クラスター分析のやり方を徹底解説|Excel・R・SPSSでできる実務活用法と事例紹介

クラスター分析を調べていると、「似ているもの同士をグループ分けする分析です」という説明は出てきます。ただ、実務で困るのはそこではありません。Excelの表を前にして「このデータで本当に分析できるのか」「何列を使えばいいのか」「出てきたグループをどう読めばいいのか」で手が止まるんですよね。

たとえば、顧客データを見ながら「購入回数が多い人」「単価が高い人」「問い合わせは多いけど成約しない人」を分けたい場面があります。広告運用やCRM、アンケート分析、店舗集客では、この“なんとなく違う顧客層”を感覚ではなくデータで分けたい瞬間が出てきます。そこで使えるのがクラスター分析です。

ロロメディア編集部でも、メディアの読者層や問い合わせ傾向を整理するときに、単純な平均値だけでは見えない違いにぶつかることがあります。全体平均では「月1回購入」と見えても、実際には高頻度で買う層、安い商品だけ買う層、資料請求だけする層が混ざっている。この混ざりをほどくのが、クラスター分析の役割です。

クラスター分析は難しい数式を覚えるより、分析前の設計が大事です。何をグループ分けしたいのか、どの変数を使うのか、何個のグループにするのか、分けたあと何に使うのか。ここまで決めると、ExcelでもRでもSPSSでも実務に使える分析になります。

目次

クラスター分析とは何をする分析なのか

クラスター分析とは何をする分析なのか

クラスター分析とは、似ているデータ同士を自動的にグループ分けする分析手法です。クラスターは「集団」や「かたまり」という意味で、顧客、商品、店舗、アンケート回答者などを、特徴が近いもの同士でまとめるときに使います。

たとえば、顧客1000人のデータがあるとします。年齢、購入金額、購入回数、来店頻度、問い合わせ回数を見ても、1人ずつ眺めているだけでは全体像が見えません。そこでクラスター分析を使うと、「高単価リピーター」「低単価ライト層」「問い合わせ多め未購入層」のように、実務で扱いやすいまとまりに分けられます。

ここで大切なのは、クラスター分析は正解ラベルを当てる分析ではないという点です。たとえば「この人は優良顧客です」と最初から決まっているデータを予測するのではありません。データの中にある似た傾向を見つけ、人間があとから意味づけする分析です。

分析手法何をするか実務での使い方
クラスター分析似ているものをグループ分けする顧客分類、商品分類、店舗分類
回帰分析数値の増減を予測する売上予測、広告費と成果の関係分析
判別分析既存の分類に当てはめる成約しやすい顧客の判定
主成分分析多くの変数を少数の軸に圧縮するアンケート項目の要約
クロス集計項目同士の関係を見る年代別購入率、媒体別CV率

クラスター分析は、売上を直接予測する分析ではありません。むしろ「顧客をどう分けて考えるべきか」を決めるための分析です。マーケティングでは、この分類ができると、広告文、LP、メール配信、営業対応を分けやすくなります。

クラスター分析を始める前に決めるべき目的

クラスター分析を始める前に決めるべき目的

クラスター分析で失敗する一番の原因は、目的を決めずにデータを入れてしまうことです。ツールに数字を入れれば何かしらグループは出ます。でも、そのグループが実務で使えるとは限りません。

たとえば、ECサイトの顧客を分類したいとします。このとき「売上を伸ばすために優良顧客を見つけたい」のか、「離脱しそうな顧客を見つけたい」のか、「広告配信のターゲットを分けたい」のかで、使うデータが変わります。目的が違えば、同じ顧客データでも見るべき列が違うのです。

操作説明に入る前に、ここでつまずく人が多いのが「手元にある列を全部入れてしまう」ことです。年齢、性別、購入金額、購入回数、住所、流入元、アンケート回答、なんでも入れたくなります。ただ、関係の薄い変数を入れるほど、分析結果は読みにくくなります。

