないのか分からなくなるのはこのパターンです。
内掛けと外掛けの違いを表で比較すると一瞬でわかる

原価10万円・マージン20%で比較する

数字で見ると、内掛けと外掛けの違いはかなりはっきりします。
ここでは、原価10万円でマージン20%を考えてみましょう。
| 計算方法 | 計算式 | 販売価格 | 利益額 | 販売価格に対する利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 外掛け20% | 100,000円 × 1.2 | 120,000円 | 20,000円 | 約16.7% |
| 内掛け20% | 100,000円 ÷ 0.8 | 125,000円 | 25,000円 | 20% |
同じ「20%」でも、販売価格は5,000円変わります。
この5,000円を小さいと見るか、大きいと見るかで利益感覚が変わります。
1件だけなら誤差に見えるかもしれません。
しかし月に50件の見積もりがあるなら、5,000円 × 50件で25万円の差になります。年間なら300万円です。
ロロメディア編集部でも、広告運用や制作見積もりを考えるときに「この20%は内掛けですか、外掛けですか」と必ず確認します。
ここを曖昧にすると、提案金額は同じように見えても、会社に残る利益がまったく変わってしまうからです。
マージン率が高くなるほど差は大きくなる

内掛けと外掛けの差は、マージン率が上がるほど大きくなります。
20%ならまだ説明しやすいですが、30%、40%、50%となると差はかなり開きます。
たとえば原価10万円で見てみましょう。
| マージン率 | 外掛け販売価格 | 内掛け販売価格 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 10% | 110,000円 | 111,111円 | 1,111円 |
| 20% | 120,000円 | 125,000円 | 5,000円 |
| 30% | 130,000円 | 142,857円 | 12,857円 |
| 40% | 140,000円 | 166,667円 | 26,667円 |
| 50% | 150,000円 | 200,000円 | 50,000円 |
この表を見ると、内掛けと外掛けを混同する怖さが分かるはずです。
特に高粗利を前提にしたサービス業やコンサルティング、代理店商材では、計算方法の違いが利益計画に直結します。
「とりあえず30%乗せておけばいい」と考えてしまうと、粗利率30%を確保できません。
本当に30%残したいなら内掛けで計算する必要があります。
内掛けを使うべき場面と実務上のメリット

粗利率を守りたい見積もりでは内掛けを使う

内掛けを使うべき場面は、粗利率を守りたいときです。
粗利率とは、売上から原価を引いた利益が、売上に対して何%あるかを示す数字です。
たとえば、制作会社が外注費15万円の案件を受けるとします。
会社として粗利率40%を確保したいなら、15万円に40%を足すのではなく、15万円 ÷ 0.6 で販売価格を出します。計算結果は25万円です。
もし外掛けで15万円 × 1.4 = 21万円にすると、利益は6万円。
6万円 ÷ 21万円 = 約28.6%なので、粗利率40%には届きません。これでは、案件を受けるほど利益計画がズレていきます。
内掛けのメリットは、会社の利益基準を守りやすいことです。
営業担当が複数いても、同じ利益率で見積もれるため、価格のブレが小さくなります。
実務では、次のような場面で内掛けが向いています。
・粗利率の最低ラインが決まっている
・外注費や仕入れが案件ごとに変わる
・営業担当ごとの値付けブレを減らしたい
・月次で利益率を管理している
内掛けは、単なる計算方法ではありません。
会社として「この利益率を下回らない」という守りのルールになります。
値引き交渉を受ける前提なら内掛けで余白を作る
見積もりを出したあとに値引き交渉が入ることはありますよね。
特に法人営業では、最初の金額がそのまま通るとは限りません。
このとき、外掛けでギリギリの金額を出してしまうと、少し値引きしただけで利益が薄くなります。
商談終盤で「あと3万円だけ下げられませんか」と言われ、受注したい気持ちで下げたら、社内の利益基準を割ってしまう。かなり現実的な失敗です。
内掛けで価格を作っておくと、値引き後の利益率を事前に計算できます。
たとえば、原価60万円で粗利率30%を確保したいなら、販売価格は約85万7,143円です。ここから値引きする可能性があるなら、最初の提示価格を90万円や95万円にする判断もできます。
大事なのは、値引き後にいくら利益が残るかを先に見ることです。
受注金額だけ見ていると、売上は立っているのに利益が残らない案件が増えます。
ロロメディア編集部の感覚でも、法人向けの提案では「希望販売価格」と「最低着地価格」を分けて考えるべきです。
内掛けを使えば、この最低着地価格を数字で決められます。
外掛けを使うべき場面と実務上のメリット
仕入れ価格に一定割合を乗せる商材では外掛けが使いやすい
外掛けは、仕入れ価格に一定の割合を乗せて価格を決める商売で使いやすい方法です。
小売、卸売、部材販売、簡易な代理販売などでは、計算が早いことが大きなメリットになります。
たとえば、仕入れ価格3,000円の商品に外掛け50%を乗せるなら、販売価格は4,500円です。
商品点数が多い場合、内掛けで毎回細かく計算するより、仕入れ値に一定倍率を掛けるほうが運用しやすいでしょう。
現場では、スピードも大切です。
見積もり依頼が多い業種では、毎回複雑な利益率計算をしていると対応が遅くなります。外掛けなら、スタッフ間でもルールを共有しやすく、価格表も作りやすいです。
ただし、外掛けで価格を決める場合でも、最終的な利益率は必ず確認してください。
外掛け50%だから高利益に見えても、販売価格ベースの利益率は33.3%です。ここを理解していれば、外掛けは非常に便利な計算方法になります。
社内説明や簡易見積もりでは外掛けが早い
営業の初期段階では、詳細な原価がまだ固まっていないことがあります。
この時点で「だいたいどれくらいの金額になりそうか」を出すなら、外掛けは使いやすい方法です。
たとえば、外注費が概算で40万円、社内工数をざっくり10万円と見て、合計50万円に30%乗せて65万円程度と考える。
初回商談では、こうした概算レンジが必要になる場面があります。
外掛けのメリットは、説明が簡単なことです。
「原価に対して30%を乗せています」と言えば、相手にも伝わりやすい。社内の仮見積もりや予算感の共有にも向いています。
ただし、正式見積もりに進む段階では内掛けで利益率を確認したほうが安全です。
初期提案は外掛け、正式見積もりは内掛けで検算。この流れにすると、スピードと利益管理を両立できます。
内掛けと外掛けを間違えたときに起きる失敗
利益率を確保したつもりなのに粗利が足りなくなる
一番多い失敗は、利益率を確保したつもりなのに、実際には足りていないケースです。
原因は、内掛けで計算すべき場面で外掛けを使っていることです。
たとえば、外注費100万円の案件で「粗利30%を取りたい」とします。
外掛けで130万円にすると、利益は30万円。ところが利益率は30万円 ÷ 130万円 = 約23.1%です。
この状態で月に数件受注すると、売上は増えているのに会社の粗利率が下がります。
営業会議で「受注は取れているのに、なぜ利益が足りないのか」と詰まる場面になります。
ここで担当者が悪いわけではありません。
問題は、社内で「マージン30%」という言葉の定義が揃っていないことです。マージンが原価に対する上乗せなのか、売上に対する利益率なのかを決めていないと、必ずズレます。
対策はシンプルです。
社内資料や見積もりテンプレートに「マージンは内掛けで計算」「外掛けの場合は上乗せ率と表記」と明記してください。言葉を分けるだけで、かなり事故を防げます。
値引き後に赤字ギリギリになる
もう一つ危ないのが、値引き後に利益がほとんど残らなくなるケースです。
最初の見積もりが外掛けで作られていると、値引き余地を読み間違えやすくなります。
たとえば原価80万円に外掛け25%を乗せて100万円で提案したとします。
この時点の利益は20万円、利益率は20%です。ここから「10万円だけ下げてほしい」と言われて90万円にすると、利益は10万円、利益率は約11.1%まで落ちます。
営業担当としては「100万円から90万円だから10%引き」と感じるかもしれません。
でも会社から見ると、利益は20万円から10万円に半減しています。ここを見落とすと、受注しても苦しい案件になります。
値引き交渉がある商材では、販売価格ではなく利益額で判断してください。
「いくら下げるか」ではなく「下げたあとにいくら残るか」を見る。これが実務での正しい判断です。
内掛けと外掛けを社内で使い分けるルール
見積書では利益率、社内メモでは上乗せ率を分けて書く
社内で混乱を防ぐには、言葉の使い方を決める必要があります。