最初に決めるべきことは次の4つです。

  • 何を分類するのか
  • 何のために分類するのか
  • 分けた後にどう使うのか
  • どの数字を使えば目的に近づくのか

顧客を分類するなら、1行に1人の顧客を置きます。商品を分類するなら、1行に1商品を置きます。店舗を分類するなら、1行に1店舗です。この「何を1行にするか」がズレると、分析全体が崩れます。

クラスター分析に使うデータの作り方

クラスター分析に使うデータの作り方

クラスター分析では、データ作りが結果の8割を決めます。RやSPSSを使っても、元データが雑だと、きれいな図が出るだけで使えない分析になります。逆に、データの形が整っていれば、Excelでもかなり実務に近い分類ができます。

基本は、1行に分析したい対象を置き、列に特徴量を並べます。特徴量とは、分類に使う数値のことです。顧客分析なら購入金額、購入回数、最終購入日からの日数、問い合わせ回数などが特徴量になります。

たとえば、次のような表を作ります。

顧客ID購入金額購入回数最終購入からの日数問い合わせ回数平均購入単価
A001120000815215000
A002150001180015000
A0034500063057500
A0043000003101100000
A0058000130038000

この表では、顧客IDは分類対象の名前なので、分析には入れません。分析に入れるのは購入金額、購入回数、最終購入からの日数、問い合わせ回数、平均購入単価などの数値列です。文字列のままの「性別」「都道府県」「流入元」は、そのままでは扱いにくいため、必要なら数値化します。

ここで注意したいのは、売上金額のように数字が大きい列が、結果に強く影響しやすいことです。購入金額は数十万、購入回数は数回、問い合わせ回数は0〜10回。このまま分析すると、購入金額の差ばかりでグループが分かれることがあります。そこで標準化が必要になります。

クラスター分析では標準化が重要になる理由

クラスター分析では標準化が重要になる理由

標準化とは、単位や数字の大きさが違うデータを比較しやすくそろえる処理です。ざっくり言うと、平均を0、ばらつきを1に近い形に変換します。難しく聞こえますが、実務では「金額の大きさだけで分類が決まらないようにする作業」と考えると分かりやすいです。

たとえば、購入金額は0円から30万円、購入回数は1回から10回だとします。このまま距離を計算すると、購入金額の差が大きすぎて、購入回数の違いがほぼ無視されます。すると「たくさん買った人」と「少ししか買っていない人」だけに分かれ、リピート傾向や休眠傾向が見えにくくなります。

操作説明の前に、ここでつまずく人が多いのが「Excelに数字を入れたらそのまま分析できる」と思ってしまうことです。数字であれば何でも同じ重みで見てくれるわけではありません。数字の単位が違うなら、分析前にそろえる必要があります。

Excelで標準化する場合は、各列に対して次のような式を使います。

=STANDARDIZE(対象セル, 平均, 標準偏差)

たとえば、B列に購入金額があり、B2を標準化したい場合は、平均と標準偏差を使って計算します。ExcelではAVERAGE関数で平均、STDEV.S関数で標準偏差を出せます。Rならscale関数を使えば一括で標準化できます。

標準化するべきデータと、しないほうがよいデータを整理すると次のようになります。

データの種類標準化の必要性理由
購入金額高い金額の桁が大きく影響しやすい
購入回数高い金額と単位が違う
来店頻度高い他の列と尺度が違う
アンケート5段階評価同じ尺度の項目だけなら不要な場合もある
0/1のフラグ目的次第多く入れると分類を歪めることがある
IDや名前不要分類に使う特徴ではない

標準化は地味ですが、ここを飛ばすと結果の解釈がかなりズレます。クラスター分析で「なんか変な分類になった」と感じたら、まず標準化しているかを見直してください。

クラスター分析の代表的な方法は階層型と非階層型に分かれる

クラスター分析の代表的な方法は階層型と非階層型に分かれる

クラスター分析には、大きく分けて階層型クラスター分析と非階層型クラスター分析があります。名前だけ見ると難しそうですが、実務での使い分けはシンプルです。少ないデータをじっくり分類したいなら階層型、大量データを指定したグループ数に分けたいなら非階層型が向いています。

階層型は、データ同士を近いものから順番につなげていく方法です。結果は樹形図、つまり木の枝のような図で表示できます。どこで切るかによって、3グループにも5グループにも分けられるため、分類の構造を見たいときに便利です。

非階層型の代表はk-means法です。k-meansは、最初に「何グループに分けるか」を決めてから、データを近い中心に割り当てていく方法です。顧客数が多いCRMデータや、店舗数が多い売上データでは、こちらのほうが扱いやすい場面が多いです。

方法向いている場面メリット注意点
階層型クラスター分析少〜中規模データ、分類構造を見たいとき樹形図で理解しやすい大量データでは重くなりやすい
k-means法大量データ、グループ数を決めたいとき実務で使いやすい最初にクラスター数を決める必要がある
TwoStepクラスターSPSSでカテゴリ変数も含めたいとき数値とカテゴリを扱いやすいツール依存が大きい
DBSCAN外れ値や密度の違いを見たいとき異常値検出に強いパラメータ調整が難しい

最初に実務で使うなら、階層型で全体の雰囲気を見て、k-meansで実運用しやすい数に分ける流れがおすすめです。Excelだけでやるなら階層型より手作業が増えますが、顧客数が少なければ距離計算から雰囲気をつかめます。RやSPSSを使えるなら、両方試して結果が似ているか確認すると安心です。

Excelでクラスター分析を行うやり方

Excelでクラスター分析を行うやり方

Excelは本格的なクラスター分析専用ツールではありません。それでも、少量データの分類や、分析の考え方を理解するには十分使えます。特に社内説明用の初期分析なら、Excelで作ったほうが関係者に見せやすいこともあります。

ただし、Excelだけでクラスター分析をする場合、RやSPSSのようにボタン一つで結果が出るわけではありません。距離を計算し、似ている対象を確認し、場合によってはアドインや外部ツールを使います。実務では、Excelは「データ整理」と「結果の可視化」に使い、分析計算はRやSPSSに任せるほうが効率的です。

Excelでデータを整える手順

Excelで最初につまずくのは、分析用データと管理用データが混ざっていることです。顧客名、メールアドレス、メモ、営業担当者、備考などが同じ表にあると、そのまま分析できません。まずは分析に使う列だけを別シートにコピーします。

操作としては、1行目に列名を入れ、2行目以降に対象データを並べます。ID列は残してもよいですが、計算には使わないようにします。空白、文字列、単位付きの数字は事前に処理してください。「10回」「20万円」のような表記は、数字として扱えないことがあります。

次に、欠損値を確認します。欠損値とは、データが空白になっている状態です。購入回数が空白なのか0回なのかで意味が変わります。空白を0にしてよいのか、平均値で補うのか、その行を除外するのかを決めます。ここを曖昧にすると、分析結果が現実とズレます。

Excelで標準化して距離を計算する方法

顧客同士がどれくらい似ているかを見るには、距離を計算します。代表的なのがユークリッド距離です。ユークリッド距離とは、複数の項目を使って「どれくらい離れているか」を測る方法です。2次元の地図で点と点の距離を測る感覚に近いです。

Excelでは、標準化した各列の差を二乗し、合計して平方根を取ると距離を出せます。たとえば、顧客Aと顧客Bについて、購入金額、購入回数、最終購入日数の3項目があるなら、それぞれの差を計算します。

式の考え方は次の通りです。

=SQRT((Aの購入金額標準化値-Bの購入金額標準化値)^2+(Aの購入回数標準化値-Bの購入回数標準化値)^2+(Aの最終購入日数標準化値-Bの最終購入日数標準化値)^2)