「マージン」という言葉だけで会話すると、人によって解釈が変わります。
おすすめは、見積書や管理表では「粗利率」「利益率」と書き、原価に対して乗せる場合は「上乗せ率」と表記する方法です。
この2つを分けるだけで、内掛けと外掛けの混同はかなり減ります。
たとえば、社内メモで「外注費50万円、上乗せ率20%、販売価格60万円」と書く。
一方、利益管理表では「販売価格60万円、粗利10万円、粗利率16.7%」と書く。こうすれば、同じ案件でも見ている数字が明確になります。
実務では、次のように使い分けると運用しやすいです。
| 目的 | 使う考え方 | 表記 |
|---|---|---|
| 会社の利益率を守る | 内掛け | 粗利率、利益率 |
| 原価に一定割合を乗せる | 外掛け | 上乗せ率 |
| 初期の概算見積もり | 外掛け | 概算上乗せ |
| 正式見積もりの検算 | 内掛け | 最低粗利率 |
表記を変えるだけで、確認の質が上がります。
「これは内掛けですか、外掛けですか」と毎回聞くより、最初から資料上で分かる状態にしておくほうが早いですよ。
見積もりテンプレートに計算式を入れてミスを防ぐ
人の注意力に頼る運用は、忙しくなると崩れます。
月末、提案ラッシュ、決算前、クライアント確認前など、焦るタイミングほど計算ミスは起きます。
そのため、見積もりテンプレートには計算式を入れておくべきです。
Excelやスプレッドシートで、原価、希望粗利率、販売価格、粗利額、粗利率が自動で出るようにしておくと、かなり安全になります。
最低限入れるべき項目は次の通りです。
・原価
・販売価格
・粗利額
・粗利率
・上乗せ率
・値引き後粗利率
この中で特に重要なのは、値引き後粗利率です。
見積もり提出時だけ利益が出ていても、交渉後に利益率が崩れることがあるからです。
ロロメディア編集部でも、見積もりを考えるときは「最初の提案価格」より「どこまで下げたら危険か」を先に見ます。
このラインが分かっていれば、商談中に感覚で値引きしなくて済みます。
マージン計算で迷わないための実務フロー
まず原価を確定してから利益率を決める
マージン計算で最初にやるべきことは、原価の確定です。
利益率から考え始めると、あとから外注費や手数料が追加されて計算が崩れます。
たとえば制作案件なら、外注費、撮影費、編集費、広告費、ツール費、交通費、社内工数を先に洗い出します。
ここを曖昧にしたまま「30%くらい乗せよう」と考えると、見積もり後に原価が増えて利益が削られます。
原価が出たら、次に最低利益率を決めます。
会社として粗利率30%を守るのか、案件の戦略性を考えて20%まで許容するのか。この判断を先にしないと、価格だけが先走ります。
現場で使える流れはこの順番です。
・原価を洗い出す
・最低粗利率を決める
・内掛けで最低販売価格を出す
・市場価格や競合感を見て提示価格を決める
・値引き後の粗利率を確認する
この流れなら、利益を守りながら現実的な価格を作れます。
「売れそうな価格」だけで決めるのではなく、「売っても会社に利益が残る価格」にすることが大切です。
最低販売価格と提示価格を分けて考える
見積もりでは、最低販売価格と提示価格を分けてください。
この2つを混ぜると、交渉の余白がなくなります。
最低販売価格は、これ以上下げると利益基準を割る金額です。
提示価格は、顧客に最初に出す金額です。値引きや追加対応の可能性があるなら、提示価格は最低販売価格より上に設定します。
たとえば原価70万円、最低粗利率30%なら、最低販売価格は100万円です。
でも、値引き交渉が入りそうな顧客なら、最初の提示価格を110万円や115万円にする判断があります。
この考え方を持っていると、商談中に焦りません。
「ここまでは下げられる」「ここから下は社内確認が必要」と判断できるからです。
営業現場では、受注したい気持ちが強いほど値引きしがちです。
だからこそ、商談前に数字で防波堤を作っておく必要があります。
業種別に見る内掛けと外掛けの使い分け
制作会社や広告代理店は内掛けで利益管理する
制作会社や広告代理店は、内掛けで利益管理するのが基本です。
理由は、案件ごとに外注費や運用工数が変わるため、売上に対してどれだけ利益が残るかを見ないと危険だからです。
たとえば広告運用代行で、広告費とは別に運用手数料をもらう場合。
外注のレポート作成費、バナー制作費、分析ツール費がかかるなら、単純に手数料だけを見ても利益は分かりません。