実務で全顧客同士の距離を手計算するのは大変です。顧客数が10〜30件くらいなら学習目的でできますが、100件を超えるならExcelだけでは効率が落ちます。その場合は、RやSPSSに移るほうが現実的です。

Excelだけで実務利用するならピボットと散布図で結果を読む

Excelでクラスター分析を完全に終わらせるより、分類結果をExcelに戻して読む使い方がおすすめです。RやSPSSでクラスター番号を付け、その番号をExcelに戻します。そこからピボットテーブルで各クラスターの平均値を比較すると、かなり分かりやすくなります。

たとえば、クラスター1は購入金額が高く、購入回数も多い。クラスター2は購入回数は少ないが単価が高い。クラスター3は問い合わせ回数が多いのに購入が少ない。このように、分類結果に名前を付けられる状態まで持っていくのが実務です。

Excelの散布図も便利です。横軸に購入回数、縦軸に購入金額を置き、クラスター番号ごとに色を変えると、社内説明で伝わりやすくなります。分析結果は、計算できたら終わりではありません。現場が「この層には何をするか」を判断できる形にする必要があります。

Rでクラスター分析を行うやり方

Rでクラスター分析を行うやり方

Rはクラスター分析にかなり向いています。無料で使え、標準機能だけでも階層型クラスター分析やk-meansができます。データ量が多い場合や、同じ分析を何度も再現したい場合は、ExcelよりRのほうが安定します。

最初はコードに抵抗があるかもしれません。ただ、クラスター分析に必要なコードはそれほど長くありません。データを読み込み、数値列を選び、標準化し、クラスター分析を実行し、結果を元データに付与する。この流れを一度作れば、次回から使い回せます。

Rでk-meansクラスター分析をする基本手順

Rでk-meansを行うときは、まずCSVを読み込みます。文字化けを避けるため、日本語データならUTF-8かShift_JISかを確認しておくと安全です。読み込み後、分析に使う数値列だけを選びます。

基本の流れは次のようになります。

data <- read.csv("customer_data.csv", fileEncoding = "UTF-8")
x <- data[, c("purchase_amount", "purchase_count", "days_since_last_purchase", "inquiry_count")]
x_scaled <- scale(x)

set.seed(123)
result <- kmeans(x_scaled, centers = 4, nstart = 25)

data$cluster <- result$cluster
write.csv(data, "customer_cluster_result.csv", row.names = FALSE)

set.seedは、同じ結果を再現しやすくするための設定です。k-meansは初期値によって結果が少し変わることがあるため、実務ではset.seedを入れておくと説明しやすくなります。nstartは複数回試して良い結果を選ぶ設定で、25くらいから試すと扱いやすいです。

centers = 4 は、4つのクラスターに分けるという意味です。ここは目的に応じて変えます。3つ、4つ、5つで試し、結果の解釈がしやすい数を選ぶのが実務的です。

Rで階層型クラスター分析をする方法

階層型クラスター分析では、距離行列を作り、hclust関数で分析します。結果は樹形図で確認できます。少量データで分類の構造を見たいときに便利です。

data <- read.csv("customer_data.csv", fileEncoding = "UTF-8")
x <- data[, c("purchase_amount", "purchase_count", "days_since_last_purchase", "inquiry_count")]
x_scaled <- scale(x)

d <- dist(x_scaled, method = "euclidean")
hc <- hclust(d, method = "ward.D2")

plot(hc)
cluster <- cutree(hc, k = 4)
data$cluster <- cluster

method = “ward.D2” は、ウォード法という方法です。ウォード法は、グループ内のばらつきが小さくなるようにまとめる方法で、実務の分類では使いやすいことが多いです。樹形図を見ながら、どこで切ると自然かを確認します。

ただし、階層型はデータが多くなると見づらくなります。顧客が数千件あると樹形図を見ても判断できません。その場合は、サンプルデータで階層型を見て雰囲気をつかみ、本番データはk-meansで分類する流れが現実的です。

SPSSでクラスター分析を行うやり方

SPSSでクラスター分析を行うやり方

SPSSは、GUIで操作できるため、統計ソフトに慣れていない人でもクラスター分析を実行しやすいです。大学や研究機関、調査会社、企業の分析部門で使われることも多く、アンケートデータの分類に向いています。IBMの公式ドキュメントでも、階層クラスター、k-means、TwoStepクラスターなどの分析メニューが用意されています。

SPSSの良さは、コードを書かなくても分析結果、表、グラフを出しやすいことです。アンケート回答者を分類したり、店舗を特徴別に分けたりする場面では、Excelより安定して使えます。一方で、どの変数を入れるか、何クラスターにするかは自分で判断しなければなりません。

SPSSで階層クラスター分析を行う手順

SPSSで階層クラスター分析を行う場合、まずデータビューに分析対象のデータを読み込みます。1行に1対象、列に変数が並んでいる状態にします。文字列のIDや名前は識別用として残してもよいですが、クラスター作成には数値変数を使います。

操作は、メニューから「分析」→「分類」→「階層クラスター」を選びます。分類したい変数を投入し、方法としてウォード法、距離として平方ユークリッド距離などを選びます。必要に応じて、樹形図を出力する設定にします。

結果が出たら、樹形図を確認します。どの段階で大きく分かれているかを見ることで、3クラスターが自然なのか、4クラスターがよいのかを判断します。SPSSは出力が多く出るため、最初は全部読もうとせず、樹形図とクラスターごとの平均値に集中すると理解しやすいです。

SPSSでk-meansクラスター分析を行う手順

k-meansを使う場合は、メニューから「分析」→「分類」→「K-meansクラスター」を選びます。分析に使う数値変数を指定し、クラスター数を入力します。たとえば、顧客を4分類したいなら、クラスター数を4にします。

SPSSでは、クラスター所属を新しい変数として保存できます。これを保存しておくと、あとからクロス集計や平均値比較に使えます。たとえば、クラスター番号ごとに購入金額、満足度、継続率を比較すれば、各グループの特徴が見えてきます。

SPSSでやりがちな失敗は、標準化を忘れることです。変数の尺度が違う場合、事前に標準化した変数を作るか、分析設定で標準化を検討します。金額と回数を同時に扱うなら、標準化しない結果をそのまま信じないほうが安全です。

クラスター数の決め方は「統計的な根拠」と「実務で使える数」の両方で見る

クラスター数の決め方は「統計的な根拠」と「実務で使える数」の両方で見る

クラスター分析で一番悩むのが、何個に分けるかです。3つに分けるのか、4つに分けるのか、5つに分けるのか。ここに絶対の正解はありません。分析上きれいに分かれても、現場で使えない数なら意味が薄くなります。

たとえば、顧客を12クラスターに分けたとします。統計的には細かく分類できているかもしれません。でも、広告配信や営業対応で12種類の施策を作れるでしょうか。ほとんどの現場では、3〜5分類くらいが動かしやすいです。

操作説明に入る前に、ここでつまずく人が多いのが「ツールが出した最適値をそのまま正解にする」ことです。クラスター分析は、分析結果を人間が解釈して初めて使えます。だから、統計的な指標と実務の運用可能性を両方見ます。

クラスター数を決めるときの見方は次の通りです。

  • 樹形図で大きく分かれる位置を見る
  • k-meansで3、4、5分類を試す
  • 各クラスターの人数が極端に偏っていないか見る
  • 各クラスターの特徴が説明できるか確認する
  • 分けた後の施策を現場が実行できるか考える

もし4分類にしても説明できないグループが出るなら、3分類に戻したほうがよいです。逆に3分類ではざっくりしすぎて施策が分けられないなら、4分類を試します。クラスター数は、分析の美しさより、意思決定に使えるかで決めましょう。