ここで内掛けを使うと、案件ごとの粗利率を揃えやすくなります。
「この案件は売上100万円だけど粗利20万円」「あの案件は売上80万円でも粗利40万円」といった判断ができるようになります。
売上規模だけで案件を評価すると、忙しいのに儲からない案件が増えます。
制作・広告・コンサル系の仕事では、売上より粗利を見たほうが経営判断は正確です。
小売や卸売は外掛けを使いながら利益率を確認する
小売や卸売では、外掛けが使いやすい場面が多いです。
商品点数が多く、仕入れ価格に一定割合を乗せて価格を作るほうが現場運用しやすいためです。
ただし、外掛けだけで終わらせると利益率の確認が甘くなります。
仕入れ価格が上がったのに販売価格を据え置いた場合、利益率はすぐに下がります。
たとえば仕入れ価格1,000円の商品を1,500円で売っていたとします。
仕入れが1,200円に上がっても販売価格を変えなければ、利益は500円から300円に減ります。売上は同じでも、利益は大きく下がるわけです。
小売や卸売では、外掛けで価格を作りつつ、月次で粗利率を確認する運用が現実的です。
外掛けは価格決定のスピードに使う。内掛けは利益管理に使う。この使い分けが一番安定します。
マージン計算を間違えないための確認ポイント
「何に対する何%か」を必ず言葉にする
マージン計算で迷ったら、必ず「何に対する何%か」を言葉にしてください。
ここを曖昧にしたまま計算すると、内掛けと外掛けが混ざります。
たとえば「マージン20%」では不十分です。
「販売価格に対して利益を20%残す」のか、「原価に対して20%を上乗せする」のかまで書く必要があります。
社内チャットでも、次のように書くと誤解が減ります。
・粗利率20%を確保したい
・原価に20%上乗せしたい
・販売価格ベースで利益率30%を残したい
・外掛けで概算価格を出したい
この一文を入れるだけで、確認の手戻りが減ります。
特に複数人で見積もりを作る会社では、数字より先に言葉の定義を揃えるべきです。
「マージン」という言葉は便利ですが、便利な言葉ほど危険です。
相手と同じ意味で使っている保証がないからです。
最後は販売価格、原価、利益額、利益率を並べて確認する
見積もりを出す前に、販売価格、原価、利益額、利益率を並べて確認してください。
これをやるだけで、かなりのミスは防げます。
たとえば販売価格120万円、原価90万円、利益30万円、利益率25%。
この4つが並んでいれば、上司も経理も営業も同じ数字を見て判断できます。
反対に、販売価格だけ見ていると危険です。
120万円の案件でも、原価が110万円なら利益は10万円しかありません。売上が大きいから良い案件とは限らないのです。
見積もり提出前のチェックでは、最低でもこの4項目を確認しましょう。
利益率が会社基準を下回るなら、価格を上げる、原価を下げる、作業範囲を減らす、値引き条件を見直す必要があります。
実務では「計算が合っているか」だけでなく「この条件で受けてよいか」まで見ることが大切です。
マージン計算は、単なる算数ではなく案件判断の土台になります。
まとめ
マージンの内掛けと外掛けは、基準にする金額が違います。
内掛けは販売価格を基準にして利益率を確保する考え方、外掛けは原価を基準にして一定割合を上乗せする方法です。
原価10万円に対して20%で考える場合、外掛けなら販売価格は12万円、内掛けなら12万5,000円になります。
同じ20%でも金額が変わるため、見積もりや価格設定では必ず使い分けなければいけません。
粗利率を守りたいなら内掛け。
仕入れ価格に一定割合を乗せて簡易的に価格を決めたいなら外掛け。
この判断軸を持っておけば、現場で迷うことはかなり減ります。
特に法人営業、制作会社、広告代理店、卸売、小売では、マージン計算のズレがそのまま利益のズレになります。
「マージン20%」という言葉だけで会話せず、「販売価格に対する利益率なのか」「原価に対する上乗せ率なのか」まで必ず確認してください。
見積もりを出す前には、販売価格、原価、利益額、利益率を並べて見る。
これを習慣にするだけで、利益が残らない案件や値引き後に苦しくなる案件をかなり防げます。
マージン計算は、難しい会計知識ではありません。
ただ、内掛けと外掛けを混同すると、売れているのに利益が残らない状態になります。今日から見積もりを作るときは、「このマージンは何を基準にした数字か」を一度だけ確認してみてください。そこを押さえるだけで、価格設定の精度は確実に上がります。