クラスター分析の結果を読み解く方法

クラスター分析の結果を読み解く方法

クラスター分析は、グループ番号が出た瞬間がスタートです。クラスター1、クラスター2、クラスター3という番号だけでは、何も意思決定できません。それぞれのグループがどんな特徴を持つのかを読み解き、名前を付ける必要があります。

実務では、各クラスターごとの平均値を比較します。購入金額、購入回数、最終購入日数、問い合わせ回数、成約率などを並べると、特徴が見えてきます。平均だけでなく、人数や割合も必ず見てください。少人数の特殊グループを大きく扱いすぎると、施策がズレます。

たとえば、次のように読みます。

クラスター人数割合購入金額購入回数最終購入からの日数特徴名
118%高い多い短い高LTVリピーター
242%低い少ない長い休眠ライト層
325%中程度多い短い頻度重視層
415%高い少ない短い高単価スポット層

このように名前を付けると、施策に落とせます。高LTVリピーターには限定キャンペーン、休眠ライト層には再購入クーポン、頻度重視層には定期購入、スポット高単価層には高価格商品の案内。番号ではなく、行動につながる名前に変えるのがポイントです。

注意したいのは、名前を付けるときに思い込みを混ぜすぎないことです。データ上は「購入金額が高い」だけなのに、「富裕層」と断定するのは危険です。年収データがないなら、富裕層とは言えません。あくまでデータから言える範囲で名前を付けると、分析の信頼性が上がります。

マーケティングでクラスター分析を使う事例

マーケティングでクラスター分析を使う事例

マーケティングでのクラスター分析は、顧客を分けるだけで終わらせないことが重要です。分けたあとに、広告、LP、メール、営業トーク、商品提案を変えるから意味があります。分類したのに全員へ同じメッセージを送るなら、分析する意味が薄くなります。

たとえば、美容クリニックの問い合わせデータを考えてみましょう。年齢、悩み、予算感、希望施術、来院希望時期、問い合わせ回数などを使うと、顧客層の違いが見えてきます。すぐ来院したい層、比較検討中の層、価格重視の層、高単価施術に関心がある層では、刺さる訴求が違います。

CRMで優良顧客を見つける事例

ECやサブスクでは、RFM分析とクラスター分析を組み合わせると使いやすいです。RFMとは、Recency、Frequency、Monetaryの頭文字で、最終購入からの日数、購入頻度、購入金額を使って顧客を分類する方法です。クラスター分析に入れる特徴量としても相性が良いです。

たとえば、最終購入が近く、購入回数が多く、購入金額も高い層は、優良顧客として特別対応できます。購入金額は高いが購入回数が少ない層には、高単価商品のリピート提案が向いているかもしれません。購入回数は多いが単価が低い層には、セット販売や上位商品の案内が効く可能性があります。

ここでやってはいけないのは、全員に同じ割引クーポンを送ることです。高LTV顧客に大幅値引きを出すと、本来値引きなしでも買ってくれる利益を削ることがあります。クラスター分析は、値引きする人としない人を分けるためにも使えます。

広告運用で配信メッセージを分ける事例

広告運用では、クラスターごとに訴求を変える使い方ができます。たとえば、アンケートや問い合わせデータから顧客を分類し、「価格重視」「実績重視」「スピード重視」「不安解消重視」のような傾向が見えたとします。

価格重視層には初回料金や分割払い、実績重視層には症例や導入事例、スピード重視層には即日対応や短期改善、不安解消重視層には保証やカウンセリングの丁寧さを見せます。同じ商品でも、相手の関心によって入口を変えるわけです。

ロロントのようにWeb集客や美容医療領域のマーケティングを扱う場合、問い合わせ後の成約率を上げるには「どの広告から来たか」だけでなく、「どんな不安を持った人か」まで分ける必要があります。クラスター分析は、その分類を感覚ではなくデータで支える道具になります。

アンケート分析でクラスター分析を使う事例

アンケート分析でクラスター分析を使う事例

アンケート分析では、回答者を似た価値観ごとに分ける使い方ができます。満足度、価格への敏感さ、品質重視度、ブランド重視度、サポート重視度などを使うと、単なる平均点では見えない層が出てきます。

たとえば、あるサービスのアンケートで全体満足度が3.8点だったとします。平均だけ見ると「まあまあ満足」と読めますが、実際には熱狂的に満足している層と、不満を持っている層が混ざっているかもしれません。クラスター分析を使うと、その混ざりを分けて見られます。

アンケート項目をそのまま入れるときの注意点

5段階評価の項目をそのままクラスター分析に入れることはできます。ただし、似た質問を大量に入れると、特定のテーマだけが強く反映されます。たとえば、価格に関する質問が5問、品質に関する質問が1問なら、価格重視の分類になりやすいです。

この場合は、事前に質問項目を整理します。似た質問を平均して1つのスコアにする、主成分分析や因子分析で軸をまとめる、不要な項目を外すなどの処理を検討します。専門的に見えますが、実務では「同じ意味の質問を何個も入れない」と考えるだけでもかなり改善します。

また、自由記述はそのままではクラスター分析に入れにくいです。使うなら、テキストをカテゴリ化したり、キーワード出現数に変えたりする必要があります。最初は5段階評価や選択式回答を中心に使うほうが安定します。

店舗・エリア分析でクラスター分析を使う事例

店舗・エリア分析でクラスター分析を使う事例

店舗やエリアの分類にもクラスター分析は使えます。売上、客単価、来店数、リピート率、広告費、商圏人口、競合数などを使うと、店舗ごとの特徴が見えてきます。全店舗に同じ販促をするのではなく、店舗タイプごとに施策を分けられるようになります。

たとえば、売上は高いが広告費も高い店舗、来店数は少ないが客単価が高い店舗、リピート率は高いが新規獲得が弱い店舗などが分かれます。この分類ができると、店長への改善指示も具体的になります。「売上を上げよう」ではなく、「この店舗群は新規集客より単価改善を優先しよう」と言えるようになるからです。

操作説明の前に、ここでつまずく人が多いのが「店舗規模を補正しないまま比較する」ことです。大型店と小型店を売上だけで比べると、大型店が全部同じクラスターに寄りやすくなります。坪数、スタッフ数、商圏人口などを考慮しないと、実務で使いにくい分類になります。

店舗分析では、絶対額と率の両方を見るのが大事です。売上金額、来店数のような規模指標に加えて、客単価、成約率、リピート率、広告費率などを入れると、店舗の性格が見えやすくなります。分類後は、各店舗クラスターごとに改善アクションを決めます。

クラスター分析でよくある失敗と回避策

クラスター分析でよくある失敗と回避策

クラスター分析は便利ですが、失敗パターンもはっきりしています。特に多いのは、目的が曖昧、変数を入れすぎる、標準化しない、クラスター数を深く考えない、結果に名前を付けないという失敗です。これらを避けるだけで、分析の実務価値はかなり上がります。

たとえば、顧客分析で「使える列を全部入れました」というケースがあります。年齢、購入金額、問い合わせ回数、都道府県コード、会員ランク、流入元コード、担当者番号まで入れてしまう。すると、何によって分かれたのか分からないグループが出てきます。

よくある失敗を整理すると次の通りです。

失敗起きる原因回避策
分類結果が意味不明目的と変数がズレている分析目的から逆算して列を選ぶ
金額だけで分かれる標準化していないscaleやSTANDARDIZEでそろえる
グループ数が多すぎる細かく分けすぎる3〜5分類から試す
小さすぎるクラスターが出る外れ値の影響外れ値を確認して除外や別扱いを検討
施策につながらない結果に名前を付けていない平均値を比較して特徴名を付ける
再現できないk-meansの初期値が変わるset.seedやnstartを設定する

クラスター分析は、ツールの出力をそのまま信じる分析ではありません。出てきた分類を見て、「これは現場感と合っているか」「施策を変える意味があるか」を確認します。現場の感覚と違う結果が出たら、ツールが間違っているとは限りません。使った変数や前処理が目的に合っているかを見直しましょう。

クラスター分析をレポートにまとめる書き方

クラスター分析をレポートにまとめる書き方

分析結果を社内やクライアントに出すときは、手法の説明よりも、結果とアクションを先に見せるほうが伝わります。いきなり「ウォード法を用いて平方ユークリッド距離で」と書くと、分析に詳しくない人はそこで離脱します。先に「顧客を4タイプに分類しました」と伝えましょう。

レポートの流れは、目的、使用データ、分析方法、分類結果、各クラスターの特徴、施策案、注意点の順が使いやすいです。特に施策案まで書かないと、読み手は「で、何をすればいいの?」となります。クラスター分析は、分類そのものより、分類後の打ち手が価値です。

たとえば、次のようにまとめます。

項目書く内容
目的顧客を購買傾向別に分類し、CRM施策を分ける
使用データ直近12か月の購入金額、購入回数、最終購入日数
分析方法標準化後にk-meansで4分類
結果高LTV、休眠、頻度重視、高単価スポットに分類
施策各層にメール、広告、営業対応を出し分ける
注意点データ期間が12か月のため季節要因に注意

レポートでは、クラスター名にこだわってください。「クラスター1」では誰も動けません。「高LTVリピーター」「休眠ライト層」「比較検討中リード」のように、現場が一瞬で理解できる名前を付けます。名前が良いと、施策会議で使われる言葉になります。

Excel・R・SPSSのどれでクラスター分析をするべきか

Excel・R・SPSSのどれでクラスター分析をするべきか

どのツールを使うべきかは、データ量、再現性、社内環境、分析者のスキルで決まります。Excelは始めやすいですが、大量データや本格的な分析には向きません。Rは再現性と自由度が高く、SPSSはGUIで分析しやすいです。

実務では、Excelだけにこだわる必要はありません。Excelでデータを整え、RやSPSSで分析し、結果をExcelに戻して可視化する。この組み合わせが一番使いやすいことも多いです。分析ツールは目的ではなく、意思決定のための道具です。

ツール向いている人メリット注意点
Excelまず考え方を理解したい人、少量データを扱う人社内共有しやすい、可視化しやすい本格分析は手間が多い
R再現性高く分析したい人、大量データを扱う人無料、柔軟、コードを再利用できる最初はコード学習が必要
SPSSGUIで統計分析したい人、調査データを扱う人操作しやすい、出力が見やすいライセンス費用がかかる
Python機械学習や自動化まで広げたい人拡張性が高い環境構築がやや難しい

最初の一歩なら、Excelでデータを整えて、Rでk-meansを実行し、Excelで結果を読む流れがおすすめです。社内にSPSSがあるなら、SPSSで階層型とk-meansを試すのも良いでしょう。大事なのは、ツール選びで止まらず、分析後の施策まで進めることです。

クラスター分析のやり方まとめ

クラスター分析のやり方まとめ

クラスター分析は、似ている顧客、商品、店舗、回答者をグループ分けする分析です。実務で使うなら、まず「何を分類するのか」「分けた後に何をするのか」を決めます。そのうえで、1行に1対象、列に特徴量を並べ、必要な数値だけを選びます。

分析前には、欠損値を確認し、単位が違う変数は標準化します。少量データや構造を見たい場合は階層型、顧客数が多く施策に使いたい場合はk-meansが向いています。Excelはデータ整理と可視化、Rは再現性のある分析、SPSSはGUIでの統計分析に使うと効率的です。

結果が出たら、クラスター番号で終わらせないでください。各クラスターの平均値や人数割合を見て、「高LTVリピーター」「休眠ライト層」「高単価スポット層」のように名前を付けます。その名前をもとに、広告、メール、営業、商品提案を変える。ここまでやって、クラスター分析は実務で意味を持ちます。

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